関西で廃止される&廃止されたバス2路線に乗車してみました <金剛自動車&阪急バス「阪北線」11系統>
金剛自動車の路線バス(イメージ)
阪急バス「阪北線11系統」
写真は、金剛自動車(本社:富田林市)が運行する路線バスと、阪急バス(本社:豊中市)が運行する路線バス「阪北線11系統」(梅田~阪急園田駅)です。
2023年の秋から冬にかけて、関西を走る路線バスで大きなニュースが2つありました。
ひとつは、大阪府富田林をメインエリアとして路線バスを運行する金剛自動車(本社:富田林市)のバス事業廃止。
そして、もうひとつは、大阪北部や兵庫県、京都府をメインエリアとする阪急バス(本社:豊中市)の複数路線廃止です。
特に、金剛自動車(本社:富田林市)のバス事業廃止というニュースは、全国ニュースをはじめとする各媒体でも取り上げられる程の大きなニュースでした。
そこで、今回は「関西で廃止される&廃止されたバス2路線に乗車してみました」と題し、2023年12月に事業を廃止する金剛自動車のバス路線1路線と阪急バス阪北線11系統に乗車した時の模様をお届けします。
金剛自動車「千早線」(千早ロープウェイ前→富田林駅前)に乗ってみる
前日の夜、博多から山陽新幹線「ひかり592号」で大阪入りし、堺市内のホテルで宿泊した私。翌朝、堺市内を走る南海バスを撮影後、移動を開始します。
南海バス「サザンクロス」長岡線 518
南海バス「堺シャトル」 1601
南海バス 堺 471
南海バス「堺シャトル」(南海堺駅前~南海堺東駅前)で南海電鉄高野線堺東駅へ。
堺東駅から南海電鉄高野線で河内長野駅へ向かいますが・・・ホームで電車を待っていると、なんば行きのホームに6000系復刻塗装車が入線。
思わず写真を撮ってしまいました。
なんばから来た橋本行き急行電車で河内長野駅へ向かいます。
15分程で河内長野駅に到着します。
河内長野駅からは、南海バス小深線411系統(日東町東口経由)に乗車し、千早赤阪村の金剛山ロープウェイ前へ向かいます
多くの登山客で車内は賑わっておりました。
45分程で、終点の金剛山ロープウェイ前に到着。
降車専用バス停は、南海の旧社章がうっすらと見える昔懐かしい形状を残しています。
暫く待っていると、金剛登山口方面から1台のバスがやって来ました。
この日午前中の主役、金剛自動車「千早線」です。
金剛自動車「千早線」は、近鉄富田林駅と千早赤坂村市街地・金剛登山口・千早ロープウェイ前を結ぶ、沿線自治体にとって欠かせない路線。
同社の路線バスとしては、循環系統を除いて最長の路線でもあります。
南海バスが「金剛山ロープウェイ前」というバス停名称であるのに対し、金剛自動車は「千早ロープウェイ前」と、両社でバス停名称が異なる点も注目したいところです。
今回乗車したのは、千早ロープウェイ前10時55分発の富田林駅前行き。
写真の三菱KL-MP35JK(西工96MC B-Ⅰ)が充てられていました。
車内に入ってびっくり。
前扉から中扉までは通常の1人掛け前向きシートなのですが、中扉から最後部は1人掛けシートと横向きシートが並ぶという、独特なシートレイアウトになっています。
聞くところによると、この車内レイアウトは金剛自動車独自のものとか。
ノンステップバス以外の車両が、この車内レイアウトを採用しているそうです。
運行本数は、日中時間帯が約1時間おきの運行となっており、金剛山ロープウェイ前まで運行。
一方で、朝夕の時間帯は、途中の金剛登山口までの運行となっています。
千早ロープウェイ前を発車したバスは、鱒釣場前、金剛登山口、千早大橋などのバス停に停車後、大阪府道705号を富田林へ向けてひた走ります。
午前中の市街地行きということもあってか、乗客は少なめ。
道幅が狭い山道を下り、バスは千早赤阪村の市街地へと向かいます。
千早赤阪村の市街地へ近づくにつれ、徐々に乗客数も増えていき、千早赤阪村を過ぎ、河南町に入る頃には、半分以上の座席が埋まる程までに乗客が増えていきます。
そして、富田林市内に入る頃には、ほぼ全ての座席が埋まる盛況ぶり。
「これで本当に路線が無くなるのか?」と思う程でした。
石川を渡り、富田林の市街地に入り、バスは終点の富田林駅前に到着しました。
千早ロープウェイ前からの所要時間は、50分弱といったところでしょうか。
近鉄富田林駅です。
同駅には、近鉄バスが発着する北口と金剛自動車が発着する南口にそれぞれバスロータリーがありますが、双方比較すると発着便数が多い南口の方が賑やかに感じます。
駅前には大きなバス案内表示があります。
こんなに多くの系統が運行していたとは・・・。
そして、まもなくこれら金剛自動車の路線が全て無くなろうとしているとは・・・改めて驚きます。
バスのりばに掲げられた事業廃止のお知らせです。
そして、駅前には金剛自動車の営業所が。
1階には窓口があり、定期券・回数券を販売しています。
さて、金剛バス事業終了後の代替路線については、すでに報道されている通り、現在運行している14路線のうち、近鉄バスと南海バスが主要5路線を引き継ぎ、それ以外の路線については、自家用有償旅客運送で住民の足を確保することが決まりました。
運賃も、当面の間は据え置きで、運賃収入でまかなえない経費は4市町村広域協議会が負担することで決まっております。
このうち、今回乗車した「千早線」については、南海バスが富田林駅前~千早赤阪村立中学校前間を6時から20時までの間運行し(運営主体は4市町村広域協議会)、この時間以外の早朝・夜間時間帯と、千早赤阪村立中学校前~金剛登山口間については、千早赤阪村運行による自家用有償旅客運送で補完する予定です。
資料などによると、金剛登山口~千早ロープウェイ前の記載がありませんが、どうやらこの区間は代替されずに廃止される様です。
今回乗車した車内の様子や、南海バスが河内長野駅からのアクセスを確保していること、そして金剛山ロープウェイが廃止になったことなどを考慮すると、(残念ではありますが)一部区間の廃止は致し方がないかもしれません。
突然の事業廃止で世間に驚きを与えた金剛自動車ですが、全国の各自治体は、いま一度自分達の公共交通をどの様にして支えていくのか、そして、そこに住む住民はどの様にして公共交通の確保維持に協力していくのか、今すぐ真剣に考えて行動しないと、このままでは公共交通崩壊(←この言葉は正直使いたくはありませんが)を止めることは出来ないのではないのか・・・移動中の車内で改めて考えてしまいました。
【乗車データ】
- 乗車日:2023/10/15
- 乗車区間:
千早ロープウェイ前→富田林駅前 - 運行会社:金剛自動車
- 車両:三菱/KL-MP35JK(西工96MC B-Ⅰ)
- 年式:2004年式
- 所属:富田林営業所
- 社番:1604
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