<Part1>西日本鉄道「萩・長門おとずれ号」 福岡→萩・明倫センター
やって来たのは、福岡市博多区のJR博多駅前。
隣に位置する博多バスターミナルから今回のバス旅は始まります。
博多バスターミナルは、今年2025年で開業60周年。
九州にとっては老舗のバスターミナルでもあるのです。
今回は、「萩・長門おとずれ号」で福岡~萩間を往復し、萩で1泊する行程。
博多バスターミナルの3階35番のりばへ移動し、「萩・長門おとずれ号」の入線を待ちます。
気になる「萩・長門おとずれ号」西鉄便の車内の様子は・・・
08時過ぎ、1台の腰高なバスが入線します。
往路で乗車したのは、こちらのバスでした。
西日本鉄道博多自動車営業所所属4850号車(三菱エアロクイーン QRG-MS96VP)です。
2014年夏に本州夜行向け用の車両として導入され、「はかた号」をはじめ本州各地方面行きの夜行高速バスで活躍しましたが、現在は「萩・長門おとずれ号」や「ごかせ号」が主な活躍の場となっています。
因みに、この車両のナンバープレートをご覧になって「あれっ?」と気付かれた方。
そう、実はこの車両、かつて福岡・北九州と東静岡・御殿場・河口湖の間を結んでいた夜行高速バス「博多・フジヤマExpress」の専用車であったのです。
富士山の標高3,776mに因んで希望ナンバーを取得、同路線に投入していたという経緯があります。
「博多・フジヤマExpress」に投入されていた頃の西鉄4850号車
バス入線後、ドアが開けられ乗車改札が始まります。
早速車内を見ていきましょう。
車内は3列独立シート28人乗りの夜行高速仕様。
ブラックに近いグレーのシートモケットが特徴で、木目調の床と相まってシンプルかつ落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
全席にプライベートカーテンを装備していますが、「萩・長門おとずれ号」では使用することが出来ません。
シートは、天龍工業製の夜行用シートを採用。
可動式枕を搭載し、リクライニングの最大傾斜角度も相当深く設定されています。
座り心地も中々のものです。
もちろん、足置き台(フットレスト)・レッグレストも完備。
足置き台(フットレスト)は足先のくり抜き部分が少し深くなっており、ゆったりと脚を伸ばすことが出来ます。
充電用のコンセントは、ひじ掛け下に設置されています。
以前は回して差し込むタイプでしたが、破損が多いからか通常の差し込むタイプに交換されています。
個人的にはこちらの方が使いやすくて好みですね。
以上、簡単に車内に様子をご紹介しましたが、所要4時間程度の路線にしては十分過ぎる車内設備を誇ります。
萩までの道中、快適に過ごせられそうです。
08時06分 博多バスターミナル発車
筆者を含め6名の乗客を乗せたバスは、08時06分定刻に博多バスターミナルを発車。
大博通りから祇園大通り、こくてつ通り、住吉通り、渡辺通りを経由し、福岡天神方面へ向かいます。
08時20分、西鉄天神高速バスターミナルに到着。
こちらでさらに5名乗車し、08時25分定刻に西鉄天神高速バスターミナルを発車します。
乗車扱いの停車はこれで終了。
総勢11名の乗客で長門・萩へ向かいます。
天神北ランプから福岡都市高速道路に入ったバスは、左手に博多港を眺めながら福岡インターへ。
天神北ランプから15分程で福岡インターを通過し、福岡インターからは九州自動車道を萩・長門へ向けて走行します。
週末ということもあって交通量は多めですが、渋滞に巻き込まれることはなく、バスは九州自動車道を東へ快走します。
09時55分~10時15分 めかりパーキングエリアにて開放休憩
博多バスターミナルを発車して約1時間40分、09時55分にバスは関門橋手前の関門自動車道めかりパーキングエリアに到着します。
こちらでは開放休憩として、10時15分までの20分間停車しました。
福岡県北九州市門司区の関門橋(関門自動車道)上にあるめかりパーキングエリアは、上り線(下関方面)にのみ設置。
和布刈(めかり)公園の一角に位置し、レストラン、売店を完備する他、施設建物の屋上は展望台となっており、目の前に迫る関門橋や対岸の下関市、壇ノ浦を展望出来る眺望スポットとしても有名です。
この路線唯一の休憩場所ということもあってか、乗客のほぼ全員がバスを下車しトイレや買い物、展望台からの眺望を楽しんでおりました。
もちろん、筆者も・・・です。
バスも、しばしのひと休み。
終点の萩まで、あと2時間弱です。
12時18分 萩・明倫センター到着
10時15分、乗客が全員揃ったところで、バスはめかりパーキングエリアを発車。
すぐさま関門橋に差し掛かり、関門橋を渡って本州に入ります。
ひとまず九州とはお別れです。
下関インターからはカーブとアップダウンが続く中国自動車道を美祢インターまで走行。
山間の景色を眺めながら東へ進みます。
10時47分、美祢インターを通過。
美祢市に入ります。
美祢インターからは、暫くの間一般道を走行します。
国道435号を美祢市市街地方面へ走行したのち、国道316号をJR美祢線に沿って北上。
長門市内に入ってからは、国道191号を東へ進み、三隅インターから自動車専用道路の「萩・三隅道路」を萩インターまで走行、萩市内をめざします。
右手に、セメント関連の工場が見えます。
国道316号に入ると、左手にはJR美祢線が見えてきます。
2023年7月の豪雨災害で全線が不通となったJR美祢線は、BRTへの転換がほぼ決定済み。
一部区間で草が生えており、車窓を眺めながら「今後この区間に列車が走ることはない・・・」と思うと、複雑な気分になります。
長門市中心街手前の11時16分、定刻5分遅れでバスは長門湯本温泉に到着します。
本州最西端山口県にある谷あいの小さな温泉郷「長門湯本温泉」は、約600年の歴史をもつ温泉街。
山口県を代表する温泉とされる「防長四湯」の1つに数えられ、音信川(おとずれがわ)沿いには10件以上のホテル・旅館が立ち並びます。
老舗温泉ホテル「大谷山荘」や「星野リゾート 界 長門」も、バスのりばの近くに位置します。
長門湯本温泉バス停では4名の乗客が下車。
温泉旅館の送迎車で各々の宿泊先へ向かっていきました。
長門湯本温泉から10分程で、バスは長門市中心部に入ります。
長門市役所前バス停は降車客がおらずに通過し、その5分後の11時31分に長門市駅に到着。
長門市駅バス停では2名の乗客が下車していきました。
長門市駅を発車すると、左手には日本海が見えてきます。
3年前に長門から「おとずれ号」に乗車した際、この景色に感動しましたが、今回は快晴の空模様。
素晴らしい景色を眺めながら、バスはセンザキッチンへ向かいます。
11時40分、センザキッチンに到着。
「仙崎地区交流拠点施設」として2017年10月7日にオープンした「道の駅センザキッチン」は、青海島への観光遊覧船発着場を中心とした観光施設「青海島シーサイドスクエア」の他、レストラン、喫茶店、直売所など充実した施設が特徴となっています。
センザキッチンには、この「萩・長門おとずれ号」の他、サンデン交通・防長交通の路線バスが乗り入れている他、かつては萩・山口・徳山~神戸・大阪・京都間夜行高速バス「カルスト号」(現在は運行休止中)も乗り入れていました。
センザキッチン停留所では乗客1名が下車していきました。
この先、バスは県道282号から萩・三隅道路に入り、萩市内をめざします。
萩・三隅道路から見下ろす車窓も素晴らしく、眺めているだけで心が落ち着きます。
萩の街並みが見えてきました。
まもなく萩に到着です。
萩インターを通過し、橋本川にかかる橋を渡ると、いよいよ萩市中心部に入ります。
12時12分、遅れが若干広がり、定刻11分遅れで萩市中心部に位置する萩バスセンターに到着です。
防長交通の主要バスターミナルのひとつとして位置付けられている萩バスセンターは、萩市内や近郊を結ぶ路線バスの他、新山口、津和野、長門、秋芳洞などへ向かう郊外路線バス、東京、福岡、新山口行き高速バスが発着。
バスセンター周辺には商店街やショッピングセンター、徒歩圏内に萩市役所があることから、常に利用があるバス発着所でもあります。
昔ながらの雰囲気が個人的には好きですが、建物もそれなりに老朽化していることから、バスセンターの今後が注目されます。
そして、12時18分、定刻14分遅れでバスは終点の萩・明倫センターに到着しました。
博多バスターミナルから約4時間10分。
遅れはしましたが、萩までの移動時間があっという間に感じた、快適なバス移動でございました。
【乗車データ】
- 乗車日:2025/10/10
- 乗車区間:
博多バスターミナル→萩・明倫センター - 運行会社:西日本鉄道
- 車両:三菱/エアロクイーン(QRG-MS96VP)
- 年式:2014年式
- 所属:博多自動車営業所
- 社番:4852
(次ページに続きます。)

