西鉄の高速路線用新カラー「HARMONY」 長距離系統(宮崎・鹿児島)仕様車を見てみる

昼行高速バス,高速バス乗車記

2018(平成30)年12月に、西日本鉄道(以下:西鉄)創立110周年記念の一環として発表された。西鉄の高速路線用新カラー「HARMONY」

西鉄「ひのくに号」 3150(HARMONY)

2019(平成31)年の春から本格導入が始まり、現在も導入が進んでおります。

西鉄の高速路線用新カラー「HARMONY」については、以前このブログにて『導入一覧』という形でご紹介していますが、


今回は、福岡~宮崎線「フェニックス号」福岡~鹿児島線「桜島号」に使用される長距離系統仕様車をご紹介します。

「HARMONY」の長距離系統仕様車が導入されたのは、2019(令和元)年の春。
福岡~鹿児島線「桜島号」用として3台導入され、その年はこの3台のみの導入で終わりましたが、今年(2020年)になって、今度は福岡~宮崎線「フェニックス号」用として3台導入されました。

徐々に台数を増やしつつある「HARMONY」の長距離系統仕様車。
いったいどんな車両なのでしょうか。

増備された令和顔の三菱エアロエースは側窓固定窓の長距離仕様

最初にご紹介するのは、今年(2020年)に福岡~宮崎線「フェニックス号」用として増備された三菱エアロエース(2TG-MS06GP)
別名「令和顔」「ふそうブラックベルトフェイス」といわれるフロントデザインが特徴です。

西鉄「ひのくに号」 3150(HARMONY)

まずは、こちらの車両で福岡天神から都城北まで移動してみます。

乗車したのは、西鉄天神高速バスターミナル08時15分発の宮崎行き「スーパーフェニックス」
遅くても発車の5分前にはのりばに入線し、乗車改札が始まります。
乗車改札を受け、車内に入ります。

西鉄「フェニックス号」 3443 西鉄天神高速BT改札中

車内は、数年前に複数台導入された「桜島号」4列シート車とほぼ同仕様の4列シート38人乗りの昼行高速仕様になっていますが、定員が少ない分、通常の4列シート車と比較してシートピッチが若干広くなっています。
ですが、今回導入された車両からシートの仕様を変更した様で、数年前に複数台導入された「桜島号」4列シート車のシートと比較すると、腰掛けた際のホールド感をあまり感じないなぁという印象を受けます。
尚、写真はありませんが、前席のシート背面にはテーブルが設置されています。
西鉄「フェニックス号」 3443 車内

西鉄「フェニックス号」 3443 シート

前席下の足元部分です。
フットレストはありませんが、床が完全にフラットなため、シート下へ足を伸ばすことが出来ます。
先述の通り、シートピッチも広くとられています。
西鉄「フェニックス号」 3443 前席<br />
下の足元部分

各座席にはUSBポートを設置しています。
以前はコンセントを設置していましたが、「HARMONY」車デビュー以降はUSBポートに変更されています。
コスト面や電源容量の絡みから変更されたのでしょう。
窓側座席のUSBポートは内壁に、通路側座席のUSBポートは肘掛け下に設置されています。窓側座席のUSBポートは下向きに設置されている関係上、ケーブルを挿す際に少し難儀しました。
西鉄「フェニックス号」 3443 USBポート

もちろん、Wi-fi(Kyushu Bus Network Free Wi-fi)も完備。
1回の接続で最大720分の連続使用が可能です。
西鉄「フェニックス号」 Wi-fiスクリーンショット

この車両にはEDSS(ドライバー異常時対応システム)を搭載。
乗客向けの安全のお知らせ(取り扱い方法)がシートポケットに入れられていました。
また、EDSSに関しては、前方のLCD運賃表示と連動する形で自動放送説明が途中数回流れます。
西鉄「フェニックス号」 安全のお知らせ(取り扱い方法)

以上、簡単に車内を紹介しましたが、見た感じでは「ひのくに号」や「とよのくに号」の車内サービスを少しだけ良くした・・・といった印象を受けます。
足元が広くなったのは評価出来ますが、出来ればフットレストは欲しいなぁと感じました。

尚、乗車当時の新型コロナウィルス対策は、以下の通りでした。

—————

【主な新型コロナ感染症対策】
・座席使用制限:あり(最前列4席と通路側座席(B席とC席)は販売停止)
 ※座席販売制限は2020年7月1日より一部緩和。(最前列4席のみ引き続き販売停止)
・車内消毒液設置:なし
・運転席回りのビニール製カーテン設置:なし
 ※運転席後部に透明のアクリルボードあり。
・運行終了時の車内消毒:実施
・エアコンの外気導入:実施
 メーカー公式【三菱ふそう】新型コロナウィルス新生活様式への対応
・休憩時の車内換気:実施
・その他:プラズマクラスターイオン発生装置を設置

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途中休憩は2回 是非とも見ておきたい霧島サービスエリアからの絶景

西鉄天神高速バスターミナルを発車したバスは、博多バスターミナルで乗車扱いを行い、千代ランプから福岡都市高速道路へ。
この日は天気が良く、絶好のバス旅日和でありました。

西鉄「フェニックス号」 車窓_01

高速基山にて最後の乗車扱いを行い、バスは晴天の九州自動車道を南下。
一路宮崎へと向かいます。

西鉄「フェニックス号」 車窓_02

「フェニックス号」の途中休憩は2か所のサービスエリアにて実施されます。
1回目の休憩は、熊本県の宮原サービスエリア
こちらでは12分間停車しました。

西鉄「フェニックス号」 まもなく宮原SA

西鉄「フェニックス号」 宮原SA

バスもしばしのひと休み。
鮮やかな「HARMONY」のカラーリングも、晴天下ではひと際映えますね。

西鉄「フェニックス号」 宮原SAにて_01

西鉄「フェニックス号」 宮原SAにて_02

西鉄「フェニックス号」 宮原SAにて_03

西鉄「フェニックス号」 宮原SAにて_04

2回目の休憩場所は、宮原サービスエリアから1時間半程走行した宮崎県の宮崎自動車道霧島サービスエリア
こちらでも約10分間停車しました。

西鉄「フェニックス号」 車窓_03

西鉄「フェニックス号」 霧島SA

バスを降りると、目の前には絶景ともいえる霧島連山が。
長時間移動の束の間の目の保養にもなりますね。
是非ともこの絶景を味わって欲しいです。

西鉄「フェニックス号」 霧島SA_02

西鉄「フェニックス号」 霧島SA_03

停車するバスと絡めて撮影します。
自分でいうのもなんですが、絵になりますね。

西鉄「フェニックス号」 霧島SAにて_01

西鉄「フェニックス号」 霧島SAにて_02

霧島サービスエリアを発車したバスは、10分もしないうちに都城北に到着。
こちらでバスを降り、近くの高速都城北入口バス停にて宮崎交通の「特急都城宮崎線」に乗り換え、JR都城駅へと向かいます。

西鉄「フェニックス号」 霧島SAにて_02

「桜島号」用のいすゞガーラは側窓非固定仕様の昼行高速仕様

都城からは、JR特急「きりしま11号」で鹿児島中央へ。
運転士がドアの開閉作業を実施するのを目にするあたり、「特急きりしま」もワンマン運転になったのだなぁ・・・と実感するのでありました。
JR九州 787系「きりしま」 都城にて_01

JR九州 787系「きりしま11号」 都城にて

晴天に映える桜島も美しいですね。
JR九州 787系「きりしま」 車窓_01 桜島

そして、次にご紹介するのは、福岡~鹿児島線「桜島号」の運用に入っているいすゞガーラHD(2TG-RU1ASDJ)
現時点において、「HARMONY」カラーのトイレ付j-bus製車両は、「桜島号」の運用に入っている3台のみであり、ある意味貴重な車両でもあります。
先程ご紹介した側窓固定窓仕様の三菱エアロエースとは異なり、こちらのいすゞガーラHDは側窓が非固定窓仕様になっています。(写真はイメージです。)
西鉄「桜島号」 1338

乗車したのは、鹿児島中央駅前20時40分発の福岡行き「桜島号」ノンストップ便(最終便)
入線時刻が発車時刻間際になるため、入線後すぐに乗車改札が始まります。
西鉄「桜島号」 1336

西鉄「桜島号」 1336 鹿児島中央駅前改札中

車内は、先程ご紹介した「フェニックス号」の三菱エアロエースと同様、4列シート38人乗りの昼行高速仕様になっています。
メーカー標準の最上位グレードシートを搭載しており、ホールド感はそれなりにある様に感じます。
西鉄「桜島号」 1336 車内

西鉄「桜島号」 1336 シート

こちらのシートにも、前席のシート背面にはテーブルが設置されています。
西鉄「桜島号」 1336 シートテーブル

モバイル充電口はUSBポートになっています。
窓側座席のUSBポートは内壁に、通路側座席のUSBポートは肘掛け下に設置されています。
西鉄「桜島号」 1336 USBポート

その他、写真はありませんが、このいすゞガーラHDにもEDSS(ドライバー異常時対応システム)は搭載されており、乗客向けの安全のお知らせ(取り扱い方法)がシートポケットに入れられている他、前方のLCD運賃表示と連動する形で自動放送説明が途中数回流れます。

以上、簡単に車内を紹介しましたが、こちらの車両も「ひのくに号」や「とよのくに号」の車内サービスを少しだけ良くした・・・といった印象を受けます。
ただ、メーカー標準の最上位シートを選択するなど、長時間乗車も多少は考慮しているのかなぁとも感じました。

尚、こちらの車両における乗車当時の新型コロナウィルス対策は、以下の通りでした。

—————

【主な新型コロナ感染症対策】
・座席使用制限:あり(最前列4席と通路側座席(B席とC席)は販売停止)
 ※座席販売制限は2020年7月1日より一部緩和。(最前列4席のみ引き続き販売停止)
・車内消毒液設置:なし
・運転席回りのビニール製カーテン設置:なし
 ※運転席後部に透明のアクリルボードあり。
・運行終了時の車内消毒:実施
・エアコンの外気導入:実施
 メーカー公式【いすゞ自動車】バスの室内空調の操作方法について
・休憩時の車内換気:実施
・その他:特になし

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「桜島号」も途中休憩は2回 最終便ならではの運賃表示も

鹿児島中央駅は発車したバスは、高速伊敷高速帖佐鹿児島空港南で乗車扱いを行い、暗闇の九州自動車道を福岡へ向けて北上します。
平日の最終便ということもあり、乗客は少なめ。
乗り心地自体は至って快適ですが、側窓が開閉出来ることによる車両の立て付けの問題なのか、所々でビビリ音が発生します。

「桜島号」も途中休憩は2回実施されます。
1回目の休憩は、えびのジャンクション近くの九州自動車道のえびのパーキングエリアにて10分程実施されます。
夜間時間帯ということもあり、パーキングエリアの売店は営業時間外。
バスを下車する乗客は、私を含めて数名のみでした。

バスも、ライトアップされたループ橋を背後にしばしのひと休みです。

西鉄「桜島号」 1336 えびのPAにて_01

西鉄「桜島号」 1336 えびのPAにて_02

西鉄「桜島号」 1336 えびのPAにて_03

西鉄「桜島号」 1336 えびのPAにて_04

えびのパーキングエリアを発車したバスは、暗闇の九州自動車道を北上します。
交通量も少なく、バスは定刻よりも若干早く進んでいる様です。

2回目の休憩場所は、えびのパーキングエリアから1時間半程走行した熊本県の北熊本サービスエリア
こちらでも10分程休憩となりました。
車内で睡眠をとる乗客も多く、バスを降りた乗客は私を含めて数名のみでした。

西鉄「桜島号」 1336 北熊本SAにて

北熊本サービスエリアを発車したバスは、福岡へ向けてラストスパート。
交通量が少ない暗闇の九州自動車道を北上していきます。

00時07分、高速基山に到着。
こちらで数名下車し、更に北上したバスは、大宰府インターから福岡都市高速道路に入り、10分程で天神北ランプを降ります。

00時34分、天神大丸前を通過。
通常、「桜島号」は西鉄天神高速バスターミナルの3階降車場に入りますが、00時過ぎになるとバスターミナルが閉鎖されるため、天神地区の降車場が天神大丸前に変更されます。
写真の運賃表示は、鹿児島発最終便のみで見られる、ある意味貴重な運賃表示であるといえましょう。

西鉄「桜島号」 1336 天神大丸前到着

そして、00時43分、バスは終点の博多バスターミナルに到着。
照明が消された暗闇の1階降車ホームに到着したバスは、私を含めた数名の降車客おろした後、すぐさま車庫へ回送されていくのでありました。

西鉄「桜島号」 1336 天神大丸前到着

乗り心地自体は快適なのですが・・・

以上、西鉄の高速路線用新カラー「HARMONY」 長距離系統(宮崎・鹿児島)仕様車について簡単にご紹介しました。

実際に乗車してみての感想ですが、

「快適な車内ではあるものの、車内サービスが普通の中距離高速路線になってしまった。」

これが率直な感想でした。
座席数を増やした代わりに、シートピッチの拡張や座席テーブルの設置など、デメリットを補う工夫はそれなりになされているという印象は受けました。
最新型車両ということもあってか、車内の騒音も静かで、乗り心地も快適に感じました。
しかし、過去の3列シート車を知っている人間からすると、やはり「サービスダウンした」という利用者の声を払拭するにはそれなりの時間を要するのではないでしょうか。

以前にも同じことを書きましたが、「フェニックス号」「桜島号」の最大のライバルは、いうまでもなく九州新幹線。
ここ数年来はインターネット予約限定の事前購入割引の投入などで、巻き返しを図っています。
「フェニックス号」「桜島号」も、曜日別運賃の投入などで対抗していますが、九州新幹線の巻き返しや昨今の乗務員不足などの影響で、かつての盛況とは違って厳しい状況に置かれていると推測されます。
その最中、西鉄「フェニックス号」「桜島号」の4列シート車の増備は、今日における厳しい状況に対して 更に拍車をかけるのでは、乗客の鉄道への流出が更に進むのではないか・・・と個人的に心配しています。
法令などの絡みで難しいことは重々承知ですが、せめて、福岡~宮崎線「フェニックス号」で採用されている3列シートと4列シート混合の「セレクトシート」仕様にして、シートによって運賃に差をつけるなどの施策が出来なかったのか、悔やまれるところです。

「桜島号」4列シート車は現在、西鉄高速バスと南国交通が大半の便で投入している他、「フェニックス号」においてもJR九州バスが4列シート車の導入を進めています。
乗客の声を受けて3列シートへ戻すのか、それともこのまま4列シート化へ突っ走るのか、はたまた別の施策を打つのか・・・「フェニックス号」「桜島号」の動向については、今後も引き続き注目していきたいと考えています。


【乗車データ】
  • 乗車日:2020/06/22
  • 乗車区間:
    西鉄天神高速バスターミナル→都城北
  • 運行会社:西日本鉄道
  • 車両:三菱/エアロエース(2TG-MS06GP)
  • 年式:2020年式
  • 所属:福岡高速自動車営業所
  • 社番:3440
【乗車データ】
  • 乗車日:2020/06/22
  • 乗車区間:
    鹿児島中央駅前(南国交通バスターミナル)→博多バスターミナル
  • 運行会社:西日本鉄道
  • 車両:いすゞ/ガーラHD(2TG-RU1ASDJ)
  • 年式:2019年式
  • 所属:福岡高速自動車営業所
  • 社番:1336

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