北海道中央バス「スターライト釧路号」これまでのあゆみといまの姿
「スターライト釧路号」のいまを見てみる
「スターライト釧路号」のいまの姿を見てみようと思い、私がやって来たのは、釧路市文苑にあるくしろバス本社。同路線の釧路側起終点にもなっている場所であります。
かつては、釧路駅前にあった中央バス釧路ターミナル(→のちに都市間線ターミナルに名称を変更)や、フィッシャーマンズワーフMOO(Moo都市間バスターミナル)が起終点でしたが、2005(平成17)年7月21日のダイヤ改正で起終点をくしろバス本社に変更、同時にパーク&ライドサービスを開始します。
1週間以内の利用という制限はあるものの、事前予約が不要なことなどから、パーク&ライドサービスを利用される方が結構いらっしゃる様で、敷地内の専用駐車場には、数多くの自家用車が停車していました。
釧路駅バスターミナルから乗車することが多い私ですが、身内の自宅がくしろバス本社から徒歩圏内にあることから、今回はこちらくしろバス本社から乗車することにしました。
本社社屋の前には、写真のバス停が。
「スターライト釧路号」の他、釧路~根室間都市間バス「特急ねむろ号」も発着しています。
今回乗車したのは、くしろバス本社17時45分発の北海道中央バス担当便。
こちらの車両の乗車しました。
北海道中央バス札幌北営業所所属4922号車(日野セレガSHD 2RG-RU1ESDA)です。
長距離都市間路線用の車両で、「スターライト釧路号」の他「ドリーミントオホーツク号」(札幌~北見・網走)、「ポテトライナー」(札幌~帯広)、「高速はこだて号」(札幌~函館)の運用にも対応していますが、現在は主に「スターライト釧路号」で活躍している車両であります。
導入して6年程経過していますが、車体の各所に痛みが出ているなど、走行環境の過酷さが伺い知れます。
車内は、3列独立シート28人乗りの夜行高速仕様。
最後部は4席になっていますが、一方でトイレ入口横がフリースペースになっており、トイレへの出入りがしやすいくなっているのが特徴です。
窓側座席には、座席と通路を仕切るカーテンが設置されています。
シートは、天龍工業製の夜行用シートを採用。
可動式枕を搭載しており、座り心地もなかなかのものです。
もちろん、足置き台(フットレスト)、レッグレストも完備。
シートポケットには、各種リーフレットとエチケット袋が入っています。
モバイル充電用のコンセントは、ひじ掛け下に設置しています。
尚、同じくひじ掛け下に設置しているマルチステレオコントローラーは、サービス終了に伴い、現在は使用していません。
以上、車内設備を簡単にご紹介しましたが、通路カーテンにコンセント完備と、所要時間5~6時間程度の路線にしては十分な設備を有しており、昼行であろうと夜行であろうと道中ゆったりと快適に移動することが出来ます。
17時45分 くしろバス本社発車
17時45分、定刻にくしろバス本社を発車したバスは、宝橋通や雄鉄線通などを経由し、釧路駅バスターミナルへ向かいます。
雄鉄線通という道路の名称が気になったので、帰宅後ネットで調べたところ、(やはりというか予想通りというか)かつて釧路と阿寒町(現在の釧路市阿寒町)の雄別炭山駅までを結んでいた雄別鉄道の線路跡とのこと。
100%ではないそうですが、かつての鉄道線路跡を幹線道路として整備しているとは知りませんでした。
くしろバス本社から乗車したのは私1名のみでしたが、15分程で到着した釧路駅バスターミナルからは多くの乗客が乗車してきます。
定員の約半数の乗客を乗せたバスは、18時05分定刻に釧路駅バスターミナルを発車。
発車後、交代乗務員からマイクによる案内放送があり、その後、車内を回って不明点がないかどうかを確認していきます。
このあたりは、昔から行われている一連の流れでもありますが、今日に至るまで引き継がれているのはさすがといったところでしょうか。
案内が終わるころ、右手に新釧路川が見えて来ました。
18時20分、鳥取分岐にて乗車扱いのために停車。
その10分後の18時30分、大楽毛駅前にて乗車扱いのために停車し、定員の約半数の座席が埋まったバスは、国道38号から国道240号を走行し、道東自動車道阿寒インターへ向かいます。
週末日曜日の釧路発最終便ということもあってか、この日の車内は空席もそれなりにありましたが、聞くところによると、この釧路発最終便、週末金曜日や繁忙期には満席になることも少なくないとのこと。
該当日に乗車を計画されている方は、早目のご予約をお勧めしますとのことでした。(予約は、乗車日2か月前から受け付けています。)
大楽毛駅前から20分弱で、バスは阿寒インターを通過。
ここから先は、札幌南インターまで道東自動車道と道央自動車道をひた走ります。
阿寒インターから浦幌インター付近までは、山の中を切り開いた区間。
白糠インターから先は、国道392号線とほぼ並行する形で建設されました。
日が暮れかける山間ハイウェイを、バスは難なく走行していきます。
19時26分、本別ジャンクションを通過。
その13分後の19時39分、池田本線料金所を通過します。
ここから先は、十勝平野、そして山越えの区間になります。
20時02分、帯広ジャンクションを通過。
帯広広尾自動車道との分岐点になる場所ですが、帯広市内へ向かうのであれば、手前の音更帯広インターで降りるか、帯広ジャンクションから帯広広尾自動車道に入り、芽室帯広インターで降りた方が便利です。
20時07分~20時16分 十勝平原サービスエリアにて開放休憩
釧路を発車した約2時間後の20時07分、バスは唯一の開放休憩場所である十勝平原サービスエリアに到着します。
こちらでは、約10分間停車しました。
十勝平原サービスエリアは、北海道河西郡芽室町にある道東自動車道のサービスエリア。
サービスエリアと謳ってはいますが、施設自体は駐車場、トイレ、自動販売機、ドッグランしかなく、ガソリンスタンドや売店等の施設はありません。
但し、春季から秋季にかけ、飲食ブースが設置されることがあり、今年も飲食ブースが設置されておりました。
バスも、しばしのひと休み。
同時に乗務員交代も行われます。
乗客が全員揃ったところで、バスは十勝平原サービスエリアを発車。
引き続き道東自動車道を札幌へ向けてひた走ります。
20時27分、十勝清水インターを通過。
ここから先は、いよいよ山越えの区間に差し掛かります。
十勝清水インターから先、夕張インターまでの"山越え区間"が開通したのは、2007(平成19)年以降のこと。
並行する国道38号、国道274号の難所として悪名高い「狩勝峠」や「日勝峠」を迂回出来る様になったため、道央圏と道東圏のアクセスが飛躍的に改善しました。
同区間の開通後、並行国道からの物流・交通の大幅なシフトが見られたともいわれています。
こちらの区間では現在、4車線化の工事が進められており、4車線化の工事が完成すると、さらなる交通状況の改善が期待されるところです。
峠を越えた先、トマムインター、占冠インター、むかわ穂別インターと通過し、21時26分、夕張インターを通過します。
その後も順調に進み、夕張インターを過ぎた先の由仁パーキングエリアにて最後の乗務員交代のために停車。
1分程で乗務員交代を終え、由仁パーキングエリアを発車したバスは、暗闇の道東自動車道を札幌へ向けてひた走ります。
22時54分 札幌駅前(都市間バス降車場)到着
由仁パーキングエリアから追分町インター、千歳東インターを通過したバスは、22時00分、千歳恵庭ジャンクションを通過。
ここから先は、進路を北に変え、道央自動車道を札幌方面へ向けて走行します。
千歳恵庭ジャンクションを通過して15分後の22時15分、バスは札幌南インターを通過。
こちらで高速道路とはお別れし、ここから先は札幌市内の一般道を札幌中心部へ向けて走行します。
札幌市内に入り最初に停車したのは、地下鉄大谷地駅直結の大谷地バスターミナル。
定刻よりも20分程早い22時20分に到着しました。
地下鉄東西線にお乗り換えの方や、厚別区、清田区、白石区方面へお越しの方は、こちらでの下車が便利です。
次に停車する南郷18丁目駅も、地下鉄東西線にお乗り換えの方には便利な停留所。
但し、こちらの南郷18丁目駅は降車専用停留所ですので、ご利用の方は注意しましょう。
南郷18丁目駅を発車したバスは、国道12号を札幌中心部へ向けて走行します。
大谷地バスターミナルを発車して約30分後の22時49分、バスは時計台前に到着。
中央バス札幌ターミナルやテレビ塔、時計台、地下鉄大通駅、地下鉄バスセンター駅へお越しの方は、こちらで降りられると便利です。
そして22時54分、バスは終点の札幌駅前(都市間バス降車場)に到着。
荷物を受け取った乗客は、三々五々それぞれの目的地へ。
そして、回送されるバスの後姿を見届け、私は家路につくのでありました。
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