夜行高速バス 2024年をふり返る(新規参入、運行終了など)
今から1年半前の2023年夏に、この様なブログ記事をアップしました。
2023年冬から夏にかけての夜行高速バスの改廃の動きをまとめたものです。
この記事を公開してから1年半が経ちましたが、引き続き全国各地で高速バスの新設・改廃の動きが相次いでいます。
原因は、いうまでもなく「需要の減少」と「深刻な乗務員不足」。
特に今年2024年は、4月にはバス運転者の「改善基準告示」が改正、施行されたこともあって、事業者各社は乗務員の確保に苦労しているのが現状ですが、一方で、新路線の開設も少ないながらありました。
そこで、今回は「夜行高速バス 2024年をふり返る」と題し、2024年に実施された夜行高速バスの「ダイヤ改正」「運行終了」などの動きを改めておさらいしたいと思います。
目次
首都圏~岩手県を結ぶ夜行高速バス2路線が運行終了へ
最初に取り上げるのは、首都圏と岩手県を結ぶ夜行高速バス2路線の運行終了です。その路線とは・・・国際興業と岩手県交通が運行していた「遠野・釜石号」(池袋・秋葉原~遠野・釜石)と、岩手県交通が運行していた「イーハトーブ号」(池袋・大宮~北上・花巻)。
コロナ騒動の影響で長らくの間運休が続いていましたが、騒動が落ち着いても運行を再開することはなく、2024年3月31日をもって運行を終了することになりました。
両路線とも、首都圏と岩手県を結ぶ路線のひとつとして多くの方に利用されていただけに、運行終了の報を聞いた時、「コロナが貴重な交通機関をもズタズタにしてしまうとは・・・」と落胆したのを今でも覚えています。
岩手県交通「イーハトーブ」
首都圏~金沢間の夜行バスがまたひとつ廃止へ・・
かつては多くの路線がひしめき合っていた首都圏~金沢間の夜行高速バス。しかし、北陸新幹線の開業やコロナ騒動の影響などで、徐々に路線数を減らしていきます。
そんな中で孤軍奮闘していた夜行高速バスですが、またひとつ路線が廃止されました。
その路線とは、西東京バスとアルピコ交通が運行していた「渋谷・八王子~金沢・加賀温泉線」です。
西東京バスの夜行高速バス(イメージ)
元々この路線は、「八王子~金沢線」として1992(平成4)年8月に西東京バスと北陸鉄道が共同で運行を開始しますが、のちに東京渋谷への延伸や北陸鉄道の運行撤退などを経て、2022年4月にはアルピコ交通(運行は東京営業所が担当)が運行に参入します。
ところが、需要の減退や乗務員不足の影響により、2023年4月にはアルピコ交通が運休となります。
更に、2013年12月には、西東京バスも運休することに。
その後も運行を再開することはなく、2024年3月31日をもって運行を終了することになりました。
「渋谷・八王子~金沢・加賀温泉線」の運行終了により、既存系事業者で首都圏~金沢間の夜行高速バスは、東北急行バスと北日本観光自動車が運行する「きまっし号」のみに。
随分と寂しくなりました。
北日本観光自動車「きまっし号」
路線統合で区間延伸へ
阪急観光バスと伊予鉄バスが運行する大阪~松山・八幡浜間高速バス「オレンジライナーえひめ」。競合する「松山エクスプレス」(西日本JRバス・JR四国バス)とともに、関西~松山間を乗り換えなしで移動出来る交通手段として、多くの方に利用されています。
伊予鉄バス「オレンジライナーえひめ」
この「オレンジライナーえひめ」、実は2024年4月1日にダイヤ改正を実施しましたが、そのダイヤ改正の内容が注目を集めることとなりました。
その理由とは、ズバリ「京都への延伸」です。
元々、京都~松山間においては、伊予鉄バスと京阪バスが昼行高速バス「京都エクスプレス(伊予鉄バス)」「京都~松山線(京阪バス)」を運行していましたが、2024年3月をもって運行を終了。
この路線を統合する形で、「オレンジライナーえひめ」の一部の便(2往復)を京都へ延伸したのです。
路線統合によって、競合路線「松山エクスプレス」と合わせて京都~松山間の移動の選択肢が増えたことになり、利便性が向上しました。
なお、ダイヤ改正に伴い、運行本数や担当会社の変更も同時に行われ、伊予鉄バスのうちの1往復において阪急観光バスの車両を使用(管理と乗務は伊予鉄バスが担当)する便も登場しています。
(次ページに続きます。)