一畑バス「みこと号」 簡単な乗車記 【西日本エリアJR高速バス乗り放題きっぷの旅】

昼行高速バス,高速バス乗車記

2020(令和2)年10月、期間限定・枚数限定で発売されている「西日本エリアJR高速バス乗り放題きっぷ」を使った旅を敢行しました。

西日本エリア高速バス乗り放題きっぷ(中国JRバス広島駅窓口にて購入)
西日本エリア高速バス乗り放題きっぷ(中国JRバス広島駅窓口にて購入)

きっぷの実使用及び未乗車高速路線の乗車が最大の目的であったのですが、今回から数回に分けて、この旅で利用した高速バスを数路線紹介します。

今回ご紹介するのは、広島県広島市と島根県出雲市を結ぶ高速バス「みこと号」
いったい、どんな路線なのでしょうか・・・。

陰陽高速バスの主力路線のひとつ「みこと号」

一定の流動がある山陰地方と山陽地方を結ぶ交通機関といえば・・・一般の方であれば「鉄道」を思い浮かべがちですが、実は鉄道以上に重要な役割を果たしているのが「高速乗合バス」(高速バス)です。

実は、陰陽間の移動に関しては、鉄道よりもバスの方がはるかにネットワークが充実しています。
これは、山岳路線が多いという立地条件によって、鉄道より道路交通の方が有利な面があったからで、多くの路線が鉄道の先行や代行として設定され、鉄道と同じ機能をバスに求められた結果といわれています。
さらに、一般道の改修や、中国自動車道の延伸をはじめとする高速道路網の整備により、鉄道よりも道路交通の方が速達性に優れるケースも増加。
これが、陰陽連絡路線のバスにとっても有利に作用し、山陽新幹線との連絡によって大幅な時間短縮をもたらした結果、陰陽間の高速バスは地域住民にとって欠かすことの出来ない重要な足として機能しています。

現在運行されている陰陽間高速バスは、

  • 姫路~鳥取「プリンセスバード」(神姫バス・日ノ丸自動車)
  • 岡山~倉敷「新倉吉街道エクスプレス」(日ノ丸自動車)
  • 岡山~米子・松江・出雲「ももたろうエクスプレス」(両備HD・中鉄バス・中国JRバス・日ノ丸自動車・一畑バス)
  • 広島~倉吉・鳥取「メリーバード」(日ノ丸自動車)
  • 広島~米子「メリーバード」(広島電鉄・日本交通・日ノ丸自動車)
  • 広島~松江「グランドアロー号」(広島電鉄・一畑バス)
  • 広島~出雲「みこと号」(中国JRバス・一畑バス)
  • 広島~石見川本・大田市「石見銀山号」(石見交通・イワミツアー)
  • 広島~浜田「いさりび号」(広島電鉄・中国JRバス・石見交通)
  • 広島~益田「広益線(清流ライン高津川号)」「新広益線」(石見交通)
  • 新山口~萩「スーパーはぎ号」(中国JRバス・防長交通)
と、中国地方最大都市「広島」を中心に路線が構成されているのが特徴です。

今回ご紹介する「みこと号」の運行開始は、バブル期真っ只中の1989(平成元)年。
中国JRバス(本社:広島市)、一畑電気鉄道(→一畑バス、本社:松江市)がそれぞれ独自に運行を行っていた広島市~出雲市間のバス路線を共同運行形態に変更したのがこの路線であります。

ですが、広島~出雲間路線バスの起源は戦前に遡り、1934年に創設した省営自動車(→国鉄バス)雲芸本線「出雲今市駅~備後十日市駅間」の開通が始まりといわれています。
その後、1952年に三次以南の雲芸南線が開通し、一般便の直通運転を開始。
急行便・特急便の設定、広島バスセンターへの乗り入れ、高速経由便の設定を経て、1989年の「みこと号」運行開始に至ります。

一方の一畑電気鉄道(→一畑バス)は、1972(昭和47)年に特急・急行バス松江線(現在の「グランドアロー号」)の派生路線「広島~出雲大社線」として運行を開始したのが始まりで、1989年の「みこと号」運行開始までは、宍道経由の1往復のみの設定でした。

現在の「みこと号」は、広島~出雲市間を1日9往復運行。
中国JRバスが5往復、一畑バスが4往復担当します。
中国JRバス「みこと号」 641-7801_01 出雲市駅にて
中国JRバス「みこと号」

一畑バス「みこと号」 ・781_01
一畑バス「みこと号」

所要時間は、運行系統によって異なっており、特急便は約3時間10分、普通便は3時間20分となっています。

(次ページに続きます。)