西鉄の連節バス(福岡地区・北九州地区)を改めて見てみる

一般路線バス

2016(平成28)年8月8日に運行を開始し、今日に至るまで増便を重ねている西日本鉄道(本社:福岡市、以下:西鉄)の福岡都心連節バス
西鉄 福岡都心連節バス 0101 中央ふ頭にて その1

運行開始当初は100分~110分おきの運行でしたが、現在は15分おき(日中時間帯)の運行と、この3年間で随分と増えました。
増便に伴い、運用車両も増備され、現在はスカニア/ボルグレン製とメルセデス・ベンツ・シターロGの13台体制で運行しています。

そして、2019(令和元)年7月22日には、北九州市内でも連節バスの運行も開始。
専用カラーリングのメルセデス・ベンツ・シターロGが運用に就いています。

西鉄の福岡都心循環連節バスについては、以前このブログでも紹介していますが・・・


実は先日、「改めて福岡と北九州の連節バスを見ておこう」と思い、前回ご紹介した西鉄の夜行高速バス「ペガサス号」(岡山・倉敷~北九州・福岡)で福岡入りし、2つの連節バスを見て来ました。
今回はその時の模様を備忘録という形でご紹介します。

尚、西鉄「ペガサス号の乗車記は、以下のリンクにてご確認いただけると幸いです。


【おことわり】
  • 今回ご紹介する連接バスについて、福岡市・北九州市と西鉄では「福岡都心BRT」「北九州BRT」と謳っていますが、現時点においてBRTの本来の趣旨(Bus Rapid Transit。バス専用車線、バス専用道路、車外運賃徴収、交差点での優先システムを有し、乗降口の高さも考慮されている)から一部外れていることから、本記事では「福岡都心連節バス」「北九州市内連節バス」という表記に統一させていただきました。
  • 本記事で掲載しているバス外観の画像につきましては、原則公道上から撮影しています。

アイランドシティ発着の入出庫便が登場! シターロGも増車に

岡山から西鉄西鉄の夜行高速バス「ペガサス号」(岡山・倉敷~北九州・福岡)で博多バスターミナルに到着した私。
西鉄「ペガサス号」 4875

西鉄「ペガサス号」 4875 博多バスターミナル到着

生憎の雨の中、まず向かったのは、連節バスが新しく配属されたアイランドシティ自動車営業所最寄の「香椎照葉五丁目」バス停です。
西鉄 アイランドシティ自動車営業所
西鉄 アイランドシティ自動車営業所

博多バスターミナルから西鉄バス29N系統で揺られること30分程で、香椎照葉五丁目バス停に到着。(写真はイメージです。)
西鉄 3062

降りしきる雨は次第に強くなり、撮影も出来ない程の強さになっていきます。
そんな中、香椎照葉五丁目から乗車したのは、福岡都心連節バスの入出庫系統でもある「直行特快」というバスです。

西鉄の福岡都心連節バスは、車両によって3営業所が運行を担当しており、入出庫便を都心部~郊外部を直行する系統として運行しています。

都心部~郊外部間の入出庫系統は、以下の通りになっています。

【愛宕浜自動車営業所】
  • 9特快 能古渡船場→藤崎→薬院駅→福岡都心循環内回り ※朝のみ
  • 301特快 能古渡船場→百道浜四丁目→ヤフオクドーム前→(天神北ランプ)→天神コア前→福岡都心循環内回り ※朝のみ
  • 300特快 福岡都心循環外回り→天神高速BT→(天神北ランプ)→ヤフオクドーム前→能古渡船場 ※夜のみ)
【那珂川自動車営業所】
  • 47特快 那珂川営業所~老司~西鉄大橋駅~住吉四丁目~博多駅~福岡都心循環
  • W特快 那珂川営業所~老司~西鉄大橋駅~天神~福岡都心循環
【アイランドシティ自動車営業所】
  • 直行特快 香椎照葉五丁目→イオンモール香椎浜→(香椎浜ランプ)→(天神北ランプ)→天神コア前→福岡都心循環内回り ※朝のみ
  • 22N特快 香椎照葉五丁目→イオンモール香椎浜→名島運動公園前→(名島ランプ)→(天神北ランプ)→天神コア前→福岡都心循環内回り ※朝のみ
  • 29N特快 香椎照葉五丁目→イオンモール香椎浜→名島運動公園前→(名島ランプ)→(呉服町ランプ)→呉服町→博多駅→福岡都心循環外回り ※朝のみ
  • 22N特快 天神中央郵便局前→(名島ランプ)→名島運動公園前→イオンモール香椎浜→香椎照葉五丁目 ※夜のみ
能古渡船場発着便及び那珂川営業所発着便は以前からありましたが、今年夏の連節バス増便で、香椎照葉五丁目発着便が新設されました。

やって来たのは、西鉄アイランドシティ自動車営業所所属の0208号車。
連節バス系統増便に伴い、新しく配置されたばかりのメルセデス・ベンツ・シターロGです。
現在、同営業所にはメルセデス・ベンツ・シターロGが4台配属されており、福岡都心連節バス及び都心部~郊外部の特快系統で活躍しています。
増備車では、ホイールがスチール製からアルミ製に変更され、一層引き締まった外観になりました。
西鉄 アイランドシティ 0208 連節バス

香椎照葉五丁目を発車したバスは、アイランドシティ内各停留所で乗客を乗せ、香椎浜ランプから福岡都市高速道路に入ります。
始発の香椎照葉五丁目を発車した時点では乗客もまばらでしたが、イオンモール香椎浜を発車した頃には立客が出る程の賑わいぶりに。
利用客が多く、都市高速などでショートカット出来て定時性が見込める路線に、連節バスの活用が有効であることを改めて実感します。

バスは10分程で天神北ランプを通過。
天神コア前で大量の乗客が入れ替わり、更に車内は賑わい見せます。
この後は、福岡都心連節バス内回りとして渡辺通一丁目サンセルコ前→博多駅前F→呉服町→蔵本と停車し、終点の博多港国際ターミナルへと向かいます。

終点の博多港国際ターミナルには、定刻よりも10分近く遅れて到着。
連節バスとはいえ、雨の影響ともなると、これ位遅れてしまうそうです。
西鉄 アイランドシティ 0208 連節バス 博多港国際ターミナル到着

こちらは、博多港国際ターミナルを発車する福岡都心連節バス内回りの0207号車です。
0208号車と同じく、アイランドシティ自動車営業所に所属します。
西鉄 アイランドシティ 0208 連節バス 博多港国際ターミナル到着

香椎照葉五丁目から乗って来たバスで、今度は博多駅へと向かいます。
往路と違い、朝の通勤・通学ラッシュも過ぎたということもあり、車内は閑散としていました。
西鉄 アイランドシティ 0208 連節バス 車内
このタイプの車両は西鉄・他社問わず何度か乗車していますが、洗練された車内は流石といったところ。
いかにも欧州車らしい造りになっています。

北九州にも連節バスがデビュー! 鮮やかなカラーリングが特長

博多駅前でバスを降り、福岡市とはここでお別れ。
徒歩で博多バスターミナルへ移動し、博多バスターミナルからは西鉄の「福北ライン」博多駅・福岡空港国際線系統(福岡空港国際線T・博多BT~小倉)で北九州小倉へと向かいます。(写真はイメージです。)
西鉄「なかたに号」博多系統 4722

北九州へ向かった理由は、いうまでもなく運行を開始したばかりの連節バスを見るため。
終点の砂津にて下車すると・・・停車していました!鮮やかなカラーリングを纏った連節バスが!

西鉄バス北九州 0203 連節バス
2019(令和元)年7月22日に運行を開始した「北九州市内連節バス」です。

北九州市内連節バスについても、以前このブログで紹介しましたが・・・


西鉄と北九州市との共同事業として進められ、試験運行から車両デザインの投票を経て、ようやく運行開始に至りました。
当初の計画では、小倉~黒崎間、小倉~戸畑間、小倉~門司間の3路線の運行する予定でしたが、今回運行を開始したのは、小倉~黒崎間と小倉~戸畑間の2路線になっています。

実際の運行は、北九州地区の子会社である西鉄バス北九州の小倉営業所が担当。
福岡都心連節バスと同様のメルセデス・ベンツ・シターロGを2台導入しました。
江戸時代初期・豊前小倉藩(北九州市)で織られた「小倉織」をモチーフとし、市花である「ひまわり」「つつじ」の花びらをあしらった、洗練されたデザインが特長です。
北九州市の特色を表した車体デザインであるといえましょう。

今回乗車したのは、砂津13時40分発の黒崎バスセンター行き特快1系統です。
本来であれば、早朝の朝に1本のみ運行される戸畑駅行き特快25系統に乗りたかったのですが、行程の都合上、今回は断念。
次回以降の宿題としました。

のりばには発車数分前に入線します。
西鉄バス北九州 0203 連節バス 砂津にて

車内の様子です。
基本的な造りは福岡市内で活躍しているものと同じですが、シートモケットを変えるなど、差異も見受けられます。
西鉄バス北九州 0203 連節バス 車内

バスは、既存の1特快系統と同じ行路で運行されます。
元々が旧北九州市内線(路面電車)の代替バスとして運行されていること、そして通常の1系統よりも停車停留所が絞られている特快系統として運行されているために、かなり速く感じます。
この日は、乗務員の他に、アテンド役のガイドさんも同乗。
乗客からの質問にテキパキと答えていたのが印象に残りました。

砂津(チャチャタウン前)を発車すること40分程で、バスは終点の黒崎バスセンターに到着。
あっという間の連節バスの旅でした。

地域差を感じた2つの連節バス

以上、にしてつグループが運行する福岡と北九州の2つの連節バスについて、簡単にご紹介しました。

今回、限られた時間の中で2つの都市で活躍する連節バスを見ましたが、地域差を感じたというのが正直な感想でした。

まずは、循環運行する福岡都心連節バスについて。
運行開始から3年が経過しましたが、都心部~郊外部の入出庫系統については、通勤・通学路線として機能していることや、多くの系統が福岡都市高速道路を経由し速達性を謳っていることから、利用がかなり根付いている印象を受けました。
一方で、日中時間帯の循環運行については、渋滞時の遅れや団子運転の形成など、解決すべき課題が多いのかなぁと思いました。
博多港が起終点になっていることからして、観光メインの路線であるともいえるかもしれませんが、実際に乗ってみると、日常利用の乗客も少なからず見受けられることから、利用客の減少を防ぐという観点からも、専用レーンの確保や優先信号の整備など、定時制の確保は早急にやらなければいけないのでは?と感じました。

次に、北九州市内の連節バスについて。
こちらは、現時点での導入台数や運行本数が少ないということもありますが、優先信号や専用レーンの整備など、システムを作り込むことで、もしかすると福岡よりも連節バスのメリットを活かせられる路線に化けるのではないかと感じました。
将来への可能性という点では、私はむしろ福岡よりも北九州の方に可能性を感じました。
1990年代前半まで路面電車が運行されており、その土壌が未だに残っているというのが大きいのではないでしょうか。

そして、これはあくまで個人的な印象ですが、乗客の様子を見ている限り、連節バスへの関心度も福岡より北九州の方が高いのかなぁと思いました。
先述の通り、北九州市内連節バスでは現在、アテンド役としてガイドさんが同乗しているのですが、連節バスのことを訪ねている乗客を至るところで見かけましたし、乗客同士の会話でも連節バスの話題がチラホラとあがっていました。
同路線が通勤・通学路線として広く利用されていることにより、日常生活のこととして意識されているのでしょうし、もしかすると、連節バスが”路面電車の再来”という感覚で捉えているのかもしれません。

色々と書きましたが、福岡・北九州双方ともに、現状の課題を克服して、より使いやすく、市民や観光客などに親しまれる交通機関へと育っていくことを、一バスファンとして切に願いたいものです。

西鉄 連節バス 福岡&北九州 0208&0203 アイキャッチ用 480


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