九州産交バス「サンライズ号」 乗車記
近畿日本鉄道(現:近鉄バス)と九州産業交通(現:九州産交バス)の共同運行路線として開設され、「トワイライト神戸号」(尼崎・神戸~熊本・鹿児島線)及び「きょうと号」(京都・枚方~熊本線)廃止に伴う路線統合や格安便「あそ★くま号」の新設など、時代の流れに合わせたサービス展開を行ってきましたが、九州新幹線の全線開通、更には近鉄バス側の諸事情(乗務員不足など)もあって、現在は九州産交バスが単独で運行を行っています。
「サンライズ号」については、九州新幹線の全線開通や旧ツアー系高速バスの台頭などで、ここ数年来苦戦が伝えられています。
更に、今年2016年4月に発生した熊本地震の影響もあり、同路線を取り巻く環境は厳しいものがあります。
私自身、「サンライズ号」は2003年8月に乗車して以来、久しく乗車しておりませんでしたが、2016年10月末の関西から熊本へ移動する際に利用する機会を得ることが出来ました。
今回はその時の模様を綴りたいと思います。
出発は港町「神戸から」
やって来たのは、JR三ノ宮駅前に位置する三宮バスターミナル。神戸新聞社所有のビルディング「ミント神戸」の1階に位置し、東は関東から西は九州へ、全国各地へ向かう高速バスで昼夜賑わっています。現在の夜行高速バス「サンライズ号」は、京都駅八条口が始発となっており、途中、大阪市内の近鉄あべの橋・なんばOCAT・大阪駅前(地下鉄東梅田駅)を経由します。
今回は乗り継ぎの関係から三宮バスターミナルから乗車します。
三宮バスターミナル発車時刻は23時10分。
23時台という遅い時間帯にもかかわらず、九州方面へ向かう高速バスに乗車出来るのは、三宮バスターミナルの大きなメリットだと私は思います。
今回乗車した車両はこちら↓。 九州産交バス本社・熊本営業部高速バス営業所所属の707号車(日野セレガHD PKG-RU1ESAA)です。
「トワイライト神戸号」専用車として導入されましたが、同路線の廃止以降は、名古屋線「不知火号」や京阪神線「サンライズ号」で活躍しています。
車内は3列独立シート28人乗りの夜行高速仕様になっています。
通路カーテンや充電用コンセントを後付けにて装備。
セルフサービス式のコーヒー・お茶・ジュースのサービスを提供している他、アイマスクやピロー(空気式枕)も無償提供されます。
アイマスクやピロー(空気式枕)の無償提供は、旧ツアー系高速バスで時々耳にするサービスですが、こと路線系高速バスにおいて、この手のサービスを実施するのは珍しいといえるかもしれません。
必要な設備を備えつつも、細かなサービスで他社との差別化を図ろうとしているのかなぁという印象を受けます。
23時05分、三宮バスターミナルに「サンライズ号」が入線。
早速改札が行われます。
23時10分、私を含めて13名の乗客を乗せたバスは、定刻に三宮バスターミナルを発車します。
自動音声による案内が行われた後、交代乗務員による補足説明が行われます。
その間、バスは神高速神戸線から神戸淡路鳴門道~三木JCTを経由し、山陽自動車道へと向かいます。
23時30分、一旦車内は消灯。
その約1時間後の0時35分に唯一の開放休憩場所である山陽自動車道福石パーキングエリアに到着します。 唯一の開放休憩ということもあってか、殆どの乗客がバスを降り、トイレや洗顔、買い物などを済ませていきます。
私もトイレを済ませた後、写真撮影を手早く済ませてバスに戻ります。
0時45分、乗客が全員揃ったところでバスは発車します。
再び消灯となり、私もシートを倒して眠りの体制に。
疲れていたからか、何時しか夢の中へと吸い込まれていきます。
翌朝目を覚ますと、バスは九州自動車道難関インター付近を走行していました。
7時10分、バスは最初の降車停留所である植木インターに到着。
こちらでは1名が下車していきました。
その後の武蔵ケ丘は降車客がおらずに通過し、松の本では1名が下車していきました。
松の本からは朝の渋滞に巻き込まれ、次第に遅れが発生。
熊本県庁前、熊本交通センターで降車扱いした頃には数分の遅れが発生していました。
8時32分、バスは熊本駅前に到着。
こちらでは最多の6名が下車していきました。
そして定刻の8時47分、バスは終点の九州産交バス西部車庫に到着。 神戸を発車すること約9時間半。
あっという間に着いた感が強かった「サンライズ号」の旅でした。
今回、約13年ぶりに「サンライズ号」に乗車しましたが、やはり以前乗車した時と状況は大きく変わっていました。
京都や神戸から乗車出来るようになったことで、利便性は向上した一方で、利用客の少なさが私としては気になりました。
以前は週末ともなると続行便が付くほどの利用があったこの路線ですが、やはり九州新幹線の全線開業や熊本地震の影響を大きく受けているのでしょうか、「あそ★くま号」が新設されたことによる利用客の分散があるにせよ、一時期程の活況は見受けられませんでした。
細かなサービスで他社との差別化を図ろうとする九州産交バスの努力が実を結ぶことを期待したいのですが、現状を見る限りでは、新車導入をはじめとするサービスの充実や運行ダイヤの見直しといった次なる一手を打たない限り、現状を打破するのは中々厳しいのかなぁと感じました。
2年後には運行開始30周年を迎える夜行高速バス「サンライズ号」ですが、今後も利用者に愛される路線として、末永く走り続けることを切に願いたいものです。
【乗車データ】
- 乗車日:2016/10/31
- 乗車区間:
三宮バスターミナル(ミント神戸)→九州産交バス西部車庫 - 運行会社:九州産交バス
- 車両:日野/セレガHD(PKG-RU1ESAA)
- 年式:2009年式
- 所属:本社・熊本営業部高速バス営業所
- 社番:707
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