庄内交通「夕陽号」東京駅・TDL線 乗車記
東京都内で丸一日所用をこなし、移動再開です。
東京からは、こちらのバス↓を利用しました。
東京都内と鶴岡・酒田の間を結ぶ夜行高速バス「夕陽号」です。
運行開始から30年以上経過している老舗路線であり、首都圏と庄内地方を結ぶ交通機関を語る上で欠かすことの出来ない路線でもあります。
特に、JRの夜行寝台特急が廃止されて以降は、東京と庄内地方を結ぶ唯一の夜行交通機関として、数多くの利用者に親しまれています。
目次
「夕陽号」のはじまりは関越道経由の夜行バスだった
ここで、夜行高速バス「夕陽号」について簡単におさらいしておきましょう。東京と庄内地方の間に夜行高速バスが走り始めたのは、先述の通り今から30年以上前の1988(昭和63)年10月25日。東京急行電鉄(→東急バス、以下:東急)と庄内交通が共同で夜行高速バスの運行を開始しました。
当時は運行会社によって路線名称が異なっており、東急は「ミルキーウェイ」酒田線、庄内交通は「日本海ハイウェイ夕陽号」という路線名を用いていました。
また、使用車両も運行会社によって異なっており、東急は3列+4列混合配列30人乗りのスーパーハイデッカーを投入していたのに対し、庄内交通はセンターアンダーフロア(ミッドシップ)構造を採用したセミダブルスーパーハイデッカー「ボルボ・アステローペ」を投入。」車両後部がサロン構造になっていたことから、利用客にも好評を得ていました。
因みに、夜行高速路線に「ボルボ・アステローペ」を投入したのは、庄内交通が日本初といわれています。
東急バス「ミルキーウェイ」
運行経路も、当時は山形自動車道が庄内地区まで開通していなかったこともあり、関越自動車道~国道7号経由で運行。一部の区間において日本海沿いを走行することから、特に日が長い時期の下り便の朝の車窓は見応えがあったともいわれています。
その後、庄内交通は国際興業と手を組んで東北道経由の夜行高速バス「赤羽・大宮~鶴岡・酒田線」を開業し、首都圏~庄内地方間の夜行高速バスは2路線体制となりますが、やがて、東急バスの運行撤退や路線統合などを経て、現在は「夕陽号」として大宮・池袋。渋谷線、上野・秋葉原・東京駅丸の内口・新宿線、東京駅八重洲口・TDL線の計3路線体制で運行しています。
実は先日、久しぶりに「夕陽号」東京線に乗る機会があり、早速乗車して来ました。先述の通り、夜行高速バス「夕陽号」は全部で3路線運行されていますが、運行会社の担当ローテーションや発着場所、使用車両を考慮した結果、今回は新設されてからさほど年数が経っていない東京駅・TDL線を選んでみました。
快適な中央トイレ仕様のいすゞガーラHD
やって来たのは、千葉県浦安市にある東京ディズニーランド(R)。「ディズニーランドへ行くわけでもないのになぜ?」というツッコミはさておき、「夕陽号」東京駅・TDL線の始発が東京ディズニーランド(R)バスターミナルであるため、隣接するバスターミナルへと向かいます。
「夕陽号」東京駅・TDL線は、東京ディズニーランド(R)バスターミナル・イースト8番のりばから発車します。
私が現地に到着したのは21時頃でしたが、既に関西方面行き夜行高速バスが立て続きに発車しており、バスは和歌山行き「サウスウェーブ」(成田空港交通担当便)の発車を待って入線します。
今回私が乗車したのはこちらの車両↓。
以前このブログでもご紹介した「夕陽号」京都・大阪線専用車と同仕様のいすゞガーラHD(QTG-RU1ASDJ)232号車です。
庄内交通「夕陽号」といえば、とかく後部トイレ仕様の車両をイメージするのですが、この車両に関してはトイレが車内中央部に設置されており、シートピッチも広くとられていることから、道中快適に移動することが出来るのです。
「夕陽号」の車両の中でも、当たりの部類に入るといえるでしょう。
乗務員の改札を受けて、車内に入ります。
車内は、3列独立シート28人乗りの夜行高速バス仕様。
青系のシートモケットと、同じく青系の可動式枕が目立ちます。
最後部まで一人掛けになっている他、コンセントや通路カーテンもしっかり装備しているなど、ハイグレードな印象を受けます。
車内を見回って一息ついたところで、乗務員から「どうぞ」と缶のお茶をいただきます。
車内中央部のサービスコーナーが閉鎖されていたので気にはなっていたのですが、現在は飲みもののセルフサービスに代わって缶のお茶を乗客に配っている様でした。
途中休憩は一切なし 鶴岡・酒田まで一直線
21時35分、定刻に東京ディズニーランド(R)を発車したバスは、若干流れの悪い首都高速道路を走行し、東京駅方面へと向かいます。呉服町ランプを降りて一般道を走行しますが、大手町付近に差し掛かったところで、「次の停留所である東京駅八重洲南口の入線時刻が決まっているので、こちらでしばし待機します。」との案内が、10分程路上にて待機となりました。
22時30分、バスは東京駅八重洲南口のJR高速バスターミナルに到着。
こちらで乗車扱いのため10分間停車します。
都内有数の高速バスターミナルですが、この日は平日ということもあってか、数人のみの乗車となりました。
結局、10名にも満たない乗客数でバスは22時40分に東京駅八重洲南口を発車。
発車後、自動放送と液晶モニターによる各種案内放送と乗務員による補足説明が行われます。
過不足ない的確な案内が特徴といったところでしょうか。
22時45分頃、車内は消灯。
途中数回の乗務員交代を挟みながら鶴岡・酒田へと向かいますが、このバスは夜行バスとしては所要時間が短いことから、途中の開放休憩が一切ありません。
ですので、飲食物は乗車前に購入しておくことをお勧めします。
通路カーテンをセットしてシートを倒すと、いつしか夢の中へ。
目が覚めたのは、鶴岡到着前の乗務員による案内放送でした。
鶴岡到着手前で起床 庄内平野の景色が一面に
4時55分、鶴岡到着が近づいたところで起床。乗務員の案内放送と同時に、車内灯が灯されます。起床後、乗務員から「おしぼりをどうぞ。」と温かいおしぼりが手渡しされます。
昔の夜行バスでは起床後のおしぼりサービスを実施する事業者を多く見かましたが、最近ではおしぼりサービスどころか、おしぼり自体を置かない事業者・路線も増えています。
そんな中、おしぼりサービスしかり飲みものサービスも昔のまま継続して行われている・・・古き良き時代の夜行バスの姿を庄内交通「夕陽号」では見ることが出来るのです。
5時01分、山形自動車道鶴岡インターを通過。
その後、最初の降車停留所である庄内観光物産館に到着します。
庄内観光物産館は、庄交グループが運営する観光土産施設ですが、パーク&バスライド対応の高速バスターミナルとしても機能しており、敷地内には200台弱の車が駐車出来る駐車場と待合室も完備。
聞くところによると、庄内観光物産館での乗降が意外と多いそうです。
こちらで数名の乗客を降ろし、バスはJR鶴岡駅近くのエスモールバスターミナルへ。
同じく庄交グループが運営するショッピングセンター「エスモール」(S-MALL)に併設するバスターミナルですが、大規模なリニューアル工事が2017年4月に完成し、綺麗なバスターミナルに生まれ変わりました。
こちらでは3名が下車していきました。
この後バスは、朝の太陽に照らされた庄内平野の景色を眺めながら酒田へと向かいます。
朝の庄内平野の景色が楽しめるのは、日が長いこの時期ならではの特権であるといえましょう。
庄内町余目駅前は降車客がおらず通過し、パーク&ライド駐車場が併設されているイオン酒田南では1名が下車。
そして5時55分、定刻よりも30分早くバスはJR酒田駅近くの酒田庄交バスターミナルに到着しました。
終点はさかた海鮮市場ですが、私を含めた残りの乗客が全員下車したため、バスは「回送」の表示を出して酒田市内の庄内交通営業所へと回送されていくのでありました。
庄内地区にとってなくてはならない首都圏直行便
というわけで、庄内交通「夕陽号」東京駅・TDL発着便の乗車記をお届けしました。今回は日程の都合で平日利用ということもあってか、私を含めての乗客数が10名にも満たない状況でしたが、聞くところによると週末や繁忙期は満席になることも少なくないとか。
出来れば週末や繁忙期の「夕陽号」に乗車して、路線の盛況ぶりを確認したかったです。
一方で、2000年代に入っての旧高速ツアーバスの台頭があったとはいえ、サービスを縮小する夜行バスが増えている中、昔ながらの夜行バスのサービスを令和の時代においても維持している点や、複数路線で東京都内・近郊のターミナル駅やディズニーランドを網羅し、利便性を向上させている点などを見る限り、「夕陽号」が庄内地区にとってなくてはならない首都圏直行便として機能していることも、今回の乗車で感じ取ることが出来ました。
今回は運行を開始して年数が経ってない東京駅・TDL線を選びましたが、もし機会がありましたら、今度は大宮・池袋・渋谷線や東京駅丸の内・新宿線にも乗車してみたいと思いました。
庄内交通にとってフラッグシップ的存在である夜行高速バス「夕陽号」東京各線。
今後も利用者の目線に立ったサービスの提供と利便性向上に是非とも期待したいものです。
【乗車データ】
- 乗車日:2019/06/25
- 乗車区間:
東京ディズニーランド(R)→酒田庄交バスターミナル - 運行会社:庄内交通
- 車両:いすゞ/ガーラHD(QTG-RU1SADJ)
- 年式:2017年式
- 所属:酒田営業所
- 社番:232
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