関西電力「関電トンネル電気バス」と扇沢「トロバス資料館」
世界有数の大規模山岳観光ルートとして、多くの観光客が訪れます。
立山黒部アルペンルートは、以下の7つの交通手段から構成されています。
(★印:立山黒部貫光が事業主 ☆印:関西電力が事業主)
- 立山駅~美女平「立山ケーブルカー」★
- 美女平~弥陀ヶ原~室堂「立山高原バス」★
- 室堂~大観峰「立山トンネルトロリーバス」★
- 大観峰~黒部平「立山ロープウェイ」★
- 黒部平~黒部湖「黒部ケーブルカー」★
- 黒部湖~黒部ダム「徒歩」
- 黒部ダム~扇沢駅「関電トンネル電気バス」☆
実は私、以前から「立山黒部アルペンルート」を縦断してみたいと思っておりまして、4月のとある日に「立山黒部アルペンルート」の縦断を長野県側から試みたのですが、当日になって美女平~弥陀ヶ原~室堂「立山高原バス」が、悪天候の理由で急遽終日運休することに。
やむなく、「立山黒部アルペンルート」縦断を断念したのでありました。
「立山黒部アルペンルート」の縦断については、いつかリベンジを敢行したいと考えておりますが、それでも「せめてこれだけは乗っておきたい」という乗りものがありましたので、その乗りものを今回はご紹介します。
その乗りものとは・・・こちらです。
扇沢駅~黒部ダム間の路線バス「関電トンネル電気バス」です。
扇沢と黒部ダムの間は、一般の車両が通行可能な道路がないため、両県境を直接行き来することが出来る唯一の交通機関でもあります。
「関電トンネル電気バス」とは?
先述の通り、「関電トンネル電気バス」は、長野県大町市の扇沢駅と富山県中新川郡立山町の黒部ダム駅との間を関電トンネル経由で結ぶ、関西電力の路線バス。「立山黒部アルペンルート」の一部を構成しています。関西電力のグループ企業が運営する北アルプス交通(関電アメニックス)や黒部峡谷鉄道と異なり、本路線は関西電力直営の路線。
運行及び管理は、同社の黒四管理事務所運輸課が担当しています。
ご存知の方も多いと思いますが、元々この区間には、トロリーバス「関電トンネルトロリーバス」が運行されていました。1964(昭和39)年8月の運行開始以降、約半世紀の歴史を重ねて来ましたが、車両や設備の老朽化が進み、トロリーバスの運行システムの維持が困難になったことや、環境性及び運行にかかる経済性なども踏まえ、2018年度をもって「トロリーバス」の運行終了を発表。これに代わって翌年の2019年度より運行を開始したが「関電トンネル電気バス」なのです。
「関電トンネル電気バス」に使用される車両について
ベースになっている車両は、J-BUS製の現行型「日野ブルーリボン」。
車載パンタグラフを通して、エンジンルームの部分に設置されたバッテリーに充電する方式をとっており、扇沢の乗り場に設置された充電設備にて約10分間で急速充電します。
主電動機はトロリーバスの約2倍の出力を誇り、最高速度は50km/hとなっています。
車体は、北アルプスの雪に着想を得た白を基調色としており、「黒四」にちなんだ黒色の線が4本入っているのが特徴です。
そして、前面には関電の社章を設置しています
この社章ですが、退役したトロリーバス車両から取り外したものだとか。
“トロリーバスの魂をしっかりと引き継いで運行する!“という、関電側の確固たる意思すら感じられます。
外観上の変わった点として挙げられるのが、"バックミラー"でしょうか。
トンネル内の湿度が高いことによる結露対策として、電熱ヒーターが付いた観光バス用のものを採用しています。
このバックミラー、どう見ても三菱エアロクイーン/エアロエースのものですが、何故に同じJ-BUS製「日野セレガ」「いすゞガーラ」のバックミラーを採用しなかったのか、不思議ですね(笑)。
車内定員は80名(うち座席数は33名)となっており、トロリーバスと比較すると、座席数は減りましたが、トータルでの定員は増えています。
因みに、トロリーバスでは運転士は動力車操縦者運転免許(無軌条電車運転免許)と大型自動車第二種運転免許の取得が必要でですが、電気バスは大型二種免許のみで運転が可能だそうです。
この電気バスですが、2020年現在、計15台が配備されています。
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