中国JRバス「スーパーはぎ号」(高速道経由) 簡単な乗車記
こちら↓です。
中国JRバス(広島県広島市)と防長交通(山口県周南市)が共同で運行する新山口~萩間高速バス「スーパーはぎ号」です。
「えっ、「はぎ号」って山道を走る一般道経由の路線バスなのでは?」
と思われる方、実は、2015年に萩市がNHK大河ドラマ「花燃ゆ」の舞台になったことをきっかけに、「はぎ号」も大きく変わったのでした。
「はぎ号」は高速道経由の「スーパーはぎ号」へ完全移行
山口~萩間の特急バス「はぎ号」は、1971(昭和46)年3月より運行開始された国鉄バス防長線の萩観光特急便が前身であるといわれています。運行開始当初は、防府駅~東萩駅間を山口経由で結ぶ季節運行路線でした。
多くの方が知っている「はぎ号」の運行体系になったのは、1975(昭和50)年3月10日の山陽新幹線岡山~博多間の開業にです。
山陽新幹線の全通に伴い、国鉄バスでは新幹線の時間短縮効果を山陰地区にも波及させるべく、小郡駅(現:新山口駅)の新幹線口へ乗り入れを行なうことになりました。
小郡駅は防長交通の営業エリアであったことから、特急便については防長交通と相互乗り入れを行なうことになり、特急便の運行が開始されました。
「はぎ号」の愛称もこの時に設定されたといわれています。
この時、(小郡~萩間乗車の場合に限ってですが)「バス指定券制度」を導入したことは有名であり、新幹線の特急券と同時に「はぎ号」の乗車券も購入出来るようになっていました。
現在は指定席制度は導入されておらず、全席自由席となっていますが、時刻表などに座席指定が不要である旨が特記されたり、一部インターネット時刻表検索にも表示されているのは、バス指定券を必要とした当時の名残ともいえるでしょう。
「はぎ号」が大きく変わるきっかけになったのは、2015年に放映されたNHK大河ドラマ「花燃ゆ」です。
「花燃ゆ」にちなんで旧萩市立明倫小学校体育館(萩市役所向かい)に「大河ドラマ館」が設置されるのに併せ、新山口駅と萩・明倫センター(大河ドラマ館前)をノンストップで結ぶ「スーパーはぎ号」の運行を開始したのです。
所要時間は約1時間で運行本数は4往復8本、運賃は特急便・普通便と同じ片道2,060円でした。
当初は1年間の期間限定運行の予定でしたが、「花燃ゆ」放送終了後に大河ドラマ館が「萩・世界遺産ビジターセンター 学び舎(まなびーや)」(萩・明倫センター)にリニューアルされたのを受けて、運行を継続しています。
その後、中国JRバスが2016年10月に防長線の系統分割(「新山口駅⇔湯田温泉・山口駅」ミニ特急便と「湯田温泉・山口駅⇔萩・明倫センター」普通便(東萩駅乗り入れ廃止→その後乗り入れ復活)に分割)及び特急「はぎ号」廃止を実施した他、1年後の2017年10月には防長交通も追従する形で「はぎ号」の運行を終了、併せて「スーパーはぎ号」の増便(4往復→8往復)と萩バスセンター・東萩駅への乗り入れを開始しました。
現在、新山口駅~東萩駅間の一般道経由路線については防長交通の普通便が残るものの、新山口~萩間の都市間輸送については「スーパーはぎ号」へ完全移行した形になっています。
尚、「スーパーはぎ号」については割引運賃が適用されており、新山口駅~萩間の片道運賃は1,550円と、防長交通の普通便を利用するより510円安くなっています。
※割引運賃は2019年3月31日まで実施予定です。
大雨の中を一路新山口へ・・・
やって来たのは、萩バスセンターからバスで10分弱のJR東萩駅。「スーパーはぎ号」はこちらを始発地としています。
萩地区は、防長交通の主要エリアのひとつ。
中型のノンステップバスやワンステップバスが主力車両として活躍していますが、中にはこのような車両も。 元近鉄バスの大型車両(日野ブルーリボンシティ)です。
いわゆる「グループ間移籍」といわれるものですが、萩でこの手の車両は初めて見ました。
今回私が乗車したのは、東萩駅13時15分発の中国JRバス担当便。
こちらの車両が充てられていました。 山口支店所属の641-1957号車(いすゞガーラHD LKG-RU1ESBJ)です。
福岡~山口線「福岡・山口ライナー」にも使用されることがあるそうですが、約1時間にしてはハイグレードな印象を受けます。
残念ながら車内の写真はありませんが、車内は4列シートトイレなしの55人乗り(補助席込み)となっています。
防長交通もほぼ同仕様の車両を投入していますが、貸切車両を転用している同社と比較すると、中国JRバスの方が比較的新しい車両投入している印象を受けます。
発車の5分~10分前にはのりばに横付けされ、乗車開始となります。
「スーパーはぎ号」は予約制を採用しておらず、一般の路線と同じ要領で乗車出来ます。
乗車時に整理券を取り、降車時に現金で運賃を支払うか、事前に購入した乗車券を運賃箱に投入します。
乗車券は、新山口駅案内所または萩バスセンターで販売しています。(いずれも自動券売機による購入となっています。)
雨脚が強くなる中、「スーパーはぎ号」は13時15分定刻に東萩駅を発車。
萩バスセンター、萩・明倫センターにて乗車扱いを行った後、国道232号~萩道路~県道32号~小郡萩道路~中国自動車道を経由し、新山口駅へと向かいます。
新山口駅へ向かうにつれ、さらに雨は激しくなりますが、それでも乗務員は制限速度を守ってバスを進めます。
14時10分、小郡インター/小郡ジャンクションに差し掛かったところで、バスは山口宇部道路へ。
ひと区間走り、長谷インターを流出すると、終点の新山口駅北口はもうすぐです。
そして14時22分、定刻よりも若干早く、バスは終点の新山口駅北口に到着しました。
以前の新山口駅バスのりばは、路線によって新幹線口と在来線口に分散(在来線口ではさらに会社ごとに分散)していましたが、新山口駅ターミナルパーク整備事業による駅前広場整備により、バスのりばは2018年4月に北口駅前広場に集約されました。
豪雨のために写真撮影は出来ませんでしたが、南北自由通路の完成により、JRへの乗り継ぎはさほど不便には感じませんでした。
一方で、これまで新幹線口に発着していた新山口~萩間のバスが北口発着になったことにより、新幹線からの(もしくは新幹線への)乗り継ぎについては、歩く距離が増えた分、多少時間を要する様になりました。
ですので、新幹線から(もしくは新幹線へ)乗り継ぐ場合は、時間に余裕を見た方がよいかもしれません。
尚、萩行き「スーパーはぎ号」は、新山口駅北口バスのりばの2番のりばから発車しています。
新山口~萩間約1時間は確かに速い!
というわけで、中国JRバス「スーパーはぎ号」の乗車の模様をお届けしました。乗ってみての率直な感想ですが、
新山口~萩間約1時間は確かに速い!
これに尽きますね。
「特急はぎ号」時代でも新山口~萩間は1時間15分程度で結んでおり、所要時間自体は大幅に短縮されている訳ではないのですが、高速道路を経由する分、実際の所要時間以上に早く着いた感覚を持ちました。
「高速道路経由でノンストップで結ぶ」効果が大きいことを改めて感じたと同時に、今後も現状の輸送体系が維持できるのか注目したいと思いました。
欲をいえば、もう少し利用があっても良いかなぁとも思いましたが、観光客及びビジネス客がメインである同路線の特性及び当日の天候を考えると、致し方がないのかなぁという気もします。
「はぎ号」から高速道路経由の路線に形態変更した「スーパーはぎ号」。
今後も新幹線アクセスバスとして末永く走り続けて欲しいと切に願うばかりです。
【乗車データ】
- 乗車日:2018/07/05
- 乗車区間:
東萩駅→新山口駅北口 - 運行会社:中国JRバス
- 車両:いすゞ/ガーラHD(LKG-RU1ESBJ)
- 年式:2011年式
- 所属:山口支店
- 社番:641-1957
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