【アーカイブ】日本最長夜行バス「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」 運行休止直前乗車記
“運行距離日本最長クラスの夜行バス"といえば、このブログで何度もご紹介している西日本鉄道(本社:福岡市)の東京新宿~北九州・福岡間夜行高速バス「はかた号」や、
オー・ティー・ビー(本社:東京都)の「オリオンバス」東京~福岡線がありますが、
実は、これらを凌ぐ、“運行距離日本最長の夜行バス"がかつてあったのをご存じでしょうか。
その名は・・・「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」。
福岡の天神、博多駅と横浜駅(YCAT)、東京池袋、さいたま大宮を結ぶ夜行高速バスです。
その営業キロは、なんと、約1,170km!
当時、そして現在の「はかた号」の運行距離が約1,100kmですので、その凄さがお分かりいただけるかと思います。
(因みに、旧高速ツアーバス時代を含めると、「キラキラ号」(旅バス、現在は桜交通が運行)が東京~長崎間のバスを運行しており、こちらが当時の日本最長夜行バスといわれていました。)
運行したのは、埼玉県に本社を置く西武観光バスと、福岡市に本社を置く西鉄高速バス(現在は西日本鉄道に吸収)。
プロ野球「ライオンズ」と深く関わっている(関わっていた)バス会社同士がタッグを組んで運行していたのです。
先日、久しぶりに資料やパンフレット類を整理していたところ、「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」関連の資料や画像がいくつか見つかり、「それならば、アーカイブとして改めてまとめてみよう!」というのが、今回の記事であります。
「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」については、かなり前にこのブログで乗車記をアップしていますが、
今回の記事を作成するにあたり、「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」運行直前の乗車記もリライトし掲載しましたので、併せてお楽しみいただけると幸いです。
西鉄が運行する東京新宿~福岡線「はかた号」に次いで、福岡~首都圏を結ぶ第2の路線として開設されました。
路線愛称の「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」は、いうまでもなく、かつての「西鉄ライオンズ」の本拠地であった福岡県と、現在の「埼玉西武ライオンズ」の本拠地である埼玉県を結ぶ路線であることに因んでおり、運行主体がライオンズの新旧親会社である西日本鉄道(以下:西鉄)と西武鉄道(以下:西武)の関連会社であることも注目されました。
車体のカラーリングも「ライオンズ」を意識したものになっており、西武観光バスは、西武高速バスの現行カラーリング「レジェンドブルーカラー」を初採用したいすゞガーラHD(PKG-RU1ESAJ)を投入。
ブルーに「Lions」の大きなロゴがあしらわれたカラーは、遠くからでも目立つ存在です。
一方の西鉄高速バスは、運行開始までに専用車デビューが間に合わず、運行開始当初は、写真の白夜行カラーに「LIONS」のロゴを配したハイデッカー車(日野セレガHD LKG-RU1ESBA)を暫定専用車として投入。
その数週間後の2011年の年末に、かつて「西鉄ライオンズ」のマークとロゴを配した専用のスーパーハイデッカー車(日野セレガSHD LKG-RU1ESBA)を投入しています。
専用車デビューの際には、天神ソラリアステージ前にて「西鉄ライオンズ」OBを招いてのイベントも開催されました。
当時の営業キロ約1,170kmは、文句なしの日本最長。
所要時間15時間10分も、日本最長クラスでした。
一方で、運賃は、旧高速ツアーバス対策の一環として開設したという経緯もあり、後述の車内設備を簡素化することで低廉な運賃を実現。
片道運賃は、当時の「はかた号」エコノミーシートとほぼ同額水準の曜日別運賃となっており、福岡~横浜間が片道8,000円~12,000円、福岡~池袋間が片道8,500円~12,500円、福岡~大宮間が9,000円~13,000円となっておりました。
また、期間限定の割引運賃を導入したこともあり、最遠の福岡~大宮間でも片道10,000円を切る金額で移動出来たことから、この割引運賃は、特に若年層に人気がありました。
車内は、4列シートトイレ付の34人~38人乗り仕様。
かつての関越高速バス4列シート車に準じた仕様になっており、車内最後部にはトイレと交代乗務員用の仮眠室を設置していました。
運行開始当初のダイヤは、福岡側、首都圏側とも20時頃に発車し、翌朝の11時頃終着地に到着するダイヤでしたが、2013年7月のダイヤ改正で、福岡側、首都圏側とも17時台に発車し、翌朝の8時台に終着地に到着するダイヤに変更しています。
2011年12月8日の運行開始以来、延べ45,000人の乗客を運んだ「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」。
『日本最長距離夜行高速バス』としてマスコミ等の各媒体にも取り上げられ、主に若年層を中心とした旅行客や帰省客に親しまれていましたが、当初より利用者数が伸び悩んだことに加え、福岡~成田間のLCC(ジェットスター・ジャパン、バニラエア→Peach Aviation)就航による利用客の減少、「はかた号」の早期割引運賃の導入などの事情もあり、「これ以上の運行継続は難しい」と判断。
2015年5月16日の運行をもって、約3年半の歴史に幕を閉じたのです。
(次ページに続きます。)
西日本鉄道「はかた号」
オー・ティー・ビー(本社:東京都)の「オリオンバス」東京~福岡線がありますが、
オー・ティー・ビー「オリオンバス」(写真はイメージです。)
実は、これらを凌ぐ、“運行距離日本最長の夜行バス"がかつてあったのをご存じでしょうか。
その名は・・・「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」。
福岡の天神、博多駅と横浜駅(YCAT)、東京池袋、さいたま大宮を結ぶ夜行高速バスです。
その営業キロは、なんと、約1,170km!
当時、そして現在の「はかた号」の運行距離が約1,100kmですので、その凄さがお分かりいただけるかと思います。
(因みに、旧高速ツアーバス時代を含めると、「キラキラ号」(旅バス、現在は桜交通が運行)が東京~長崎間のバスを運行しており、こちらが当時の日本最長夜行バスといわれていました。)
運行したのは、埼玉県に本社を置く西武観光バスと、福岡市に本社を置く西鉄高速バス(現在は西日本鉄道に吸収)。
プロ野球「ライオンズ」と深く関わっている(関わっていた)バス会社同士がタッグを組んで運行していたのです。
西武観光バス「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」
西鉄高速バス「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」
先日、久しぶりに資料やパンフレット類を整理していたところ、「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」関連の資料や画像がいくつか見つかり、「それならば、アーカイブとして改めてまとめてみよう!」というのが、今回の記事であります。
「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」については、かなり前にこのブログで乗車記をアップしていますが、
今回の記事を作成するにあたり、「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」運行直前の乗車記もリライトし掲載しましたので、併せてお楽しみいただけると幸いです。
「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」 約3年半のあゆみ
「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」が運行を開始したのは、2011(平成23)年12月8日のこと。西鉄が運行する東京新宿~福岡線「はかた号」に次いで、福岡~首都圏を結ぶ第2の路線として開設されました。
路線愛称の「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」は、いうまでもなく、かつての「西鉄ライオンズ」の本拠地であった福岡県と、現在の「埼玉西武ライオンズ」の本拠地である埼玉県を結ぶ路線であることに因んでおり、運行主体がライオンズの新旧親会社である西日本鉄道(以下:西鉄)と西武鉄道(以下:西武)の関連会社であることも注目されました。
車体のカラーリングも「ライオンズ」を意識したものになっており、西武観光バスは、西武高速バスの現行カラーリング「レジェンドブルーカラー」を初採用したいすゞガーラHD(PKG-RU1ESAJ)を投入。
ブルーに「Lions」の大きなロゴがあしらわれたカラーは、遠くからでも目立つ存在です。
西武観光バス「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」専用車
一方の西鉄高速バスは、運行開始までに専用車デビューが間に合わず、運行開始当初は、写真の白夜行カラーに「LIONS」のロゴを配したハイデッカー車(日野セレガHD LKG-RU1ESBA)を暫定専用車として投入。
西鉄高速バス「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」暫定専用車
その数週間後の2011年の年末に、かつて「西鉄ライオンズ」のマークとロゴを配した専用のスーパーハイデッカー車(日野セレガSHD LKG-RU1ESBA)を投入しています。
専用車デビューの際には、天神ソラリアステージ前にて「西鉄ライオンズ」OBを招いてのイベントも開催されました。
西鉄高速バス「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」専用車
当時の営業キロ約1,170kmは、文句なしの日本最長。
所要時間15時間10分も、日本最長クラスでした。
一方で、運賃は、旧高速ツアーバス対策の一環として開設したという経緯もあり、後述の車内設備を簡素化することで低廉な運賃を実現。
片道運賃は、当時の「はかた号」エコノミーシートとほぼ同額水準の曜日別運賃となっており、福岡~横浜間が片道8,000円~12,000円、福岡~池袋間が片道8,500円~12,500円、福岡~大宮間が9,000円~13,000円となっておりました。
また、期間限定の割引運賃を導入したこともあり、最遠の福岡~大宮間でも片道10,000円を切る金額で移動出来たことから、この割引運賃は、特に若年層に人気がありました。
西武観光バス「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」2012年発行のパンフレット
西鉄高速バス「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」2012年冬発行のパンフレット
車内は、4列シートトイレ付の34人~38人乗り仕様。
かつての関越高速バス4列シート車に準じた仕様になっており、車内最後部にはトイレと交代乗務員用の仮眠室を設置していました。
西武観光バス「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」専用車の車内
西鉄高速バス「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」専用車の車内
運行開始当初のダイヤは、福岡側、首都圏側とも20時頃に発車し、翌朝の11時頃終着地に到着するダイヤでしたが、2013年7月のダイヤ改正で、福岡側、首都圏側とも17時台に発車し、翌朝の8時台に終着地に到着するダイヤに変更しています。
西鉄高速バス「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」2013年夏発行のパンフレット
2011年12月8日の運行開始以来、延べ45,000人の乗客を運んだ「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」。
『日本最長距離夜行高速バス』としてマスコミ等の各媒体にも取り上げられ、主に若年層を中心とした旅行客や帰省客に親しまれていましたが、当初より利用者数が伸び悩んだことに加え、福岡~成田間のLCC(ジェットスター・ジャパン、バニラエア→Peach Aviation)就航による利用客の減少、「はかた号」の早期割引運賃の導入などの事情もあり、「これ以上の運行継続は難しい」と判断。
2015年5月16日の運行をもって、約3年半の歴史に幕を閉じたのです。
(次ページに続きます。)