中国JRバス「浜田道エクスプレス4号」 再乗車記 <3列シート車の西日本最長昼行高速バス>
中国JRバス(本社:広島市)が単独で運行し、関西と島根県西部を昼間に結ぶ長距離高速バスとして、多くの方に利用されています。
ことコロナ禍においては、同じく大阪と島根県西部を結ぶ夜行高速バス「サラダエクスプレス」「つわのエクスプレス」(阪神バス・石見交通)が長期間運休していることもあって、大阪と島根県西部を結ぶ唯一の陸路交通機関として機能しています。
以前、このブログで「浜田道エクスプレス」の乗車記をご紹介しましたが・・・
実は、この度のコロナ騒動をきっかけに、「浜田道エクスプレス」に大きな変化をあったのをご存知でしょうか。
その変化とは・・・ズバリ、使用車両の変更です。
コロナ禍前の「浜田道エクスプレス」は、4列シート40人乗りのトイレ付き車両で運行されており、少なくとも閑散期でなければ、7時間以上のバスの旅を快適に過ごすことが正直難しい状況でした。
それが、2021(令和3)年6月21日より、地元利用者にとっては念願ともいえるであろう3列シート車が「浜田道エクスプレス」に投入されたのです。
マスコミ報道によると、「浜田道エクスプレス」に3列シート車が投入された主な理由は2つ。
ひとつは、いうまでもなく「コロナ対策」です。
従来の4列シート車と比較して、隣り合う乗客同士の距離が保たれることで、コロナ禍で車内の快適性向上に繋がると事業者側が判断したそうです。
そして、もうひとつは「利用客からの要望」。
「浜田道エクスプレス」は、江津系統と益田系統の1日2往復が設定されていますが、運行距離が長い益田駅~大阪駅間で約7時間かかることから、「広いシートにしてほしい」という要望が以前からあったそうです。
疫病対策からのサービス向上・・・利用者にとってはありがたいと感じることでしょう。
「浜田道エクスプレス」3列シート車については、以前から気になっており、時期を見て乗車したいと考えていたところ、2022(令和4)年3月中旬に乗車する機会を得ましたので、今回はその時の模様を「再乗車記」という形でご紹介します。
「浜田道エクスプレス」ってどんな路線?
先述の通り、「浜田道エクスプレス」は、大阪と島根県西部の浜田・益田の間を結ぶ昼行高速バスです。関西と島根県西部を結ぶ高速バスといえば、阪神バスと石見交通が運行する夜行高速バス「サラダエクスプレス」「いわみエクスプレス」が有名ですが、「浜田道エクスプレス」は、大阪と浜田・江津・益田の間を約6時間~7時間かけて結びます。
運行距離約439km、所要時間約8時間(ともに大阪~益田間)は、西日本地区を走る昼行高速バスでは最長を誇ります。
運行開始当初は、大阪~浜田・江津間に2往復運行していましたが、のちに大阪~浜田・益田間1往復を新設し、計3往復体制になります。
ところが、2011(平成23)年6月のダイヤ改正で、大阪~浜田・江津のうち1往復が浜田駅止めに変更。
さらに、2012(平成24)年7月のダイヤ改正で、浜田駅止めの便が減便され、江津系統・益田系統各1往復(計1日2往復)体制になります。
一方で、2016(平成28)年10月のダイヤ改正では、三次インター停留所(広島県三次市)を新設。
そして、2021(令和3)年10月のダイヤ改正では、所要時間の見直し(約1時間延長)が実施され、現在に至っています。
益田発「浜田道エクスプレス4号」で大阪へ
やって来たのは、島根県益田市のJR山陰本線益田駅。駅の改札を出て左側にビジネスホテルがあり、その建物の前にバスのりばと石見交通のバス待合所があります。
「浜田道エクスプレス」の利用者もこの待合所を利用することが出来、、待合所内の乗車券カウンターでは、「浜田道エクスプレス」の乗車券を購入することが出来るなど、夜行高速バス「サラダエクスプレス」「いわみエクスプレス」との補完関係を上手く保っています。
今回乗車するのは、益田駅10時20分発の「浜田道エクスプレス4号」。
石見交通バス待合所前のバスのりば2番から発車します。
気になる「浜田道エクスプレス」3列シート車の車内は?
今回乗車したのは、こちらの車両↓でした。
中国JRバスの641-8907号車(いすゞガーラHD PKG-RU1ESAJ)です。
この車両、確か島根支店(島根県出雲市)の所属だったと記憶しているのですが、代車運用なのか、はたまた浜田営業所に転属して来たのか・・・乗車時はこの車両が充てられていました。
10時10分、益田駅前バスのりば2番に「浜田道エクスプレス4号」が入線。
乗務員の改札を受け、車内に入ります。
車内は、3列独立シート28人乗りの夜行高速仕様となっていますが、夜行便の運用を想定していないからか、通路カーテンと前方の遮蔽カーテンが撤去されています。
トイレは、車内中央部の階段を下りた突き当たりに設置しています。
シートは、一時期同社が積極的に導入していた天龍工業製の本革シートを採用。
ですが、ご覧いただけると分かる通り、革張りの座席に全体を覆うメッシュ状のカバーを設置しているため、一見すると革張りの座席に見えません。
一方で、本革シート特有の「振動などで身体が滑る」ことがない他、このカバー自体がいわゆる「ダブルクッション」と同様の役割を果たしてくれるため、一般的なモケットタイプのシートと同様の座り心地が味わえます。
人によっては、一般的なモケットタイプのシートよりも快適に感じるかもしれません。
もちろん、レッグレスト、足置き台(フットレスト)も完備しています。
車内前方には、運行系統図と運賃表が掲げられていました。
尚、「浜田道エクスプレス」に使用される車両には、原則としてはモバイル充電用のコンセントが設置されていますが、残念ながら今回乗車した車両にはコンセントが設置されていませんでした。
モバイルバッテリーを持参していたために事なきを得ましたが、約8時間充電環境無しといったことも十分にあり得ますので、モバイルバッテリーを持参するなど、モバイル充電の対策はしておくことをお勧めします。
とはいえ、シンプルな車内設備ながらも、1人掛けシートで約8時間の昼行高速バスでの移動が楽しめる・・・一気に「乗り得なバス」に格上げされたのには間違いなさそうです。
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