夜行高速バス「カルスト号」 運行休止へ・・・
コロナ騒動からの利用客回復の遅れ、乗務員不足の二重苦
この路線も、他路線と同様にコロナ騒動の影響を大きく受けました。騒動からの回復に向け、萩から長門市への延伸や、先述の広域公園駅への乗り入れ開始など、新たな需要獲得に積極的でしたが、山口県周南地区の地元紙「日刊新周南(電子版)」の取材に対し、防長交通は「コロナ禍が明けてほかの高速バス路線の乗車率が回復したのと対照的に、カルスト号の回復は鈍かった」と回答しています。
加えて、昨今の乗務員不足の影響もあり、これ以上運行を続けるのは難しいと判断したのでしょう。
現時点で運行再開の目処は立っていないとしています。
最後に
またしても、ひっとりと休止される夜行高速バスが出てしまいました。コロナ騒動からの回復が思わしくなく、乗務員不足が追い打ちをかけてこの様にして消えていく夜行高速バス・・・寂しいのひとことに尽きます。
私自身、「カルスト号」には2回乗車しております。
いずれもこのブログで乗車記を紹介していますが、2024年4月に乗車した時は、防府地区と広域公園前駅での乗車が多く、暫くは安泰なのかなぁと思っていただけに、この度の運行休止の報を聞いた時は、正直驚きました。
今回はあくまで運行休止ですので、今後、繁忙期に臨時運行される可能性を含んではいますが、「あおしま号」や「ひえつき号」「おひさま号」「トロピカルライナー」「ウイングライナー」など、これまで休廃止された近鉄高速バスの傾向を見ると、2度の復活を遂げた宮崎特急線や2023年に復活した埼玉特急線「サテライト号」など例外があるにせよ、運行休止から再開することがない(=事実上の廃止となる)ケースが殆どであることから、今回の「カルスト号」運行休止も事実上の廃止なのではと私は見ております。
「カルスト号」の休止により、大阪~山口間の夜行バスは、宇部、小野田、下関を経由して大阪~福岡間を結ぶ大新東(シダックスグループ)の「サンアンドムーン号」のみとなりますが、関西と山口県周南地区や県庁所在地の山口市を結ぶ夜行バスは皆無となり、利便性低下は避けられないでしょう。
地元の方、特に「カルスト号」をよく利用されていた方にとっては、何らかの影響を受ける筈。
そう遠くない時期の運行再開を期待したいところですが、果たして運行再開することはあるのか・・・今後に注目していきたいと思います。
ひとまず、「カルスト号」、35年間本当にお疲れ様でした。
「カルスト号」35年間のあゆみ
臨時高速バスとして1995年から2年間運行された防長交通「のんた号」
年 | 月日 | できごと |
---|---|---|
1990年 | 8月2日 | 大阪あべの橋~徳山・山口・萩間で「カルスト号」運行開始。 当初は中国道鹿野インター・秋芳洞(萩行のみ)を経由していた。 |
1992年 | 不明 | 山陽道岩国インター~熊毛インター間開通に伴い山陽道経由に変更。 岩国駅前停車開始。 |
1995年 | 不明 | 阪神・淡路大震災に伴い山陽新幹線が不通になったことを受け、近畿と山口県内との直通交通機関の確保を目的として、防長交通が単独で大阪~徳山間に昼行・夜行の臨時高速バスを設定。 なお、夜行便は同年夏より2年間「のんた号」として運行。 |
2006年 | 12月20日 | 大竹インター入口・玖珂インター・熊毛インターに停留所を新設。 |
2007年 | 8月10日 | 三宮バスターミナル(ミント神戸)経由に変更。 前日発をもってユニバーサル・スタジオ・ジャパン (USJ) への乗り入れ終了。 |
2011年 | 3月17日 | 京都駅八条口まで延伸され、これに伴う大阪地区各停留所(あべの橋駅・なんばOCAT・大阪駅前の3停留所)の停車順序を変更。 防長交通としては「SANYO EXPRESS・まいこ号」(京都~広島・徳山、京都交通と共同運行)を廃止して以来、約3年ぶりに京都への乗り入れを再開。 これに伴い、近鉄バス便の担当営業所が八尾営業所から京都営業所に変更。 |
2018年 | 4月27日 | 京都行のみUSJへの乗り入れ再開。 大阪あべの橋(あべのハルカス)への乗り入れを終了。 |
2019年 | 6月21日 | 運賃改定を実施。 |
2020年 | 4月10日 | 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、この日の出発便より当分の間運休。 |
7月21日 | 運行再開。 | |
7月27日 | 大阪府での新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、再び当面の間運休。 | |
12月24日 | 運行再開。 | |
2022年 | 1月28日 | 新型コロナウイルスのオミクロン株全国的感染拡大を受け、再び当面の間運休。 |
3月11日 | 運行再開。 | |
4月28日 | 山口県側の起終点を長門市まで延長し、長門市内3か所(長門市役所前・長門市駅前・道の駅センザキッチン)に停留所を新設。 | |
8月1日 | ダイヤ改正を実施し、運行経路、出発時刻、運賃を改正。 新たに広島(広域公園前駅(修道大学前))に停車開始。 近鉄なんば駅西口(OCATビル)での乗降扱いを廃止し、大阪地区の停留所をUSJ(京都行きのみ)・大阪駅前(地下鉄東梅田駅)の2箇所に変更。 |
|
2024年 | 4月1日 | ダイヤ改正を実施し、運行経路、出発時刻、運賃を改正。 山口市内の経路を変更し、新たに「山口宮野」「山口西京橋」停留所を新設。「山口米屋町」での乗降扱いを廃止。 長門市までの延伸運行を取りやめ萩発着に変更、センザキッチン・長門市駅・長門市役所の各停留所を廃止。 |
12月19日 | 2025年1月31日出発便をもって運行を休止することを発表。 |
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