大阪空港交通、阪急観光バスを吸収合併へ 高速路線の移管も
大阪国際空港(伊丹空港)及び関西国際空港を拠点に空港リムジンバスを運行する阪急バスグループの大阪空港交通(本社:豊中市)が、同じく阪急バスグループの阪急観光バス(本社:大阪市)を2022(令和4)年7月1日付で吸収合併し、社名を「阪急観光バス株式会社」に変更することが発表されました。
大阪空港交通 なんばOCAT~大阪国際空港(伊丹空港)線
阪急観光バス「池袋・新宿・渋谷~大阪線」
【プレスリリース】
『大阪空港交通と阪急観光バスの合併および阪急バスの高速路線の移管に関するお知らせ』(阪急バス公式サイト)
詳細はプレスリリースをご覧いただくとして、(先述の通り)現在の大阪空港交通を存続会社として阪急観光バスを吸収合併し、社名を「阪急観光バス株式会社」に変更するという内容です。
これにより、「大阪空港交通」という商号(会社名)は消滅することになります。
大阪空港交通ってどんな会社?
大阪空港交通が設立されたのは、1963(昭和38)年6月25日。阪急バスと日本航空それぞれ50%出資し、「大阪空港交通株式会社」が設立されました。
運行開始当初は、大阪(梅田)・京都・神戸の3路線で運行を開始しましたが、日本航空系の会社ということもあり、利用は日本航空の利用者とその送迎者、日本航空の社員に限定されていたといいます。
その後、日本航空利用者に限定していた方針が改められ、運行経路変更によるスピードアップや路線拡充、大阪万博の開催、関西国際空港の開業などで、着実に利用客数を増やすことになります。
2007(平成19)年には、日本航空インターナショナル(当時)が35%の株式を阪急バスに譲渡。
阪急バスの出資比率が85%となり、同社の子会社となります。
その後、更に出資比率が変更になり、現在の大阪空港交通は、阪急バス100%出資の完全子会社になっています。
阪急観光バスってどんな会社?
一方の阪急観光バスが設立されたのは、1987(昭和62)年。元々は、阪急電鉄が発起し関西大手私鉄5社の共同経営による「関西観光自動車株式会社」が起源となっています。
関西観光自動車は、バス専業だけに留まらず、日本航空と契約して伊丹空港~大阪市内の空港輸送、極東航空(現在の全日本空輸)とも業務提携し、空港送迎バスの運行も始めますが、共同運営していた各私鉄が自身で貸切バス事業に進出したことで、1954(昭和29)年12月に阪急電鉄直系となり、その後、1962年(昭和37年)4月に阪急バスに吸収合併されます。
この後、空港輸送については、先述の大阪空港交通を設立し対応。
一方の観光部門については、万国博輸送のあとに関西大倉学園・芦屋学園等の通学輸送を開始しますが、京都地区の観光事業の廃止など、一部事業を縮小していきます。
その様な中で設立されたのが、現在の阪急観光バスであります。
同社設立後は、阪急バスグループの観光部門として貸切バスを運行しますが、ここ20年来で目立つ動きとして、阪急バス本体で運行していた高速路線の移管があげられます。
最初に移管されたのは、九州路線3路線でした。
「ムーンライト号」(大阪梅田~北九州・福岡)、「ロマン長崎号」(大阪梅田~長崎)、「さつま号」(大阪梅田~鹿児島)の3路線が阪急バス本体から移管されますが、いずれも廃止。
その後、大阪~渋谷・新宿・池袋線、大阪~伊那線「アルペン伊那号」などが移管され、現在は計6路線の高速乗合バスを運行しています。
阪急観光バスに移管された「ロマン長崎号」。2013年5月末日をもって廃止された。
残りの阪急バス高速路線も全て移管へ・・・
そして、今回の合併に併せて、現在阪急バス本体が運行している高速路線13路線全てが、新会社(阪急観光バス)に移管されることも発表されました。移管される路線は次の通りです。
【阪急バス本体から阪急観光バス(新会社)へ移管される路線】
- 大阪~新見・三次 線
- 大阪~宮津・天橋立・峰山 線
- 大阪・京都~新潟線「おけさ号」
- 大阪~松江・出雲線「くにびき号」
- 大阪・京都~松本線「アルペン松本号」
- 大阪~松山・八幡浜線「オレンジライナーえひめ号」
- 大阪~高知線「よさこい号」
- 大阪~高松線「さぬきエクスプレス大阪号」
- 大阪~鳴門・徳島線「パールエクスプレス徳島号」
- 大阪~阿波池田線
- 大阪・京都~富山線
- 有馬温泉~大阪線
- 有馬温泉~京都線
阪急観光バスに移管される予定の「おけさ号」(大阪・京都~新潟)
【<参考>現在阪急観光バスが運行している高速路線】
- 大阪~新宿・渋谷・池袋線
- 大阪~城崎温泉線
- 有馬温泉~大阪線
- 大阪~洲本線「パールエクスプレス洲本号」
- 大阪~伊那・箕輪線「アルペン伊那号」
- 大阪~福井線
高速路線の移管に伴い、大阪梅田にある阪急三番街高速 バスターミナルの運営なども、新会社へ移管される予定です。
最後に
昨今のコロナ禍で、各バス事業者がかつてない厳しさにかれていることは周知の事実であり、今後何があってもおかしくないと考えるのが一般的でありましょう。とはいえ、今回の合併発表は(筆者も含め)驚かれるバスファンの方も少なくないのではと思います。
「OKK」という略称としても親しまれてきた会社名が消滅することに、一抹の寂しさを感じますが、プレスリリースにある通り、「経営資源を一元化による事業競争力の強化、空港・高速・貸切旅客輸送の一体的な運用による利便性の向上とサービスの向上」を是非とも期待したいです。
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