西日本鉄道「渡辺通幹線バス」を見てみる
昨年2013年12月の九州遠征の際、福岡市内にて西日本鉄道(以下:西鉄)が取り組んでいる興味深い施策を実見する機会がありまして、限られた時間の中で見て来ました。
そこで今回と次回の2回に分けて、その興味深い施策について報告したいと思います。
1回目の今回は、福岡天神地区と西鉄大橋駅間を結ぶ「渡辺通幹線バス」をご紹介します。
「渡辺通幹線バス」が出来るに至った経緯とは?
バスが唯一の交通機関である福岡市南区と隣接する筑紫郡那珂川町。長らくの間、西鉄は那賀川町・福岡市南区から福岡市中心部の天神へ、多数の路線バスを運行していました。
しかしながら、この地域では都心直行系統がゆえの渋滞による定時性悪化からバス離れが進み、減便→更なるバス離れが問題となっていました。
一方で福岡都心地域では、路線重複による非効率・無駄が問題視されると共に、利用者から「複雑で分かりにくいバス」という声が聞かれるようになりました。
これらの問題を解決するべく登場したバスが、「渡辺通幹線バス」です。
「渡辺通幹線バス」の運行にあたって、西鉄は以下の施策を実施しています。
【実施された施策】
・既存路線の系統分断
(一部の便を除いて西鉄大橋駅止まりとする。)
・天神地区への利用客は西鉄大橋駅で
「渡辺通幹線バス」に乗り換えてもらうか、
西鉄電車に乗り換えてもらう。
・西鉄大橋駅で系統を分断することで、
定時性向上と運行本数の維持・等間隔運行を図る。
・都心部での重複区間の効率化
・専用デザインのノンステップバスの大量投入(計21台)
・車内液晶運賃表でのバス乗り継ぎ情報の提供
・「乗り継いだ方が安い」運賃施策(nimoca限定)
・西鉄大橋駅バス停の整備
とかく系統分断というと、乗り換えの煩わしさが敬遠されて不評を買うというケースが多いのですが、過去の失敗からか西鉄も色々と考えているようでして、「それならば実際のところどうなの?」ということで、2013年12月のとある日に乗車してみました。
ピンクの専用塗装車で西鉄大橋駅へ・・・
やってきたのは、西鉄天神バスセンター向かいの「天神大丸前」停留所。各方面へ向うバスがひっきりなしにやって来ます。
やがて、ほぼ時刻表通りに「何処ぞのバス?」と思わせる、ピンクのストライプを纏ったバスがやって来ます。
「W1」系統西鉄大橋駅行きです。
西鉄は「渡辺通幹線バス」の運行に際して、専用の「W」という系統を新設。
全部で4系統設定されていますが、「W1」系統は福岡タワー(藤崎)から西公園ランプを経由して来た系統になります。
他に、福岡タワー(藤崎)から百道ランプを経由して天神に入る系統(「W2」系統)や、那の津4丁目始発の系統(「W3」系統)、那珂川地区から「620系統」「630系統」として都市高速経由で呉服町に入った後、天神・西鉄大橋駅へ向う系統(「W4系統」)があるようですよ。
早速、専用カラーのいすゞエルガノンステップ(QPG-LV234N3)に乗り込みます。
車内はメーカー標準のノンステップ仕様になっていますが、側窓のロールカーテンが引き継いで装備されているあたり、西鉄らしさを感じます。
この日は休日ということもあってか、目立った渋滞に巻き込まれることもなく、僅か20分弱で終点西鉄大橋駅に到着しました。
写真はありませんが、前方の液晶運賃表には、老司・那珂川方面への乗り換え時刻が表示されており、乗り換え客にとってはありがたいサービスであると感じました。
到着後、改めて車体を見ますが、現行塗装「スマートループ」をアレンジしたカラーとはいえ、どう見ても某バスに間違えてしまうのは私だけでしょうかww。
西鉄大橋駅のバス停です。
バスロケーションシステムの見易さもそうなのですが、乗り場が方面別に整理されていることに好印象を持ちました。
私自身、西鉄大橋駅のバス停に来たのは約13年ぶりなのですが、「昔ってこんなに整理されていたっけ?」と思ってしまった次第。
これなら、バス+バス乗り継ぎでも西鉄電車+バス乗り継ぎでも十分に使えそうですね。
帰りも「W1」系統で天神へ戻ります。 行きよりも5分程時間を要しましたが、それでもさほど遅延せずに天神に到着したのは、今までではありえなかったこと。
系統分断及び運行効率化の効果は出ているように思えました。
「運行の効率化」という目的の比重が高い(?)今回の路線再編
というわけで、西鉄の「渡辺通幹線バス」をご紹介しました。僅かの時間ではありますが私が見て感じたのは、今回の系統分断・路線整理は、「運行効率化」という目的がかなり高い比重を占めているのでは?ということです。
実際に終点での待機時間も短縮されている様ですし、一部区間(天神~那の津4丁目間など)では系統整理による減便が実施されています。(天神~那の津4丁目間が日中30分ヘッドに減便されているのには正直驚きましたが・・・)
一方で、nimoca限定とはいえ、乗り継ぎによるポイント割引や、車内での乗り換え情報の提供、ノンステップバスの大量導入といった、系統分断による利便性低減を出来るだけ抑える努力も伺えることが出来、西鉄も今回の幹線バス運行に際してはかなり考えているなぁという印象を受けました。
個人的には、乗り換えという手間が増えたとはいえ、定時性向上という点を評価したいです。
今後は、この施策を如何に利用者に浸透させて「バス離れ」を抑えていくかがカギとなるでしょう。
今回は時間の関係で実現出来ませんでしたが、次回福岡訪問の際にはもう一度乗車し、今度は実際に乗り継いでみてどうなのか・・・というのをしっかり検証したいと思います。
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