新幹線や飛行機といった高速移動手段が充実する現在でも、リーズナブルな運賃と都市中心部同士をダイレクトに結ぶ利便性から、高速バスは根強い人気を誇っています。
今回乗車したのは、仙台駅東口を11時に出発する「仙台・新宿8号」。
首都圏~仙台線は、かつての高速バス「政宗号」に端を発する歴史ある路線で、現在も昼行・夜行あわせて複数の系統が運行されています。
本記事では、仙台駅東口からバスタ新宿まで約6時間のバス旅を実際に体験しながら、
- 路線の歴史
- 充当された車両
- 3列独立シートの車内設備
- 乗車中の様子
などを写真とともに詳しくご紹介します。
新幹線とはまた違った魅力がある「昼行高速バスの旅」を、ぜひ最後までご覧いただけると幸いです。
全国有数の高速バス激戦区のひとつ「東京~仙台間」。
コロナ禍の影響で便数は減っているものの、既存系・旧ツアー系を問わず現在も数多くの路線が毎日運行されています。
最近では、2023年7月に成田空港交通(→京成バス千葉イースト、本社:成田市)と宮城交通(本社:仙台市)が昼行高速バス「ザ・サンライナー」を開設。
東京~仙台間の高速バスにまたひとつ選択肢が増えたことはこのブログでもご紹介しました。
そんな東京~仙台間の高速バスですが、実は先日、こちらの路線に乗車する機会がありました。
JRバス東北(本社:仙台市)が運行する高速バス「仙台・新宿号」です。
東京~仙台間を運行する高速バスの中では老舗の部類に入るこの路線、何度か乗車してはいるのですが、このブログで紹介するのは2015(平成27)年にご紹介したこちらの記事以来となります。
▶JRバス東北「仙台・新宿号」乗車記(2015年乗車分)はこちら
10年前とは、景色も、発着地も、そして車両も変わっていました。
久しぶりに乗車して驚かされたのは、事前購入割引(とく便)とネット割の併用で実現した「片道3,200円」という破格の運賃。
しかも、のりばにやって来たのは、かつて私が別路線で乗車した思い出の3列独立シート車でした。
安さだけではない、老舗の意地と快適性が詰まった6時間の旅路を振り返ります。
【基本情報】昼行高速バス「仙台・新宿号」の運行区間・所要時間・運賃まとめ
まずは、今回利用した路線の基本情報から。
- 路線名:仙台・新宿号
- 運行会社:JRバス東北
- 乗車区間:仙台駅東口 ~ バスタ新宿(新宿高速バスターミナル)
- 乗車時間:約5時間50分
- 運賃:曜日別・運行便別運賃(運賃はこちら)
※今回は仙台~新宿間3,200円で乗車。 - 運行本数:1日5往復運行(毎日運行便2往復、特定日運行便3往復)
【比較】東京~仙台の移動手段|新幹線・高速バスどれが安い?
| 移動手段 | 運賃(片道) | 所要時間 | シートタイプ |
|---|---|---|---|
| 昼行高速バス「仙台・新宿号」 | 3,000円~5,900円 | 約5時間50分 | 3列独立シート |
| JR東北新幹線「はやぶさ」 | 11,410円 ※普通車指定席 |
約2時間20分 | 2+1列シート(グランクラス)、2+2列シート(グリーン車)、3+2列シート(普通車) |
※最新の料金・販売有無は、こちらから予約画面に進み、別途ご確認ください。
名古屋と北九州・福岡をダイレクトに結ぶこの路線は、JR新幹線や飛行機と比較しても運賃が安くに抑えられる他、夜行バスは寝ながら移動出来るため、コスパ重視派の方にも人気があります。
新幹線や飛行機よりも寝ながら移動出来る分、現地での滞在時間を最大化出来るのが、夜行バス最大のメリットです。
JRバス東北「仙台・新宿号」とは?|首都圏~仙台線の歴史
まずは、「仙台・新宿号」を含むJRバス東北「首都圏~仙台線」のあゆみを簡単にふり返ります。
元々この路線は、JRバス東北、JRバス関東、東北急行バスの3社が共同で運行を開始した昼行高速バス「政宗号」が始まりでした。
愛称名の由来は、いうまでもなく独眼竜の異名で知られる初代仙台藩主伊達政宗。
1990(平成2)年8月に開設され、各社1往復の計3往復体制で運行を始めましたが、のちにJRバス関東が運行から撤退し、JRバス東北、東北急行バスによる2社体制での運行が続きます。
「政宗号」の運行が続く中、2003(平成15)年4月、JRバス東北が単独で夜行便「ドリーム政宗号」の運行を開始します。
運行開始当初は昼行便と同様の4列シート車を充当していましたが、2005(平成17)年には3列独立シート化されます。
また、2005(平成17)年には仙台と品川・横浜を結ぶ「ドリーム横浜・仙台号」(京浜急行バス(のち京急観光バスに移管→撤退)との共同運行)と、古川・泉中央と東京を結ぶ「ドリームササニシキ号」をそれぞれ開設し、路線網を拡充していきます。
2005年に運行を開始した「ドリームササニシキ号」(東京~仙台・泉中央・古川)
しかしその後、旧高速ツアーバスの台頭により、特に昼行便の利用が急激に減少していきます。
そうした中、2008(平成20)年3月31日をもってJRバス東北・東北急行バスの2社による共同運行を終了。
以降はJRバス東北が「仙台・新宿号」(昼行便)と「ドリーム政宗号」(夜行便)を、東北急行バスは「ネオスイート号」(昼行便)をそれぞれほぼ同じ区間で運行します。
東北急行バスの「ネオスイート号」は短命に終わりますが、「仙台・新宿号」「ドリーム政宗号」は運賃を旧高速ツアーバスとほぼ同水準に引き下げたことにより利用が回復、現在に至るまで堅調に推移しています。
2016年(平成28年)4月からは、週末・繁忙期の限定運行という形で「仙台・東京号」(仙台~東京駅)を開設。
その半年後の10月には、「仙台・新宿号」「ドリーム政宗号」「ドリーム横浜・仙台号」「ドリームササニシキ号」「仙台・東京号」の各路線名称が「首都圏~仙台線」に統一されます。
また、羽田空港の発着枠拡大に伴う需要拡大を見込み、2020年(令和2年)3月29日には昼行便の一部を羽田空港に延伸し、「仙台・羽田号」として運行を開始します。(のちに「仙台・羽田号」は運行を終了。)
2020年代前半のコロナ禍の影響で減便されますが、現在は昼行便「仙台・新宿号」「仙台・東京号」と夜行便「ドリーム仙台・大宮/新宿号」「ドリーム仙台・新宿/横浜号」「ドリーム仙台・東京号」「ドリーム仙台・東京/横浜号」「ドリーム仙台・東京/成田号」の計7系統体制で運行しています。(※「ドリーム仙台・東京/成田号」は京成バス千葉イーストと共同運行。)
バスタ新宿を発車する仙台行き「仙台・新宿1号」
仙台駅東口バスターミナル|JRバス東北の乗車拠点
札幌から函館バスの都市間バス「高速はこだて号」で函館へ移動して1泊し、
▶函館バス「高速はこだて号」三菱エアロクイーン(T3639)の乗車記はこちら
翌日、函館からJR在来線と北海道・東北新幹線を乗り継いで仙台にやって来ました。
仙台駅西口を高速バスの発着拠点とする宮城交通に対し、JRバス東北は仙台駅東口を高速バスの発着拠点にしています。
近くにはヨドバシカメラなどの商業施設もあり、利便性は高いといえましょう。
のりば付近には乗車券うりば・待合室とサイネージ表示も整備されてます。
昼行高速バス「仙台・新宿8号」に乗車
今回乗車したのは、仙台駅東口11時00分発の「仙台・新宿8号」。
こちらの車両が充てられていました。
JRバス東北仙台支店所属H677-16403号車(日野セレガHD QRG-RU1ESBA)です。
秋田支店に配属され「ドリーム秋田・東京号」専用車として活躍した後、青森支店へ転属し「ドリーム青森/盛岡・東京号」専用車として活躍しますが、2024年に仙台支店へ転属し、現在は「仙台・新宿号」や「ドリーム仙台・新宿/横浜号」などで活躍しています。
どこかで見た車両だなぁ・・・と思いきや、実は今から5年前の2020年秋に「ドリーム青森・東京号」(当時)で乗車していました(笑)。
昼行高速バス「仙台・新宿8号」の3列独立シート車両をチェック
乗車時は満席で撮影が出来なかったため、ご紹介する車内の画像は「ドリーム青森・東京号」乗車時に撮影したものです。
車内仕様自体は撮影当時と変わりありません。
車内は、3列独立シート28人乗りの夜行高速仕様。
ブラウン基調の内装が特徴で、落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
座席と通路を仕切るカーテンは、中央列座席を含めた全席に完備。
トイレは、車内中央部の階段を下りた突き当たりにあります。
シートは、天龍工業製の夜行用標準シートを採用しています。
夜行便で快適性を大きく左右するリクライニングの角度もそれなりに深く倒れる仕様になっており、快適に休むことが出来ます。
モバイル充電はコンセントタイプを採用、ひじ掛け下に設置されています。
もちろん、レッグレストや足置き台(フットレスト)も完備。
通路カーテンをセットすると、この様になります。
以上、簡単に車両と車内について紹介しましたが、所要6時間弱の仙台~東京間高速バスとしては十分な充実設備を有しているといえましょう。
【乗車記】仙台→新宿 約6時間の高速バス旅
10時50分、バスタ新宿行き「仙台・新宿8号」は発車10分前に仙台駅東口72番のりばに入線。
乗車改札が行われます。
この便は予約で満席。
発車前ですが、すでに多くの乗客が通路カーテンをセットし、スマホ画面を眺めたりシートを倒して休んでいる様です。
11時00分 仙台駅東口発車
定刻に仙台駅東口72番のりばを発車したバスは、一般道を15分ほど走行し、JR長町駅東口にて乗車扱いを行います。
JR長町駅東口で全ての座席が埋まり、11時20分、JR長町駅東口を発車します。
国道286号などを20分程走行し、11時41分、仙台南インターを通過、東北自動車道へ。
ここから先は、東北自動車道~首都高速道路を走破し、東京都内をめざします。
車内は殆どの乗客が通路カーテンをセット。
思い思いの時間を楽しんでいます。
12時10分~12時25分 国見サービスエリアにて開放休憩
仙台駅東口を発車して約1時間経過した12時10分、バスは1回目の開放休憩場所である国見サービスエリアに到着します。
国見サービスエリアは、福島県伊達郡国見町の東北自動車道上にあるサービスエリア。
宮城県との県境となる国見峠付近にあり、トイレ、フードコート、ショッピングコート(売店)など設備も充実していることから、多くの自家用車やトラック、バスが停車するサービスエリアとして知られています。
施設入口には、ずんだ餅をモチーフにした東北地方のマスコットキャラクター「ずんだもん」が。
声が脳内再生されそうです・・・(笑)。
こちらでは12時25分までの15分間停車。
多くの乗客がバスを降り、トイレや買い物を済ませていました。
バスも、しばしのひと休みです。
14時15分~14時30分 上河内サービスエリアにて開放休憩
乗客が全員揃ったところで、バスは国見サービスエリアを発車。
山間の風景を眺めながら、バスは東北自動車道を南下していきます。
峠を越えると、長閑な福島盆地が車窓一面に広がります。
国見サービスエリアを発車して約2時間の14時15分、2回目の開放休憩場所である上河内サービスエリアに到着します。
上河内サービスエリアは、栃木県宇都宮市の東北自動車道上にあるサービスエリア。
栃木県北端の那須高原サービスエリアと南端の佐野サービスエリアの中間部(やや北寄り)に位置し、東北自動車道の3車線区間が宇都宮インターまで拡幅されて以降、行楽シーズンに渋滞の先頭地になることが多くなっているそうです。
トイレ、レストラン、カフェコーナー、ショッピングコート(売店)など設備も充実しており、こちらも多くの自家用車やトラック、バスが停車するサービスエリアとして知られています。
上河内サービスエリアでは、14時30分までの15分間停車。
殆どの乗客がバスを降り、トイレや買い物を済ませていました。
15時18分~15時30分 羽生パーキングエリアにて開放休憩
上河内サービスエリアを発車したバスは、快晴の空のもと東北自動車道を南下し、東京都内をめざします。
1時間も経っていない15時18分、バスは3回目(最後)の開放休憩場所である羽生パーキングエリアに到着します。
羽生パーキングエリアは、埼玉県羽生市にある東北自動車道上のパーキングエリア。
東北自動車道のPAとしては最も南に位置しますが、上り車線側の施設は2013(平成25)年12月にテーマ型エリア「鬼平江戸処」として「鬼平犯科帳」(池波正太郎著)の世界観に基づく江戸風の建築にリニューアルされ、「江戸時代の日本橋にいるような気分を味わえる」「施設が充実している」と、現在でも人気が高いパーキングエリアです。
羽生パーキングエリアでは、15時30分までの12分間停車。
バスもラストスパートに向けてひと休みです。
私もトイレを済ませた後、パーキングエリア施設を少し見てバスへ戻ります。
17時07分 バスタ新宿到着
羽生パーキングエリアを発車したバスは、さらに東北自動車道を南下し、15時59分に浦和料金所を通過します。
その後、16時04分に川口ジャンクションを通過。
ここから首都高速道路に入り、16時22分に王子ランプを通過、東京都内に入ります。
16時26分、降車専用の王子駅前バス停に到着。
こちらでは乗客2名が下車しました。
王子駅前からは、国道122号から都道305号(芝新宿王子線)を走行し池袋方面へ。
16時38分、池袋駅東口(ビックカメラ前降車停留所)バス停に到着します。
こちらでも乗客数名が下車しました。
順調に走行するかなぁと思いきや、池袋駅周辺と新宿3丁目付近の渋滞に巻き込まれ、バスタ新宿に到着したのは定刻14分遅れの17時07分。
乗客を全員降ろし、車内点検を実施したバスは、休憩先のJRバス関東高速バス統括本部(東京都江東区、旧東京支店)へ回送され、折り返し便の運行に備えるのでありました。
昼行高速バス「仙台・新宿号」のメリット・デメリット
いま一度、昼行高速バス「仙台・新宿号」のメリット・デメリットをおさらいしておきます。
昼行高速バス「仙台・新宿号」のメリット
- 新幹線より圧倒的に安い
- 都市中心部同士を直結
- 3列独立シートで快適
- 本数が多い(土日祝・繁忙期など特定日に限る)
- 車窓が楽しめる
昼行高速バス「仙台・新宿号」のデメリット
- 所要時間が長い
- 渋滞の影響を受ける
- 満席になりやすい
「仙台・新宿8号」に乗ってみての感想
というわけで、JRバス東北「仙台・新宿8号」(仙台→バスタ新宿)乗車の模様をご紹介しました。
久しぶりの「仙台・新宿号」の乗車でしたが、”3回”という程良い休憩回数と”1時間~2時間”という休憩間隔も相まって、意外にも?仙台から新宿までの移動時間があっという間に感じました。
写真を載せてはいませんが、短い休憩時間ながらもサービスエリア・パーキングエリアでの買い物を楽しむことが出来、改めて昼行高速バスの楽しさを感じることが出来ました。
そして、今回は運賃が本当に安かった!
事前購入割引「とく便」とネット割の適用で、仙台~新宿間の片道運賃が3,200円でした。
既存事業者の高速バスでこんなに安くていいの?と思う程にお得でした。
熾烈な競争にさらされていることを考えると複雑な気持ちになりますが、今回に関しては変動制運賃の「功」の部分を垣間見た気がしました。
一方で、今回の乗車では、昼行便における全席通路カーテン装備車のデメリットも。
(筆者も含めですが)カーテンを降ろしていることによって、車内空間の感覚が分からなくなってしまうのと同時に圧迫感を感じるのです。
結果として開放休憩の乗降の際に他客へ気を遣うことになり、特に3回目の休憩では乗降がしんどく感じる様にもなりました。
プライベート空間を重視する現代人にとって、夜行便ではありがたい装備に感じる筈の全席通路カーテンも、こと昼行便ではかえって窮屈に感じることもあるのかなぁと。
これは筆者にとって新たな気付きでした。
「信頼のおける事業者による運行」「運賃・車両サービスを含めたコストパフォーマンスの高さ」が売りのJRバス東北「仙台・新宿号」。
速さでは新幹線に勝てる筈もありませんが、時間がある時や安く移動したい時の選択肢として考えるには十分にアリだと思います。
機会がありましたら是非利用してみてはいかがでしょうか。
【乗車データ】
- 乗車日:2025/12/15
- 乗車区間:
仙台駅東口→バスタ新宿(新宿高速バスターミナル) - 運行会社:JRバス東北
- 車両:日野/セレガHD(QRG-RU1ESBA)
- 年式:2016年式
- 所属:仙台支店
- 社番:H677-16403
今回ご紹介した「仙台・新宿号」の一部便に「グランドリーム」車両が投入されます!
▶【お知らせ】仙台~首都圏線「グランドリーム」車両の運行開始!(JRバス東北公式サイト)
「百万石ドリーム政宗号」(仙台~富山・金沢)で活躍中のJRバス東北の「グランドリーム」車両(日野セレガHD)
同社の「グランドリーム」車両は、現在「百万石ドリーム政宗号」(仙台~富山・金沢)で投入されていますが、この度追加導入の上、「仙台・新宿8号・9号」(昼行便)と「ドリーム仙台-新宿/横浜15・16号」(夜行便)に投入されることになりました。
▶JRバス東北「百万石ドリーム政宗号」(「グランドリーム」車両)の乗車記はこちら
運行開始は2026年04月1日。
早く乗ってみたいものです。



