函館バスがトイレ付路線バスを運行開始&トイレ付き路線バスってどれ位あるのか?というお話
本日、我が地元北海道の地方紙(北海道新聞)に、このような記事が掲載されていました。
どうしん電子版(北海道新聞)
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道南初のトイレ付き路線バス 函館バス「快速瀬棚号」 所要3時間45分、歓迎の声:どうしん電子版(北海道新聞)
函館バス(函館)は、トイレ付きのバス2台を導入した。函館―せたな間で1日から運行を開始し、函館―江差間でも12月から走らせる。同社などによると、道南の路線バスでトイレ付き車両の導入は初。トイレの心配...
函館市に本社を置く函館バスが、道南初のトイレ付き路線バスを投入したという記事です。
記事によると、
- 函館~せたな線「快速瀬棚号」で2018(平成30)年10月1日から運行を開始。
- 函館~江差線でも12月から1往復走らせる予定。
- 同社などによると、道南の路線バスでトイレ付き車両の導入は初。
- トイレの心配をすることなく乗車できるようになるため、歓迎の声が上がっている。
- トイレ付きバスは関東方面の高速バスで使用されていた車両で定員約40人。男女兼用の簡易水洗式で車内後方に設置されている。
ここまでは「なるほどねぇ・・・」と思ったのですが、問題は後半部分の一文。
私のみならず、バスに詳しい方であれば、誰もが突っ込みを入れたくなる一文が記載されていたのです。
その内容がこちら↓。
(一部引用)
日本バス協会(東京)によると、高速道路を走行しないバス路線で、トイレ付き車両が使用されているケースは聞いたことがないとし「運行距離が長い北海道ならでは」とみている。
おいおいおい!!!・・・
高速道路を走行しないバス路線で、トイレ付き車両が使用されているケースはいくらでもありますよ!!!と。
まあ、日本バス協会からの回答文をそのまま載せているだけだと思われるのですが、
「バス協さん、認識不足なのでは?」
と突っ込んだ読者は少なくない筈です。
そこで、
「高速道路を走らないトイレ付き路線バスってどれ位あるのか?」・・・・
私なりに調べてみました。
北海道はトイレ付き路線バスの宝庫?
まずは地元北海道から。都市間路線を含めるとかなりの数の(高規格道路を含む高速道路を経由しない)トイレ付き路線バスが運行されています。
現時点で確認出来るものだけでも、
- ジェイ・アール北海道バス「深名線」の一部車両 深川~幌加内~名寄
- 道南バス「札幌~洞爺湖線」 札幌~洞爺湖
- 道北バス・沿岸バス「留萌旭川線」「快速留萌旭川線」 留萌~旭川
- 沿岸バス「快速幌延留萌線」 幌延~留萌
- 沿岸バス「特急はぼろ号」 札幌~増毛~留萌~羽幌 ※
- 道北バス・十勝バス・北海道拓殖バス「ノースライナー」 旭川~富良野~帯広 ※
- 道北バス「ノースライナーみくに号」 旭川~糠平温泉~帯広 ※
- 道北バス・阿寒バス「サンライズ旭川釧路号」 旭川~阿寒湖~釧路 ※
- 阿寒バス・北海道北見バス「特急釧北号」 釧路~阿寒湖~北見 ※
- 阿寒バス「釧路羅臼線」 釧路~羅臼
- くしろバス・根室交通「特急ねむろ号」 釧路~根室
- 函館バス「快速瀬棚号」 函館~せたな ← NEW
※印:都市間路線(高速乗合バスとして認可を受けています。)
阿寒バス「釧路羅臼線」
沿岸バス「快速留萌旭川線」
他にも、北海道中央バス(本社:小樽市)が高速路線の間合運用として札幌市内の一部路線に投入している(但しトイレは使用禁止)他、現在はワンステップバスで運行されている宗谷バス「天北宗谷岬線」も、運行開始当初(「天北線」と呼ばれていた時代)は稚内~音威子府を直通する便を中心にトイレ付き車両を投入していました。
運行距離が長い北海道ならではの特徴であるといえましょう。
道外でもトイレ付き車両の運行例が・・・
一方、北海道外に目を転じると、道外でも僅かながら(高規格道路を含む高速道路を経由しない)トイレ付き路線バスが運行されています。現時点で確認出来るものとしては
- 岩手県北自動車「106急行バス」の3往復 盛岡~宮古
- 岩手県北自動車「宮古~船越線」の2往復 宮古~船越
- 福島交通「福島・川俣~南相馬~鹿島線」 福島・川俣~南相馬~鹿島
また、現在は運行されていませんが、かつては京都交通が京都~舞鶴間の快速バスにトイレ付き車両を投入していた他、昭和自動車の一般路線(博多駅~前原・深江、博多駅~三陽高校など)や琉球バス(→琉球バス交通)の那覇~名護線などにもトイレ付き車両が投入されていました。
意外なのが、奈良交通が運行する日本最長路線バス「八木新宮線」の車両にトイレが付いていないこと。
元々、同路線の車両にはトイレが付いていませんが、これは途中3か所での休憩停車があるため。
現在運行されている車両も、郊外仕様のノンステップバスとなっています。
奈良交通「八木新宮線」
もっとも、同路線は補助金が投入されており、車両購入補助に関してもバリアフリーに適合した車両の導入が補助適用の要件になっています。
「八木新宮線」に限りませんが、現在はトイレ付き新型車両を(高規格道路を含む高速道路を経由しない)一般路線に投入することが難しくなっています。
あと、よく誤解されがちなのが、九州産交バスと大分バスが共同で運行する熊本~大分線「やまびこ号」。
九州産交バス「やまびこ号」
かつては2+1配列のトイレ付き3列シート車が投入されていましたが、現在は経路変更により一部区間において高規格道路を走行するため、(高規格道路を含む高速道路を経由しない)一般路線には該当しません。
もっとも、車両自体も九州産交バスがトイレなし4列シート車に代替している他、大分バスもトイレ付き4列シート車に代替していることから、輸送力重視の傾向が見てとれます。
長距離を乗車する利用客にとってはいざという時にありがたいトイレ付き路線バスですが、補助金やバリアフリーの絡みもあることから、普及するかは懐疑的といわざるを得ません。
今後も、釧路~羅臼といったような長距離路線かつ車両購入補助を適用しないケースに限定されそうです。
※一部内容を追記しました。
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