中国JRバス「浜田道エクスプレス」 乗車記【札幌~博多間 日本縦断 高速バスだけの旅 北上編】
山口県周南市から防長交通「広島~徳山線」と広島電鉄「いさりび号」を乗り継いで、島根県浜田市にやって来ました。
この日の宿泊場所は、浜田市内ではなく、隣の益田市にあるホテル。
石見交通の路線バスで移動することも考えましたが、今回は時間の関係でJR山陰本線の快速列車「アクアライナー」を利用します。
1時間程で列車は益田駅に到着。
ホテルにチェックインし、この日はホテルでゆっくりと時間を過ごします。
そして翌日、益田から移動を再開。
引き続きゴールの札幌を目指します。
『札幌~博多間 日本縦断 高速バスだけの旅 北上編』の3日目です。
島根県西部の重要な足 石見交通を見てみる
石見交通とは?
石見交通は、島根県益田市の本社を置くバス会社。
島根県西部(石見地方)での一般路線バスの運行の他、石見地方の主要都市(益田市・浜田市・大田市)と広島市を結ぶ複数の高速バス、神戸・大阪行きの夜行高速バスを運行しています。
特に、路線バスにおいては、世界遺産に指定された「石見銀山」の観光客輸送を担っており、一部の路線は石見地方と交流のある山口県萩市北部(旧田万川町・旧須佐町)まで乗り入れています。
石見交通といえば、永年にわたり阪神電気鉄道(→阪急阪神ホールディング)が大株主のひとつで、阪神時代から連結非対象の関連会社として有名でしたが、2010年3月期の阪急阪神ホールディング決算資料から関連会社の項目に石見交通の記載がなくなっており、現在の阪急阪神ホールディングの株式保有状況がどうなっているかは不明です。
車両は、長らくの間三菱ふそう製が主力でしたが、同社が中型路線バスの製造を中止した影響などもあって、現在はj-bus製(いすゞブランド)が主力になりつつあります。
尚、貸切部門については、子会社のイワミツアーが運行を担っています。
石見交通で活躍するバス達
益田出発までの間、石見交通のバス達を見ることが出来ましたので、広島バスセンターで見かけた車両を含め、簡単にご紹介しましょう。
津和野・浜田・益田と神戸・大阪を結ぶ夜行高速バス「つわのエクスプレス」は、阪神バス「サラダエクスプレス」と共同で運行する老舗路線。
3列独立シート夜行高速仕様の三菱エアロクイーンが充てられます。
石見地方と広島を結ぶ陰陽連絡バス(高速バス)は、広浜線「いさりび号」(広島電鉄・中国JRバスと共同運行)、新広益線、広益線「清流ライン高津川号」、「石見銀山号」(イワミツアーと共同運行)の4路線を運行。
いずれも4列シート45人乗りの昼行高速仕様が充てられます。
ここ最近は、コンセントまたはUSBポートを装備したいすゞガーラHDの導入が進んでおり、サービスの改善が図られています。
一般路線バスは、中型ノンステップバスやワンステップバスがメイン車種になっています。
一部の路線では、小型ノンステップ「ポンチョ」(j-bus製)も活躍しています。
西日本地区最長昼行高速バス「浜田道エクスプレス」で大阪へ
益田からは、こちらのバスに乗車します。中国JRバスが運行する大阪~浜田・江津・益田間高速バス「浜田道エクスプレス」です。
関西と島根県西部を結ぶ高速バスといえば、先程ご紹介した阪神バスと石見交通が運行する夜行高速バス「サラダエクスプレス」(阪神)「いわみエクスプレス」(石見)が有名ですが、これからご紹介する「浜田道エクスプレス」は、大阪と浜田・江津・益田の間を約6時間~7時間かけて結ぶ昼行高速バスです。
運行距離約439km、所要時間約7時間は、西日本地区を走る昼行高速バスでは最長を誇ります。
「浜田道エクスプレス」が運行を開始したのは、2002(平成14)年12月。
当初は大阪~浜田・江津系統2往復体制で運行を始めますが、その後、大阪~浜田・益田系統1往復を新設、数度のダイヤ改正を経て、現在は大阪~浜田・江津系統1往復と大阪~浜田・益田系統1往復の計2往復体制で運行しています。
旅の始まりは浜田駅前から
今回乗車したのは、益田駅前10時20分発の大阪行き「浜田道エクスプレス4号」。
バスのりばには、石見交通のバス待合所が完備されており、「浜田道エクスプレス」の利用者もこの待合所を利用することが出来ます。
また、待合所内の乗車券カウンターでは、「浜田道エクスプレス」の乗車券を購入することが出来るなど、夜行高速バスとの補完関係を上手く保っている様でした。
「浜田道エクスプレス4号」は、石見交通バス待合所前のバスのりば2番から発車します。
気になる「浜田道エクスプレス」の車両と車内は?
今回乗車したのは、こちらの車両でした。
中国JRバス島根支店浜田営業所所属641-5956号車(いすゞガーラHD QRG-RU1ESBJ)です。
「浜田道エクスプレス」専属で使用されている車両ですが、恐らく同路線で使用されることはないであろう乗務員仮眠室が床下に設置されています。
10時10分、益田駅前バスのりば2番に「浜田道エクスプレス4号」が入線。
乗務員の改札を受け、車内に入ります。
車内は、4列シート40人乗りの昼行高速仕様。
定員重視のシート配列になっています。
シートは、メーカー標準のワイド仕様を採用。
テーブル、フットレスト、コンセントを完備するなど、長時間乗車でも快適に過ごせられるようになっています。
並行する夜行高速バス「サラダエクスプレス」「いわみエクスプレス」と比較すると、車内の造りはシンプルですが、比較的グレードの高いシートを採用していることや、フットレスト、コンセントを装備していることを考えると、繁忙期ならともかく、通常期や閑散期での利用では十分な内容なのではないでしょうか。
車内設備のイメージとしては、北海道の沿岸バス(本社:羽幌町)が運行する札幌~留萌・羽幌・豊富間高速バス「特急はぼろ号」に近いのかなぁという印象を受けました。
10時20分 益田駅前発車
10時20分、定刻に益田駅前を発車したバスは、国道9号を浜田市方面へ向けて走ります。
途中からは、JR山陰本線と並行。
遠くには小さな湾や日本海も見えます。
11時25分 浜田駅前発車
三隅(みすみ荘前)で乗車扱いを行ったバスは、石見三隅インターから山陰自動車道に流入。
10分程走行した竹迫インターで山陰道を降り、その約5分後の11時15分に浜田駅前に到着します。
浜田駅前は乗車扱いのための停車ですが、予定よりも早く到着したということで、発車時刻の11時25分までトイレ休憩となりました。
その間、乗務員は乗車改札を行いますが、浜田駅前では20名近くの乗客が乗車し、車内は窓側座席がほぼ埋まる程の盛況ぶりになりました。
11時25分、定刻に浜田駅前を発車したバスは、浜田インターから浜田自動車道へ。
浜田自動車道~中国自動車道内の主要バス停(金城、旭インター、重富、瑞穂インター、大朝インター、千代田インター、高田インター、三次インター)に停車後、中国自動車道~阪神高速道路を経由して大阪へ向かいます。
浜田から先は、運行経路の関係上、山間の景色が延々と続きます。
13時10分~13時25分 七塚原サービスエリアにて開放休憩
「浜田道エクスプレス」の途中休憩は、3回設定されています。
1カ所目の休憩場所は、三次インターを発車して10分足らずで到着する広島県の七塚原サービスエリア。
こちらでは、13時10分から15分間停車しました。
七塚原サービスエリアは、中国自動車道のサービスエリアの中でも比較的大きなサービスエリア。
トイレ、自販機はもちろん、フードコーナーや売店も完備しています。
広島県に立ち寄る最初で最後のサービスエリアですので、もみじ饅頭などの広島みやげはこちらで購入しておきましょう。
サービスエリアからは、この様な長閑な風景も楽しめます。
バスもしばしのひと休みです。
14時57分~15時15分 勝央サービスエリアにて開放休憩。
七塚原サービスエリアを発車したバスは、引き続き中国自動車道を大阪へ向けてひた走ります。
山岳地帯を走る中国自動車道では、この様な山間の集落の風景が至るところで見られます。
瀬戸内の風景が楽しめる山陽自動車道とは違った面白さ、楽しさがありますね。
2回目の休憩場所は、津山インターから数分走行した岡山県の勝央サービスエリア。
こちらでは14時57分から18分停車しました。
勝央サービスエリアも、中国自動車道のサービスエリアの中では比較的大きな規模を誇ります。
停車時間が18分もあったことから、多くの乗客がバスを降りてトイレや買い物などを済ませていました。
16時27分~16時40分 赤松パーキングエリアにて開放休憩
広島県から岡山県に入ると、それまでの山坂がきつい行程から平坦な行程に。
着実に大阪に近づいていることを実感します。
3回目(最後)の休憩場所は、兵庫県の赤松パーキングエリア。
こちらでは、16時27分から13分間停車しました。
赤松パーキングエリアは、かつて多くの関西~九州間夜行高速バスが開放休憩地として停車していたパーキングエリア。
ここで休むトラックも多く、昼夜問わず大変賑わっていた記憶があります。
現在、その役目は山陽自動車道の淡河パーキングエリアや三木サービスエリアに譲った格好になっていますが、今でも中国自動車道の主要パーキングエリアとしての役目を立派に果たしていることに間違いはなさそうです。
バスも、ラストスパートに向けてひと休みです。
17時30分 大阪駅JR高速バスターミナル到着
赤松パーキングエリアを発車したバスは、いよいよラストスパート。
終点の大阪まであと一息です。
出発後、乗務員から「この先、阪神高速道路で渋滞が発生するため、大阪到着が遅れることが予想されます。」という主旨の案内が。
あとで調べたところ、平日夕方の阪神高速道路がいつも渋滞するために、この便はとかく遅れがちとのことでした。
どれくらい遅れるののか、正直読めない部分ではありますが、この後の行程に関しては余裕を持たせているので、焦りというものは特にありません。
赤松パーキングエリアから中国池田インターまでは順調に走行していたのですが、その先の阪神高速池田ランプからは、乗務員の案内の通り、渋滞が始まります。ですが、実際には、車の列がゆっくりと進むといった感じで、さほど酷い渋滞ではありませんでした。
17時25分、梅田ランプを流出。
そして、定刻7分遅れの17時30分に、バスは終点の大阪駅JR高速バスターミナルに到着しました。
バスを降りて降車改札を受け(この路線は降車時の乗車券回収及びWEB乗車券の画面表示提示あり)、荷物を受け取ると、乗客達はそれぞれの目的地へと向かっていったのでありました。
さて、私も次への目的地へと向かいますか・・・。
石見地方にとって欠かせない交通手段!? 乗りバス的にも乗り応えのある路線!?
「浜田道エクスプレス」に乗車したのは今回が初でしたが、地方都市~大都市間高速バスによく見られる光景が、この路線においても至るところで見られました。
一般的に、大阪~石見地方の移動手段といえば、
・JR在来線と新幹線を乗り継ぐ方法
・陰陽連絡バスと新幹線を乗り継ぐ方法
・夜行高速バスを利用する方法
を思い浮かべますが、実は高速バス「浜田道エクスプレス」もその選択肢の中のひとつにしっかりと入り込んでいて、地元利用者が当たり前の様に利用している姿が印象に残りました。
「運賃が安い」「乗り換えせずに移動出来る」というメリットはいうまでもありませんが、「休憩停車」「P&R駐車場」といった見逃しがちなメリットも地元客には周知されていて、関西方面へのお出かけの足として、また帰省の足として欠かせない交通手段になっていることを改めて感じました。
一方で、『乗りバス』という観点で見ると、西日本地区最長昼行路線ということもありますが、山間の風景だけかと思いきや、益田側では日本海を眺めることも出来、十分に楽しめました。
「ひと眠りしたら目的地」という夜行高速バスで移動するのも良いですが、景色を見ながらのんびり移動出来る「浜田道エクスプレス」の旅も素晴らしいと思った次第です。
個人的には、以前このブログでも紹介した弘南バス「スカイ号」(上野~弘前・青森)に匹敵する程の、乗り応えのある昼行高速バスではないでしょうか。
機会がありましたら、是非一度乗車されてみることをオススメいたします。
【乗車データ】
- 乗車日:2020/02/25
- 乗車区間:
益田駅前→大阪駅JR高速バスターミナル - 運行会社:中国JRバス
- 車両:いすゞ/ガーラHD(QRG-RU1ESBJ)
- 年式:2015年式
- 所属:島根支店浜田営業所
- 社番:641-5956
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「登場!通好みの夜行高速バス」
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