東京~大阪間、東京~名古屋間に次いで、全国有数の高速バス高頻度運行区間である東京~仙台間。
4列シートの超格安路線から3列シートトイレ付きの路線まで、グレードも多岐にわたりますが、その中から、今回は東京新宿・渋谷と仙台・石巻の間を結ぶ高速バス「広瀬ライナー」をご紹介します。
「広瀬ライナー」とはどんな路線?
先述の通り、高速バス「広瀬ライナー」は東京新宿・渋谷と仙台・石巻の間を結ぶ高速バス。
京王バス(本社:府中市、以下:京王)と宮城交通(本社:仙台市)が共同で1日2往復運行します。
運行開始は、2006(平成18)年3月31日。
元々は、東京新宿と仙台・石巻の間を結ぶ夜行高速バスとして運行していましたが、2012(平成24)年10月に昼行便の運行を開始します。
運行開始以降、停留所の新設や移設、運賃体系の変更など、様々な施策を行いつつ、基本的な運行スタイルは昼行・夜行各1往復のまま、今日に至っています。
とはいいつつも、実はこの路線、運行会社によって運行区間および使用車両が異なっているのも特徴のひとつ。
京王は、仙台行き昼行便と新宿行き夜行便の運行を担当し、車両は長野線用から貸切転用された「プライムK」仕様の三菱エアロエース(2+1配列、後部パウダールーム付き)を投入しています。
以前は新宿~仙台・石巻間を運行していましたが、乗務員の休憩時間確保などの理由から、運行区間を新宿~仙台間に短縮しています。
一方の宮城交通は、新宿行き昼行便と仙台・石巻行き夜行便の運行を担当し、車両は「フォレスト号」や「青葉号」と同じ3列独立シート夜行高速仕様車(日野セレガHD)を投入しています。
最近の話題としては、やはり「ダイナミックプライシング」の運用開始でしょうか。
詳細は以下の記事をご覧いただくとして、競合が多い東京~仙台間において、この施策が今後どのような形で効果が表れてくるのか、注目したいところです。
『京王電鉄バス、高速バス座席予約システムにダイナミックプライシング導入』(観光経済新聞)
仙台発の夜行便に乗車してみる
やって来たのは、仙台駅西口から徒歩10分弱の場所に位置する宮城交通高速バスセンター。
「広瀬ライナー」はこちらから発車します。
発車時刻は23時台と遅いですが、待合室も開放されており、安心してバスを待つことが出来ます。
東京方面行き「WILLER EXPRESS」の発車も落ち着き、待合室はひっそりとした状態に。
そんな中、23時45分ごろに1台のバスが入線します。
東京新宿・渋谷行き「広瀬ライナー」夜行便です。
今回乗車したのは、京王バス永福町営業所所属51201号車(三菱エアロエース LKG-MS96VP)。
「新宿~長野線」専用車から貸切用途に改造された「プライムK」仕様車となっています。
通常の京王高速カラーと異なる外観カラーリングも特徴のひとつです。
早速乗車改札を受け、車内に入ります。
気になる車内の様子は・・・
車内は、2+1配列の3列シート27人乗り。
貸切仕様への改造の際に、シートモケットの張替えやA席・B席のコンセント増設などが行われています。
シートは幅広タイプのものを採用。
可動式枕も搭載しています。
但し、レッグレストは搭載していません。
フットレストは、反転式のタイプを採用。
モケット面側を使用する際は、靴を脱ぎましょう。
シート背面にはテーブルも完備しています。
車内後部に設置されているトイレは、広さを確保したパウダールームタイプ。
洗面台や着替え台も完備しており、化粧直しやちょっとした着替えに利用することも出来ます。
新型コロナ対策について
今回乗車した便の新型コロナウイルス対策は、以下の通りです。
【主な新型コロナ感染症対策】(乗車当時のものです。)
・座席使用制限:なし
・車内消毒液設置:あり
・運転席回りのビニール製カーテン設置:あり
※運転席後方に簡易アクリルパーテーションあり。
・運行終了時の車内消毒:実施
・エアコンの外気導入:実施
⇒ 三菱ふそう観光バスの新型コロナウィルス新生活様式への対応
・サービスエリア停車時の車内換気:実施
・その他:
プラズマクラスターイオン発生装置を設置
乗務員のマスク着用 など
途中休憩はなし 飲食物の購入は乗車前に
23時59分 仙台駅西口(宮交高速バスセンター)発車
23時59分、定刻に仙台駅西口(宮交高速バスセンター)を発車したバスは、仙台西道路を走行し、仙台宮城インターから東北自動車道へ。
この先は、東北自動車道~首都高速道路をひた走り、東京新宿へと向かいます。
で、お気付きの方もいらっしゃるかと思いますが、実はこの「広瀬ライナー」の夜行便には途中の開放休憩がありません。
その旨、乗車改札時に乗務員からも案内があったのですが、途中のサービスエリアに停車はするものの、乗務員休憩と車両点検、道路情報収集のための停車で、乗客は一切下車出来ないとのことでした。
ですので、飲食物の購入は、バスセンター横のコンビニなどで乗車前に済ませておきましょう。
00時10分頃、車内は消灯されます。
シートを倒して、眠る体制に。
目的地まで下車出来ないので、とにかく寝るしかありません。
それでも目を瞑り暫くすると、いつしか夢の中へ。
目を覚ました時、バスは既に首都高速道路を走行していました。
05時30分 バスタ新宿到着
翌朝05時15分過ぎ、室内灯が点灯され起床。
バスは、首都高速道路中央環状線の中野長者橋ランプを降りるところでした。
その後、街中を15分程走行し、定刻よりも20分早い05時30分、バスはバスタ新宿4階乗車ホームに到着しました。
通常であれば、3階降車ホームにて降車扱いを行うのですが、新型コロナの影響で到着する夜行バスの数が少ないことから、この日到着する夜行バスの大半は、4階乗車ホームにて降車扱いを行っていました。
発着するバスで賑やかなバスターミナルの光景に早く戻って欲しいものですが、まだ暫くは新型コロナの影響に翻弄される日々が続きそうです。
「広瀬ライナー」夜行便を使うメリットとは・・・
「広瀬ライナー」は今回が初めての利用でしたが、バスを降りて真っ先に思ったのは、小見出しに書いた“「広瀬ライナー」夜行便を使うメリットとは・・・”でした。
一応、3列シートトイレ付き車両を投入はしていますが、運行会社によってバスの仕様は大きく異なり、それなりの運賃設定(競合他社と比較しても高い部類に入るのでは?)、かといって、特別に豪華な(寝心地が良い)車両かといえばそうでもない、評価が非常に難しい路線(バス)だと感じました。
強いてメリットを挙げるとするならば
- 出発地の発車時刻が遅い(=夜遅くまで滞在出来る)
- 運行実績豊富の事業者が運行している
- 渋谷マークシティに乗り入れている
位ではないでしょうか。
そう考えると、先般発表された「ダイナミックプライシング」の導入は、運賃面でようやく競合他社と同じ土俵に立てる体制が整ったのかなぁという印象を受けます。
問題は、「ダイナミックプライシング」をどう生かすか。
競合他社よりも(運賃面で)優位に立ちたいのであれば、相当メリハリをつけた運用(運賃設定)をする必要があるのと考えますが、そのあたりを事業者側はどうコントロールするのか、今後に注目したいですね。
あと、車両面についてですが、どこかの時期で車両仕様の統一を図った方が良いのではと感じました。
同じ路線名を名乗っていて、片や3列独立シートの夜行仕様、片や2+1配列の昼便仕様というのは、利用者側からするとどうしても不公平感が出てしまいます。
事業者側の事情があるのは重々承知ですが、同じ夜行便の運賃でバスの仕様がかなり異なるというのはどうなのかなぁと。
利用者側の混乱を無くす(=不公平感を無くす)という観点からも、車両仕様の統一は是非とも検討をお願いしたいです。
色々と書きましたが、新宿および仙台に夜遅くまで滞在したい方や、運行実績豊富な事業者のバスで移動したいという方には使える路線だと思います。
今回は夜行便をご紹介しましたが、今後機会があれば、のんびり気分で景色も楽しめる昼行便も利用してみたいですね。
【乗車データ】
- 乗車日:2020/11/23
- 乗車区間:
仙台駅西口(宮交高速バスセンター)→バスタ新宿(新宿高速バスターミナル) - 運行会社:京王バス
- 車両:三菱/エアロエース(LKG-MS96VP)
- 年式:2012年式
- 所属:永福町営業所
- 社番:51201



