「キングオブ深夜バス」「キング・オブ・夜行バス」こと、西日本鉄道(本社:福岡市、以下:西鉄)の東京新宿〜北九州・福岡間夜行高速バス「はかた号」。
運行距離が1,000kmを超える、日本最長クラスの夜行高速バスとしても有名です。
「はかた号」については、これまで何度か乗車記をメインにこのブログで取り上げて来ました。
しかし、ふと思ったのです。
- 2020年に導入された現行車両のビジネスシートの乗車記を1度もご紹介していない。
- しかも、他の方のブログやSNSなどを見ていると、意外にもビジネスシートのレビューが紹介されていない(紹介数が少ない)。
- であるならば、この機会に乗車してレビューしようではないか!
ということで、先日「はかた号」を利用する機会があり、席数の多いビジネスシート(3列独立シート)に東京新宿から北九州小倉まで乗車して来ました。
今回は、その時の模様をご紹介します。
かつての賑わいを取り戻しつつあるバスタ新宿
やって来たのは、東京都渋谷区の新宿駅新南口に位置する、日本最大級の高速バス専用バスターミナル「バスタ新宿」。
ここ最近、よく訪れている気がします。(写真はイメージです。)
画像はありませんが、まん延防止等重点措置が2022(令和4)年3月21日をもっていったん終了した影響からか、前回訪れた2022(令和4)年3月に訪れた時と比較すると、待合室でバスを待つ人の数は確実に増えている印象が。
コロナ禍前の全盛期までとはいきませんが、かつての賑わいを取り戻しつつあります。
「はかた号」が発車するのは、4階高速バスのりばのD10のりば。
最近になって、のりばのLED表示器が更新されました。
20時40分頃、バスタ新宿D10のりばに、1台のバスが入線します。
西鉄の夜行高速バス「はかた号」です。
いつも見られる光景とはいえ、やはりこの車体とカラーリングを見るに、「キング・オブ・夜行バス」の風格を感じますね。
入線後、早速乗車改札が始まります。
平日であるにもかかわらず、多くの乗客がバスの乗車を待っていました。
気になる西鉄「はかた号」の外観と車内
何度かご紹介していますが、西鉄「はかた号」の現行車両について、改めてご紹介します。
今回乗車した車両はこちら↓。
西日本鉄道博多自動車営業所所属の0001号車(三菱エアロクイーン 2TG-MS06GP)です。
2020年7月1日に運行を開始した最新車両で、パールホワイトメタリックの車体に「Line connecting Hakata with Tokyo」のロゴが入った「はかた号」専用カラーリングの外観は変わりませんが、フロントマスクが2019年モデル(いわゆる「令和顔」)に変更されたことにより、より精悍になった印象を受けます。
車内は、先代の「はかた号」専用車を踏襲した23人乗りの夜行高速仕様。
前方4席が個室タイプの「プレミアムシート」、後方19席(予備席を含む)が3列独立の「ビジネスシート」になっています。
プレミアムシート
最上級シートの「プレミアムシート」は、先代の専用車と同様にマジカルテクニカ製バス用シートを採用しています。
シートスペックは、シート座面幅約56cm、背もたれ幅約69cm、最大リクライニング角度150度、シートピッチ135cmとなっており、先代車両のプレミアムシートと比較すると、座面幅が約6cm、背もたれが約19cm拡大されています。
ゆったりとした座り心地が特長です。
プレミアムシートの詳細については、下記の記事にて紹介していますので、併せてご覧いただけると幸いです。
ビジネスシート
そして、こちらが今回私が乗車した、車内後方に設置されている3列独立タイプの「ビジネスシート」です。
ビジネスシートは、車内後方部に19席(予備席1席を含む)設置されています。
画像はありませんが、全席にフェイスカーテンを設置しており、座席の横のみならず前後も仕切られることから、狭いながらも個室感覚で眠ることが出来ます。
詳しく見ていきましょう。
シート自体は、一般的な夜行用シートをベースにした本革仕様になっています。
但し、背もたれについては、本革とモケットの組み合わせとなっており、モケット部分がシートデザインのちょっとしたアクセントにもなっています。
先代のビジネスシートは、プレミアムシートと同様のマジカルテクニカ製を採用していましたが、今回の新型車両においては、シート形状やスイッチ類を見るに、天龍工業製の特注シートを採用しているものと推測されます。
シートスペックは、シート幅約46cm、最大リクライニング角度約143度、シートピッチ約95cmと、先代のビジネスシートとスペックは変わりませんが、ダブルクッションを採用するなどの改良が施されています。
3点式シートベルトを全席に採用するなど、安全・安心を売りにしているのが特長です。
肘掛下には、シートのリクライニングボタンとSOSボタンを設置しています。
シートのリクライニングは、青色の輪が付いたボタンを押しながら背もたれを押すと、シートが倒れる様になっています。
また、肘掛は先端のボタンを押すと下に倒れる様になっています。
レッグレストと足置き台(フットレスト)です。
足置き台(フットレスト)は、足を伸せる面がモケットになっており、靴を脱いで脚を伸ばした際に滑りにくくなっています。
また、足置き台の奥行きは空洞になっており、脚をゆったりと伸ばすことが出来ます。
シートポケットです。
各種案内リーフレットと使い捨てスリッパが入っています。
読書灯は、前席のシート背面とエアコンダクト(窓側座席のみ)の2箇所に設置。
この点においては、プレミアムシートよりも優れているといえるでしょうか。
肘掛の下には、モバイル充電用のUSBポートが一口設置されています。
プレミアムシートと同様、コンセントタイプではないので注意しましょう。
ビジネスシート利用者に提供されるお茶と使い捨て方式のアイマスクです。
その他の設備
トイレは、車内中央部の階段を下りた突き当たりにあります。
この車両に限ったことではありませんが、あくまで非常用と考えた方が良いかもしれません。
無料Wi-fi「Kyushu Bus Network Free Wi-fi」も完備しています。
1回の接続時間は最大720分です。
細かなところでは、この様な工夫も。
写真は、シートベルトのバックルですが、シートベルト非着用時にバックルのLEDランプが点滅する様になっています。(写真はプレミアムシートのシートバックルです。)
安全対策も強化されています。
この車両には、EDSS(ドライバー異常時対応システム)を搭載。
車内の車両停止スイッチは、プレミアムシート1A/1B席の外壁上部に取り付けられています。(写真はイメージです。)
また、この車両には、左折時の巻き込みを防ぐ機能(アクティブサイドガードアシスト)や、タイヤの異常を検知するTPMS(タイヤプレッシャーマネジメントシステム)を導入。
これらの装置の一部は、通信型ドライブレコーダーと連動しており、運行管理者がリアルタイムで運行の状況を確認することで、万一異常が発生した場合に迅速に対応することが出来る様になっているそうです。
夜景を見ながら西進 消灯前の開放休憩ではお買い物も
今回アサインされたのは、ビジネスシートの7C席。
乗車の前日に予約したということもあって、車内後方の窓側座席を選択しました。(写真はイメージです。)
ひと通り車内を見渡しますが、プレミアムシートは4席全て満席、ビジネスシートも窓側座席は満席で、通路側座席も数席埋まる程の座席の埋まり具合でした。
平日でこの座席の埋まり具合・・・着実に人の動きが戻っていることを実感します。
21時00分 バスタ新宿発車
予約済みの乗客が揃い、バスは21時00分定刻にバスタ新宿を発車。
スロープを下り、甲州街道から山手通りを経由し、初台南ランプから首都高速道路中央環状線に入ります。
甲州街道に出たところで、乗務員による運行経路・車内設備の案内がマイクを通じて行われ、その後、車内を回ってサービス品の提供と不明点がないかの確認をしていきます。
過不足無く丁寧な案内とサービスも、乗務員による当たり外れが少なく、流石といったところでしょうか。
21時08分 初台南ランプ通過
初台南ランプからは、首都高速道路中央環状線~同3号渋谷線〜東名高速道路~新東名高速道路を走行。
夜のハイウェイクルージングを楽しみます。(写真はイメージです。)
沼津市付近を通過したところで、改めてビジネスシートの座り心地を確認します。
先代のシートと比較すると、ダブルクッションのおかげか、先代のビジネスシートで見られた「シートのへたり」によるシートの硬さを感じません。
以前にご紹介したプレミアムシートと同様、腰かけた際の心地良さが改善されている印象を受けます。
23時14分~23時29分 静岡サービスエリアにて開放休憩
新宿から2時間程で、バスは消灯前の休憩場所である静岡サービスエリアに到着します。
こちらでは開放休憩時間として15分停車しました。
消灯後は翌朝まで一切下車できないということもあり、殆どの乗客がバスを降りてトイレや洗顔、買い物などを済ませていました。
私もバスを降りて洗顔を済ませた後、売店にて静岡の土産物などを購入します。
静岡サービスエリアの売店は24時間営業となっており、品揃えも豊富。
土産物を買い忘れ方は、こちらで購入すると良いでしょう。
深夜の長時間走行に向けて、バスもしばしのひと休みです。
23時35分 消灯
乗客が全員揃ったところで、バスは静岡サービスエリアを発車します。
発車後、ハンドルを握っていない乗務員がビジネスシートのフェイスカーテンをセットし、23時35分に車内は消灯されました。
この後、バスは数か所のサービスエリア(鈴鹿パーキングエリア、三木サービスエリア、福山サービスエリア)にて乗務員交代のために停車しますが、乗客は翌朝の開放休憩まで下車することができません。
その間、バスは新東名高速道路~伊勢湾岸自動車道~新名神高速道路~名神高速道路~中国自動車道~山陽自動車道を福岡へ向けてひた走ります。
消灯になったところで、シートを倒してみますが・・・これが思いのほか深く倒れるのです!
座席の位置にもよりますが、人によっては「プレミアムシートよりも深く倒れる」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
シートを倒し、座席前後を仕切るカーテンをセットして目を瞑ると、いつしか夢の中へ。
夜行バス独特の蒸し暑さを感じつつも、翌朝までぐっすりと眠ることが出来ました。
晴天の山陽路を西進 関門橋を渡り九州へ・・・
07時00分過ぎ、山口県岩国市付近を通過したところで目を覚まします。
右手に広がる車窓を楽しみながら、のんびりと過ごします。
進行方向左側座席であれば、車窓一面に広がる瀬戸内の風景が楽しめるのですが、今回は進行方向右側の座席。
山々の風景が車窓一面に広がります。
これはこれで、順調に山陽路を走行していることを実感出来るのですが、「はかた号」に乗車するのであれば、朝の瀬戸内の風景が楽しめる進行方向左側の座席をお勧めします。
07時59分 起床
乗務員による案内放送で起床。
ほぼ定刻通りに運行している旨の案内が行われた後、ハンドルを握っていない交代乗務員が前方のカーテンとビジネスシートの中央列にセットしていたプライベートカーテンを片付け、その後、朝の休憩場所到着の案内が行われます。
08時05分~08時20分 佐波川サービスエリアにて開放休憩
静岡サービスエリア発車後、8時間半程でバスは朝の休憩場所である山陽自動車道佐波川サービスエリアに到着します。
こちらでは15分間の開放休憩となりました。
殆どの乗客がバスを降り、トイレや洗顔、朝食の買い出しなどを済ませていました。
佐波川サービスエリアは、山陽自動車道の中でも比較的大きなサービスエリア。
コンビニ(セブンイレブン)や牛丼の吉野家も入居しています。
流石に吉野家の牛丼弁当を購入して車内で・・・というわけにはいきませんが、匂いの少ない軽食類や飲み物をセブンイレブンで購入して車内に持ち込むことは可能です。
そして、以前にも書きましたが、佐波川サービスエリアといえば、こちらも健在。
バラエティTV番組「水曜どうでしょう」の聖地、佐波川サービスエリアの案内地図盤です。
佐波川サービスエリアに停車中の「はかた号」です。
北九州・福岡へのラストスパートに向けて、バスもしばしのひと休みです。
09時21分〜22分 関門橋通過
佐波川サービスエリアを発車した「はかた号」は、北九州・福岡へ向けて山陽自動車道を西へ進みます。
ここから先は、昼行高速バスの雰囲気を味わいながら福岡へと向かいます。
09時21分〜22分、バスは関門橋を通過。
東京新宿を発車して約12時間、いよいよ九州に入ります。
09時48分 小倉駅前到着
09時27分、門司インターを通過。
ここから先は、北九州都市高速道路を小倉市街へと向かいます。
09時36分、富野ランプを流出。
小倉中心部に入り、先日発生した旦過市場の大規模火災による道路通行止めの様子を見ながら、09時48分、バスは最初の降車停留所である小倉駅前(高速バス降車場)に到着しました。(写真はイメージです。)
この後、バスは砂津(チャチャタウン前)、黒崎インター引野口に停車後、福岡市内の西鉄天神高速バスターミナル、博多バスターミナルへと向かいますが、今回は諸事情によりこちらで下車。
福岡へ向けて発車するバスの後姿を見届けながら、私は次の目的地へと向かうのでありました。
ビジネスシートの選択もアリ!?
以上、西鉄「はかた号」新型車両【ビジネスシート】(新宿→北九州)の乗車時の模様をお届けしました。
今回も、過ぎてゆく時間があっという間に感じた、充実したバス旅を楽しむことが出来ました。
「はかた号」現行車両のレビューは、これまでに3本紹介しております。



で、気になるのは「今回乗車したビジネスシートはお勧め出来るのか?出来ないのか?」という点ではないでしょうか。
結論から申しますと、「安く、眠りに徹したいのであれば、ビジネスシートの選択もアリ」です。
今回乗車したビジネスシートですが、プレミアムシートと同様、まさしく「先代車両の進化版」といえます。
特に、シートがダブルクッションになっている点と、リクライニングの角度が想像以上に深かった(プレミアムシートのリクライニング角度よりも深く感じる?)点が、個人的には好印象でした。
足置き台の奥行も空洞になっており、足をゆったり延ばすことが出来、長身の方でもゆったりと身体を伸ばせられるのではと感じました。
もちろん、西鉄伝統のフェイスカーテンも健在。
プライベート空間の確保という点においても配慮がなされています。
そして、なんといっても、ビジネスシートは運賃が安い!
繁忙期でも最高値18,000円で利用出来、閑散期では最安値9,000円で利用することが出来るのです。
ダイナミックプライシング型運賃制度を導入しているため、実際には予約・購入のタイミングで随時変動しますが、3列シート・トイレ付き車両で出来るだけ安く移動したい方は、WEBで安い運賃を狙ってみてはいかがでしょうか。
一方で、1人当たりの占有空間が狭い、夜行バス独特の蒸す暑さを感じるというデメリットも。
これに関しては、ある程度自己防衛するしかありませんが、他社の4列シートトイレなし車両で運行する路線と比べると、天と地の差があるといって良いでしょう。
色々と書きましたが、
「プレミアムシート」は”広い空間で自分だけの時間を楽しみながら移動したい方にお勧めしたいシート”
「ビジネスシート」は”出来るだけ安く眠りに徹したいという方にお勧めしたいシート”
です。
予算と好みでグレードが選択出来る西鉄の夜行高速バス「はかた号」。
もし機会がありましたら、是非一度乗車してみてはいかがでしょうか。
【乗車データ】
- 乗車日:2022/04/18
- 乗車区間:
バスタ新宿(新宿高速バスターミナル)→小倉駅前(高速バス降車場) - 運行会社:西日本鉄道
- 車両:三菱/エアロクイーン(2TG-MS06GP)
- 年式:2020年式
- 所属:博多自動車営業所
- 社番:0001



