夜行高速バス 2023年冬~夏の動き(ダイヤ改正、運行会社の変更、新規参入、運行終了など)
目次
西鉄が「ペガサス号」の運行から事実上撤退
残るは名古屋と東京新宿の2路線のみに・・・。西日本鉄道は、福岡・北九州~倉敷・岡山間夜行高速バス「ペガサス号」の運行を、2023年6月30日をもって休止すると発表しました。
西日本鉄道「ペガサス号」
福岡・北九州~倉敷・岡山線「ペガサス号」は、1989(平成元)年4月1日に昼夜高速路線として運行を開始。
のちに夜行路線としてリニューアルしてからも、長らくの間西鉄と両備バス(→両備ホールディングス)、下津井電鉄の3社が共同で運行を続けて来ましたが、西鉄も御多分に漏れず深刻な乗務員不足に陥っており、やむを得ず運行休止(事実上の運行撤退)という結論に至ったと推測されます。
それにしても、かつては福岡県から10路線以もの本州方面夜行高速バスを運行していた西鉄が、今般の「ペガサス号」運行休止で残るは福岡・北九州~名古屋線「どんたく号」(名鉄バスと共同運行)と福岡・北九州~東京新宿線「はかた号」の2路線のみとなってしまいました。
ゆくゆくは夜行路線からの完全撤退も視野に入れて入れているのでは?とネガティブな予測をするのは私だけでしょうか。
運行時刻・運賃は、両備ホールディングス「ペガサス号」のページにてご確認をお願いいたします。
『【2023年7月1日より】福岡~岡山線「ペガサス号」西鉄便の運行休止について』(西鉄公式サイト)
首都圏から立山へ直行する高速バスが開設
乗り換えなしで首都圏から立山黒部アルペンルートの最高峰へ移動出来ます!東急トランセ・西武観光バス・富山地方鉄道の3社は、東京と立山黒部アルペンルートの最高峰に位置する立山室堂の間を結ぶ期間限定運行の高速バス「東京~立山(室堂)線」を、2023年7月14日に開設し、運行を開始しました。
東急トランセの高速バス(イメージ)
立山黒部アルペンルートへの観光客および登山客の利用を想定していることから、東京発は夜行便として、立山(室堂)発は昼行便として運行されます。
車両は各社とも4列シート車を投入。
東急トランセと富山地方鉄道は38人乗り昼行高速仕様車を、西武観光バスは42人乗り昼行高速仕様車を投入しています。
観光路線ということもあってか、運賃はかなりの強気な設定。
東京→立山(室堂)のWEB運賃は大人片道16,000円~19,000円、立山(室堂)→東京のWEB運賃は11,000円~13,000円となっています。
予約方法はインターネット(発車オーライネット)のみとなっており、予約が出来ない場合は空席がある場合に限り車内精算で乗車することが出来ます。
この場合の運賃は、東京発、立山(室堂)ともに大人片道20,000円となります。
まあ、事実上バスしか乗り入れられない立山有料道路の通行料が高額であることを考えると、この運賃設定は致し方がないのかなぁという気もしますが・・・。
今年の運行は2023年8月までとなっておりますが、来年以降も運行することを是非とも期待したいものです。
運行時刻・運賃は、東急バス(東急トランセ)「【季節運転】東京・渋谷・新宿・池袋-立山(室堂)」のページにてご確認をお願いいたします。
新宿・池袋~富山・高岡線のダイヤ改正 加越能バスが東京線の運行から撤退
こちらもダイヤ改正と運行会社撤退の話題です。西武バス・富山地方鉄道・加越能バスが運行する高速バス「新宿・池袋~富山・高岡線」が2023年8月1日にダイヤ改正を実施します。
富山地方鉄道「高岡・富山~池袋・新宿線」
ダイヤ改正の主なポイントは2つあります。
ひとつは、減便と運行時刻の変更。
1往復減便され、4往復体制の運行となります。
ただし、現在、一部の便が運休中となっており、当面の間は昼行1往復と夜行1往復の2往復体制で運行します。
そして、もう一つは、長らく運行に携わってきた加越能バスが、この路線の運行から撤退することになりました。
元々この路線は、「池袋~富山線」(西武バス・富山地方鉄道)と「池袋~高岡・氷見線」(西武バス・加越能鉄道→加越能バス)という2路線が別々に運行されていました。
ところが、2015(平成27)年3月14日の北陸新幹線金沢延伸をきっかけに、双方の利用者数が減少。
このため、2017(平成29)年5月15日、運行効率化を目的に両路線を統合し、一部の便は氷見・高岡地区発着に変更したのです。
しかし、2020年4月11日より、新型コロナウイルス感染拡大の影響で全便運休に。
暫くして、昼行1往復と夜行1往復で運行を再開しますが、西武バスと富山地方鉄道が運行復帰する一方で、加越能バスは運休したままの状態でした。
そして、2023年8月1日のダイヤ改正で、加越能バスは東京線の運行から撤退し、西武バス・富山地方鉄道2社共同運行路線として再出発することになったのです。
現在も一部の便が運休となっており、当面の間は現行の昼行1往復・夜行1往復体制が続きます。
果たして、通常運行(4往復運行)に戻るのはいつのことになるのでしょうか・・・。
運行時刻・運賃は、西武バス「富山・高岡・氷見線」のページにてご確認をお願いいたします。
最後に
以上、2023年秋~夏の夜行高速バス「ダイヤ改正」「運行終了」などの情報をおさらいしてみました。見ていただけると分かる通り、観光地へ向かう路線を中心に路線新設の動きがある一方で、運行便の縮小や休止・廃止の動きも目立っていることが分かります。
そして、今回は触れませんでしたが、3年以上も運休を継続しているなど、未だに運行再開の見通しが立たない夜行高速路線も少なからず存在します。
新型コロナウイルスが感染症5類へ移行し、これからか利用者数が回復・・・といった時に、乗務員不足はかつてない程に深刻な状況に陥っています。
さらに、2024年4月施行予定の改正”バス運転者の「改善基準告示」”で、長時間拘束(長時間勤務)になる夜行高速バスにとっては、かなりの影響が及ぶことが想像に難くなく、こと長距離夜行路線については、残念ながら今後も淘汰や整理が進むのではないか・・・と私は見ています。
以前に公開した「夜行高速バス 2022年秋~冬の動き(ダイヤ改正、運行会社の変更、新規参入、運行終了など)」でも書きましたが、コロナ騒動が落ち着き、長距離高速路線の需要がある程度戻ったところで、事業者側がそれを受け入れられる状況でないというのが本音なのだと思います。
現に人員確保がままならず、予約制の長距離夜行高速路線を全面運休、または共同運行会社へ運行を丸投げしている事業者もある位ですから・・・。
果たしてこの騒動が来年以降収まって回復の兆しを見せるのか、それともこのまま引きずって更なる縮小傾向に進むのか、今後の長距離夜行高速バスの動向を引き続き見守っていきたいと思います。
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