両備ホールディングス「ドリームスリーパー東京大阪号」乗車記
『豪華夜行バスブーム』の象徴的存在にもなった夜行高速バス「ドリームスリーパー」東京大阪号。
関東バス(本社:東京都)と両備ホールディングス(本社:岡山市)が共同で運行する、東京~大阪間豪華夜行高速バスです。
「ドリームスリーパー東京大阪号」については、以前このブログで関東バス担当便を取り上げましたが・・・
実は先日、四国への取材出張の途中までの足として同路線利用する機会があり、乗車してまいりました。
で、色々と考えた結果、今回は未乗車の両備ホールディングス便を利用することに。
運行開始から2年経過した「ドリームスリーパー東京大阪号」の現状を、改めて見てみようということに相成ったわけです。
元々、「ドリームスリーパー」は、2012(平成24)年8月に、両備グループの中国バスが横浜・町田~福山・広島間夜行高速バス「メイプルハーバー」のハイグレード便として運行を開始しました。
2列シート14人乗り個室仕様の韓国現代製車両(ユニバース)を導入し、エクステリア・インテリアデザインは、両備ホールディングスの太陽電池バス「ソラビ」を担当したチームが担当。
洗練されたデザインとゆったりした車内が評価を受け、某民放のバラエティ番組や新聞、WEBメディアなど、多くのマスコミに取り上げられ、注目を集めました。
「ドリームスリーパー」のコンセプトは、「乗客に最高の眠りと上質なリラクゼーションをお届けする快眠バス」。
中でも前方4席に設定された「ゼログラビティシート」は、NASAの理論に着想した浮遊感を感じながら深い眠りが体験出来るシートとして注目されています。
そして、この「ドリームスリーパー」の設備を更にブラッシュアップし、2017(平成29)年に満を持して登場させたのが、東京~大阪線「ドリームスリーパー東京大阪号」であり、中国バス(本社:福山市)が運行する「ドリームスリーパー東京広島号」なのであります。
2代目「ドリームスリーパー」の最大の特徴は、『業界初の扉付き完全個室シート』です。 重厚なデザインのプライベート空間の充実した車内設備は、正しく「部屋」そのもの。
「動くネットカフェ」という表現が相応しいのかもしれません。
「ドリームスリーパー東京大阪号」は、こちらから発車します。(写真はイメージです。) 国際興業関連の鶴岡・酒田・一関・大船渡・釜石・花巻方面行き夜行高速バスのりばと同じ場所・・・といえば分かる方もいらっしゃるかもしれません。
予定よりも早く到着したので、最寄の国際興業池袋駅西口案内所で休むことにしました。
こちらの案内所、実はフロアの奥が高速バス利用者専用の待合室になっており、国際興業の高速バス利用者の他、池袋駅西口を発着するウィラーエクスプレスの利用者、そして「ドリームスリーパー東京大阪号」の利用者も使用することが出来ます。
カウンターテーブルにはコンセントも設置されており、携帯電話やスマートフォンの充電も可能となっています。
国際興業池袋駅西口案内所については、こちらのリンクを参考にすると良いでしょう。(国際興業公式サイトへリンクします。)
今回乗車した車両はこちら。
両備ホールディングス(両備バス関西カンパニー)所属のF1701号車(三菱エアロクイーン QTG-MS96VP)です。
先代「ドリームスリーパー」を踏襲した、遠くからでも目立つカラーデザインです。
車体後部の「Superior Class」のロゴがひと際目立つ存在でもあります。
この「ドリームスリーパー東京大阪号」の専用車ですが、関東バスは予備車無しで運用しているのに対し、両備ホールディングスは2台体制で運用しており、上記F1701号車の他にF1615号車が在籍しています。
因みに、F1615号車はこちらの車両↓です。
バスロータリーでは、今回お目当ての「ドリームスリーパー東京大阪号」が待機していました。
22時40分過ぎ、「ドリームスリーパー東京大阪号」がのりばに入線。
乗務員の改札を受け、車内通路手前で靴を脱ぎ、予め渡された袋に靴を入れて車内に入ります。
改めて車内をご紹介しましょう。 乗客定員は11名。
見ての通り、このバスの最大の売りでもある『扉付き完全個室シート』を採用を採用しています。
扉付き個室型シートの採用は、この「ドリームスリーパー東京大阪号」が業界初。
内装も先代「ドリームスリーパー」のスタイリッシュな印象とは異なり、ブラックに近いブラウンを採用することで、重厚感と落ち着きを醸し出しています。
扉付き完全個室シートの採用については、許認可の関係などで苦労もあったそうですが、各個室の後部に監視カメラを設置し、乗客が座った状態以外の時に運転席のモニターにて映し出す様に工夫することでクリアしています。
先述の通り、バスの座席というよりは部屋そのものといって良いでしょう。
シートは11席全席にゼログラビティシートを採用。
NASAの理論に着想した浮遊感を感じながら深い眠りが体験出来るのを売りにしています。
シート操作は、リクライニング・チルト(高さ)・フットレストの位置をスイッチひとつで調節出来るようになっています。
特に、全自動というスイッチを押すと、一発でセログラビティ姿勢(フルリクライニング)にすることが出来るので便利です。
フルリクライニングすると、この様になります。
各個室には、4チャンネルマルチステレオと充電用コンセント、USBポートを完備。
マルチステレオでは眠りを誘うBGMを楽しむことが出来ます。
充電用コンセントとUSBポートは携帯電話、スマートフォン専用となっています。
個室窓枠に設置されているイオン発生器です。
先代「ドリームスリーパー」ではPanasonic製「ナノイー」が採用されていましたが、「ドリームスリーパー東京大阪号」ではシャープ製プラズマクラスターイオン発生器を採用しています。
大型テーブルとアメニティグッズです。
2年前に乗車した時は、アメニティグッズが別々になっていましたが、見ての通り一つの袋に纏められています。
こちらの方が利用者としてはありがたいのかもしれません。
尚、バス発車後には乗務員からミネラルウォーターと紙おしぼりが提供されます。
「ドリームスリーパー東京大阪号」の車内設備を紹介したパンフレットです。
持ち出し厳禁です。
この他、写真はありませんが、「ドリームスリーパー東京大阪号」では無料Wi-fiサービスも提供しており、シートポケットにはWi-fiの設定リーフレットも入っていました。
進行方向右側中央部階段を下りた突き当りにはトイレがあります。
高速バスのトイレでは珍しい、温水洗浄機能を搭載しています。
但し、車両構造の関係上、トイレ室内は正直狭いです。
あくまで緊急用として考えた方が良いかもしれません。
車内最後部にはパウダールームを設置しています。
到着前の化粧直しや身支度に便利です。
以前はこの様な機能がなかったかと思うのですが、イスをセットしないと水が出ないようになっていました。
以上、「ドリームスリーパー東京大阪号」の車内を簡単にご紹介しましたが、バスという限られた空間の中で、よくここまで「個室空間」というものを最大限に突き詰めたなぁというのが率直な感想です。
発車したところで、自動音声による案内と乗務員からの補足説明がマイクを通じて行われます。
一通り案内が終わったところで、乗務員が一部屋ごとにミネラルウォーターとおしぼりを配布。
立膝をついて手渡す姿を見るあたり、専門の教育を受けて乗務していることを感じます。
この日の乗客は、平日(木曜日)にも関わらず、なんと満席でした。
とかく苦戦しているといわれているこの路線ですが、平日で満席とは正直びっくり。
大阪で何かイベントでもあったのでしょうか・・・。
23時25分、東京料金所から東名高速道路に入ります。
バスは大橋ジャンクション付近での渋滞に巻き込まれますが、その後は渋滞に巻き込まれることもなく、スムーズに走り続けます。
一方で個室内は、走行音以外は殆ど物音がしません。
個室と通路を仕切る扉の遮音効果は相当なもの。
床がカーペット敷きであるのも、一定の効果を発揮している様です。
そして、この時間ともなると、通常の夜行高速バスであれば消灯時間で車内は真っ暗。
通路カーテン付きバスでも、スマートフォンやゲームなどをするにはどうしても遠慮してしまうものです。
その点、個室型夜行バスであれば、パソコンで作業しようがスマートフォンやゲームなどで暇をつぶそうが、大きな物音を立てない限り問題はありません。
回りを気にせずに思い思いの時間を過ごせられる・・・これこそ、個室型夜行高速バスの最大のメリットであり、「ドリームスリーパー東京大阪号」の最大の売りであるといえましょう。
東京池袋を発車して約1時間40分の0時30分、バスは唯一の休憩場所である東名高速道路足柄サービスエリアに到着します。
こちらでは約15分間の休憩時間が設定されています。
約半数の乗客がバスを降りて、トイレや買い物などを済ませていきます。
私もバスを降りてトイレや洗顔を済ませた後、WEB用の写真撮影に勤しみます。
0時45分、乗客が全員揃ったところでバスは足柄サービスアリアを発車します。
この先は、乗務員交代や車両点検でサービスエリアに停車するものの、乗客は大阪まで下車することが出来ません。
その間、バスは東名高速道路~新東名高速道路~東名高速道路~伊勢湾岸自動車道~東名阪自動車道~新名神高速道路~名神高速道路などを経由し、大阪までひた走ります。
深夜に差し掛かったところで、シートをゼログラビティ状態にして目を瞑ります。
シート自体の座り心地は固くもなく柔らかくもなく丁度良い感じなのですが、どうも私的にはリクライニングの角度が若干浅く感じてしまいます。
それでも、シートを倒して目を瞑ると、いつしか夢の中へ。
次に目が覚めた時、バスは第2京阪道路を走行していました。
6時29分、バスは門真本線料金所通過。
その後、近畿自動車道から阪神高速東大阪線~同都心環状線を経由し、大阪なんばへと向かいます。
バスが都心環状線に入ったところで、乗務員からOCAT到着の肉声案内放送が。
乗客も下車の準備を始めます。
06時46分、定刻6分遅れでなんばOCATに到着。
こちらでは私を除く全員が下車していきました。
やはり門真まで乗車する乗客はいない様ですね。
(まあ、なんば~門真間自体、実質回送扱いの様なものですから・・・。)
その後、湊町ランプから阪神高速環状線~阪神高速守口線に入り、森小路ランプで降りたバスは、国道163号をひた走り、なんばOCATから30分程経過した7時17分に、終点の両備バス門真車庫に到着しました。
敷地内には、僚車のF1615号車が駐車していました。
車庫入口付近には、「ドリームスリーパー東京大阪号」利用者専用の待合室が設置されています。
職員の方から「待合室を開けていますので、宜しければ休んでいって下さい。」とのお声掛けをいただいたので、お言葉に甘えて中に入らせていただきました。
以前は夜のみ開けていたと記憶しているのですが、運用を変えたのでしょうか・・・。
「ドリームスリーパー」をイメージした重厚感漂う室内に、ふかふかのソファーとテーブルが置かれています。
奥には化粧室も設置されており、こちらで身支度をしてから行動開始・・・という使い方も出来そうです。
(個人的には、壁に貼られていた岡山電気軌道「おかでんチャギントン」のチラシが物凄く気になりました。)
クーラーの効いた待合室に長居したかったのですが、この後の予定も考えて次なる場所へと移動を開始したのでありました。
今回が2度目の乗車ということもあり、慣れもあってか、前回の乗車の時と比較すると、かなり眠れた感じがしました。
このバスに対する印象は、やはり「よくぞバスという限られた空間でここまで纏め上げたなぁ」というものであり、それは今回の乗車でも変わりませんでした。。
特に、通路との仕切りに引き戸式扉を用いたことや、大型テーブルの採用、改良したゼログラビティシートなど、「個室空間」という部分にかなりの注力を注いでいる印象を受けます。
一方で、個人的に気になったのは、やはりゼログラビティシートのリクライニング角度ですかね。
初代「ドリームスリーパー」ゼログラビティシートにも乗車する機会があったのですが、初代「ドリームスリーパー」ゼログラビティシートと比較してもリクライニング角度が浅く、どうしても姿勢が中途半端になってしまいがち。
このシートで眠るには、横向きにくの字になって寝るなど、何らかのコツが必要なのではと改めて感じました。(逆に、寝るのにコツがいるシートは、シートの構造としてどうなのか?という意見もありますが・・・。)
個室前後の壁に抉り(えぐり)を設けるか、シートの位置を若干前方にオフセットするなりして、リクライニングの角度をもう少し深くした方が良いのではと思います。
「ドリームスリーパー東京大阪号」で皆さんが一番気になる部分「運賃」についても、もうひと工夫が必要なのではと感じました。
予約サイトの状況を見る限りでは、やはり平日の乗車率が課題なのではと推測出来ます。
現状の運賃は、平日の直前乗車で片道18,000円、週末・繁忙期で片道20,000円となっており、これに加え片道15,000円という事前購入割引(乗車日10日前までの購入で適用・座席数限定)を導入していますが、直前にならないと利用の予定が立たない方にとって、平日の直前乗車で片道18,000円という運賃は、正直なところ多くの方が躊躇してしまうのではないでしょうか。
採算的な問題もあるでしょうが、乗車率を上げて少しでも多くの乗客に乗っていただけるようにするには、事前購入割引ではなく、完全なる曜日別運賃に移行して、平日13,000円~15,000円、土日祝日17,000~20,000円にした方が良いのでは?と思いました。
路線PRの一環として、現在中国バスが行っているような期間限定割引運賃の導入を検討しても良いかもしれません。
そして、「ドリームスリーパー東京大阪号」の最近の話題といえば、2019(令和元)年7月17日に実施したダイヤ改正です。
このダイヤ改正で、OCAT停留所を廃止する代わりに、東京新宿と大阪なんば(南海なんば高速バスバスターミナル)、大阪駅前(桜橋アルビ前)への乗り入れが実現しました。
このダイヤ改正で、果たして乗車率の改善に繋がるのか・・・というところが気になるわけですが、バスタ新宿ではないにしろ新宿駅西口に乗り入れるという点、そして大阪駅、南海なんばでの乗降が可能になり便利になったという点においては、PR次第では乗車率改善に繋がる可能性はあります。
ただ、一利用者の視点からすると、やはり「運賃」の高さがどうしても気になるところ。
バスの仕様上、極端な運賃値下げは(はっきりいって)無理ですが、先述の通り完全なる曜日別運賃に移行して、利用しやすい運賃体系にした方が、乗車率向上に繋がるのでは?と考える次第です。
色々と書きましたが、「多少高くても、周りを気にせず自分の時間を過ごしながら移動したい」という方にはお勧めのバスです。
エンターテイメントとして考えるも面白いバスです。
あとは予算と時間を考慮してと利用するか否かを判断する・・・といったところでしょうか。
興味がある方は、是非とも乗車してみてはいかがでしょうか。
【乗車データ】
共同運行会社の関東バス担当便の乗車記はこちらからどうぞ。
個室型豪華夜行高速バス「ドリームスリーパー東京大阪号」のご予約・ご購入は、日本旅行「バスぷらざ」で。
応援して頂けると嬉しいです。
↓ ↓ ↓ ↓
その他ランキング
にほんブログ村
2017(平成29)年1月に運行を開始し、当時の
関東バス(本社:東京都)と両備ホールディングス(本社:岡山市)が共同で運行する、東京~大阪間豪華夜行高速バスです。
「ドリームスリーパー東京大阪号」については、以前このブログで関東バス担当便を取り上げましたが・・・
実は先日、四国への取材出張の途中までの足として同路線利用する機会があり、乗車してまいりました。
で、色々と考えた結果、今回は未乗車の両備ホールディングス便を利用することに。
運行開始から2年経過した「ドリームスリーパー東京大阪号」の現状を、改めて見てみようということに相成ったわけです。
目次
完全個室型バスに生まれ変わった「ドリームスリーパー」
ここで、豪華夜行高速バス「ドリームスリーパー」について、改めておさらいしておきましょう。元々、「ドリームスリーパー」は、2012(平成24)年8月に、両備グループの中国バスが横浜・町田~福山・広島間夜行高速バス「メイプルハーバー」のハイグレード便として運行を開始しました。
2列シート14人乗り個室仕様の韓国現代製車両(ユニバース)を導入し、エクステリア・インテリアデザインは、両備ホールディングスの太陽電池バス「ソラビ」を担当したチームが担当。
洗練されたデザインとゆったりした車内が評価を受け、某民放のバラエティ番組や新聞、WEBメディアなど、多くのマスコミに取り上げられ、注目を集めました。
「ドリームスリーパー」のコンセプトは、「乗客に最高の眠りと上質なリラクゼーションをお届けする快眠バス」。
中でも前方4席に設定された「ゼログラビティシート」は、NASAの理論に着想した浮遊感を感じながら深い眠りが体験出来るシートとして注目されています。
そして、この「ドリームスリーパー」の設備を更にブラッシュアップし、2017(平成29)年に満を持して登場させたのが、東京~大阪線「ドリームスリーパー東京大阪号」であり、中国バス(本社:福山市)が運行する「ドリームスリーパー東京広島号」なのであります。
2代目「ドリームスリーパー」の最大の特徴は、『業界初の扉付き完全個室シート』です。 重厚なデザインのプライベート空間の充実した車内設備は、正しく「部屋」そのもの。
「動くネットカフェ」という表現が相応しいのかもしれません。
「ドリームスリーパー東京大阪号」利用者も使用可能 国際興業池袋駅西口案内所
やって来たのは、2年前の乗車の時と同じ、JR池袋駅西口を出て徒歩1分程のところにある池袋駅西口7番のりば。「ドリームスリーパー東京大阪号」は、こちらから発車します。(写真はイメージです。) 国際興業関連の鶴岡・酒田・一関・大船渡・釜石・花巻方面行き夜行高速バスのりばと同じ場所・・・といえば分かる方もいらっしゃるかもしれません。
予定よりも早く到着したので、最寄の国際興業池袋駅西口案内所で休むことにしました。
こちらの案内所、実はフロアの奥が高速バス利用者専用の待合室になっており、国際興業の高速バス利用者の他、池袋駅西口を発着するウィラーエクスプレスの利用者、そして「ドリームスリーパー東京大阪号」の利用者も使用することが出来ます。
カウンターテーブルにはコンセントも設置されており、携帯電話やスマートフォンの充電も可能となっています。
国際興業池袋駅西口案内所については、こちらのリンクを参考にすると良いでしょう。(国際興業公式サイトへリンクします。)
重厚感と落ち着きを醸し出す車内
バスの発車時間が近づいたところで、池袋駅西口7番のりばへ向かいます。今回乗車した車両はこちら。
両備ホールディングス(両備バス関西カンパニー)所属のF1701号車(三菱エアロクイーン QTG-MS96VP)です。
先代「ドリームスリーパー」を踏襲した、遠くからでも目立つカラーデザインです。
車体後部の「Superior Class」のロゴがひと際目立つ存在でもあります。
この「ドリームスリーパー東京大阪号」の専用車ですが、関東バスは予備車無しで運用しているのに対し、両備ホールディングスは2台体制で運用しており、上記F1701号車の他にF1615号車が在籍しています。
因みに、F1615号車はこちらの車両↓です。
バスロータリーでは、今回お目当ての「ドリームスリーパー東京大阪号」が待機していました。
22時40分過ぎ、「ドリームスリーパー東京大阪号」がのりばに入線。
乗務員の改札を受け、車内通路手前で靴を脱ぎ、予め渡された袋に靴を入れて車内に入ります。
改めて車内をご紹介しましょう。 乗客定員は11名。
見ての通り、このバスの最大の売りでもある『扉付き完全個室シート』を採用を採用しています。
扉付き個室型シートの採用は、この「ドリームスリーパー東京大阪号」が業界初。
内装も先代「ドリームスリーパー」のスタイリッシュな印象とは異なり、ブラックに近いブラウンを採用することで、重厚感と落ち着きを醸し出しています。
扉付き完全個室シートの採用については、許認可の関係などで苦労もあったそうですが、各個室の後部に監視カメラを設置し、乗客が座った状態以外の時に運転席のモニターにて映し出す様に工夫することでクリアしています。
先述の通り、バスの座席というよりは部屋そのものといって良いでしょう。
シートは11席全席にゼログラビティシートを採用。
NASAの理論に着想した浮遊感を感じながら深い眠りが体験出来るのを売りにしています。
シート操作は、リクライニング・チルト(高さ)・フットレストの位置をスイッチひとつで調節出来るようになっています。
特に、全自動というスイッチを押すと、一発でセログラビティ姿勢(フルリクライニング)にすることが出来るので便利です。
フルリクライニングすると、この様になります。
各個室には、4チャンネルマルチステレオと充電用コンセント、USBポートを完備。
マルチステレオでは眠りを誘うBGMを楽しむことが出来ます。
充電用コンセントとUSBポートは携帯電話、スマートフォン専用となっています。
個室窓枠に設置されているイオン発生器です。
先代「ドリームスリーパー」ではPanasonic製「ナノイー」が採用されていましたが、「ドリームスリーパー東京大阪号」ではシャープ製プラズマクラスターイオン発生器を採用しています。
大型テーブルとアメニティグッズです。
2年前に乗車した時は、アメニティグッズが別々になっていましたが、見ての通り一つの袋に纏められています。
こちらの方が利用者としてはありがたいのかもしれません。
尚、バス発車後には乗務員からミネラルウォーターと紙おしぼりが提供されます。
「ドリームスリーパー東京大阪号」の車内設備を紹介したパンフレットです。
持ち出し厳禁です。
この他、写真はありませんが、「ドリームスリーパー東京大阪号」では無料Wi-fiサービスも提供しており、シートポケットにはWi-fiの設定リーフレットも入っていました。
進行方向右側中央部階段を下りた突き当りにはトイレがあります。
高速バスのトイレでは珍しい、温水洗浄機能を搭載しています。
但し、車両構造の関係上、トイレ室内は正直狭いです。
あくまで緊急用として考えた方が良いかもしれません。
車内最後部にはパウダールームを設置しています。
到着前の化粧直しや身支度に便利です。
以前はこの様な機能がなかったかと思うのですが、イスをセットしないと水が出ないようになっていました。
以上、「ドリームスリーパー東京大阪号」の車内を簡単にご紹介しましたが、バスという限られた空間の中で、よくここまで「個室空間」というものを最大限に突き詰めたなぁというのが率直な感想です。
平日にも関わらず満席!?
22時50分、定刻に池袋駅西口を発車したバスは、首都高速道路中央環状線から大橋ジャンクション~首都高速道路3号線を経由して東名高速へと向かいます。発車したところで、自動音声による案内と乗務員からの補足説明がマイクを通じて行われます。
一通り案内が終わったところで、乗務員が一部屋ごとにミネラルウォーターとおしぼりを配布。
立膝をついて手渡す姿を見るあたり、専門の教育を受けて乗務していることを感じます。
この日の乗客は、平日(木曜日)にも関わらず、なんと満席でした。
とかく苦戦しているといわれているこの路線ですが、平日で満席とは正直びっくり。
大阪で何かイベントでもあったのでしょうか・・・。
23時25分、東京料金所から東名高速道路に入ります。
バスは大橋ジャンクション付近での渋滞に巻き込まれますが、その後は渋滞に巻き込まれることもなく、スムーズに走り続けます。
一方で個室内は、走行音以外は殆ど物音がしません。
個室と通路を仕切る扉の遮音効果は相当なもの。
床がカーペット敷きであるのも、一定の効果を発揮している様です。
そして、この時間ともなると、通常の夜行高速バスであれば消灯時間で車内は真っ暗。
通路カーテン付きバスでも、スマートフォンやゲームなどをするにはどうしても遠慮してしまうものです。
その点、個室型夜行バスであれば、パソコンで作業しようがスマートフォンやゲームなどで暇をつぶそうが、大きな物音を立てない限り問題はありません。
回りを気にせずに思い思いの時間を過ごせられる・・・これこそ、個室型夜行高速バスの最大のメリットであり、「ドリームスリーパー東京大阪号」の最大の売りであるといえましょう。
東京池袋を発車して約1時間40分の0時30分、バスは唯一の休憩場所である東名高速道路足柄サービスエリアに到着します。
こちらでは約15分間の休憩時間が設定されています。
約半数の乗客がバスを降りて、トイレや買い物などを済ませていきます。
私もバスを降りてトイレや洗顔を済ませた後、WEB用の写真撮影に勤しみます。
0時45分、乗客が全員揃ったところでバスは足柄サービスアリアを発車します。
この先は、乗務員交代や車両点検でサービスエリアに停車するものの、乗客は大阪まで下車することが出来ません。
その間、バスは東名高速道路~新東名高速道路~東名高速道路~伊勢湾岸自動車道~東名阪自動車道~新名神高速道路~名神高速道路などを経由し、大阪までひた走ります。
深夜に差し掛かったところで、シートをゼログラビティ状態にして目を瞑ります。
シート自体の座り心地は固くもなく柔らかくもなく丁度良い感じなのですが、どうも私的にはリクライニングの角度が若干浅く感じてしまいます。
それでも、シートを倒して目を瞑ると、いつしか夢の中へ。
次に目が覚めた時、バスは第2京阪道路を走行していました。
6時29分、バスは門真本線料金所通過。
その後、近畿自動車道から阪神高速東大阪線~同都心環状線を経由し、大阪なんばへと向かいます。
バスが都心環状線に入ったところで、乗務員からOCAT到着の肉声案内放送が。
乗客も下車の準備を始めます。
06時46分、定刻6分遅れでなんばOCATに到着。
こちらでは私を除く全員が下車していきました。
やはり門真まで乗車する乗客はいない様ですね。
(まあ、なんば~門真間自体、実質回送扱いの様なものですから・・・。)
その後、湊町ランプから阪神高速環状線~阪神高速守口線に入り、森小路ランプで降りたバスは、国道163号をひた走り、なんばOCATから30分程経過した7時17分に、終点の両備バス門真車庫に到着しました。
敷地内には、僚車のF1615号車が駐車していました。
車庫入口付近には、「ドリームスリーパー東京大阪号」利用者専用の待合室が設置されています。
職員の方から「待合室を開けていますので、宜しければ休んでいって下さい。」とのお声掛けをいただいたので、お言葉に甘えて中に入らせていただきました。
以前は夜のみ開けていたと記憶しているのですが、運用を変えたのでしょうか・・・。
「ドリームスリーパー」をイメージした重厚感漂う室内に、ふかふかのソファーとテーブルが置かれています。
奥には化粧室も設置されており、こちらで身支度をしてから行動開始・・・という使い方も出来そうです。
(個人的には、壁に貼られていた岡山電気軌道「おかでんチャギントン」のチラシが物凄く気になりました。)
クーラーの効いた待合室に長居したかったのですが、この後の予定も考えて次なる場所へと移動を開始したのでありました。
新宿、南海なんば、大阪駅の乗り入れは乗車率改善に繋がるのか?
以上、両備ホールディングス「ドリームスリーパー東京大阪号」の乗車記をお届けしました。今回が2度目の乗車ということもあり、慣れもあってか、前回の乗車の時と比較すると、かなり眠れた感じがしました。
このバスに対する印象は、やはり「よくぞバスという限られた空間でここまで纏め上げたなぁ」というものであり、それは今回の乗車でも変わりませんでした。。
特に、通路との仕切りに引き戸式扉を用いたことや、大型テーブルの採用、改良したゼログラビティシートなど、「個室空間」という部分にかなりの注力を注いでいる印象を受けます。
一方で、個人的に気になったのは、やはりゼログラビティシートのリクライニング角度ですかね。
初代「ドリームスリーパー」ゼログラビティシートにも乗車する機会があったのですが、初代「ドリームスリーパー」ゼログラビティシートと比較してもリクライニング角度が浅く、どうしても姿勢が中途半端になってしまいがち。
このシートで眠るには、横向きにくの字になって寝るなど、何らかのコツが必要なのではと改めて感じました。(逆に、寝るのにコツがいるシートは、シートの構造としてどうなのか?という意見もありますが・・・。)
個室前後の壁に抉り(えぐり)を設けるか、シートの位置を若干前方にオフセットするなりして、リクライニングの角度をもう少し深くした方が良いのではと思います。
「ドリームスリーパー東京大阪号」で皆さんが一番気になる部分「運賃」についても、もうひと工夫が必要なのではと感じました。
予約サイトの状況を見る限りでは、やはり平日の乗車率が課題なのではと推測出来ます。
現状の運賃は、平日の直前乗車で片道18,000円、週末・繁忙期で片道20,000円となっており、これに加え片道15,000円という事前購入割引(乗車日10日前までの購入で適用・座席数限定)を導入していますが、直前にならないと利用の予定が立たない方にとって、平日の直前乗車で片道18,000円という運賃は、正直なところ多くの方が躊躇してしまうのではないでしょうか。
採算的な問題もあるでしょうが、乗車率を上げて少しでも多くの乗客に乗っていただけるようにするには、事前購入割引ではなく、完全なる曜日別運賃に移行して、平日13,000円~15,000円、土日祝日17,000~20,000円にした方が良いのでは?と思いました。
路線PRの一環として、現在中国バスが行っているような期間限定割引運賃の導入を検討しても良いかもしれません。
そして、「ドリームスリーパー東京大阪号」の最近の話題といえば、2019(令和元)年7月17日に実施したダイヤ改正です。
このダイヤ改正で、OCAT停留所を廃止する代わりに、東京新宿と大阪なんば(南海なんば高速バスバスターミナル)、大阪駅前(桜橋アルビ前)への乗り入れが実現しました。
このダイヤ改正で、果たして乗車率の改善に繋がるのか・・・というところが気になるわけですが、バスタ新宿ではないにしろ新宿駅西口に乗り入れるという点、そして大阪駅、南海なんばでの乗降が可能になり便利になったという点においては、PR次第では乗車率改善に繋がる可能性はあります。
ただ、一利用者の視点からすると、やはり「運賃」の高さがどうしても気になるところ。
バスの仕様上、極端な運賃値下げは(はっきりいって)無理ですが、先述の通り完全なる曜日別運賃に移行して、利用しやすい運賃体系にした方が、乗車率向上に繋がるのでは?と考える次第です。
色々と書きましたが、「多少高くても、周りを気にせず自分の時間を過ごしながら移動したい」という方にはお勧めのバスです。
エンターテイメントとして考えるも面白いバスです。
あとは予算と時間を考慮してと利用するか否かを判断する・・・といったところでしょうか。
興味がある方は、是非とも乗車してみてはいかがでしょうか。
【乗車データ】
- 乗車日:2019/06/20
- 乗車区間:
池袋駅西口→両備バス門真車庫 - 運行会社:両備ホールディングス(両備バス関西カンパニー)
- 車両:三菱/エアロクイーン(QTG-MS96VP)
- 年式:2017年式
- 所属:両備バス関西カンパニー大阪支社
- 社番:F1701
共同運行会社の関東バス担当便の乗車記はこちらからどうぞ。
個室型豪華夜行高速バス「ドリームスリーパー東京大阪号」のご予約・ご購入は、日本旅行「バスぷらざ」で。
応援して頂けると嬉しいです。
↓ ↓ ↓ ↓
その他ランキング
にほんブログ村