名鉄バス「青葉号」乗車記(2015年4月乗車分)
東北地方の最大の都市、杜の都「仙台」。
この仙台から、東京をはじめ遠くは関西方面へ多数の夜行高速バスが運行されています。
その中でも、開業20年以上経過しても未だに人気路線として運行を続けているのが、これからご紹介する名古屋~仙台線「青葉号」であります。
夜行高速バス「青葉号」は、1990年の4月27日に名鉄バスと宮城交通が共同で運行を開始。
名古屋を含む中京地方と東北地方を直行する交通機関は、飛行機とフェリーがありますが、飛行機は運賃が高いこと、そしてフェリーは所要時間が約21時間と時間がかかることから、双方のデメリットをカバーした「青葉号」は、瞬く間に人気路線へと成長していきます。
2003年には栄への停車を開始。
また2008年4月には運行経路変更により所要時間を20分短縮するなど、利便性向上が図られます。
結果、利用客も順調に推移していきますが、この路線も2011年3月11日発生の東日本大震災の影響を受けることになります。
約2週間の運休を経て、2011年3月下旬は運行を再開。
しかしながら、宮城交通側の事情(乗務員数が確保できないなど)により、2011年4月上旬より、名鉄バスの単独運行に変更されます。
一方で、期間限定による特別運賃(大人片道7,000円、子供半額)で運行を行うなど、震災復興の手助け的なことも実施、好評を得ます。
その後、2013年に一度だけ宮城交通便が復活しましたが、再度宮城交通便が撤退。
現在は名鉄バスが単独で運行を行っています。
私自身、「青葉号」にはこれまでに2度(1999年と2004年)乗車したことがありますが、ここ10年来は利用する機会がありませんでした。
今般、仙台から九州へ移動する際の途中までの足として利用する機会があり、久しぶりに乗車して来ましたので、今回はその時の模様をご紹介します。
平日でも満席の老舗人気路線
やって来たのは、JR仙台駅から徒歩10分弱のところに位置する、宮交仙台高速バスセンター。宮城交通及び共同運行会社の仙台発着の中・長距離高速路線が発着する他、向かいには東北急行バス仙台営業所があり、いわば東北地方最大の高速バス発着拠点でもあります。
バスの発着自体は路上の停留所で行われますが、停留所前には立派な待合室も。
バスターミナルが入居する「東京建物仙台ビル」が完成し、この付近の雰囲気もすっかり変わりました。
今回名古屋までお世話になった車両は、名鉄バスの2701号車(三菱エアロクイーンⅠ PJ-MS86JP)。
かつて「名古屋~松山線」の専用車として活躍した車両で、現在は「青葉号」の他、同社の夜行高速路線の続行用としても活躍しています。(写真はイメージです。)
車内は3列独立シート27人乗りの夜行高速仕様。
トイレ、レッグレスト、フットレスト、座席コンセント、通路カーテンが完備されており、9時間20分のバスの旅を快適に過ごすことが出来る様になっています。(写真はイメージです。)
「青葉号」の発車時刻は21時30分。
発車の10分前には乗り場にバスが入線し、改札が始まります。
乗務員の改札を受け、指定された3C席に座り、しばし出発を待ちますが、瞬く間に空いていた座席は満席になります。
平日にもかかわらずこの乗車率の高さ・・・震災復興の影響もあるでしょうが、改めて「青葉号」の人気の高さが窺い知れます。
21時30分、定刻にバスは仙台駅前の宮交高速バスセンターを発車。
発車後、早速交代乗務員による自己紹介、運行経路、車内設備の説明がマイクを通して行われます。
乗務員の「詳しく丁寧な案内」は、今や名鉄バスの特徴のひとつとして挙げられるようにもなりましたが、乗務員による質のバラツキが少なく高いレベルが保たれている点も評価したいですね。
バスは10分もしないうちに仙台西道路から東北自動車道へ。
実はこの「青葉号」、運行経路が少々複雑でして、以前は東北自動車道から首都高速道路~中央自動車道~東名高速道路~名古屋高速という経路で運行していましたが、現在は東北自動車道を栃木県内まで走行した後、岩舟ジャンクションから北関東自動車道~関越自動車道~上信越自動車道~長野自動車道~中央自動車道~東名高速道路~名古屋高速という経路で名古屋までひた走ります。
仙台を発車後、到着地の名古屋までノンストップであること、更には夜の開放休憩が一切無いことから、22時15分に車内は消灯され、就寝タイムに突入します。
その間、寝る準備を済ませ、シートを倒すと、いつの間にか夢の中へ。
翌朝目を覚ますと、バスは中央自動車道阿智パーキングエリアを通過しているところでした。
5時過ぎ、交代乗務員のモーニングコールで起床。
やがて「青葉号」唯一の休憩場所である恵那峡サービスエリアに到着します。
ここでは15分の開放休憩が設定されており、多くの乗客がバスを降りてトイレや洗顔、買い物を済ませていきます。
恵那峡サービスエリアは、中央自動車道のサービスエリアの中でも広大なサービスエリアのうちの一つ。
広いトイレや充実した売店が特徴でもあります。
一方で、駐車スペースも広いことから、バスに戻る際は迷わない様に注意する必要がありますね。
あっという間にバスは名古屋へ・・・
5時20分、乗客が全員揃ったところで、バスは発車。残り1時間強の間、名古屋へ向けてひた走ります。
5時57分、小牧ジャンクションを通過。
ここで中央自動車道とはお別れし、東名高速道路へ入ります。
6時02分、小牧インターを通過。
ここからは名古屋高速を中心部栄付近までひた走ります。
6時15分、東新町ランプを流出。
東海テレビ・東海ラジオの本社前を通過すると、最初の降車停留所「栄」はすぐそこです。
6時19分、オアシス21斜め向かいの栄バス停に到着します。
ここでは6名が下車しました。
その後、朝が開けきっていない名古屋中心街の道路を走行し、定刻よりも20分近く早い6時32分にバスは終点名鉄バスセンターに到着しました。 思っていたよりもあっという間に着いたという感覚の「青葉号」の旅。
乗務員からトランクに預けていた荷物を引き取り、名古屋の街に出ると、そこには清々しい平日の朝の光景が広がっていました。
そして、名鉄バスセンターの近くのサウナで身支度を済ませ、私は次なる目的地へと向かうのでありました。
というわけで、名鉄バスの名古屋~仙台間夜行高速バス「青葉号」の乗車記をお届けしました。
今回、約10年ぶりに「青葉号」に乗車してみて、改めて同路線の人気の高さというものを知ることが出来ました。
流石、繁忙期に複数台の続行便が出るだけのことはあるなぁと思いました。
名古屋~仙台間においては、直通する交通機関が飛行機の他に、格安なフェリー(太平洋フェリー)も就航しています。
にもかかわらず、何故に夜行高速バス「青葉号」の乗車率が高いのか・・・。
名古屋~仙台間はそれなりに流動がある区間ですが、私は「格安な運賃」と「夜行バスに適した運行時間帯」が要因だと考えます。
元々「青葉号」は片道10,000円前後の運賃で設定されていましたが、2013年1月7日の幅運賃導入で、片道最安7,000円で乗車することが出来る様になりました。
平日がメインとはいえ、名古屋~仙台間片道7,000円という運賃は、安く移動したい層にとっては魅力に映る筈です。
繁忙期に適用される運賃(片道11,100円)も、他の交通機関と比較すると安いと感じるでしょう。
販売チャンネルの拡大(ハイウェイバスドットコム・ウィラートラベル公式サイト)も、利用拡大に功を奏しているのかもしれません。
そして、「青葉号」の運行時間帯を改めて見てみると、21時台に出発して翌朝7時前に到着するという、乗客にとっても事業者にとっても最適な運行時間になっています。
寝ながら移動出来るという点では、フェリーも選択枝の一つに入りますが、運賃ではほぼ互角であるのに対し、所要時間では夜行バスの方が遥かに有利です。
更に、1回のみとはいえ開放休憩も設定されており、サービスエリアで気分転換が出来る点も、夜行バスが選ばれる要因の一つなのではないでしょうか。
名古屋~仙台間の主要交通機関として立派に活躍している夜行高速バス「青葉号」。
ここ最近は震災復興の影響で流動が活発になっているということもあるでしょうが、「青葉号」の好調は今後も暫く続くのではないか・・・そんなことを思った、今回の「青葉号」の乗車でございました。
【乗車データ】
- 乗車日:2015/04/16
- 乗車区間:
仙台駅前(宮交高速バスセンター)→名鉄バスセンター - 運行会社:名鉄バス
- 車両:三菱/エアロクイーンⅠ(PJ-MS86JP)
- 年式:2006年式
- 所属:名古屋中央営業所
- 社番:2701
【お知らせ】
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