大分交通の夜行高速用106号車貸切乗車会に参加してきました。
2016年3月に惜しまれつつ運行を休止した名古屋~別府・大分間夜行高速バス「ぶんご号」。
最終便は大分交通が運行を担当し、その時に充てられた車両がこちら↓の西工製夜行高速仕様の106号車(三菱KL-MS86MP 西工02MC SD-Ⅰ)でした。
「ぶんご号」休止から4カ月、殆ど車庫で休んでいる状態であったとのことですが、今般106号車を貸し切った乗車会を開催すると聞き、「もう一度106号車に会っておきたい!」という思いが強まり参加を決意。
九州入りして福岡~鹿児島間を往復した後、西鉄の「とよのくに号」スーパーノンストップ便で大分へと向かいました。
当初は、大分交通公式の1泊2日のツアーとして催行される予定でしたが、催行人数に達しなかったためにツアーは中止。
ところが、企画立案をされた方が「折角申し込んでいただいた方のためにも、仲間うちによる日帰り方式の乗車会でリベンジしたい。」ということになり、行程は短縮されましたが仲間うちによる貸切乗車会という形で催行されることになりました。
大分交通106号車とは?
ここで、大分交通106号車について簡単に紹介しておきましょう。大分交通106号車は、当時唯一の夜行高速路線「ぶんご号」の専用車として2001年に導入されました。
三菱ふそうトラック・バス製のハイデッカー「エアロバス」用シャシーに、西日本車体工業製のスーパーハイデッカー用ボディ「02MC SD-Ⅰ」を架装しています。
外観はシンプルながらも目立つ同社の高速路線用カラーを纏っており、床下には乗務員仮眠室が設置されています。
車内は3列独立シート26人乗りの夜行高速仕様。
初代「ぶんご号」専用車に準じたシート配列になっており、珍しく非公式側にトイレを配置したり、トイレ横の5B席をフリースペースにすることで、長時間でも快適にくつろげるゆったり仕様になっています。
このため、シートピッチも一部座席を除いて約1,000mm確保されています。
また、車内の気密性を固める目的から、側窓下部は内貼りの加工もなされています。
シートは天龍工業製のスリーピングシートを採用。
足受けの奥行きが深く、長身の方でもゆったりと足を伸ばすことが出来ます。
各座席にはシートヒータースイッチとPanasonic製マルチステレオコントローラを完備。
車内中央部のサービスコーナーやおしぼり用保温器、冷蔵庫など、「古き良き時代の夜行バス」の面影を至るところで見受けられます。
この様に、快適性を重視した車内の細かな造りがバスファンから「名車」と呼ばれる所以でもあり、製造から10年以上経過した今でもファンの間で親しまれています。
旧国鉄宮原線廃線跡を肥後小国へ向けて
「とよのくに号」を下車した大分要町は、大分駅最寄りの高速バス発着場所以外に貸切バスの駐車場としても機能してしています。敷地では頻繁に「とよのくに号」が発着します。
まさか、西鉄の元「USJ線」用車両が「とよのくに号」に転用されるとは思いませんでした。
今回の日帰り貸切乗車会は、大分要町の貸切バス駐車場からスタートします。
主役登場です。 2013年7月の「ぶんご号」乗車以来のこの雄姿・・・
前回見かけた時よりも綺麗になっています。
受付を済ませて乗車します。 この眺め、そしてスーパーハイデッカーならではのアイポイント・・・優越感に浸れるこの瞬間が好きですね。
10時00分、参加者が全員揃ったところでバスは発車。
主催者の挨拶の後、行程の説明が行われました。
今回は、旧国鉄宮原線の廃線跡を巡ったあと、肥後小国の道の駅へ向かい小休止し、その後九州自動車道経由で別府に移動して大分交通別府営業所を見学した後、大分に戻ってくるというルートでした。
まず向かったのは、玖珠郡九重町にある旧国鉄宮原線町田駅。
とその前に、今回の昼食は各自用意ということで、途中のセブンイレブン(由布挟間店)に立ち寄ります。
聞くところによると、こちらの乗車会ではお約束だとか。
夜行高速車がコンビニに立ち寄るというも珍しいですね。
セブンイレブン由布挟間店を発車したバスは、美しいくじゅうの山々を眺めながら、国道210号~九重町役場交差点~県道681号を経由して町田バイパスへ向かいます。
その間、車内では大分交通の懐かしいものやレア部品などが当たるじゃんけん大会が開催され、私はこの様なものをゲットすることが出来ました。 家宝にしたいと思います。
大分を発車してから2時間弱の12時前に、バスは最初の下車地である旧国鉄宮原線町田駅跡に到着しました。 旧町田駅は、単式ホーム1面1線を持つ無人駅。
駅跡にはプラットホームや駅名標が残っています。
ですが、駅跡は町田バイパス沿いにあることから、交通量を考慮して停車時間は僅かとなりました。
少ない停車時間を利用して、皆さん思い思いの写真を撮影していきます。
続いて向かったのは、一つ先の宝泉寺駅跡。
宝泉寺駅は島式ホーム1面2線を持つ有人駅で、駅舎よりトンネルを潜り階段を上ったところにホームがあったそうです。
旧駅舎は現在資料館として活用されている他、大分交通グループの玖珠観光バスが豊後森、麻生釣方面へ路線バスを運行しています。
宝泉寺駅跡の見学が終わったところで、バスは大分県と一旦お別れして熊本県阿蘇郡へと入っていきます。
次に向かったのは、阿蘇郡小国町北里にある堂山橋梁。
筑後川水系北里川に架けられた充腹式コンクリート造3連アーチ橋です。
「絵になる風景」ということで、橋梁下を潜るバスを撮影します。
撮影が終わったところで、遠くに汐井川橋梁が見える尾ノ上まで移動。
汐井川橋梁の姿を見に行く人が多い中、私は峠に停車中のバスの写真を収めていました。(笑)
産交バスのバス停もありました。
小国方面へ行く路線があるようです。
続いて向かったのは、旧北里駅跡です。
旧北里駅は単式ホーム1面1線の無人駅だったそうで、この駅付近一帯は医学博士「北里柴三郎」の出身地とのこと。
現在は農産物直販所となっていますが、北里駅跡公園としてかつてのホームが残されています。
北里駅跡の見学が終わったところで、ここからはバスで狭い道を幸野川橋梁手前まで移動後、バス班と徒歩班に分かれて肥後小国へと向かいます。
この日は気温が35度近くと暑く、外に立っているだけで辛いと感じた私は、空かさずバス班での移動を希望。
涼しいバス車内から小国の街並みを眺めながら、旧駅場所の肥後小国駅跡へと向かいます。
13時30分頃、バスは肥後小国駅跡に到着。
こちらで約1時間の休憩を挟みます。
旧肥後小国駅は、、単式ホーム1面1線を持つ有人駅で、本線のほか機回し線と側線があったとか。
現在は道の駅として整備されており、多くの車で賑わう場所になっている他、「小国ゆうステーション」という名称で高速バスや小国地区路線バスの結節点としての役割も担っています。
日田バスと九州産交バスが運行する高速バス「福岡~黒川温泉線」も立ち寄ることで有名な場所です。
小国の道の駅に来たのは、かつて乗車した西鉄「福岡~黒川温泉線」の復路で立ち寄った時以来ですので、約8年ぶりになりますね。
数年前に閉鎖された大分交通小国車庫も残っていました。
素晴らしい景色の大分道、そして別府営業所へ
徒歩組が合流し、1時間の休憩時間が終わったところで、バスは国道387号を九重インターまで戻った後、九重インターからは大分自動車道を走破します。一面に広がる九州山地の素晴らしい景色は、いつ見ても感動します。
日の出ジャンクションで大分自動車道から東九州自動車道へ進路を変え、速見インターで高速道路を降りたバスは、最後の訪問地である大分交通別府営業所へ。
こちらでは車庫見学とグッズ関連の販売が行われました。
大分交通別府営業所は、別府市郊外(別府市大字内竈)にある同社の基幹営業所のうちの一つです。
「関の江大交車庫」という停留所名でピンと来る方もいらっしゃるのではないでしょうか。
別大電車の跡を辿る別大線、エアライナー別府系統、APU線及び別府市内の路線を担当しています。
かつての大分交通別府エリアの車両といえば、エアライナーか中型の路線バスというイメージが強かったのですが、APU(立命館アジア太平洋大学)が開校したということもあるのでしょうか、現在は中型車はもとよりエアライナーや貸切落としの車両、大量輸送対応の長尺車、はたまた本州の事業者で活躍した移籍車両など、バラエティに富んでいたのには驚きました。
大分交通別府営業所で休憩中の106号車です。
一方、106号車の前では、午前中のじゃんけん大会で景品をゲットできなかった方への廃品方向幕のプレゼントや、大分交通のグッズ販売が実施されました。
悩んだ結果、今回は方向幕タオルと創業120周年記念nimocaのセット(2,000円)を購入。
画像はありませんが、方向幕タオルは今は無き「ぶんご」や小国行きの方向幕が印刷されており、正直使うのが勿体ない程の仕上がりになっています。
大分交通別府営業所での見学会が終わったところで、バスは国道10号の別大国道を大分へ向けてひた走ります。
乗車会の時間も残り少なくなってきました。
左手には別府湾が一面に広がります。
大分市中心部で渋滞に巻き込まれつつも、予定時間よりも若干早くバスは大分要町の貸切バス駐車場に到着。
ここで参加者数名が下車し、バスは所属営業所の大分交通大分営業所(5号地車庫)に到着。
約7時間の貸切乗車会は無事に幕を閉じました。
その後、同所での車庫見学の後、各自解散となりました。
洗車を済ませて給油中の106号車です。
というわけで長くなってしまいましたが、大分交通106号車貸切乗車会の模様をお届けしました。
残念ながら泊まりがけのツアーは中止となってしまいましたが、それでも日帰りの貸切乗車会という形で106号車に乗車する機会を与えてくれた主催者の方に、まずはこの場を借りてお礼を申し上げます。
ブログ上で何度か取り上げましたが、快適性を重視した車内の細かな造り、長時間でも快適にくつろげるシート、古き良き時代の夜行バスの車内サービスの面影を味わえるという点で、大分交通106号車は日本のバス車両の歴史上、「名車」のうちの1台だと私は思います。
通常の3列夜行仕様車で、106号車の様な乗客視点で評価が高い車両は、今後中々登場しないのではと考えます。
現在のところ、106号車は完全ワンマン運行に対応していないということもあり、今後どう運用されるのかは分からないとのことですが、今回久しぶりに見た感じでは、近距離高速路線であればまだまだ活躍出来るのではと感じました。
とやかく私がどうこういう話ではありませんが、この車両が少しでも長く活躍し続けることを一バスファンとして切に願いたいものです。
尚、今回ご紹介した大分交通106号車ですが、担当者曰く「貸切も可能です!是非貸し切って下さい!お待ちしております。」とのことでした。
貸切料金及び日程については別途相談・見積もりになりますが、貸切乗車に興味がある方は大分交通(株)貸切課(TEL:097-532-5155)へ問い合わせてみてはいかがでしょうか。
【乗車データ】
- 乗車日:2016/08/20
- 乗車区間:
大分要町~道の駅小国~大分交通別府営業所~大分要町~大分交通大分営業所 - 運行会社:大分交通
- 車両:三菱/KL-MS86MP(西工02MC SD-Ⅰ)
- 年式:2001年式
- 所属:大分営業所
- 社番:106
【おまけ】
大分交通大分営業所で見かけた高速バス車両の中から。
大分交通の大分・別府~徳山・広島線「別府ゆけむり号」専用車として活躍する47号車(三菱KC-MS829P 西工S型)です。
途中区間フェリーを介在するという珍しい高速バスです。
一度乗車してみたいですね。
ラッピングを施した亀の井バス356号車(日産PKG-RA274RBN 西工96MC E-Ⅲ)です。
大分・別府~北九州線「ゆのくに号」の運用に入っていました。
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