WILLER(網走バス)「レストランバス」2号車【小樽・石狩湾ランチコース】乗車記
都市間高速バス事業や京都丹後鉄道などでお馴染みのWILLER株式会社と企業や自治体のブランドプロデュースを手掛ける株式会社umariが、共同事業という形で2016年4月より運行を開始しました。
これまでに新潟、東京、熊本、沖縄で運行して来ましたが、このレストランバスが今年2017年の夏に北海道で運行されていることをご存知でしょうか。
網走バス(本社:網走市)が、関東を中心に高級和食店を展開する株式会社僖成とWILLER株式会社から企画支援を受ける形で、バスツアー形式で催行。
2017年7月22日より網走地区にて運行を開始し、8月のお盆休みまでの期間、全12コース運行されましたが、お盆休み明け以降は場所を札幌に移し、札幌市内や小樽地区を回る全5コースを9月30日まで運行することになっています。(但し、9月2日~3日は美瑛地区を回る農協観光主催のツアーに充当。)
私自身、WILLERの「レストランバス」については、「これまでにない新しいコンセプトのバス」ということで以前から興味を持っており、「近いうちに乗車出来ればなぁ・・・」と思ってはいたのですが、これまで乗れずじまいでした。
今般、「レストランバス」が北海道札幌に来ると聞き、「この機会に乗っておかなければ・・・」ということで、8月下旬に昼間のコースと夜のコースに乗車して来ました。
今回はその時の模様の中から、昼間のコース「小樽・石狩湾ランチコース」に乗車した時の模様をご紹介します。
「移動」と「食」が融合した新しいコンセプトのバス
ここで、WILLERの「レストランバス」について簡単にご紹介しましょう。先述の通り、WILLERの「レストランバス」は、『地方ごとの「食」を広く発信したい』『日本の地域の食の魅力をもっともっと多くの人に知ってもらいたい』という想いから企画され、2016年4月に運行を開始しました。
コンセプトは、「移動」と「食」の融合。
移動しながら美しい景色とともに料理が楽しめ、運行地の新鮮な食材が味わえ、その土地の旬に出会うことが出来るのが特長です。
ベース車両は、かつて都市間高速路線バスとして活躍していた三菱エアロキング(BKG-MU66JS)。 車体価格とほぼ同様の金額をかけて改造されました。
1階には料理が作れるキッチンが配備され、2階には乗客25人が着席できる座席とテーブルが設置されています。
各テーブル窓側には携帯電話・スマートフォン充電用のコンセントも完備。
さらに天井が手動開閉式の透明の屋根になっており、暖かな天気の良い日にはオープントップで開放的な景色を楽しむことが出来ます。
現在、WILLERの「レストランバス」は2台在籍しており、北海道で運行されている車両は『祭り』をテーマにした2号車となります。
因みに、1号車の方は、KADOKAWAグループの株式会社クールジャパントラベルとの共同事業による「君の名は。カフェバスin東京」として、10月29日まで東京都内にて運行しています。
「君の名は。」専用ラッピングを纏っているとのことで、こちらにも乗車してみたいですね。
美味しい和食と小樽プチ観光が楽しめる「小樽・石狩湾ランチコース」
私がまず乗車したのは、主に週末に催行される「小樽・石狩湾ランチコース」。札幌~小樽間のハイウェイドライブと小樽運河の散策、そしてレストランバスでのテーブルで美味しい和食が楽しめるコースとなっております。
待ち合わせ場所は、札幌駅北口の「鐘の広場」。
ウェイター役を兼ねる網走バスのガイドさんに連れられ、貸切バス駐車場にて待機している「レストランバス」へ移動します。
札幌駅北口の発車時刻は11時30分。
普段よく見ている日常の光景も、アイポイントの高い2階建てバスからは非日常の光景に映ります。
落ち着いたところで、ビールを頼みます。
このコースではドリンク類が有料となっており、3枚1,000円のコインを購入してコインで支払う方式を採っています。
種類によって支払うコインの枚数が決まっており、ビール(網走ビール・サッポロCLASSIC)は2枚、ソフトドリンクは1枚などとなっておりました。
この他にワイン、日本酒も用意されていました。
札幌駅北口から創成川通りを北上し、札幌新道を左折したバスは、札幌北インターから札樽自動車道へ。
ここから小樽までは、右手に札幌・小樽の街並みと石狩湾を眺めながらハイウェイを走行します。 ハイウィからの車窓を楽しみながらぐびぐびと・・・ビールが進みますね。
結局この日は、札幌駅北口に戻るまで3缶開けてしまいました。
札幌駅北口から20分程でバスは札幌市手稲区にある金山パーキングエリアに到着。
こちらでトイレ休憩を兼ねて10分間停車します。
折角だからということで、バスの外観をパチリ。
休憩が終わったところで、1品目の料理が提供されます。
前菜は「帆立酢〆と紅ずわい蟹昆布〆 野菜ジュレ」。
酢で〆めた帆立と昆布で〆めた紅ずわい蟹を野菜のジュレで頂くのですが、素材と酢(昆布)との〆具合のバランスが絶妙でした。
そして椀ものは「美幌あすぱら摺り流し バター醤油塩」。
美幌産のアスパラを摺りおろしたものを、バター醤油塩と混ぜていただくというものでしたが、私達が一般的に知るアスパラの楽しみ方とはまた違った楽しみ方を教えて貰った気がしました。
さっぱりとしていて美味しかったです。
右手に石狩湾を眺めながら、バスは小樽市内へと入ります。
小樽市内に入り、バスは色内埠頭の駐車場前へ。
手動の開閉ルーフを全開にして、こちらでバスをしばし昼食時間となります。
目の前には海上保安庁の巡視船が停泊しており、釣りを楽しんでいる方や散歩をされている方など、それぞれの休日を楽しんでいる様でした。
陽射しが多少きついものの、海からの穏やかな風が大変心地良いです。
こちらでは、メインの肉料理とご飯物が提供されます。
メインの肉料理は「北海道産和牛山椒焼き」。
北海道産の和牛の上に、玉葱味噌と山椒がかかった焼きものですが、中に根菜が入った芋饅頭が入っており、芋饅頭を和牛で包んで食します。
和牛と芋饅頭・玉葱味噌のバランスが絶妙で、緑色の山椒が見た目の良いアクセントになっていたのが印象に残りました。
ご飯物は「時鮭の焼きうずめ飯 大和しじみ出汁」。
うずめ飯とは本来、島根県西部(石見地方)の山間部で食べられている郷土料理らしいのですが、こちらは時鮭が入ったご飯の上に薬味をかけ、その上から大和しじみの出汁をかけたものになります。
時鮭はもちろんなのですが、大和しじみの出汁が優しい味でとにかく美味しかったです。
お酒を飲んだ後にじっくり味わいたい一品だと思いました。
一通り食事を終えたところで、バスは小樽運河の貸切バス駐車場へ移動。
こちらで約50分間の散策休憩となりました。
私自身、小樽運河に来たのが久しぶりということもあり、僅かの時間ではありますが小樽運河周辺を散策してみました。 出発時曇っていた空模様も、この時は晴天に。
休日ということもあり、外国人観光客を中心に多くの方が訪れていました。
久しぶりに歩いて見る小樽運河も、中々良いものですね。
散策や買い物を終えバスに戻った私。
小樽運河出発時に、最後の料理(甘味もの)が提供されます。
提供された甘味ものは、北海道産の小豆を使用した「あわぜんざい」。
恥ずかしながら、あわのぜんざいというものを食べたのは生まれて初めてだったのですが、通常のぜんざいとはまた違った食べやすさでした。
ぷちぷちとした食感も癖になりそうです。
小樽運河を発車したバスは、今度は左手に石狩湾を眺めながら札樽自動車道を札幌へ向けてひた走ります。
そして15時00分、バスは札幌駅北口に到着しました。
ウェイター役を兼ねる網走バスのガイドさんの他、網走バスの乗務員、「僖成」の料理人の方々に見送られながらバスを下車。
「見て楽しい」「食して楽しい」料理と、アイポイントの高い2階建てバスの旅に満足した私は、ほろ酔い気分でJR札幌駅へと向かうのでありました。
販路の拡大とインバウンド対策が今後の課題?
というわけで、WILLER(網走バス)「レストランバス」2号車【小樽・石狩湾ランチコース】の乗車記をお届けしました。初めての乗車でしたが、一言でいえば「美味しい料理がレストランバスで楽しめる定期観光バス」といったところでしょうか。
乗車前は「料理がメインで観光は二の次なのかなぁ」と思っていましたが、いざ乗車してみると、きっちりガイドさんによる観光案内も行っており、これに加えて「見ても楽しい」「食して楽しい」料理の数々、さらにはアイポイントの高い2階建てバスからの車窓が楽しめるという点で、これなら札幌からの「小樽プチ観光」のツールとしても使えるのではと感じました。
問題は11,800円というツアー催行価格。
これを高いと見るか安いと見るかは、正直な話、人それぞれの判断になるかと思います。
ですが、北海道観光の思い出作りとして乗車するということであれば、「まあこの金額であれば払っても良いかなぁ。」というのが私個人の感想です。
あと、これは今後の課題にもなろうかと思いますが、今回の北海道での運行は、網走バス主催のツアーという形で運行されています。
これに伴い、今回は残念ながらWILLER公式サイトでの販売という形をとっておらず、ツアーに申込みする際は、網走バス宛にメールで申し込み、振込にて代金を支払うか、ツアー予約サイト「オプションブックマーク」(クレジット決済のみ)にて予約決済する必要があります。
そのためか、各マスコミなどで取り上げられているにもかかわらず、どうもPRが思うように周知されていない印象を受けました。
実際に私が乗車した日も、乗客は私一人のみでしたし、伺った話によると、日によっては予約が入ってるものの、全般的に空席が多数あるとのことでした。
札幌での運行を始めてから日が経っていなかったということもありますが、アクセス数が多いWILLER公式サイトでの予約を受け付けるなど、販路の拡大が必須なのではと感じました。(それでも、最近は日によって満席の便も出ているようですが・・・。)
併せて、来年以降の運行を・・・ということも考えると、インバウンド対応も考えなければいけないのかなぁとも感じました。
インバウンド対応については、「僖成」の料理人の方も「来年はインバウンド対応も考えたい。」と仰っていましたので、もしかすると来年も北海道での運行を・・・と考えているのかもしれません。
デビュー2年目を迎え、初めて北海道で運行されているWILLERの「レストランバス」。
食の宝庫「北海道」で走らせるのに相応しいバスであるといえましょう。
今後の運行予定ですが、9月30日まで札幌市内及び近郊にて全5コース運行されることになっています。
(但し、9月2日と3日は農協観光主催のツアーで美瑛へ出張予定。)
お手軽な金額で札幌中心部の夜景を眺めながら軽く一杯が楽しめる「ビアナイト・レストランバスSAPPORO」というコース(3,980円)もあります。
興味がある方は一度ご利用されてみては如何でしょうか。
詳しくは、網走バスの公式サイト(レストランバスの旅)にてご確認をお願いいたします。
【乗車データ】
- 乗車日:2017/08/19
- 乗車区間:
札幌駅北口→小樽運河→札幌駅北口 - 運行会社:網走バス(車両所有はWILLER)
- 車両:三菱/エアロキング(BKG-MU66JS)
- 年式:不明
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