夜行高速バス 2022年秋~冬の動き(ダイヤ改正、運行会社の変更、新規参入、運行終了など)

夜行バス



「広福ライナー」が大がかりなダイヤ改正へ(減便・運行区間の変更・夜行便の系統分離など)

大がかりなダイヤ改正を実施します

JR九州バス「広福ライナー」夜行便 4656
JR九州バスの夜行高速バス(イメージ)

JR九州バス中国JRバス広交観光の3社は、広島~福岡間の高速バス「広福ライナー」を2022年12月16日にダイヤ改正すると発表しました。

今回のダイヤ改正ですが、実は大がかりな内容になっています。

【ダイヤ改正の主な内容】

  1. 運行区間の変更
    これまで、夜行便のみ延伸していた広島~福山間が廃止され、全便が広島~福岡間の運行になります。
    また、広島側の起終点が、これまでは福岡行きが広島バスセンター、広島行きが広島駅南口または広島バスセンターと異なっていましたが、ダイヤ改正により広島駅新幹線口・広島バスセンター~博多バスターミナル間の運行に変更されます。
    これに伴い、一部の便が停車していた新白島駅中筋駅各停留所が廃止されます。

  2. 夜行便の系統分離
    新型コロナウイルス感染拡大の影響で長期間運休していた夜行便が運行を再開
    これに伴い、夜行便が「広島ドリーム博多号」として系統分離し、JRバス(中国JRバス・JR九州バス)の夜行高速路線として再出発します。

  3. 中国バスの運行撤退
    今回のダイヤ改正で中国バスが運行から撤退
    JR九州バス・中国JRバス・広交観光の3社共同運行路線となります。

  4. 昼行便の減便
    これまで9往復(中国バス運休分1往復を含む)体制で運行していましたが、今回のダイヤ改正で昼行便は5往復に減便されます。

  5. 運賃の改定
    ダイヤ改正に伴い、運賃の改定が行われます。
    夜行便「広島ドリーム博多号」は曜日別の運賃へ移行します

ここで注目したいのが、夜行便の系統分離と夜行便に使用される車両。
夜行便にJR夜行高速バスの代名詞「ドリーム号」の愛称が付くことになった他、JR九州バス便のみではありますが3列独立シート車(トイレ付き)が投入されることになりました。
相手方の中国JRバスは当面の間4列シート車(トイレ付き)を投入しますが、ゆくゆくは3列シート車の投入を是非とも期待したいところです。

詳しくは、JR九州バス「広福ライナー」時刻表(PDF)にてご確認をお願いいたします。

関東バス「ドリームスリーパー」がリニューアルへ(起終点の変更、運行会社の変更)

あの豪華夜行バスがリニューアルへ。

関東バス「ドリームスリーパー東京大阪号」 ・・・1 大阪なんばにて
関東バス「ドリームスリーパー」

関東バスが運行している東京~大阪間の豪華夜行高速バス「ドリームスリーパー東京大阪号」が、2022年12月16日にダイヤ改正を行います。

今回のダイヤ改正では、運行区間が東京~大阪間から東京~大阪・奈良間に変更され、古都奈良へ延伸。
路線愛称も「ドリームスリーパー東京・大阪奈良号」に変更されます。
奈良側の新設停留所は、大和西大寺駅南口とJR奈良駅の2箇所。
近鉄電車やJR線のへの乗り換えにも便利です。
また、東京側の起終点が池袋駅西口からバスタ新宿(新宿高速バスターミナル)に変更され、利便性がさらに向上します。

そして、今回のダイヤ改正では、新たに奈良交通が大阪・奈良側の運行事業者として「ドリームスリーパー」の運行に携わることになりました。

事業の起案側であり、共同運行会社(関東バス)に話を持ち掛けた側である筈の両備ホールディングスが「ドリームスリーパー」の運行から事実上撤退したのが2022年の4月。
これ以降、関東バスが単独で運行を続けて来ましたが、8カ月を経てようやく路線の延伸と共同運行会社が決まったということになります。

関東バスと奈良交通といえば、老舗の夜行高速バス「やまと号」(現在は新宿~天理・大和高田・五條系統のみの運行)のパートナーとして有名です。
今後は実績のある運行会社同士が手を取り合って豪華夜行高速バスの運行を続けていくことになりますが、このダイヤ改正をきっかけに利用者がさらに増えることを期待したいものです。

尚、当面は毎週金・土曜日のみの運行となります。
また、車両故障時など緊急事態が発生した場合は運休となりますのでご注意願います。

「ドリームスリーパー東京・大阪奈良号」については、関東バス公式サイト内の特設ページにてご確認をお願いいたします。

「大山号」(福岡・北九州~米子・鳥取)運行終了へ・・・

またひとつ九州発着の夜行バスが消滅します。

日ノ丸自動車「大山号」 ・639
日ノ丸自動車「大山号」

日ノ丸自動車は、福岡・北九州~米子・鳥取間夜行高速バス「大山号」を、2023年1月8日福岡発の便をもって廃止すると発表しました。

「大山号」は、1991(平成3)年に西日本鉄道(以下:西鉄)・日ノ丸自動車・日本交通の3社共同運行路線として運行を開始しました。
以来、福岡と鳥取県を直通する交通機関として人気を博していましたが、1999(平成11)年5月末日をもって西鉄が運行から撤退し、以降は日ノ丸自動車と日本交通が共同で運行していました。

ところが、この路線も新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けることなります。
長期間の運休を経て、2021年以降は繁忙期に限定して日ノ丸自動車が単独で運行していましたが、新型コロナウイルスの感染収束が見通せず利用者数の回復が見込めないことや、乗務員不足などの理由から廃止の決定となりました。

「大山号」の廃止で、またひとつ九州発着の夜行高速バスが消滅することになり、福岡と山陰を結ぶ夜行高速バスは、JR九州バス・中国JRバスが運行する「出雲ドリーム博多号」1路線のみとなります。
また、日本交通と日ノ丸自動車が運行する夜行高速バスの廃止は、米子・鳥取と東京を結んでいた「キャメル号」に続き2つ目となり、これにより日ノ丸自動車は夜行高速バスから完全に撤退することになります。

かつて"犬猿の仲"といわれていた日本交通と日ノ丸自動車の「雪解け」のきっかけにもなった夜行高速バス事業。
その先導役を担っていたともいわれる日ノ丸自動車がまさか夜行高速バスから完全撤退するとは・・・。
コロナ禍による利用客大幅減少と乗務員不足が大きく影響したとはいえ、時代の変化と寂しさを感じるのは私だけでしょうか。

詳細は、日ノ丸自動車のプレスリリース「高速バス 鳥取~福岡線(大山号)の路線廃止のお知らせ」にてご確認をお願いいたします。

最後に

以上、2022年秋~冬の夜行高速バス「ダイヤ改正」「運行会社の変更」「運行終了」などの情報をおさらいしてみました。

見ていただけると分かる通り、ダイヤ改正で何とか利用者数を確保しようという意図が見える一方で、運行便の縮小や休止・廃止の動きが目立ち始めています。
そして、2年以上も運休を継続しているなど、未だに運行再開の見通しが立たない夜行高速路線も少なからず存在します。
新型コロナウイルスの感染収束が見通せないことや、乗務員不足、事業環境が激変している中で、こと長距離夜行路線については、残念ながら今後も淘汰や整理が進むのではないでしょうか。

コロナ騒動が落ち着き、人流が戻ったところで、夜行高速バスを含めた長距離高速路線の利用者数はある程度戻るでしょうが、それを受け入れる状況下でないというのが、業界側、とりわけ事業者側の本音なのかもしれません。
特に生活路線を多く抱えている事業者にとっては、その維持が最優先事項になるわけで、現に人員確保がままならず予約制の長距離高速路線をほぼ全面運休している事業者もあります。

果たしてこの騒動が来年以降収まって回復の兆しを見せるのか、それともこのまま引きずって縮小傾向に進むのか、私も今後の長距離夜行高速バスの動向は引き続き見守っていきたいと思います。


応援して頂けると嬉しいです。
↓  ↓  ↓  ↓

その他ランキング
にほんブログ村 その他趣味ブログ バス(車)へ
にほんブログ村