大分バス「トロピカル号」42174号車 乗車記
東西南北に張り巡らされた高速道路網を生かし、福岡はもとより熊本・大分・長崎・鹿児島から各地へ高速バスが運行されていますが、今回の記事の舞台は活火山「桜島」が聳え立つ「鹿児島」です。
鹿児島を発着する高速バスといえば、福岡~鹿児島線「桜島号」を思い浮かべる方が多いかと思います。
「桜島号」については、これまで幾度となく私のブログでも取り上げ、利便性や魅力をお伝えしてきましたが、今回ご紹介するのは、私が今日に至るまで乗車しようと思いつつも、諸事情などにより乗車出来ずにいた路線であります。
その路線とは・・・大分バスが運行する大分~鹿児島間夜行高速バス「トロピカル号」であります。
地方都市同士を結ぶ夜行高速バスの老舗的存在でもある大分バス「トロピカル号」、一体どんな路線なのでしょうか。
先日乗車した時の模様を中心にご紹介します。
元々は昼夜高速路線としてデビュー
ここで、大分~鹿児島線「トロピカル号」について簡単におさらいしておきましょう。大分~鹿児島線「トロピカル号」は、1990年12月17日に大分バスと鹿児島交通(→南九州バスネットワーク)が昼夜各1往復体制共同で運行を開始。
運行会社によって路線呼称が異なっており、大分バスは「トロピカル号」、鹿児島交通は「トロピカルライナー」と呼んでいました。
2004年、鹿児島側のいわわきグループ組織再編に伴い、運行会社を南九州バスネットワークに移管しますが、2006年8月のダイヤ改正で南九州バスネットワークが撤退し、大分バスの単独運行となります。
2006年のダイヤ改正による大分バス単独運行化で昼行便のダイヤも変更になり、鹿児島発が朝方発車のダイヤが夕方(15時台)発車に変更されました。
この昼行便ですが、国道57号~九州自動車道間の素晴らしい車窓を堪能出来る高速バスとして、主にバスファンに知られる存在でしたが、採算的には厳しかった様で、2015年4月1日のダイヤ改正で昼行便が廃止され、夜行便1往復のみの運行となります。
また、この日より「要町(大分駅高速バスのりば)」バス停に新たに停車。
JRとの乗り換えが便利になりました。
一方で、2016年4月15日に発生した熊本地震の影響で従来ルートでのスムーズな通行が難しいことから、現在に至るまで東九州自動車道経由で迂回運行を行っています。
そのため、田中・竹田玉来については停車せず、これら3停留所については道路の復旧に伴い運用を再開予定になっています。
最近のトピックといえば、2017年7月下旬に発生した車両故障による代行輸送でしょうか。
鹿児島発の便にて空調装置の故障でバスが運行不能となり、遠方地のためバスの代車も出せないことから、現地タクシー会社(南国タクシー)のジャンボタクシー2台をチャーターし、ジャンボタクシーにバスの乗客13名を乗せて、高速バスの代走とした事例がありました。
この件についてはSNSなどで拡散され、ちょっとした騒ぎにもなりました。
ところで、「トロピカル号」といえば、かつて近鉄バスが運行していた(一時期は鹿児島交通→南九州バスネットワークも運行)大阪~鹿児島線「トロピカル号」を思い出す方が多いかと思います。
何故に大分~鹿児島線にも同じ愛称を用いたのかは不明ですが、「トロピカル」という愛称が南国鹿児島をイメージするのに相応しいのと、当時の大分バスが近鉄のグループ会社であり、近鉄バスとの共同運行路線「エメラルド号」(大阪~別府・大分線)も運行していたことが愛称決定に関係していたのではないかと私は見ています。
目覚めると目的地の大分はすぐそこ
やって来たのは、JR鹿児島中央駅前の南国交通バスターミナル。大分行き「トロピカル号」はもとより、福岡行き「桜島号」、長崎行き「ランタン号」、宮崎行き「はまゆう号」といった高速バスの他、鹿児島空港行きリムジンバス、城山観光ホテル送迎バスなどが発着する、鹿児島市内有数のバスターミナルでもあります。
上層階にはにしてつグループのホテル「ソラリア西鉄ホテル鹿児島」も入居しており、アクセスも便利です。(写真はイメージです。)
以前の「トロピカル号」はこちらからの発車ではなく、南国センタービル前の東22番乗り場から発車していましたが、2013年2月1日付けで鹿児島中央駅前の発車停留所を南国交通バスターミナルに変更しています。
鹿児島中央駅から地下道で直結していることや待合室が完備されていることから、利便性が大幅に向上しました。
夜行高速バス「トロピカル号」の鹿児島中央駅前発車時刻は23時06分。
今回乗車したのは、2006年式の三菱エアロバス(PJ-MS86JP)。
大分バス単独運行実施に併せて導入されたハイデッカータイプの車両です。(写真はイメージです。)
車内は3列独立シート29人乗りの夜行高速仕様となっております。
高崎山のおサルさんや大分バス社紋などが散りばめられた通称「大分柄」とも呼ばれる大分バス専用のシート柄を採用。
会社独自のシート柄を採用する事業者が減っている中、大分バスのシート柄はある意味貴重かもしれません。
飲み物サービスや通路カーテン、座席コンセントの装備はありませんが、トイレが完備されている他、シートも足置き台やレッグレスト付となっており、夜行高速バスとして必要最小限の設備は備わっているといえるでしょう。
前方には夜行便にはさして必要ないと思われるデジタル運賃表も。 昼行便運行時の名残りなのでしょうか・・・。
バスは私を含めて4名乗客を鹿児島中央駅で乗せ(他に1名先客あり)、定刻の23時06分に鹿児島中央駅前を発車します。
乗務員による各種案内が行われ、バスは鹿児島インターへ。
30分ほど走行した23時42分、鹿児島空港南にて乗車扱いのために停車します。
こちらで乗客1名が乗車し、予約済みの乗客全員がそろったところで、乗務員が前方のカーテンを閉め消灯。
この路線は原則として途中の開放休憩がないため、翌朝到着まで下車することが出来ません。
ですので、飲食物は事前に購入していくことをお勧めします。
鹿児島空港南を発車したバスは、九州自動車道~宮崎自動車道~東九州自動車道を大分へ向けてひた走ります。
暫くは起きていましたが、シートを倒して目を瞑るといつしか夢の中へ。
翌朝、前方のカーテンが開けられるまで目を覚ますことはありませんでした。
5時36分、前方のカーテンが開けられ起床。
乗務員も、高速道路のインター降りた一般道の駐車スペースに止めて仮眠していた様です。
犬飼久原、戸次は降車客がおらずに通過し、最初に停車したのは大分要町の高速バスのりばでした。
こちらには定刻よりも15分以上早い6時03分に到着し、3名が下車していきました。
次の大分フォーラス前では1名が下車し、終点の大分バス金池ターミナルには6時13分に到着。
私を含めて2名の乗客を降ろしたバスは、簡単な車内整備を済ませ、車両基地でもある大分市郊外の大分バス中央営業所へ回送されていくのでありました。
繁忙期と閑散期の乗客数格差が課題?
というわけで、大分バス「トロピカル号」42164号車の乗車記をお届けしました。この路線には今回初めて乗車しましたが、大分~鹿児島間を手っ取り早く且つ安く移動したい方には便利なバスだと思いました。
感覚としては、「寝たらあっという間に着いていた」という点で、このブログで何度も取り上げている福岡~鹿児島線「桜島号」夜行便に似た感覚でした。
「乗り換えなしで安価で移動出来る」という、バスならではの利点を生かした路線であることを実感しました。
一方で気になったのが、繁忙期と閑散期の乗客数格差です。
聞くところによると、週末や繁忙期はそれなりに乗客が多いのに対して、閑散期(特に平日)の乗客が少ないとのこと。
この差を今後いかに埋めていくかが課題だと感じました。
変動性運賃の導入や期間限定の割引運賃導入などといった施策は是非とも実施を望みたいところですが過去に実績あり)、少なくても繁忙期と閑散期の乗客数格差で廃止に追い込まれた「加賀号」(金沢~福岡)や「玄海号」(名古屋~北九州・久留米・大牟田・荒尾)の様な事例の二の舞にだけは避けて欲しいと願わずにはいられません。
あと、個人的には昼行便運行時に乗っておきたかったなぁと。
「トロピカル号」の車内から阿蘇の雄大な景色や九州道の車窓を堪能しておきたかったですね。
今のところ、昼行便運行再開の予定はありませんが、再開された暁には真っ先に乗りに行くと思います。(笑)
ともあれ、大分~鹿児島間を乗り換えなしで移動するには便利なバスであることには間違いありません。
そして、福岡~鹿児島線「桜島号」夜行便と同様に、宿代わりとしても使えるバスだと思います。
九州旅行の移動手段として、ビジネスなどの所用の足として、大分~鹿児島線「トロピカル号」の利用を検討されてみてはいかがでしょうか。
機会があれば、また利用してみたいと思います。
【乗車データ】
- 乗車日:2017/07/25
- 乗車区間:
鹿児島中央駅前(南国交通ターミナル)→大分金池ターミナル - 運行会社:大分バス
- 車両:三菱/エアロバス(PJ-MS86MP)
- 年式:2006年式
- 所属:中央営業所
- 社番:42164
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