都市間バス「特急えさし号」を見てみる
道外では「高速バス」「夜行バス」という呼び方が一般的ですが、私が住む北海道では「都市間バス」という呼ばれ方が一般的であります。
特に北海道では、ビジネスや観光のみならず、旭川や札幌へ病院及びショッピングの為に利用されたりと、「生活の足」として昨日している路線も少なからずあります。
沿岸バスの「特急はぼろ号」や道南バスの「ペガサス号」、道北バスの旭川発着の都市間路線など、挙げるとキリがないのですが、今回ご紹介する札幌・旭川~音威子府・枝幸間の都市間バス「特急えさし号」も、地元住民の「生活の足」として機能している都市間バスの一つだったりします。(写真は宗谷バス「特急えさし号」札幌線)
JR天北線廃止による代替系統も新設
ここで、「特急えさし号」について簡単におさらいしておきましょう。「特急えさし号」は、宗谷バス(本社:稚内市)と道北バス(本社:旭川市)が共同運行する都市間バスです。1985年9月20日に宗谷バスが旭川~枝幸間で運行を開始しました。
当初は枝幸を朝に出発して旭川を夕方に出発し枝幸に戻るという1日1往復ダイヤでしたが、7年後の1992年に道北バスが参入し、1日2往復体制となります。
一方、1991年には旧JR天北線の廃線に伴い、別系統として旭川~音威子府~鬼志別系統が新設されます。
この路線が現在の「特急天北号」となるわけですが、「特急天北号」も地元住民の「生活の足」として欠かせない存在になっています。(写真は宗谷バス「特急天北号」)
その後、「特急えさし号」は度重なるダイヤ改正や2002年の札幌~枝幸線の新設を経て、現在は札幌線を1日1往復、旭川線を1日2往復運行しています。
今般、音威子府及び枝幸方面へ行く機会が出来、移動手段として「特急えさし号」を利用してきました。
本来であれば「特急えさし号」札幌線で枝幸まで直行したいところでしたが、今回は音威子府で途中下車する必要があったため、旭川~音威子府間は道北バスの「特急えさし号」旭川線を、音威子府~枝幸間は宗谷バスの「特急えさし号」札幌線を利用しました。
まずは道北バスの「特急えさし号」から。
乗車したバスはこちら↓になります。
西武バス(西武観光バス)から来た日産スペースウィング(KC-RA550RBN 富士7S2)です。
元事業者での運行路線の都合上、通常モデルより車高を低くした特注型になっています。
道北バスに来てからは、「流氷もんべつ号」で活躍した後、現在は「サンライズ旭川釧路号」や「特急えさし号」で活躍しています。
車内はこの様になっておりまして・・・ 3列独立シート29人乗りの夜行高速仕様となっています。
シートモケットも西武時代のままで、今では使われないサービスコーナーの跡等、西武時代の面影が至る所に残っています。
バスは11時30分定刻に旭川駅前を発車後、護国神社前・花咲町7丁目で乗車扱いを行った後、国道40号線を北へ向けてひた走ります。
塩狩峠を越え、士別大通6丁目・名寄駅前・名寄市立病院で乗車扱いのために停車。
バスは更に国道40号線~名寄美深道路~国道40号線をひた走ります。
美深の市街地を過ぎ、更に峠を越えると、バスは音威子府市街へと入っていきます。
旭川を出発して2時間40分、「特急えさし号」は音威子府(JR音威子府駅)に到着しました。 ここまでの運賃、片道2,800円。
都市間バスの運賃としては若干高い気もしますが、まあ仕方がないといったところでしょうか。
今回、音威子府で途中下車した理由がこちら↓。 音威子府名物の「そば」です。
黒いつゆに黒い麺が特長の「音威子府そば」。
北海道のみならず全国各地にファンがいるとも言われていますが、私も実はこのそばのファンでありまして、音威子府を訪れた際は必ず食べに来ます。
今回は天ぷらそば(450円)をチョイス。
歯ごたえしっかりのそばをしっかり堪能いたしました。
もちろん、お土産用の生そばも購入。
350gで380円とリーズナブルなのも、お財布に優しくて嬉しいですよね。
美味しいそばを堪能したところで、この先は一気に枝幸まで移動します。
次に乗車したバスはこちら↓。
札幌からやって来た宗谷バスの「特急えさし号」札幌線です。
てっきり「えさっしー」ラッピング車が来るかと思いきや、東急マーキュリーカラーを纏った3列夜行仕様の三菱エアロクイーンⅠ(KC-MS822P)が来て、少々拍子抜けだったり。
先程乗車した道北バスもそうなのですが、「特急えさし号」は音威子府~枝幸間のローカル路線を兼ねていることもあって、音威子府から先の区間は乗車・降車共に可能となっています。
因みに音威子府~枝幸間の運賃ですが、片道1,970円という設定になっています。
これはもう、都市間バスの運賃というよりは、ローカル路線バスの運賃設定ですね。
乗車した「特急えさし号」の車内は、週末とはいえ8割以上の席が埋まっており、意外(?)の乗車率に驚きを隠せません。
音威子府からは国道275号線から道道に入り、小頓別・歌登を経由し枝幸へと向います。
音威子府から枝幸までは約1時間。
枝幸市街に入り、町内のバス停にこまめに停車した後、16時28分、定刻より若干早めにバスは終点枝幸ターミナルに到着しました。 殆どの乗客が地元の方でしょうか、バスを降りるな否や、家族の出迎えの車で目的地へと向っていきました。
というわけで、都市間バス「特急えさし号」をご紹介しましたが、今回乗車してみて、改めて「地元住民の足」「生活の足」として機能していることを実感しました。
今回は休日の利用ということもあって、実家への帰省客や枝幸地区への所用客が目立ちましたが、これが平日にもなると、旭川・札幌方面への通院及び出張での利用というのも出てくるのでしょうね。
現在、「特急えさし号」は自治体PRラッピングや新型車両購入補助など、地元沿線自治体の支援を受けて運行していますが、今後「特急えさし号」の様な「生活の足」として機能している都市間バスを守っていく方策を、国・自治体・事業者・そして地元住民は真剣に考えていく必要があるのでは?とも思いました。
自治体の財政が厳しい中、旧態の補助金による支援だけではどうしても限界があります。
枝幸・歌登・音威子府地区の住民が「特急えさし号」に乗ってもらえる様な積極策(札幌地区ホテルと提携した宿泊パックの販売や飲食店との提携など)、そして逆に札幌・旭川地区に住んでいる方が「特急えさし号」に乗って音威子府・歌登・枝幸地区へ出掛けられる様な積極策(ホテルニュー幸林と提携した宿泊パックや沿線の宗谷バスが乗り放題となる切符の企画・セット販売など)も是非検討して欲しい・・・。
そんなことを思った今回の「特急えさし号」の視察でございました。
【乗車データ】
- 乗車日:2014/03/21
- 乗車区間:
旭川駅前→音威子府 - 運行会社:道北バス
- 車両:日産/スペースウィング(KC-RA550RBN 富士7S2)
- 年式:1998年式(2008年移籍)
- 所属:本社営業所
- 社番:665
- 乗車日:2014/03/21
- 乗車区間:
音威子府→枝幸ターミナル - 運行会社:宗谷バス
- 車両:三菱/エアロクイーンⅠ(KC-MS822P)
- 年式:不明(2009年移籍)
- 所属:枝幸営業所
- 社番:587
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