阪急バス「よさこい号」2891号車 乗車記 ~離脱までのカウントダウン~

昼行高速バス,高速バス乗車記

阪急バス「よさこい号」 2891 桟橋高知営業所バス停入線

西鉄高速バス「桜島号」夜行便 4012

かつて、西日本地区を中心に活躍していた西工(西日本車体工業)製夜行高速用車両「SDシリーズ」(SD-Ⅰ・SD-Ⅱ)
ところが、その台数は徐々に減少し、予備運用を含めて現在も活躍が確認されているのは、

  • 西日本鉄道が教習車用として在籍する「SD-Ⅱ」1台(3801 所属は雑餉隈自動車営業所(実際の所属は西日本鉄道自動車教習所))
  • 西鉄高速バス福岡支社に在籍する「SD-Ⅰ」2台(4011、4012)
  • 阪急バス豊中営業所に在籍する「SD-Ⅱ」1台(2891)
  • 亀の井バス別府営業所に在籍する「SD-Ⅰ」1台(69)
の5台のみとなってしまいました。

その中でも、ここ最近注目されているのが、今回ご紹介する阪急バス「よさこい号」2891号車(三菱KL-MS86MP 西工02MC SD-Ⅱ)であります。
阪急バス「よさこい号」 05-2891 大阪梅田(阪急三番街)にて

阪急バス「よさこい号」については、何度かこのブログで紹介しております。


実は、同社で唯一在籍している西工製夜行高速車2891号車が、近々に「よさこい号」の運用から離脱するかもしれないという情報を入手し、「それならば最後の雄姿になるかも知れない阪急バスの西工SD-Ⅱの姿を見に行こう!」ということで、限られた時間を見計らって高知へ向かい、その雄姿を見て来ました。
今回は、その時の模様を乗車記として改めてご紹介します。

安定感のある独特な雄姿を改めて眺めてみる

やって来たのは、高知市桟橋通のとさでん交通本社
同社の本社といえば、路面電車の車庫が有名ですが・・・(写真はイメージです。)
とさでん交通 本社

路面電車車庫の隣には、広大な敷地を有するバス車庫「桟橋高知営業所」があります。(写真はイメージです。)
とさでん交通 桟橋高知営業所

大阪から来た阪急バス「よさこい号」も、折り返しの時間までこちらの車庫で休みます。
高速車が多く駐車している奥の第2車庫へ行ってみると・・・
いました!!阪急バス「よさこい号」2891号車が。

安定感のある独特な雄姿こそ、西工SDシリーズ特徴のひとつ。
高速バスの一時代を築き上げた名車の1台です。
阪急バス「よさこい号」 2891 桟橋高知営業所にて_01

阪急バス「よさこい号」 2891 桟橋高知営業所にて_02

阪急バス「よさこい号」 2891 桟橋高知営業所にて_03

阪急バス「よさこい号」 2891 桟橋高知営業所にて_04

阪急バス「よさこい号」 2891 桟橋高知営業所にて_05

阪急バス「よさこい号」 2891 桟橋高知営業所にて_06

他の車両と並んでしばし休む、阪急バス「よさこい号」です。
出発の時を待ちます。
阪急バス「よさこい号」 2891 桟橋高知営業所にて_07

雨の中を快走 安定した走りと乗り心地

ひと通り撮影したところで、とさでん交通の路線バスで長浜へ。
元都営バスの西工JPが大活躍でした。
とさでん交通 907&908 長浜にて

とさでん交通 908 長浜にて

昼食後、再度桟橋高知営業所に戻り、大阪行き「よさこい号」の入線を待ちます。
とさでん交通 桟橋高知営業所 バス停

暫くすると、先程撮影した阪急バス2891号車(三菱KL-MS86MP 西工02MC SD-Ⅱ)が入線。
阪急バス「よさこい号」 2891 桟橋高知営業所バス停入線
この車両が、大阪行き「よさこい号」昼行0007便(桟橋高知営業所13時38分発)に充てられます。

早速ドアが開けられ、乗車改札へ。
「発車オーライネット」にて決済したモバイル乗車券を提示し、車内に入ります。
阪急バス「よさこい号」 2891 車内

阪急バス「よさこい号」 2891 シート
車内は、3列シート29人乗りの夜行高速バス仕様。
シートは、天龍工業製の可動式枕付き夜行高速用シートを採用しています。
但し、レッグレストを搭載していない他、付帯装備も現在は使われないマルチステレオコントローラーとシートヒータースイッチが装備されているのみ。
昨今主流の座席コンセントも搭載されていません。
ですが、座り心地は柔らかくも固くもなくて、至って快適そのものです。

前方のモニターでは、自動放送に合わせて各種案内が映し出されます。
阪急バス「よさこい号」 2891 前方モニター_01

阪急バス「よさこい号」 2891 前方モニター_02

13時38分、定刻に桟橋高知営業所を発車した阪急バス「よさこい号」0007便は、はりまや橋、高知駅バスターミナル、一宮バスターミナルで乗車扱いを行い、14時15分に高知インターから高知自動車道に入ります。
阪急バス「よさこい号」 2891 車窓_01

高知自動車道に入ったところで、乗務員から各種案内がマイクを通じて行われ、その後に自動放送とモニターによる車内設備の案内が行われます。
阪急バス「よさこい号」 2891 車内設備案内_01

阪急バス「よさこい号」 2891 車内設備案内_02
この辺の一連の流れは、阪急バスならではですね。

バスは高知自動車道を快走。
阪急バス「よさこい号」 2891 車窓_02

阪急バス「よさこい号」 2891 車窓_03
どっしりと安定した走りは、西工車ならではといえるでしょう。

14時51分、バスは川之江東ジャンクションを通過。
ここからは、徳島自動車道を東進し、徳島方面へと向かいます。
外は雨が強くなるばかり。
晴れていれば素晴らしい景色も、何処となく霞んで見えます。
阪急バス「よさこい号」 2891 車窓_04

阪急バス「よさこい号」 2891 車窓_05

阪急バス「よさこい号」 2891 車窓_06

阪急バス「よさこい号」 2891 車窓_07

15時12分、高知を発車して1時間半ほどで、バスは最初の休憩場所である徳島自動車道吉野川サービスエリアに到着します。
こちらでは、18分間の休憩となりました。
阪急バス「よさこい号」 2891 吉野川SA休憩中

折角だから・・・ということで、雨の中、ひとり撮影会を敢行。
もう先が長くないと思われる名車を被写体に、思う存分シャッターを切ります。
阪急バス「よさこい号」 2891 吉野川SAにて_01

阪急バス「よさこい号」 2891 吉野川SAにて_02




15時30分、乗客が全員揃ったところで、バスは吉野川サービスエリアを発車。
雨は降り方が酷くなり、次第に気が滅入ってきます。

16時11分、藍住インターを流出。
ここで高速道路とは一旦お別れし、徳島県道1号線を板野インターまで走行した後、板野インターからは高松道~神戸淡路自動車道を経由して大阪へと向かいます。

16時31分、バスは大鳴門橋に差し掛かります。
橋を渡ると淡路島です。

大阪へ向けてラストスパート そして名車との別れ・・・

大鳴門橋を通過して30分ほど経過した17時00分、バスは2回目の休憩場所である神戸淡路鳴門自動車道室津パーキングエリアに到着します。
こちらでは15分間の開放休憩となりました。
多くの乗客が雨の中バスを降りて、トイレや買い物などを済ませていきます。

雨のパーキングエリアで佇む、阪急バス「よさこい号」2891号車です。


何処となく寂しさを感じるのは私だけでしょうか・・・。

17時15分、乗客が全員揃ったところで、バスは室津パーキングエリアを発車します。
ここからは、大阪へ向けてラストスパート。
神戸淡路自動車道を北上し、明石海峡を渡った後は、布施畑ジャンクションから阪神高速北神戸線を西宮山口ジャンクションまで走行し、西宮山口ジャンクションからは中国自動車道を中国池田インターまで走行。
こちらで一旦一般道に降り、池田ランプからは阪神高速池田線を福島ランプまで走行し、大阪梅田へと向かいます。

中国池田インターまでは順調に進んでいたのですが、阪神高速池田ランプに入った途端、自然渋滞に巻き込まれます。
この渋滞は塚本ランプ付近まで続き、30分程ノロノロ運転となりました。

結局、福島ランプを降りたのは、大阪梅田到着予定時刻を過ぎた18時51分。
福島ランプを降りたところで、到着の案内放送が流れます。

その後、一般道を走り、大阪梅田(阪急三番街)の阪急高速バスターミナルに到着したのは、定刻を12分上回った18時59分でした。


終点は新大阪の阪急バス新大阪ターミナルですが、この後の移動の関係から、私はこちらで下車。
次なる目的地へと向かうのでありました。

最後に

というわけで、約2年ぶりとなる阪急バス「よさこい号」昼行0007便(2891号車)の乗車記をお届けしました。
以前にも書きましたが、この車両を含めた西工製夜行高速用SD-Ⅱ(三菱KL-MS86MP)の魅力は、「重厚なエンジン音」と「安定した乗り心地」、そして「考えに考えられた車内空間の広さ」です。
このブログで何度も取り上げている西鉄高速バス「桜島号」夜行便4012号車と同様に、重厚なエンジン音と安定した乗り心地は、今回も健在でした。
昨今主流の座席コンセントや通路カーテンは装備されていませんが、天気が悪かったとはいえ、昼行便ならではの車窓も楽しむことが出来、約5時間の移動時間があっという間に感じる位の快適なバス旅でございました。

尚、今回ご紹介した阪急バス「よさこい号」の西工製夜行高速車(三菱KL-MS86MP 西工02MC SD-Ⅱ)ですが、発車オーライネットのシートマップによると、2018(平成30)年11月30日大阪発の夜行0109便(12月1日高知発の昼行0007便)をもって、運用から外れる予定になっています。
運用離脱→廃車となるのか、それとも車検の期限が切れる2019年8月まで予備車として残すのかは分かりませんが、いずれにしろ、一般客として乗車出来る機会が残り少ないことは間違いなさそうです。

残り1台となってしまった阪急バスの西工製夜行高速用車両。
全国的にも稀少価値的存在になってきている車両の1台だけに、今後の動向に目が離せなくなりました。
果たして、2018(平成30)年12月以降、阪急バス2891号車は果たしてどうなるのか・・・注目したいですね。

※尚、車両運用に関して、事業者様に問い合わせる行為は絶対になさらぬようお願いします。



【乗車データ】 
  • 乗車日:2018/11/12
  • 乗車区間:
    桟橋高知営業所→大阪梅田(阪急三番街)
  • 運行会社:阪急バス
  • 車両:三菱/KL-MS86MP(西工02MC SD-Ⅱ)
  • 年式:2005年式
  • 所属:豊中営業所
  • 社番:05-2891

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