2021(令和3)年9月30日、ひとつの長距離路線バスが長い歴史に幕を閉じます。
そのバスとは、沿岸バス(本社:羽幌町)の「幌延~羽幌~留萌~旭川間直通バス」です。
このバス、実は以前にブログでも紹介したことがあります。
この時は、幌延から留萌までの乗車でしたが、この度、直通バスの運行を終了するということで、惜別の意味も込めて幌延から旭川までの全区間を乗車してまいりました。
今回は、その時の模様をご紹介します。
日本海を眺めながら、そして田園風景を眺めながらの約220kmのバスの旅。
ブログではありますが、壮大な北海道内を走る長距離路線バスの雰囲気を少しでも感じ取っていただけると幸いです。
尚、「幌延~羽幌~留萌~旭川間直通バス」については、沿岸バスの公式Twitterアカウント(@enganbus)が成り立ちや最盛期の時刻表などを紹介していますので、そちらも併せてご覧いただけると幸いです。
【お知らせ】
1987年(昭和62年)3月30日より運行を開始した旧国鉄羽幌線代替バスのひとつ、快速幌延旭川線の流れを汲む快速幌延留萌線は、2021年(令和3年)10月1日のダイヤ改正を以て系統を廃止、34年間の歴史に終止符を打ちます。 #沿岸バス https://t.co/RjxlBC9FyF— 沿岸バス@10月1日ダイヤ改正 (@enganbus) September 17, 2021
【プロローグ】「特急はぼろ号」と「13幌延留萌線」で幌延へ
「幌延~羽幌~留萌~旭川間直通バス」は、所要5時間弱と時間もかかるため、札幌からではおいそれ日帰りで乗りに行ける路線ではありません。
今回は、札幌から沿岸バスの都市間バス「特急はぼろ号」(札幌~留萌・羽幌・遠別・豊富)で留萌まで移動した後、留萌から同じく沿岸バスの「13幌延留萌線」で幌延まで移動、幌延駅前の民宿にて前泊することにしました。
この日は生憎の悪天候。
雨模様の日本海オロロンラインを順調に北上し、20時前、ひっそりとした幌延の街に到着しました。
到着後、すぐさま民宿にチェンクイン。
軽い夕食を済ませ、翌朝に備え早めに就寝します。
【乗車データ】
- 乗車日:2021/09/23
- 乗車区間:
札幌駅前ターミナル→留萌春日町1丁目 - 運行会社:沿岸バス
- 車両:三菱/エアロエース(2TG-MS06GP)
- 年式:2019年式
- 所属:札幌営業所
- 社番:399
【乗車データ】
- 乗車日:2021/09/23
- 乗車区間:
留萌駅前→幌延駅 - 運行会社:沿岸バス
- 車両:三菱/エアロスター(QKG-MP35FM)
- 年式:2015年式
- 所属:不明(留萌営業所or羽幌営業所)
- 社番:1502
「幌延~羽幌~留萌~旭川間直通バス」に惜別乗車
翌朝6時過ぎのJR幌延駅です。
駅の待合室にも、沿岸バスの時刻表・運賃表が掲示されています。
「幌延~羽幌~留萌~旭川間直通バス」の始発地は、幌延駅から4km程離れた「幌延深地層研究センター」。
日本原子力研究開発機構が管理運営する、放射性廃棄物の地層処分に関する研究を行う施設ですが、周辺には何も無く、熊などの野生動物に遭遇する可能性もあるため、今回は以前の始発地である幌延駅から乗車することにしました。
06時26分、1台のバスがやって来ました。
「幌延~羽幌~留萌~旭川間直通バス」です。
今回乗車日したのは、「幌延~羽幌~留萌~旭川間直通バス」や「留萌旭川線」で活躍する709号車(三菱エアロエース BKG-MS96JP)。
同路線で活躍する車両もここ数年で様変わりし、今や同路線で活躍する自社発注の車両は、この709号車だけとなってしまいました。
車内は、4列シートの昼行高速仕様。
車内後部にはトイレが設置されています。
また、定員重視の仕様からか、補助席も設置されています。
車内には、ダイヤ改正を知らせる掲示物も貼られていました。
06時30分、バスは定刻に幌延駅を発車。
約220km先の旭川へ向けて、5時間弱のバスの旅が始まります。
この便ですが、厳密には途中の留萌十字街を境に系統が分割されており、幌延深地層研究センター~留萌十字街間は「13快速幌延留萌線」として、留萌十字街~旭川駅前間は「56快速留萌旭川線」として運行されます。
快速便というだけあって、停車する停留所も各街の中心部や主要停留所がメイン。
その駿足ぶりは、かつての国鉄急行列車「はぼろ号」を彷彿させるものがあります。
幌延町市街地を抜けたバスは、道道121号から国道40号に入ります。
天塩大橋を渡ったところで、右折して国道232号(日本海オロロンライン)へ。
ですが、この地区はまだ内陸部のため、まだ日本海を眺めることは出来ません。
天塩町の市街地を過ぎ、バスは国道232号を南下。
かつての遠別駅跡地に設置された遠別バス停、そして遠別営業所を過ぎると、右手には日本海が見えて来ます。
この日の天候は、前日とはうって変わって快晴に近い晴れ。
多少波が高いものの、日本海がひと際美しく見えます
遠くには焼尻島?が見えますね。
幌延を発車して1時間半程で、バスは羽幌町内へ。
本社ターミナル、羽幌ターミナル、道立羽幌病院にて乗降扱いを行い、引き続き国道232号を南下していきます。
右手に日本海を眺めながら、バスは苫前、小平を過ぎ、留萌市内へ。
そして、幌延を発車して2時間45分、9時15分にバスは留萌十字街に到着します。
こちらでは、乗務員交代と時間調整のため、7分間停車しました。
9時22分、留萌十字街を発車。
ここからは、「56快速留萌旭川線」として旭川駅前まで運行します。
留萌市内の各停留所に停車後、バスは国道232号から国道233号へ。
それまで見ていた景色もうって変わり、ここから先は空知平野を眺めながらの移動となります。
幌糠、峠下付近までは所々で山々の景色が続きますが、碧水、秩父別あたりに差し掛かると、一面「これぞ空知平野!」ともいうべき景色が車窓一面に広がります。
留萌から1時間10程で、バスは深川市内に入ります。跨線橋を渡り、4条12番交差点を右折すると、深川十字街に到着します。
深川十字街を発車したバスは、4条9番交差点を左折し、石狩川を渡って、道内有数の幹線国道のひとつである国道12号へ。
国道12号に入ってからは、石狩川に沿って旭川へと向かいます。
11時過ぎ、幌延駅を発車して4時間半程で、バスは旭川市内に入ります。
旭川大橋手前の交差点を右折し、道道90号~道道98号を神楽地区へ、
神楽4条4丁目バス停に停車したバスは、国道237号線に入り、1条通りの交差点を右折。
そして、旭川中心街を通り、11時22分、定刻にバスは終点の旭川駅前に到着しました。
運賃表を見てみると・・・整理券1番の幌延深地層研究センターからの運賃は4,460円、整理券2番の幌延駅からの運賃は4,400円!
前回ご紹介した阿寒バス「釧路羅臼線」よりも乗車距離が長いにもかかわらず、運賃はこちらの方が安いとは・・・。
ローカル路線バスも色々ですね。
乗車距離約220km、所要時間5時間弱のバスの旅は無事に完遂しましたが、10月以降このバスの乗車出来なくなることを思うと、一抹の寂しさも。
回送されていくバスの後姿を見届けながら、私は旭川駅を後にしたのでありました。
乗り応えのある全国有数の長距離路線だったのですが・・・
以上、2021年9月30日をもって運行を終了する沿岸バス「13快速幌延留萌線」「56快速留萌旭川線」(幌延~羽幌~留萌~旭川直通便)の乗車の模様をお届けしました。
車中で色々と思いに耽っていたのですが、厳しさを増すローカル路線バスの現状、そしてコロナ禍による交通業界の深刻な影響などを考えると、この手の長距離路線バスは今後減ることはあっても増えることはないのだろうなぁ・・・というのが率直な感想でした。
バスファン的視線で見ると、この路線の特徴は、所要時間及び運行距離の長さもさることながら、留萌を境に景色が一変することです。
日本海オロロンラインの景色が堪能出来る幌延~留萌間と、田園地帯を風景が楽しめる留萌~旭川間。
乗り応えのある全国有数の長距離路線であったことには間違いないでしょう。
一方で、これまで国や自治体からの補助金で何とか運行を維持して来たのもこれまた事実。
沿岸バスの公式Twitterアカウントで、「沿線人口の自然減は如何ともし難く」という書き込みがありましたが、時代の移り変わりという言葉で片付けたくはないものの、いずれこうなることは避けられなかったのかもしれません。
加えて、高速道路&自動車専用道路延伸によるマイカー利用の増加、特急「はぼろ号」の利便性向上といった要因も、もしかするとあるのかもしれません。
とはいえ、今回乗車した便の乗客の様子を見ていると、数的には留萌を境に乗客が入れ替わる印象はあるものの、天塩、遠別、羽幌から旭川まで通し利用する方が(少数ではありますが)見受けられ、やはり必要とする人はいるということを改めて実感した次第です。
この人たちの10月以降の移動(通院・所用)の足はどうなってしまうのでしょうか。
乗り換えを我慢してでも今後もバスを利用するのか、それとも家族の運転によるマイカー移動になってしまうのか、はたまた不便さを感じて札幌や旭川へ引っ越してしまうのか・・・。
沿岸バスでは、2021年10月1日にダイヤ改正を実施します。
このダイヤ改正で、「13快速幌延留萌線」は既存の普通便と統合する形で廃止され、新たな輸送体制に改められます。
同社では、「留萌管内と旭川の輸送をこれまでどおり維持する」としていますが、これまで利用していた通院客・所用客がバスの利用から完全に離れてしまわないか、よそ者ながらとても心配です。
人は乗り換えを強いられるのを極端に嫌いますから・・・。
個人的には、通路を挟んで反対側に座っていたご高齢の方の「10月から(病院通いが)しんどくなるねぇ。」とひと言が印象に残りました。
「幌延~羽幌~留萌~旭川間直通バス」の運行終了で、国鉄羽幌線時代から数えて60年近くつながってきた留萌北部~旭川間直通の交通機関は、ひとまず消滅することになります。
ロマンのある長距離路線バスのひとつがなくなるのは本当に寂しいですが、
「34年間、本当にお疲れ様でした!」
という言葉を贈り、この記事を締めたいと思います。
【乗車データ】
- 乗車日:2021/09/24
- 乗車区間:
幌延駅→旭川駅前 - 運行会社:沿岸バス
- 車両:三菱/エアロエース(BKG-MS96JP)
- 年式:2009年式
- 所属:留萌営業所
- 社番:709
【エピローグ】北海道中央バス「高速あさひかわ号」で帰札
旭川駅近くのラーメン「山頭火」本店で昼食を済ませ、旭川からは北海道中央バス「高速あさひかわ号」で帰札しました。
緊急事態宣言中ではありましたが、減便の影響からか、乗務員が「相席をお願いします」とアナウンスする程、車内はそれなりに混雑していました。
対して、先発した予約制「あさひかわ号」はガラガラ。
車両をグレードアップしてでも続けるのか、それとも辞めるか・・・そろそろ判断するべき時期が来ているのではと思いました。
【乗車データ】
- 乗車日:2021/09/24
- 乗車区間:
旭川駅前→札幌駅前ターミナル - 運行会社:北海道中央バス
- 車両:日野/セレガHD(2TG-RU1ASDA)
- 年式:2018年式
- 所属:旭川営業所
- 社番:1181
【おまけ】沿岸バス「留萌旭川線」で活躍する車両
最後に、「幌延~羽幌~留萌~旭川間直通バス」でも使用された沿岸バス「留萌旭川線」で活躍する車両を写真で紹介します。
こちらは、2006年式の602号車(三菱エアロバス PJ-MS86JP)。
四国の事業者から来た車両の様です。
こちらは、2004年式の404(日野セレガR-FD KL-RU4FSEA)。
沿岸バスに来る前は、関東の事業者でリムジンバスとして活躍していました。
こちらは、2005年式の504号車(三菱エアロバス KL-MS86MP)。
602号車と同じく、四国の事業者から来た車両の様です
こちらは、先程ご紹介した2009年式の709号車(三菱エアロエース BKG-MS96JP)。
自社発注の車両になります。
こちらは、2006年式の605号車(日野セレガHD ADG-RU1ESAA)。
沿岸バスに来る前は、東海地方の事業者で高速路線用車両として活躍していました。
この他にも、かつて首都圏の事業者で高速路線用車両として活躍し、2021年春頃にやって来た400号車(三菱エアロエース BKG-MS96JP)が在籍しています。
今回はご紹介出来ませんが、機会があればこのブログでご紹介できればと思っています。
【おまけ】動画にしてみました
現在、Youtubeにて公開しています。
宜しければご覧いただけると幸いです。




