近鉄バス「おひさま号」(宮崎特急線)乗車記 ~運行休止前の姿を見てみる~
2016年8月10日、夜行バスファンにとって驚くべき(?)ニュースが流れました。
近鉄バス(東大阪市)が運行する宮崎特急線「おひさま号」(京阪神~宮崎間)と鹿児島特急線「トロピカル号」(大阪・神戸~鹿児島間)が、2016年9月末日をもって運行を休止することを発表したのです。
—–(以下公式リリースより抜粋 ここから)—–
宮崎特急線・鹿児島特急線の休止について
いつも近鉄高速バスをご利用いただきまして誠にありがとうございます。
誠に勝手ながら、京都・大阪・神戸~宮崎行き高速バス「おひさま号」、大阪・神戸~鹿児島行き高速バス「トロピカル号」の2路線を、下記のとおり運休させていただくこととなりました。
お客様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、ご了承賜りますようお願い申し上げます。
記
【運休する路線】
京都・大阪・神戸~宮崎 「おひさま号」
大阪・神戸~鹿児島 「トロピカル号」
【運行を休止する日】
《関西発》 平成28年9月30日(金)
※9月29日(木)関西出発便が最終となります。
《九州発》 平成28年10月1日(土)
※9月30日(金)九州出発便が最終となります。
(以下略)
・京阪神~宮崎「おひさま号」については、来春を目途に新しい経路での再開を計画いたしております。
以上
平成28年8月
近鉄バス株式会社
平成28年8月
近鉄バス株式会社
—–(ここまで)—–
「おひさま号」「トロピカル号」に限らず、関西~九州間の夜行高速バスについては、九州新幹線全通やLCCの台頭などで苦戦が伝えられており、特に「おひさま号」についてはLCC「peach」やフェリーの影響を、「トロピカル号」については九州新幹線全通の影響を受けたといわれています。
今般、「おひさま号」「トロピカル号」の運行休止の知らせを聞き、「これは一度見ておかなければ・・・」ということで、今回の九州訪問の行程に運行休止前の「おひさま号」実見を組み込みました。
私自身、近鉄バスの宮崎特急線には、鉄道直営時代に運行していた「あおしま号」に乗車して以来、今回が2度目となります。
(写真はその時に撮影した「あおしま号」です。) 果たして、運行休止が発表された「おひさま号」の現状とは・・・。
休止の発表が嘘?と思える程の盛況ぶり
夜行高速バス「おひさま号」の始発地は、JR南宮崎駅近くの宮交シティバスセンター。宮崎交通の一般路線バスの他、福岡、熊本、鹿児島、大分方面行き高速バスが発着する、宮崎県内有数のバスターミナルです。
今回乗車した車両はこちら↓。 近鉄バス京都営業所所属の2012年式8255号車(日野セレガHD QPG-RU1ESBA)です。
「Kintetsu」の「K」をイメージした同社高速路線用カラーリングが一際目立ちます。
車内はこの様になっておりまして、
3列独立シート27人乗りの夜行高速仕様となっていますが、トイレ横の座席がフリースペースとなっており、進行方向左側座席からのトイレへの出入りがしやすくなっています。
各座席には足置き台、レッグレスト、腰当てクッションの他、携帯電話やスマートフォンの充電に便利なコンセントを完備。
窓側座席には、通路を仕切るカーテンも装備されています。
また、最近では珍しくなったドリンクサービスも「おひさま号」では実施されており、冷たいパックジュースが1人1本セルフサービスにて提供されます。
流石にTV・DVD放送はありませんが、12時間を走行する夜行バスの設備としては十分なのかもしれません。
「おひさま号」の発車時刻は19時20分。
18時30分過ぎにもなると、「おひさま号」に乗車する乗客が徐々に集まってきます。
乗車するバスも、のりば近くで待機しています。
19時10分、乗車改札が始まります。 次から次へとバスに乗り込んでいきます。
19時25分、8割方の乗客を乗せたバスは、定刻5分遅れで宮交シティバスセンターを発車します。
宮崎自動車道に入り、都城北、小林インター、えびのインターで乗車扱いを行い、27名満席になったバスは、九州自動車道を京阪神へ向けてひた走ります。
お盆の繁忙期が終わったとはいえ満席とは驚きましたが、学生の利用が目立っていたことから、夏休み期間を利用して帰省していた方が多かったのかもしれません。
えびのインターを発車したところで、乗務員から自己紹介と運行経路、車内設備の案内がマイクを通じて行われ、その後車内を一巡して不明点が無いか聞きに回ります。
過不足無い丁寧な案内は今でも健在の様です。
車内を一巡したところで、今度は運行休止に関する案内が。
事前に配られた休止案内の紙をもとに説明していきます。
かつて「おおしま号」運行休止の際も同じ様なことをしていた記憶がありますが、利用者の影響を考慮してのことでしょうね。
消灯前には、九州自動車道宮原サービスエリアで15分程の開放休憩があります。
開放休憩終了後は車内前方のカーテンが閉められ消灯。
その間、バスは九州自動車道から関門橋~中国自動車道~山陽自動車道などを経由して京阪神地区へとひた走ります。
翌朝6時過ぎに車内灯が点灯され起床。
間も無くしてバスは三宮バスターミナルに到着します。
こちらでは5名が下車しました。
その後、阪神高速湾岸線~天保山JCT~大阪港線~東大阪線~東船場JCT~環状線を経由して梅田ランプを流出します。
阪神高速からの神戸市内の風景です。
三宮から約1時間でバスは大阪駅前(地下鉄東梅田駅)に到着。 本来であれば、終点京都駅八条口まで乗車したいところですが、諸事情により今回はこちらで下車しました。
こちらでは私を含め10名近くの乗客が下車。
終点京都まで乗り通す乗客が結構いたのにはびっくりしましたが、学生の街「京都」での利用が意外と多い・・・ということなのでしょうか。
以上、近鉄バス宮崎特急線「おひさま号」運行休止前の様子について簡単に紹介しました。
今回は夏休み期間中ということもあってか、車内が満席になる程の盛況ぶりでしたが、聞くところによると閑散期は乗客1桁台の日が少なくなかったそうです。
加えて、近鉄バス側の深刻な乗務員不足問題も囁かれており、先述の並行交通機関の台頭と合わせて、複合的な理由で運行休止という判断に至ったものと考えられます。
今回の「おひさま号」「トロピカル号」運行休止で、関西~南九州間の夜行高速バスはひとまず無くなることになります。
ですが、「おひさま号」については、2017年春を目途に運行経路を変更して再開することを目指しているそうです。
東九州道が開通していることから、恐らく延岡、佐土原(または日向)経由に変更することが考えられますが、今後「おひさま号」がどの様な形で復活するのか、そして夜行高速バスが完全に無くなった関西~鹿児島間は今後どうなるのか、新幹線と飛行機の独壇場のまま推移するのか、それとも夜行高速バスが復活するのかなどなど・・・興味が尽きないですね。
事実上近鉄バス1社が担ってきた関西~南九州間路線。
再開予定の「おひさま号」を含め、今後どの様に推移していくのか、私も注目していきたいと思っています。
【乗車データ】
- 乗車日:2016/08/21
- 乗車区間:
宮交シティ→大阪駅前(地下鉄東梅田駅) - 運行会社:近鉄バス
- 車両:日野/セレガHD(QPG-RU1ESBA)
- 年式:2012年式
- 所属:京都営業所
- 社番:8255
尚、今回ご紹介した近鉄バス宮崎特急線「おひさま号」の乗車記は、2016年冬に発売予定の同人誌「夜行バス紀行Vol.04」にも掲載する予定です。
「あおしま号」から始まった関西~宮崎間夜行高速バスの歴史にも触れようと思っています。
興味がある方は是非ご予約、ご購入いただけると幸いです。
(ご予約の受付は、12月下旬より開始する予定です。)
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