JR九州 BEC819系蓄電池式電車「DENCHA」を見てみる
そのJR筑豊本線の北端部である若松~折尾間(通称:若松線)で、画期的な車両が運行されていることをご存知でしょうか。
それが、今回ご紹介するJR九州のBEC819系蓄電池式電車「DENCHA」です。
改造車による実証試験から約4年の歳月をかけて量産化が実現したしたJR九州BEC819系電車「DENCHA」。
一体どんな電車なのでしょうか・・・。
ということで、過日現地へ行って見てきましたので、今回はその時の模様をご紹介します。
「DENCHA」とはどんな車両?
ここで、「DENCHA」について簡単に触れておきましょう。JR九州BEC819系蓄電池電車「DENCHA」は、817系2000番台をベースにした交流方式による蓄電池電車です。
比較的短い非電化区間を走行している気動車の置換えを目的として開発されました。
電化区間では通常の電車と同じように架線から電気を取り入れて走ると同時に蓄電池を充電し、架線のない非電化区間では蓄電池の電力で走行するという画期的な車両で、「C02などの温室効果ガスの排出削減が可能」「メンテナンスの負担軽減」「走行方法の切り替えが可能」といったメリットがあります。
海外ではLRTを中心に導入事例が増えている他、国内でもJR東日本が栃木県を走る烏山線と秋田県を走る男鹿線に「DENCHA」をベースにした蓄電池電車「ACCUM」を投入しています。(烏山線は直流方式EV-E301系、男鹿線は交流方式EV-E801系を投入。)
「DENCHA」の量産開発については、寄稿ページ『BEC819系交流架線式蓄電池電車の量産開発について』に詳細が記載されていますが、「DENCHA」は「Dual ENergy CHArge train」の略称だとか。
略称とはいえ、「電車」を可愛いらしく呼んだようにも聞こえる「DENCHA」という響き・・・愛称の付け方にJR九州らしさを感じます。
尚、車体の外観及び内装デザインは、他のJR九州の車両同様に水戸岡鋭治氏が担当しています。
乗り心地は正しく電車そのもの
両備ホールディングスの夜行高速バス「ペガサス号」で博多バスターミナルに到着した私。すぐさまJR博多駅へ移動し、JR鹿児島本線の快速電車(817系)で折尾へ移動します。
折尾で直方/若松方面のホームへ移動し、お目当ての「DENCHA」とご対面です。(写真の一部はイメージです。)
外観は白地に青のアクセントが入ったデザインとなっています。
817系電車をベースにしていることから、見た目は817系のデザイン違いにしか見えません。
「DENCHA」専用マークもドア付近に配置されています。
写真はありませんが、817系1100番台以降と同じく大型のLED行先表示器を前面と側面に配置しています。
JR九州の車両で青を採用した車両はあまり記憶がないのですが、JR九州曰く「地球環境にやさしい」をイメージしたとか。
今後、この青のカラーリングは他の車両でも採用されることになっており、鹿児島本線で活躍している811系リニューアル車も青のカラーリングに変更されることになっています。
車内には、運行状況や駆動状況を表示するモニターも。
ドアにはマスコット「KURO」も配置されています。
複数パターンがあり、どれも可愛いです。
ドア開閉スイッチです。
若松線内ではドアの開閉が半自動式となっており、乗降する際はこちらのドアスイッチにて開け閉めを行う必要があります。
「閉」ボタンがどことなく愛らしく感じるのは私だけでしょうか。
折尾~若松間の所要時間は約16分。
乗り心地と加速感は、正しく電車そのもの。
音も静かでした。
若松線自体、路線状態は決して良くはないものの、一部区間を除いて特段不快に感じることはありませんでした。
「DENCHA」はあっという間に若松駅に到着。 若松駅周辺を散策し、折尾駅の名物駅弁「かしわめし」を購入して、折り返しの「DENCHA」で折尾駅へと戻るのでありました。
折尾駅に到着した「DENCHA」は、待避線に入線し、新設された架線施設にてパンダグラフを上げて充電。
次なる運用への準備を行っていました。
他路線への導入の可能性は?
というわけで、JR九州BEC819系「DENCHA」について簡単にご紹介しました。先述の通り、実際に乗車した感覚では、正しく「電車」そのものでした。
地元住民の方も、「車両が新しくなった」程度の感覚で特に違和感なく利用している様に見受けられられました。
一方で、JR九州としては、電車としても使用出来、非電化区間でも走行できるメリット以外にも、「車両代替コストの削減」という別の側面も期待しているのではないかと感じました。
何故なら、今後導入するローカル線用車両を「DENCHA」に統一することで、車両運用効率も向上する他、他線区への転用も容易になるからです。
問題は、車両製造コストをどう下げるかと、蓄電池の充電容量のアップ、そして非電化区間での折り返し給電施設をどう確保するか。
そう考えると、当面は山間区間が多く電化区間から遠い南部のローカル線(肥薩線や吉都線)よりは、電化区間から比較的近い香椎線の西戸崎~香椎間や筑豊本線の桂川~原田間など福岡近郊の線区から導入が進むのではないのかと考えます。
改造車による試験から約4年の歳月をかけて量産化にこぎ付けたJR九州BEC819系「DENCHA」。
今後の増備については今のところリリースされていませんが、JR九州の新時代近郊型車両として、今後運用線区が広がることを期待したいものです。
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