【アーカイブ】日本最長夜行バス「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」 運行休止直前乗車記
日本最長夜行バス「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」 運行休止直前乗車記 【西鉄高速バス便】
この乗車記は、2015年春に公開した記事をリライト、再編集したものです。
また、社名表記は当時のものを記載しております。
私自身、「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」はこれまで4回乗車しましたが、4回とも2012年の利用で、2013年以降は利用する機会がありませんでした。
特に、2013年7月以降のダイヤ改正で、運行時間帯が大きく変更されたことから、以前からダイヤ改正後の「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」に乗車してみたいと考えてはいたのですが、今般の運行休止の知らせを聞き、「それならばお別れ乗車も兼ねて乗車するか・・・」ということで、2015年の4月中旬のとある日に福岡へ。
福岡発の西鉄高速バス担当便に乗車することにしたのです。
4列シートながらも快適に移動出来る工夫が・・・
福岡に到着して真っ先に向かったのは、「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」福岡側の運行基地である、福岡市中央区那の津4丁目の西鉄高速バス本社。
短い時間でしたが、「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」に関する様々なお話を伺うことか出来ました。
西鉄高速バス株式会社の担当課長及び社員の皆様におかれましては、この場を借りてお礼を申し上げます。
色々とお世話になりました。
数日後、福岡市中央区天神にある西鉄天神高速バスターミナルにやって来ました。
以前は「西鉄天神バスセンター」と呼ばれていましたが、昨年から行われてきたリニューアル工事完了に伴い、2015年3月21日に「西鉄天神高速バスターミナル」として生まれ変わりました。
国際標準に合わせるべく、名称を「バスセンター」から「バスターミナル」に変更(元々「バスセンター」という言葉自体が和製英語らしい)したそうですが、すっかりお洒落に、そしてより機能的に生まれ変わったバスターミナルに驚きつつも、飲食物の購入を済ませ、バスの入線を待ちます。
17時30分過ぎ、西鉄天神高速バスターミナル6番のりばに、横浜(YCAT)・東京池袋・さいたま大宮行き「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」が入線します。
今回乗車したのは、こちらの車両でした。
西鉄高速バス福岡支社所属8545号車(日野セレガSHD LKG-RU1ESBA)です。
親会社の西日本鉄道が運行する「はかた号」(福岡・北九州~東京新宿線)の4列続行用として活躍し、2014年春に「ライオンズエクスプレス」の専用車に転用された車両になります。
同じ時期に導入された番号違いの8546号車には2度乗車しているのですが、8545号車に乗車するのは「はかた号」時代も含めて今回が初めてです。
乗務員の改札を受け、大きな荷物を床下トランクに預けて、車内に入ります。
車内は4列シート34名乗りの夜行高速仕様。
ブラウンカラーのシートモケットと木目調の床が、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。(写真はイメージです。)
シートは、天龍工業製の日野セレガ純正「ハイグレードワイドタイプ」を採用しています。
シートピッチが広く、リクライニングの角度がかなり深く設定されており、4列シートながらも快適に移動出来る工夫がなされています。
また、数は限定されますが、写真の様な頭部を覆うシェードが貸し出されていました。
フットレストは、反転式のものを採用しています。
各座席には、毛布(ブランケット)と使い捨てスリッパが置かれていました。
こちらは、モバイル充電用のコンセント。
窓側座席と通路側座席で、コンセントの形状が異なっておりました
最後部には、トイレと交代乗務員用の仮眠室が設置されています。
トイレはさほど広くないため、あくまで緊急用と考えた方が良さそう。
乗車前もしくは途中休憩時に済ませておくことをお勧めします。
17時35分 西鉄天神高速バスターミナル発車
17時35分、バスは定刻に西鉄天神高速バスターミナルを発車します。
ここから乗車したのは、私を含めて8名。
その後の博多バスターミナルで14名の乗客を乗せ、総勢22名分のシートが埋まった「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」は、呉服町ランプから福岡都市高速道路へと入ります。
博多バスターミナルを発車したところで、交代乗務員による自己紹介と運行経路・車内設備の説明がマイクを通して行われます。
過不足無い丁寧な案内は、最早にしてつグループの夜行高速バスでは定番となっていますが、乗務員教育が行き届いていることを改めて実感します。
案内が終わったところで、車内サービスの紙おしぼりと飲み物(冷たい八女茶)が配られます。
18時15分、バスは福岡インターから九州自動車道へ。
外はまだ明るいですが、手持ちのスマートホンでネットや音楽を楽しんでいる方や既に寝ている方など、それぞれのスタイルで車内での時間を過ごしています。
19時07分、バスは関門橋を通過。
この先は本州・・・となる訳ですが、「また来るよ!」と誓いながら、関門橋からの夜景を楽しみます。
20時30分~20時45分 下松サービスエリアにて開放休憩
関門橋から先、暫くはカーブが多い中国自動車道を走行し、19時53分に山口ジャンクションから山陽自動車道へと入ります。
福岡天神を発車して約3時間後の20時30分、バスは消灯前の休憩地である山陽自動車道下松サービスエリアに到着します。
ここでは15分間の開放休憩が設定されていますが、外は土砂降り。
トイレや買い物など用事を手早く済ませてバスに乗客が多かったです。
開放休憩の時間を利用して、乗務員は業務連絡や消灯前の準備(カーテンのセットなど)を進めていきます。
20時45分、乗客が全員揃ったところでバスは下松サービスエリアを発車。
この先は数回サービスエリアに停車しますが、乗客は翌朝の東名高速道路海老名サービスエリア到着まで下車することが出来ません。
そして、発車時に消灯時間が告げられるのですが、この日は21時30分に完全消灯するとのこと。
それまでに消灯前の準備を済ませておく必要があります。
21時30分、消灯。
もう寝るしかありません。
シートを深く倒し、毛布を掛け寝る体制に入ります。
暫くは起きていましたが、23時10分頃の山陽自動車道吉備サービスエリアでの乗務員交代停車を境に夢の中へ。
翌朝まで起きることはありませんでした。
その間、「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」は、名神高速道路の桂川パーキングエリアと新東名高速道路の浜松サービスエリアで乗務員交代を行い、深夜の高速道路を首都圏へ向けてひた走ります。
翌朝05時47分、前方のカーテンが開けられ起床。
窓のカーテンを開けて見ると、バスは既に首都圏に入っていました。
05時55分~06時15分 海老名サービスエリアにて開放休憩
5時55分、バスは最後の休憩場所である東名高速道路海老名サービスエリアに到着します。
ここでも15分間の開放休憩が設定されていますが、この日は若干早く到着したことから20分間の休憩となりました。
多くの乗客がバスを降りトイレや買い物を済ませますが、私はトイレを済ませた後、WEB用の写真撮影へ。
海老名サービスエリアといえば、主に旧高速ツアーバス組(乗合移行組)の休憩場所としても知られていますが、WILLER EXPRESSやJAM JAM、OTBに囲まれて停車する「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」に違和感を感じてしまうのは私だけでしょうか・・・。
08時48分 西武バス大宮営業所到着
06時15分、乗客が全員揃ったところで、バスは横浜・東京・大宮へ向けてラストスパートです。
06時25分、横浜町田インターを降り、保土ヶ谷バイパスへ。
週の初めの月曜日ということもあり、この時間帯から渋滞していますが、渋滞自体はさほど酷いものではなく、6時55分、ほぼ定刻にバスは横浜駅東口(YCAT)に到着します。
こちらでは6名が下車しました。
横浜駅東口(YCAT)は、成田空港へのリムジンバスが頻発しており、「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」を成田空港・ひいては海外もしくは北海道方面へ向かうLCCへのアクセスとしても利用するのに便利だっただけに、「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」の運行休止は正直残念ではあります。
07時06分、東神奈川ランプから首都高速道路へ。
この先、首都高速羽田線~都市環状線を経由し、東京池袋へと向かいます。
週初めの月曜日であるにもかかわらず、これといった渋滞に巻き込まれることはなく、バスは07時52分に池袋駅東口(西武高速バスのりば)に到着します。
ここでは12名が下車しました。
その後はサンシャインシティまで一般道を走行し、サンシャインシティビル傍の東池袋ランプから再度首都高速道路へ。
5号線から大宮線を新都心西ランプまでひた走ります。
08時17分、荒川を通過。
いよいよ埼玉県へ入ります。
08時27分、新都心西ランプ流出。
さいたま大宮はもうすぐそこです。
大宮駅周辺での朝の渋滞に巻き込まれ、08時38分、定刻よりも若干遅れてバスは大宮駅西口到着します。
ここでは2名が下車しました。
そして、福岡天神を出発して15時間13分経過した08時48分、バスは終点の西武バス大宮営業所到着しました。
多少の疲労感を残しつつも、言葉では言い尽くせない感情がこみ上げてきたのは、「日本最長距離の路線バスを乗り切った」という達成感と、「もうすぐで路線が無くなるという一抹の寂しさ」からなのでしょうね。
乗客を降ろし、給油を済ませ、向かいの西武観光バスの駐車スペースまで移動する「LIONS EXPRESS(ライオンズエクスプレス)」の姿を、私は暫くの間見続けているのでありました。
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