網走観光交通「まりも急行札幌号」 乗車記
特別天然記念物のマリモや、ベニザケの湖沼残留型(陸封型)であるヒメマスが生息する他、冬は全面結氷し、ワカサギ釣り、スケート、スノーモービルなどのウィンタースポーツが盛んでな場所でもあります。
そして、阿寒湖の南側及び国道240号と阿寒湖に挟まれた区域には阿寒湖温泉があり、阿寒湖地区の観光の拠点にもなっています。
最近は「あかん遊久の里 鶴雅」をはじめとする鶴雅ホールディングスの温泉宿が有名ですね。
意外かと思われるかもしれませんが、実は阿寒湖温泉と足寄、帯広、新千歳空港、札幌の間を結ぶ都市間バスが存在します。
それが、今回ご紹介する網走観光交通の「まりも急行札幌号」であります。
阿寒湖温泉~札幌間の無料送迎バスが起源のこのバス。
路線化されたという話を聞いた時点で、「近いうちに乗車したいなぁ。」と考えてはいたのですが、中々乗車出来ずにいました。
そんな中、2016年9月のとある日に、日帰りというハードスケジュールではありますが運良く乗車する機会を見つけ、早速乗車してきました。
今回はその時の模様をご紹介します。
目次
温泉街送迎とインバウンド客向けに特化した車内設備
先述の通り、「まりも急行札幌号」は阿寒湖温泉有名ホテルと帯広、千歳、札幌を結ぶ無料送迎バスとして運行を始めました。運行開始日時は不明ですが、ネットなどで調べたところ、少なくても5年以上前から運行はしていたそうです。
無料送迎バス時代は、阿寒湖温泉旅館組合が網走観光交通のバスを貸し切る形で運行していましたが、新高速バス制度への移行に伴い、現在は網走観光交通の高速乗合バス(路線バス)という形で運行しています。
但し、企画及び実施は鶴雅グループの鶴雅トラベルサービスが担当するという形をとっているそうです。
高速乗合バスへ移行したということは、当然のことながら有料になった訳でして、現在の運賃は阿寒湖温泉~新千歳空港・札幌間が片道6,000円、阿寒湖温泉~十勝川温泉・帯広間が片道2,000円、阿寒湖温泉~足寄間が片道1,000円となっています。
この他、札幌・新千歳空港~十勝川温泉、札幌・新千歳空港~足寄間の区間利用も可能で、札幌・新千歳空港~十勝川温泉が片道4,000円、札幌・新千歳空港~足寄間が片道5,000円で利用することが出来ます。
尚、冬期間は提携ホテル(8箇所)宿泊者に限り、阿寒湖温泉~新千歳空港・札幌間及び阿寒湖温泉~十勝川温泉・帯広間が1,000円引きで利用することが出来ます。
やって来たのは、札幌駅南口傍のセンチュリーロイヤルホテル。
以前は札幌駅北口から発車していましたが、現在の「まりも急行札幌号」はこちらから発車します。
今回私が乗車したのは、9月上旬の札幌発の便。
こちらの車両↓が充てられていました。 「まりも急行札幌号」専用塗装を纏った日野セレガHD(QRG-RU1ASCA)です。
まりもをイメージしたカラーリングが遠くからでも目立ちます。
車内はこの様になっておりまして、
一般的な4列×12配列の60人乗り(補助席込み)貸切仕様になっています。
トイレは装備されていませんが、インバウンド客の利用を見込んでか、Wi-fiサービスが提供されています。
温泉街送迎とインバウンド客向けに特化した車内設備といえるでしょうか。
発車10分前にはホテル1階玄関前にバスが到着。
改札が始まります。
乗合バスということもあり、当然のことながら停留所も設置されています。
10時00分、定刻にバスはセンチュリーロイヤルホテルを発車。
西5丁目樽川通を北上し、札幌北インターへと向かいます。
札幌から乗車したのは、私を含めて僅か2名。
阿寒湖温泉送迎目的の路線とはいえ、知名度はまだまだといったところでしょうか。
15分程でバスは札幌北インターから札樽自動車道へ。
そのまま札幌南インター経由で道央自動車道に入り、新千歳空港へと向かいます。
11時00分、新千歳空港国内線ターミナルにて乗車扱いを行いますが、この日は乗車客がおらず通過します。
新千歳空港からは、国道337号(道央圏連絡道路)を千歳東インターへ。
この先は道東自動車道を帯広までひた走ることになります。
11時18分、千歳東インターから入ってすぐのキウスパーキングエリアにて1回目の開放休憩が行われます。
こちらのパーキングエリアはトイレと自販機のみの設備で、トイレや飲み物の購入を済ませると素早くパーキングエリアを出る車が目立ちました。
「まりも急行札幌号」も乗客が揃ったところで早目の発車となりました。
バスは、道東自動車道を東へと進みます。
50分程走行し、2回目の休憩場所である占冠パーキングエリアに到着です。
こちらでは10分間停車しましたが、札幌~帯広間の中間地点ということもあってか、パーキングエリアの駐車場は大混雑。
乗務員の方とも話しましたが、そろそろパーキングエリアの拡張を真剣に考えた方が良いのではと思いました。
バスは、新緑が映える道東自動車道を更に東へと進みます。
トマムインターから狩勝の山々を越えると、一面に広大な十勝の素晴らしい景色が広がります。
このトマムインター~十勝清水インター間の山越えの景色が、道東自動車道の一番の見どころであり、道東に来たことを実感させる景色ではないでしょうか。
メインの利用は帯広~阿寒湖温泉間?
音更帯広インターで一旦道東自動車道から流出したバスは、国道241号バイパス~道道75号~木野市街を経由して帯広市内へと向かいます。そして13時40分、帯広とかちプラザ前(帯広駅南口)に到着。
こちらでは開放休憩及び乗車扱いのために25分間停車します。
帯広とかちプラザ前では、飛び込み客5名が乗車。
乗務員も営業所への連絡に運賃収受と忙しそうです。
札幌からよりも帯広からの乗客が多いあたり、阿寒湖温泉は道東地区の温泉地・・・ということなのでしょうか。
14時05分、バスは帯広とかちプラザ前を発車。
ここからは、木野市街~道道498号~道道73号を池田・足寄方面へと向かいます。
14時29分、十勝川温泉を通過。
20分程走行し、14時49分に池田インターから再び道東自動車道に入ります。
更に20分程走行し、足寄インターを流出したバスは、道の駅あしょろ銀河ホール21へ。
こちらでは最後の乗車扱いを行うと共に、10分間の開放休憩が設定されています。
道の駅あしょろ銀河ホール21は、かつての北海道ちほく高原鉄道(ふるさと銀河線)足寄駅の駅舎を利用しており、駐車場敷地内にはかつての旧国鉄足寄駅のレプリカもあります。
そして、敷地内には十勝バスのバス停も。
帯広と陸別の間を結ぶ「帯広陸別線」(ふるさと銀河線代替バス)が乗り入れていいます。
昔は、北海道拓殖バス「足寄線」(帯広~上士幌~足寄)も乗り入れていました。
足寄といえば、この人がいましたね。 足寄町出身の歌手松山千春さんです。
足寄からは進路を東に変え、国道241号「阿寒横断道路」を阿寒湖畔に向けてひた走ります。
約1時間弱でバスは阿寒湖温泉街へ。 「あかん遊久の里 鶴雅」をはじめとする阿寒湖畔の主要ホテルに停車し、乗客を降ろしていきます。
温泉街からの道路から微かに見える阿寒湖畔です。 今度はプライベートで来たいですね。
そしてバスは、定刻よりも5分程早く終点の阿寒湖バスセンターに到着しました。 私以外の乗客は、温泉宿の送迎ワゴンで目的地の温泉宿へ。
そして私は・・・
道北バスの旭川~釧路線「サンライズ旭川釧路号」で旭川へ向かったのでありました。
阿寒湖温泉街の送迎が主たる目的の都市間バスではあるが・・・
というわけで、網走観光交通「まりも急行札幌号」の乗車記をお届けしました。今回初めて乗車しましたが、この路線の主たる目的が「札幌・帯広~阿寒湖温泉間の送迎」ということもあってか、札幌・新千歳空港・帯広から阿寒湖温泉街へ直行するのに便利なバスであると同時に、実はインバウンド客(FIT客)も対象にしている、別の側面を持つ都市間バスであることを実感しました。
このことは、運行経路や車内設備からも伺い知るが出来、特に運行経路に至っては、北の玄関口である新千歳空港から道東自動車道の景色、更には道東の雄大な自然が楽しめるという点で、観光路線としての側面も持っていることが乗車を通じて分かりました。
車両も一般的な観光車両を使用しているとはいえ、4回の休憩停車を設けていることから、思っていたよりも疲れを感じることはありませんでした。
一方で今後の課題は、やはり路線の知名度を如何に上げていくか・・・でしょうか。
阿寒湖地区の主要ホテルではこの路線のPRを行っている他、高速バス予約サイト「高速バスドットコム」での取り扱いも始まりましたが、知名度という点ではまだまだこれからという印象を持ちました。
まずは、この路線の存在を知って貰い、利用促進に繋げ、現状の空気輸送に近い状態を少しでも解消することが必要なのではないか・・・そんなことを感じた今回の乗車でした。
色々と書きましたが、景色を堪能出来、観光気分も味わえる温泉街直行の都市間バスは、全国探してもそう多くはありません。
北海道旅行の足として、北海道観光のツールとして、「まりも急行札幌号」を利用してみるのも面白いのではないでしょうか。
「まりも急行札幌号」のご予約方法
最後に、「まりも急行札幌号」のご予約方法を紹介しておきましょう。「まりも急行札幌号」のご予約方法は2通りあります。
ひとつは、ホテル宿泊予約時に「送迎バス利用」と告げて予約する方法、そしてもうひとつは高速バス予約サイト「高速バスドットコム」でのインターネット予約です。
ホテルへの電話予約の場合は乗車日5日前までに、「高速バスドットコム」での予約の場合は乗車日2日前の00:00までに予約する必要がありますので、予約の際はご注意願います。
尚、空席がある場合は当日の飛び込み乗車も可能ですが、営業所への連絡や運賃収受など乗務員の手間が発生し、出発時刻が遅れる場合がありますので、出来れば事前予約された方が良いかと思います。
【追記】(2018年7月15日追記)
「まりも急行札幌号」は、2018年7月31日をもちまして運行休止となります。
8月以降は、帯広発着の路線として運行を継続するそうです。
「まりも急行札幌号」について詳しくはこちらをご覧願います。
【乗車データ】
- 乗車日:2017/09/09
- 乗車区間:
センチュリーロイヤルホテル(札幌)→阿寒湖バスセンター - 運行会社:網走観光交通
- 車両:日野/セレガHD(QRG-RU1ASCA)
- 年式:2016年式
- 所属:本社営業所
- 社番:369
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