日ノ丸自動車「大山号」 惜別乗車記(福岡→鳥取)
その後も、新潟交通(本社:新潟市)が阪急観光バス(本社:豊中市)との共同運行路線「おけさ号」(大阪・京都~新潟)を当面の間運休にすると発表するなど、高速バスの利用が戻りつつある今日において、夜行高速バスに関する残念なニュースが続いております。
今回の記事でご紹介する「大山号」(福岡・北九州~米子・鳥取)もそのひとつ。
2022年~2023年にかけての年末年始限定運行をもって、路線が廃止されることになったのです。
日ノ丸自動車「大山号」
「大山号」にはこれまで3度利用しましたが、実はとある理由で2022年の年末に九州へ行くことになり、「それならば帰りに「大山号」に乗車しよう!」ということで、この度、運行終了直前の「大山号」に乗車して来ました。
今回はその時の模様をご紹介します。
なお、「大山号」の路線概要や廃止の理由などについては、下記リンクにてご紹介していますので、併せてご覧いただけると幸いです。
気になる「大山号」の外観と車内は?
やって来たのは、福岡市中央区天神にある西鉄天神高速バスターミナル。福岡三越が入っている建物の3階に位置し、日本有数の高速バスターミナルのひとつとしても知られています。
年末年始の繁忙期ということもあり、西鉄天神高速バスターミナルは多くの人で賑わっておりました。
「大山号」の発車時刻は22時05分。
開業当初の福岡天神発が22時10分発でしたので、現在とさほど変わりがありません。
のりばのサイネージには、「大山号」廃止のお知らせが表示されています。
バスは、発車の10分前に西鉄天神高速バスターミナル6番のりばに入線。
「大山号」に乗車する乗客が集まって来ます。
今回乗車した車両はこちら。
日ノ丸自動車本社・鳥取営業部所属686号車(日野セレガHD QRG-RU1ESBA)です。
鳥取砂丘をイメージした鮮やかなカラーリングが特徴で、このカラーリングは今は無き「キャメル号」開設時にお披露目され、日ノ丸自動車と日本交通の「キャメル号」専用車両に採用されました。
この686号車も「キャメル号」鳥取線(倉吉・鳥取~東京)や「メリーバード」鳥取~広島線、「大山号」などで活躍して来ましたが、「大山号」の廃止で日ノ丸自動車は夜行路線から撤退することから、この車両の去就も気になるところです。
車内は、3列独立シート29人乗りの夜行高速仕様。
最後部が3席ではなく4席になっており、夜行バス黎明期によく見られたシート配列をそのまま引き継いでいます。
窓側座席には、座席と通路を仕切るカーテンを後付けしていますが、実際に使用している乗客は殆ど見かけませんでした。
トイレは、車内中央部の階段を下りたところに設置しています。
シートは、天龍工業製の夜行用シートを採用。
固定式枕を後付けしているのが特徴です。
この様な固定式枕を追加設置している例って、日ノ丸自動車と平成エンタープライズ「VIPライナー」しか知らないのですが、他にご存知の方がいらっしゃいましたらご教示いただけると幸いです。
もちろん、足置き台(フットレスト)、レッグレストも完備。
モバイル充電用のUSBポートも各座席の肘掛下に設置しています。
車内を見る限りにおいては、これといった目立った設備はありませんが、夜行バスに必要な設備はひと通り揃っており、約10時間のバスの旅を快適に過ごせられる印象を受けました。
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