両備ホールディングス「ペガサス号」0511号車 乗車記(2017年4月乗車分)
西日本鉄道(福岡市)と両備ホールディングス、下津井電鉄(いずれも岡山市)の3社が共同で毎日1往復運行しています。
運行開始は、1989年の4月1日。
当初は夜行便の他に昼行便も運行されていましたが、のちに夜行便に一本化され、今日に至っています。
以前にこのブログで、「ペガサス号」専用車として活躍していた両備ホールディングス所属の西工製0699号車(三菱KC-MS822P 西工98MC SD-2)をご紹介しました。
今般、所用のために九州へ出掛ける際、往路の移動手段として「ペガサス号」両備ホールディングス担当便を利用する機会がありました。
今回はその時の模様をご紹介します。
西工車に匹敵する快適性の0511号車エアロクイーンⅠ
東京からJRバス関東「グラン昼特急9号」とJR東海道・山陽新幹線「のぞみ」を乗り継いで岡山駅に到着した私。(写真はイメージです。)岡山に到着したのは、20時を過ぎていました。
岡山駅傍のサウナにてひとっ風呂を浴びてやって来たのは、岡山駅西口のバスターミナル。
福岡行き夜行高速バス「ペガサス号」は、こちらから発車します。
今回私が乗車したのは、こちら↓の車両でした。
両備ホールディングス両備バスカンパニー岡山営業所所属の2005年式0511号車(三菱エアロクイーンⅠ KL-MS86MP)です。
導入当初は、当時愛知県で開催されていた2005年日本国際博覧会「愛・地球博」のツアー専用バスとして使用され、「愛・地球博」閉幕後は水戸岡鋭治氏デザインの両備高速カラーに変更された上で、東京線「ルブラン号」専用車として活躍していました。
その後、「ルブラン号」に新車が導入されたことと、先述の「ペガサス号」0699号車の老朽化に伴い、福岡線「ペガサス号」専用車として転用され、現在に至ります。
車内は3列独立シート28人乗りの夜行高速仕様になっています。
オレンジ基調のタイル柄シートモケットが特徴のシートは、天龍工業製のスリーピングシートを採用。
リクライニング角度が浅めなのが気になるところですが、このシートは足受けの奥行きの深さも特長の一つとなっており、身長が高い方でもゆったりと足を伸ばすことが出来ます。
可動式枕も搭載しており、シートの座り心地及び寝心地(快適性)という点では、西工製0699号車に搭載されているスリーピングシートに匹敵するではと思いました。
各座席には座席コンセントを完備している他、通路カーテンも装備。
車内中央部にはトイレと飲み物セルフサービスコーナーが設置されています。
このご時世で飲み物のセルフサービスを残しているあたり、珍しい存在なのかもしれません。
目覚めると九州!あっという間の9時間
「ペガサス号」の岡山駅西口発車時刻は22時00分。10分前の21時50分には27番おりばに入線し、改札が行われます。
この便は1台運行ですが、予約で満席とのこと。
閑散期とはいえ、「ペガサス号」が相変わらず好調の様ですね。
因みに、週末や繁忙期には写真の様に2台運行になることも珍しくありません。
22時00分、20人以上の乗客を乗せた「ペガサス号」は、定刻に岡山駅西口。
発車後に自動放送案内が流され、その後に乗務員から自己紹介と各種説明がマイクを通じて行われます。
過不足無い的確かつ丁寧な案内は、何処となく安心感をもたらせてくれます。
40分程走行し、バスは倉敷駅北口に到着。
こちらで残りの乗客を乗せ、満席になったバスは、22時45分に倉敷駅北口を発車します。
22時55分、車内灯が消され消灯。
「ペガサス号」両備ホールディングス便は途中の開放休憩がないため、翌朝福岡到着までバスの中で過ごすことになります。
暫くは起きていましたが、シートを倒して目を瞑ると、いつしか夢の中へ。
その間、バスは数回の休憩停車及び仮眠休憩を挟みながら、山陽自動車道~中国自動車道を福岡へ向けてひた走ります。
翌朝4時50分頃、目を覚まします。
バスは中国自動車道王司パーキングエリアにて仮眠休憩のために停車しているところでした。
4時58分にバスは王子パーキングエリアを発車。
5時10分頃に関門橋通過し、門司インターから福岡都市高速道路に入ります。
15分程走行したところで北九州都市高速道路とは一旦別れを告げ、一般道走行中に車内灯が灯され、一旦起床となります。
5時32分、バスは最初の降車停留所である小倉駅前に到着。
こちらでは5名程が下車していきました。
次の砂津と、その次の黒崎インター引野口は降車客がおらずに通過扱いとなり、再度消灯に。
バスは再度北九州都市高速道路から九州自動車道へと入ります。
小倉駅前から1時間弱の6時29分に福岡インター流出。
その後は福岡都市高速道路を博多駅東ランプまで走行し、定刻よりも10分早い6時50分にバスは博多バスターミナルに到着しました。
こちらでは、私を含めて乗客が下車。
本来であれば、終点の西鉄天神高速バスターミナルまで乗車したいところなのですが、今回は乗り継ぎの関係もあって、やむを得ずこちらで下車することにしました。
乗客を降ろしたバスは、終点の西鉄天神高速バスターミナルへ向けてラストスーパート。
去りゆくバスを見届けて、私は次なる目的地へと向かうのでありました。
「ペガサス号」の乗車率の高さは健在!?
というわけで、両備ホールディングス「ペガサス号」0511号車の乗車記をお届けしました。「ペガサス号」にはこれまで幾度となく乗車して来ましたが、今回乗車した三菱純正エアロクイーン0511号車も、西工車に引けを取らない快適な車両であることを再認識しました。
やはり、シート自体の構造が優れているというのが最大の理由なのかなぁと思います。
腰当の隆起の部分や、足受けの奥行きの深さは、夜行バス全盛期である1990年代に登場した夜行バスのシートを思い起こさせます。
惜しむらくは、リクライニングの角度が浅く設定されている点と、床面が一般路線バスと同じノンスリップ材を採用していることで夜行バス車両独特の雰囲気を損なわしている点。
この2点のみ改良されていれば、夜行バス用車両としてはいうことないのではと感じました。
そしてもう一点、今更ですが、「ペガサス号」の乗車率の高さには只々驚くばかりです。
今回乗車したのは、週末とはいえ閑散期。
ですが、車内は繁忙期かと思わせる位の盛況ぶりでした。
もっとも、岡山~九州間を結ぶ唯一の夜行交通機関ということもありますが、岡山~福岡間の片道運賃7,410円という手軽な運賃が、幅広い層の乗客に支持されているのではと思いました。
加えて、「ペガサス号」は全区間完全ワンマン運行の路線でもあります。
2名乗務の路線と比較すると、その分人件費も浮く訳で、実は事業者にとっても「ペガサス号」はおいしい路線なのかもしれません。
以前にも書きましたが、最近は車両仕様が統一化される一方で、快適性を重視した車両が少なくなる傾向にあります。
それだけに、今回ご紹介した両備ホールディングス0511号車は、もしかすると三菱のMS8系エアロクイーンⅠ夜行高速仕様車の中でも、5本の指に入る位のハイグレード且つ貴重な車両なのではないか・・・。
そんなことを感じた、今回の「ペガサス号」乗車でございました。
機会がありましたら、また利用してみたいですね。
【乗車データ】
- 乗車日:2017/04/15
- 乗車区間:
岡山駅西口→博多バスターミナル - 運行会社:両備ホールディングス
- 車両:三菱/エアロクイーンⅠ(KL-MS86MP)
- 年式:2005年式
- 所属:両備バスカンパニー岡山営業所
- 社番:0511
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