1983年にデビューし、約27年もの間製造が続けられた三菱ふそうの2階建てバス「エアロキング」。
多くのバスファンを魅了し続けた同社のフラッグシップモデルでもありましたが、2010年に製造が中止されたことで稼働台数が減少しています。
JRバスグループを中心に高速バスで稼働していた車両も続々と引退を迎え、2023年2月時点で高速バス用として現役稼働しているのは、
- 沖縄県のやんばる急行がヒルトン沖縄瀬底リゾートと提携して運行する「那覇空港~ヒルトン沖縄瀬底リゾート」
- 福島交通の福島・郡山~京都・大阪線「ギャラクシー号」
- 関東自動車の宇都宮・栃木・久喜~京都・大阪線「とちのき号」
- JR東海バスの東京~名古屋線「ドリームなごや号」「新東名スーパーライナー」
くらいではないでしょうか。
そんな中、JR東海バスが唯一在籍していたV8エンジン搭載のエアロキングが引退を迎えることになり、この車両のラストランツアー「V8と直6が奏でる最後の共演。MU612TX&BKG-MU66JS」が、JR東海バスの主催で2023年3月18日と19日の2日間にわたって催行されました。
実はこの度、運良くこのツアーに当選。
「またのない機会、参加しよう!」ということで、今回はこのツアーの1日目午前の部に参加した時の模様をダイジェスト形式でご紹介します。
想像以上の競争率!? 引退バスを追っかける別ツアーも急遽企画へ
先述の通り、ツアーの催行日は2023年3月18日と19日の2日間。
ツアーの申し込み受け付けが始まったのは、催行から約1か月前の2023年2月17日でした。
各回の定員が40名であることや、定員以上の申し込みがあった場合は抽選ということで、ある程度の競争率になることは予想していました。
ですので、今回は受付開始と同時に申し込みフォームから申し込みを済ませました。
そして、約3週間後の2023年3月7日、JR東海バスから抽選結果のメールが。
メールの文面を見た瞬間、思わず「やったぜ!!」と声をあげてしまいました(笑)。
聞くところによると、かなりの競争率であったとか。
このため、JR東海バスでは引退バスを追っかける別ツアー「さようならV8エアロキング!「本気で」追っかけツアー」を急遽企画、催行することなったのです。(あとになって分かったことですが、撮影メインの方にとっては、むしろこちらのツアーの方が良かったのかも?と私は思いました。)
とはいえ、せっかく当選したツアー。
これは是非とも楽しまなければ・・・ということで、名古屋までの移動手段を確保し、出発の日を迎えます。
【エピローグ】「ドリームなごや1号」で名古屋へ・・・
札幌を夕方に出発した私。
ANA76便で東京羽田空港へ向かいます。
東京モノレールとJR山手線を乗り継いで、東京駅八重洲南口へ。
まずは、こちらから名古屋へ向かいます。
乗車したのは、JR東海バスの名古屋駅新幹線口行き「ドリームなごや1号」。
ツアーのための予習・・・というわけではありませんが、数ある「ドリームなごや号」の中から三菱エアロキング(BKG-MS66JS)が充てられる便を選びました。
この「ドリームなごや1号」と名古屋発の「ドリームなごや2号」は、豊田市や日進市、名古屋市営地下鉄鶴舞線の主要駅を経由する便。
かつての「ドリームとよた号」と「ドリームなごや号」御器所経由便を合わせた運行経路になっています。
バスは、23時00分に東京駅八重洲南口を発車・
年度末の週末ということもあり、車内は満席でした。
首都高速道路から東名高速道路に入ったバスは、足柄サービスエリアと浜名湖サービスエリアでの開放休憩を挟み名古屋へ。
三河豊田駅、新豊田駅、ららぽーと愛知東郷、日進駅前、赤池駅前、八事、杁中、御器所通の各バス停に停車し、終点の名古屋駅新幹線口には37分遅れの7時20分に到着しました。
大井松田~足柄サービスエリア間で発生した渋滞が影響したとのことですが、個人的にはその分エアロキングの乗り心地を楽しめたという点で充実した予習の時間となりました(笑)。
ツアーの主役 2台のエアロキング744-05991号車と744-10991号車とはどんな車両なのか?
ここで、今回のツアーの主役であるの2台のエアロキング(744-05991号車と744-10991号車)について簡単にご紹介しましょう。
744-05991号車 三菱エアロキング(MU612TX)
744-05991号車が導入されたのは2005(平成17)年。
名古屋支店に配属され、主に東京~名古屋間の「ドリームなごや号」「東名スーパーライナー」「新東名スーパーライナー」などで活躍していました。
元々は1階席、2階席ともに3列スタンダードシート仕様でしたが、2018(平成30)年春にプレミアム車に改造されていた744-05994号車が早期に除籍されたことから、その後釜として1階席をプレミアムシートに交換、併せて内装もリニューアルされています。
2階席は通常の3列スタンダードシート仕様になっています。
エンジンは、KL-MS8系エアロクィーンと同じ8M21-3型 (430PS) を搭載。
独特の力強いエンジン音がバスファンを虜にしました。
エンジンの状態も良く、まだ走行できる状態ではありますが、車齢が18年も経過していることなどから、今回のツアーをもって引退することになりました。
【車両データ】
- メーカー:三菱ふそうトラック・バス
- 車種:エアロキング
- 型式:MU612TX
- 年式:2005年式
- 事業者:JR東海バス
- ナンバー:名古屋200か14-23
- 所属:名古屋支店
- 社番:744-05991
744-10991号車 三菱エアロキング(BKG-MU66JS)
744-10991号車が導入されたのは2010(平成22)年。
エアロキングとしては最終モデルにあたります。
東名高速線(「ドリームなごや号」「東名スーパーライナー」)に新シート「スーパーシート」(のちにビジネスシートに改装)が投入されるに伴い新製導入された車両で、導入当初から名古屋支店に配属されています。
こちらの車両は現在も東京~名古屋間の「ドリームなごや号」「新東名スーパーライナー」などで活躍しています。
車内は、2階前方6席がビジネスシート、2階後方21席と1階6席が3列スタンダードシートになっています。
特に2階前方6席のビジネスシートは、シートの座り心地の良さとリクライニング角度の深さ、そして足元の広さが売りのデラックスシート。一部座席にプライベートカーテンを装備するなど、昼行・夜行問わず快適に移動出来る様になっています。
エンジンは、エアロエース・3代目エアロクィーンにも搭載されている直列6気筒ターボの6M70型を採用。
排気ガス後処理装置として尿素SCRシステムを搭載しています。
エンジンがV型8気筒から直列6気筒に変更されたため、744-05991号車(MU612TX)と比較してホイールベースを150mm短縮するかわりにリアオーバーハングを150mmを延長することでエンジン搭載スペースを確保しています。
同仕様の車両は、この744-10991号車の他に2台(744-10992号車、744-10993号車)在籍しており、日々東京~名古屋間を往復しています。
こちらの車両も車齢が10年以上経過していますが、暫くは活躍を続けそうです
【車両データ】
- メーカー:三菱ふそうトラック・バス
- 車種:エアロキング
- 型式:BKG-MU66JS
- 年式:2010年式
- 事業者:JR東海バス
- ナンバー:名古屋200か27-78
- 所属:名古屋支店
- 社番:744-10991
これで最後の乗車!? プレミアムシートでJR東海バス名古屋支店へ
名古屋駅新幹線口で「ドリームなごや1号」を降り、ひと休みしたところでツアー集合場所の名古屋駅広小路口(名鉄百貨店裏)へ向かうと・・・今回のツアーの主役である2台のエアロキング(JR東海バス744-05991号車と744-10991号車)が停車していました。
ツアーの内容をざっくり説明すると、
名古屋駅広小路~JR東海バス名古屋支店間の往復乗り比べとJR東海バス名古屋支店での撮影会&廃品・グッズ即売会がセットになったバスツアー
といったところでしょうか。
今回は「プレミアムコース」に当選したということで、往路は744-05991号車の1階プレミアムシートで名古屋駅広小路口からJR東海バス名古屋支店まで移動し、復路は744-10991号車の2階ビジネスシート最前列席でJR東海バス名古屋支店から名古屋駅広小路口まで移動します。
受付を済ませ、指定された座席にてバスの発車を待ちます。
08時50分頃、名古屋駅広小路口を発車したバスは、1時間程の名古屋市内・近郊の周遊旅へ。
超幅広なプレミアムシートの座り心地とV8エンジンのエンジン音を心行くまで堪能します。
思い起こせば、JR東海バスのエアロキングには何度も乗車していますが、ことプレミアムシートとなると、2012年の夏に乗車した時以来今回が二度目。
当時のプレミアムシート車といえば、エアロキングのロゴ「Aero KING」が車体に入っていた他、プレミアムシートのシートモケットがかつての0系新幹線普通車席を彷彿させるデザインになっていたことなど、昔の記憶が蘇ります。
車窓とエンジン音を堪能しつつも、もっと乗っておけば良かったと今更ながら後悔しております。
名古屋高速に入ったところで、社員の方から2台のエアロキングの説明がマイクを通じて行われますが、かなりのマニアックな説明にびっくり。
雨の名古屋高速からの車窓を眺めながら、バスは1時間程でJR東海バス名古屋支店に到着します。
JR東海バス名古屋支店での撮影会&廃品・グッズ即売会
10時頃、JR東海バス名古屋支店に到着した一行は、支店敷地内でのバス撮影会と&廃品・グッズ即売会でひとときの時間を過ごします。
あいにくの雨模様と規制線の張り方の問題で、写真撮影はかなり難儀しましたが、各々想い想いの時間を過ごしていました。
今回のツアーの主役その1、744-05991号車(三菱エアロキング MU612TX)です。
車両のすぐ前が規制線(立ち入り禁止エリア)であったため、この構図で撮影するのが限界でした。
車庫内スペースなど諸事情があったのは承知していますが、もう少し撮影会での車両の止め位置と規制線の張り方は考えて欲しかったです。
今回のツアーの主役その2、744-10991号車(三菱エアロキング BKG-MU66JS)です。
個人的ベストアングルで撮影出来たのがこの車両でした。
機会があれば「新東名スーパーライナー」でこの車両に乗車してみたいですね。
そして、今回の撮影会ではこちらの車両がゲスト参加していました。
最新型2階建てバスD71-2201号車(スカニア・InterCityDD TDX24)です。
JRバスグループを中心に台数を増やしているスカニア/バンホール製の日本向け2階建て高速路線仕様車で、バンホール製の2階建てバス「アストロメガ」がベースになっています。
2階席が3列クレイドルシート、1階席が4列シートという2クラス制になっているのが特徴で、今後も増備が見込まれる車両でもあります。
車両単体の撮影タイムが終わったところで、3台並びの撮影タイムです。
壮観ですね。
廃品・グッズ即売会場は、整備ピットの一角に設けられました。
廃品購入は事前入札制となっていましたが、高額入札品が続々と出ておりました。
グッズ販売会場では、バスコレやミニカー、クリアファイル、小物類の他、新着ガチャポンの先行販売も行われていました。
イベントの終盤では、参加者によるじゃんけん大会が開催。
三菱ふそうトラック・バスがグッズ類を提供してくれたとのことで、じゃんけんの勝者には三菱ふそうトラック・バスの各種グッズがプレゼントされていました。
ビジネスシート最前列で名古屋駅広小路口へ
JR東海バス名古屋支店でのイベントが終了したところで、名古屋駅広小路口へ向かいます。
復路で乗車したのは、744-10991号車(三菱エアロキング BKG-MU66JS)のビジネスシート最前列席。
2階建てバスならではの特等席で、名古屋駅広小路口までの約1時間のバスの旅を楽しみます。
社員および追っかけツアー参加者の見送りを受けたバスは、再び1時間程の名古屋市内・近郊の周遊旅へ。
直6エンジン独特の静かなエンジン音を堪能しながら、2階席最前列からの車窓を楽しみます。
12時11分、黄金ランプを流出。
そして、12時20頃にバスは名古屋駅広小路口に戻ってきました。
下車時には、写真の記念グッズをいただきました。
ツアーの記念として大切に保管します。
僅か3時間半程の短い時間でしたが、充実した楽しいひとときは無事に幕を閉じたのでありました。
最後に
以上、JR東海バス主催のV8エアロキングラストランツアー「V8と直6が奏でる最後の共演。MU612TX&BKG-MU66JS」 の模様をダイジェスト形式でご紹介しました。
行程が約3時間半という短い時間ではありましたが、プレミアムシートとビジネスシート最前列席に乗り比べ出来たという点、そして社員自ら企画し、想い出の残るツアーにしようという心意気が随所に感じられたという点で、個人的には概ね満足したツアー内容でありました。
ただ、強いていうならば、先述の通りツアーおよび撮影会主役の744-05991号車がまともに撮影出来ない位置に駐車したという点は少々残念に感じました。
車庫内スペースなど諸事情があったのは承知していますし、撮りと乗りをセットにするとどちらかを犠牲にしなくては行けなくなるというのも重々承知してはいますが、もう少し車両の止め位置と規制線の張り方は考えて欲しかったとなぁと。
むしろ、SNSなどの書き込みなどを見ていると、「本気で追っかけツアー」の方がまともな写真を撮影出来た方が多かったのではとも感じました。
まあ、ツアー本編と追っかけツアー両方に参加すれば良かったといえばそれまでですが・・・。(実際に両方のツアーに参加された方もいたようです。)
今回のツアーをもって、JR東海バスのV8エアロキング(MU612TX)は完全引退しました。
残りの3台のBKG-MU66JSも先は長くないと予想されるだけに、機会がありましたら早めに機会を作って「新東名スーパーライナー」でエアロキングの旅を楽しみたいですね。
最後に、過去に活躍していたJR東海バスのV8エアロキングの画像を数枚紹介します。



