「博多・フジヤマEXP」「トロピカル号」運行終了など 2017年度 年度末の動き
2018年度になりました。
「出会い」と「別れ」のこの季節、JR三江線(三次~石見川本~江津)の最終運行に、大阪市交通局(地下鉄・ニュートラム・市営バス)の運行終了と大阪市高速電気軌道(通称:大阪メトロ)・大阪シティバスによる旧大阪市営交通の再スタートなど、交通業界でも2017年度の年度末は様々な動きがありました。
そんな中、バス業界でも今年の年度末(3/31)は結構大きな動きがいくつかありました。
そこで今回は、私が特に注目した高速バス関連の動きをいくつか取り上げてみたいと思います。
目次
「博多・フジヤマエクスプレス」が3年半の歴史にピリオド
西日本鉄道と富士急山梨バスが運行していた福岡・北九州~静岡・沼津・御殿場・河口湖間夜行高速バス「博多・フジヤマエクスプレス」が、2018年3月31日をもって運行を終了しました。
同路線は、2014年8月2日に九州と静岡県・山梨県を結ぶ夜行高速バスとして開業。
九州からダイレクトで日本有数の景勝地「富士五湖地区」へ直行出来る点と、高速バスとしては久しぶりの運行距離1,000km超えの路線ということで注目を集めました。
しかしながら、当初から利用状況は思わしくなかった様で、2017年4月からは季節運行に切り替えるなど効率化を図って来ましたが、昨今の乗務員不足の影響もあってか、これ以上の運行継続は難しいと判断したそうです。
私自身、この路線には開業約1か月後の2014年9月に乗車しました。
路線的には面白いと思いましたが、この手の路線特有の「季節波動の大きさ」を克服することが難しかったのかなぁという印象を持っています。
ともあれ、1,000km超えの路線がまた一つ無くなってしまいました。
残念です。
これにより、西鉄バスが名古屋以東で見られるのは、再び東京新宿線「はかた号」のみとなってしまいました。
「トロピカル号」は27年の歴史にピリオド
この路線の運行終了にはショックを受けた方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
大分バスの大分~鹿児島間夜行高速バス「トロピカル号」も、2018年3月31日の鹿児島発便をもって運行を終了しました。
同路線は、1990年12月17日に鹿児島交通と共同で運行を開始。
当初は昼行1往復・夜行1往復の2往復体制で運行していました。
2006年にはいわさきグループの組織改編による運行撤退で、大分バスの単独運行に切り替わりますが、昼行便の利用状況が思わしくなかったことから、2015年4月1日からは昼行便が廃止され、夜行便1往復のみの運行になりました。
ところが、(新聞報道によると)昨今の乗務員不足が深刻化してきていることから、これ以上の運行継続は難しいと判断、今般の運行終了という結論に至ったそうです。
私はこの路線には2回乗車しており、1回目は、2017年の7月に、そして2回目は惜別乗車として2018年3月に乗車しております。
この路線も、平日と週末の利用状況の差が以前から指摘されていましたが、週末や繁忙期にはそれなりに混み合う路線であっただけに、運行終了で移動に困る方は少なからずいらっしゃるのではないかと推測します。
今後は、
- 「桜島号」(福岡~鹿児島)と「とよのくに号」(福岡~大分)を高速基山で乗り継ぐ
- 「はまゆう号」(鹿児島~宮崎)と「パシフィックライナー」(宮崎~大分)を宮崎で乗り継ぐ
- 「きりしま号」(鹿児島~熊本)と「やまびこ号」(熊本~大分)を益城インター口で乗り継ぐ
運行終了は残念ではありますが、27年間本当にお疲れ様でした。
尚、先述の通り、「トロピカル号」については2018年3月に惜別乗車をしております。
この模様は次回の記事でご紹介したいと思いますので、どうかお楽しみに。
「さぬきエクスプレス福岡号」は西鉄高速バスが運行から撤退
このニュースにも驚いた方が多いのではないでしょうか。
西鉄高速バスと四国高速バスが運行していた福岡・北九州~坂出・高松間の夜行高速バス「さぬきエクスプレス福岡号」ですが、2018年3月31日をもって西鉄高速バスが運行から撤退し、翌4月1日からは四国高速バスが単独で運行することになりました。
「さぬきエクスプレス福岡号」は、2007年7月1日に運行を開始。
特に西鉄高速バスにとっては、九州・山口県外初の直営路線でもありました。
現在でも週末や繁忙期には混み合う程の利用状況ではありますが、西鉄高速バス側の乗務員不足(特に北九州支社側)の影響を受けて、今回「運行撤退」という結論に至ったそうです。
この路線には一時期、幾度となく利用させていただきました。
⇒ 「西鉄高速バス さぬきエクスプレス福岡号」を含む記事
福岡発の開業初便の乗車したことも、今となっては良い思い出です。
今後も運行を続けるかと思っていただけに、個人的には残念はありますが、先程の大分バス「トロピカル号」しかり、今回は触れませんが北九州~大分線「ゆのくに号」の大分側3社運行撤退&減便しかり、乗務員不足の影響が都市間路線にも及んでいることを印象付ける出来事でもあります。
尚、先述の通り、2018年4月1日からは四国高速バスが単独で運行を続けます。
併せて、ダイヤ改正も実施され、競合相手の琴平バスに対抗してか否かは分かりませんが、所要時間の大幅短縮も実施されます。
ハンドル時間や休憩時間の絡みなど、果たして大丈夫なのか?と気になるところではありますが、今後も安全第一に運行を続けて欲しいものです。
伊予鉄道が持ち株会社制へ移行 バス部門は新生「伊予鉄バス」へ
最後は伊予鉄道のバス部門の話題を。
ご存知の方も多いかと思いますが、伊予鉄道が2018年4月1日付で持ち株会社制へ移行し、新生「伊予鉄グループ」がスタートしました。
持株会社である「株式会社伊予鉄グループ」の傘下に、鉄道やバス、関連事業などの各事業会社13社がぶら下がるという形になり、これに伴い、伊予鉄道のバス部門は新生「伊予鉄バス株式会社」としてスタートしました。
伊予鉄道側は、「人口減少社会で今後も成長を続けるには、さらにグループの連携を強化することが必要で、体制を変えなければならない」としていますが、持ち株会社制移行でバス事業の採算の厳しさが浮き彫りになることは確実なだけに、今後どの様な手腕でバス事業を維持していくのか、既存の伊予鉄南予バスの動向も含めて注目したいところです。
都市間の移動も不便になりつつある?
以上、私が気になった年度末の動きを4つ紹介しました。見ていただけると分かりますが、今年の年度末は西日本地区(とりわけ九州)での動きが大きかったことが特徴として挙げられます。
そしてもう一つ、見逃してはならないのが、「深刻な乗務員不足」です。
とりわけ、これまでバス業界の収益分野のひとつでもあった「都市間路線」を辞めるまでに乗務員不足の問題が深刻化していることに、我々は注視しなければなりません。
「バスはあるし走らせたいが、とにかく人がいない」という状況が全国至るところで起きているのではないかと考えています。
(もちろん、むやみやたらに「乗務員不足」を廃止理由の口実に使ってはいけないとは思いますが。)
とかくバスの廃止問題といえば、これまではローカル路線バスばかりに目が行っていましたが、都市間路線の廃止問題にもクローズアップされる時期がすぐそこまで来ている気がします。
「安く移動したい」というニーズはあるが、それに応えられないバス会社、そして我々一般人の「移動」は次第に制限されていくという悪のスパイラル・・・
バスに限りませんが、ここ数年の動向を見る限り、地域や地域間のみならず、都市間の移動についても次第に不便になって来ている(選択肢が無くなってきている)と感じるのは私だけでしょうか。
「移動」という問題について、国も自治体も我々一般人も真剣に考えなければいけない時期に来ているのではないのか・・・そんなことを考えた、今年の年度末でございました。
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