西鉄「GRANDAYS」有田・波佐見を巡る日帰りツアーに参加してみました
世界的にも有名な「有田焼」の産地を散策
車内にて観光協会のガイドさんが挨拶した後に、佐賀県有田町についての簡単な説明と、今春の有田陶器市がコロナにより(中止ではなく)延期されたこと、代わりに「WEB陶器市」を実施したところ約47万のアクセスがあったとのことなどの説明がありました。説明が終わると、間もなくして最初の訪問地に到着します。
ブラタモリにも登場した泉山磁石場
最初に訪れたのは、国指定史跡としても知られている泉山磁石場です。
17世紀初頭、朝鮮人陶工・李参平が磁器の原料である「陶石」を発見した場所で、「磁器発祥の地」ともいわれています。
日本の磁器生産に関わる遺跡として国の史跡にも指定されました。
約400年間掘り尽くしたとされる山は扇形に削り取られ、鋭利な岩肌が剥き出しとなっています。
遠くから見ても、迫力がありますね。
現在は休鉱中で採掘されていませんが、磁石場が見学できる公園となっています。
2018年10月に放送された「ブラタモリ#116 有田焼~なぜ“世界の有田焼”になった?~」(NHK総合)にも登場した場所ですので、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
因みに、有田焼の原料となる「陶石」、かつては先述の泉山磁石場から採掘された陶石を使用していましたが、現在は天草(熊本県)の陶石が用いられているとのことでした。
こちらの紹介パネルも、泉山磁石場から採掘された陶石を用いて作られているそうです。
内山地区で散策とティータイム
続いて訪れたのは、伝統的建築物が立ち並ぶ内山地区。
こちらでガイドによる散策とティータイムを楽しみます。
内山地区では、「トンバイ塀のある裏通り」を散策。
トンバイ塀とは、登り窯を築くために用いた耐火レンガ(トンバイ)の廃材や使い捨ての窯道具を赤土で塗り固め作った塀のことですが、まあ、趣のある面白い裏通りでした。
ですが、私的には、こちらの建物が一番興味深かったですね。
かつて有田町長にも就任し、日本特殊陶業初代社長や日本碍子社長、東洋陶器(現 TOTO)社長・会長を務められた江副孫右衛門(えぞえ まごえもん)氏の旧家です。
有田では有名な方らしいですが、あの有名企業のトップを務められた方の旧家がこの場所にあったとは・・・。
第百十二代霊元天皇の時代から皇室(宮内庁)御用達の窯元として知られている辻精磁社も、こちらのエリアにあります。
「トンバイ塀のある裏通り」での散策を終え、少し移動。
有田焼の伝統に「モダン」「スタイリッシュ」の特徴を取り入れた「ARITA PORCELAIN LAB(アリタポーセリンラボ)」のショップに併設されているカフェにて、ティータイムとなりました。
好きな色のカップを選択し、飲み物を注文。
散策で多少汗をかいたということもあり、アイスコーヒーを注文しました。
カップもおしゃれですね。
ショップも覗いてみました。
これまで見て来た有田焼とは一線を画す「モダン」「スタイリッシュ」な器が並びます。
「ARITA PORCELAIN LAB(アリタポーセリンラボ)」公式サイト
バスに戻る道のりでは、この様な建物も。
有田焼を取り扱う有名な商店とのことでした。
370年以上の歴史を誇る「柿右衛門窯」の工房を特別見学
ティータイムが終わったところで、次に向かったのは、370年以上の歴史を誇り、有田焼を代表する窯元のひとつである柿右衛門窯。
その製陶技術は国の重要無形文化財にも指定されていますが、今回のツアーでは、普段立ち入ることが出来ない工房を特別見学しました。
「柿右衛門」「柿右衛門様式」についてはこちらの公式サイトにて詳しく書かれていますので、詳細な説明は省きますが、非対称で乳白色の余白が豊かな構図が特徴の柿右衛門様式の器類は、一つ一つ手作りで作られます。
作品自体は「酒井田柿右衛門」名義となりますが、実際の工房は「細工場」「絵書座」「仕上場」など、作業工程によって部屋が分かれており、約40人の職人による完全分業制をとっているそうです。
18歳位で入工すると定年までずっとその作業を極めるらしく、だからこそ高品質の焼き物を作り続けられるんだとか。
凄い世界ですよね。
因みに、当代の窯主である「酒井田柿右衛門」は十五代目だそうですが、先述の通り、工房が完全分業制をとっているため、実際の窯主の役割はどちらかというと「製作チームの統括者(プロデューサー)およびデザイナー」として考えた方がより実像に近いのかもしれません。
残念ながら、工房内は撮影禁止のため、画像をアップすることは出来ませんが、張り詰めた空気の中で黙々と作業をする職人の姿が印象に残りました。
こちらは、「素焼き」「本焼き」用の窯です。
燃料として使用する薪は、油分が多く焼き上がりが良いアカマツを使用しているそうです。
その後、展示場・参考館も見学(こちらも撮影禁止)。
またひとつ知を得た時間でもありました。
因みに、柿右衛門窯の作品はJR九州の豪華クルーズトレイン「ななつ星」の洗面鉢に採用されており、この洗面鉢(先代14代目酒井田柿右衛門の遺作)も館内に展示されていました。
展示場・参考館と「GRANDAYS」専用車です。
絵になりますね。
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