伊予鉄道「ホエールエクスプレス」&とさでん交通の路面電車

昼行高速バス,高速バス乗車記,鉄道

前々回の記事の続きになります。


伊予鉄南予バスの夜行高速バス「道後エクスプレスふくおか号」で四国松山に到着した私。
伊予鉄南予バス「道後エクスプレスふくおか号」 5388

伊予鉄南予バス「道後エクスプレスふくおか号」 5388 道後温泉到着

道後温泉で朝風呂を楽しみ、その後の交通系学会(jcomm「日本モビリティマネジメント会議」)で勉強した後は、新会社として発足した「とさでん交通」を見に行くために高知へと向かいます。
松山から高知へ行く足として今回選んだのは、伊予鉄道の高速バス「ホエールエクスプレス」
「ホエールエクスプレス」には、今から5年前の2011年秋に旧高知県交通担当便に乗車して以来2度目の乗車となりますが、伊予鉄道担当便に乗車するのは今回が初めてとなります。

伊予鉄道担当便は「ICい~カード」支払いで運賃が1割引

高速バス「ホエールエクスプレス」は、愛媛県松山市と高知県高知市を松山自動車道・高知自動車道経由で結ぶ高速バス。
伊予鉄道ととさでん交通(旧土佐電気鉄道・旧高知県交通)が共同で1日5往復運行します。
同区間には、JR四国バスが運行する「なんごくエクスプレス」が競合しますが、両路線間の共通乗車の取扱いは無く、全くもって別路線の扱いとなります。

jcomm「日本モビリティマネジメント会議」会場の道後温泉から今回の乗車場所である大街道へは、伊予鉄道の路面電車(松山市内線)で移動します。
伊予鉄道 松山市内線 2005形

10分程で大街道高速バスのりばに到着します。
伊予鉄道 大街道 高速バスのりば
乗車券はのりば近くの伊予鉄トラベルにて購入する形になりますが、私は残高が残っている伊予鉄のICカード「ICい~カード」で運賃を支払いたかったので、その旨窓口の方にお伝えしたところ、「座席の予約だけ入れておきますので、支払いは乗車時にお願いいたします。」との説明があり、更に「ICい~カードで支払いの場合は、運賃が1割引となります。」とのこと。
ICカードの取り扱いサービス自体は知っていましたが、運賃割引については正直知りませんでした。
1割引とはいえ、この手のサービスは利用者にとってはありがたいですね。

15時14分、定刻に「ホエールエクスプレス」は大街道バス停に到着します。
今回乗車したのはこちら↓の車両でした。
伊予鉄道「ホエールエクスプレス」 5251

伊予鉄道「ホエールエクスプレス」 5251 リア

4列シート40人乗り昼行高速仕様の日野セレガHD(PKG-RU1ESAA)です。
デビュー当時は神戸線や京都線などで活躍していましたが、現在は主に四国島内路線で活躍しています。
40人定員と着席重視の仕様ではありますが、各座席にはフットレストが装備されている他、シートのリクライニングの角度も深く、道中快適に移動することが出来ます。

バスは松山インター口と川内インターで乗車扱いを行った後、松山自動車道を高知へ向けてひた走ります。

三島川之江インターで乗降扱いを行った後は、進路を南へと変え、高知自動車道を高知へ向けてひた走ります。
17時26分、定刻よりも若干遅れて高知インターを流出し、高知インターすぐ傍の一宮高知営業所には17時30分に到着。
ここで2名下車し、その後街中を10分程走行して17時40分、定刻9分遅れでバスは高知駅バスターミナルに到着しました。
終点は高知市の中心部「はりまや橋」ですが、私はこちらで下車します。



松山から約2時間半の高速バスの旅はあっという間だった・・・というのが正直な感想でした。
車窓の素晴らしさもさることながら、必要最小限ながらも快適な車内設備も功を奏しているのかなぁという印象を持ちました。
共同運行会社のとさでん交通も最新型の日野セレガHDを導入したとのことですし、破格のネット割引運賃を導入した競合路線の「なんごくエクスプレス」との関係を含め、「ホエールエクスプレス」の今後の動向に注目といったところでしょうか。

新塗装の路面電車も走る高知市内

高知駅に到着したところで、早速とさでん交通の路面電車に乗車してみます。
ご存知の方も多いかと思いますが、とさでん交通は高知県内において軌道事業・乗合バス事業・貸切バス事業を行っていた土佐電気鉄道・高知県交通・土佐電ドリームサービスの3社を経営統合し、共同新設分割方式により2014年(平成26年)10月1日に設立された新会社です。
同日付で3社が運行していた軌道・バス路線を引き継いで営業を開始しました。

とさでん交通の路面電車は、高知駅前~桟橋通り5丁目間の「桟橋線」、伊野~はりまや橋間の「伊野線」はりまや橋~後免町間の「後免線」の3路線から構成されています。
今回は時間の関係から、高知駅前~桟橋通り5丁目間の「桟橋線」を中心に、写真はありませんがはりまや橋~後免町間の「後免線」にも乗車してみました。


正面の新会社マークですが、電車とバス、そして旧土佐電と旧高知県交通の色をイメージしているそうです。
何処となく可愛らしさを感じるのは私だけでしょうか。




桟橋車庫前電停の目の前に位置する、とさでん交通本社です。
本社社屋と電車の車庫、バスの営業所が広大な敷地に配置されています。
一宮のバス営業所も、ゆくゆくはこちらの本社車庫(桟橋高知営業所)に統合されることになっています。

とさでん交通 桟橋線 619形 その1

とさでん交通 桟橋線 630形
新塗装の路面電車も数両登場しています。
「伊野線」「後免線」にも投入されているかもしれませんが、私が見た限り、新塗装の路面電車は桟橋線をメインに投入している様に思えました。
今後も新塗装の路面電車は台数を増やしていくことでしょう。

一通り「桟橋線」を見たところではりまや橋へ移動し、はりまや橋からは「後免線」で終点の後免町へ移動します。(写真はイメージです。)
土佐電気鉄道 209形電車
軌道状態が良くない中、40分弱で電車は終点の後免町に到着。
写真はありませんが、乗り場にはコンビニ(ローソン)併設の電車・バス待合所及びパーク&ライド駐車場がある他、目の前には土佐くろしお鉄道「後免町」駅があり、乗り換え拠点としても機能しています。
訪問したのが週末の夕方ということもあってか人は少なかったのですが、平日ともなると通勤・通学客及び所用客でもう少し人が居るのかもしれません。

新会社の成果はこれから?

というわけで、駆け足でとさでん交通の路面電車を見て回ったのですが、新会社発足から1年以上経過し、そろそろ新会社へ移行してからの成果的なものが表に現れても良いのかなぁという気がしていたのですが、現状を見る限りではこれからなのかなぁといった印象を受けました。
電車、バスの車体を見ても、思っていたよりも新塗装化が進んでいない様に見受けられましたし、電車、バスの停留所に至っては、多くの場所で旧社名「土佐電鉄」のままで残っていました。
もっとも、財務面からお金もかけられないことから、会社側ではソフト面(特に乗務員や社員の応対)から「まずは出来ることからやっていこう。」的スタンスで考えているようで、最近ではバス系統、時刻の見直しも行ってはいるようですが、折角新会社を立ち上げたからには、もっと目標を高く持って改革を実行して欲しいなぁと感じました。
もちろん、接客面の改善や旧高知県交通との競合区間の路線整理なども行わなければならないことではあるのですが、それ以上に、現状の分かり難いダイヤの改善(電車・バス両方)やインフォメーションの改善、そしてゆくゆくは地元民や来訪客に親しまれるような車両の導入など、「より多くの方に利用して貰えるような施策」というものを考えて実行欲しいです。
折角、同じ四国内に伊予鉄道という見本があるのですから、良い点は参考にして出来ることから積極的に取り入れて実行して欲しい・・・そんなことを思った今回の高知訪問でございました。
高知については、機会を見つけて再度訪問したいと考えています。

とさでん交通 桟橋線 619形 その2


【乗車データ】 
  • 乗車日:2016/07/16
  • 乗車区間:
    大街道→高知駅バスターミナル
  • 運行会社:伊予鉄道
  • 車両:日野/セレガHD(PKG-RU1ESAA)
  • 年式:2009年式
  • 所属:松山室町営業所
  • 社番:5251


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