山形県庄内地方と山形・仙台・東京・関西を結ぶ庄内交通の高速バス「夕陽号」。
庄内地方にとって欠かせない都市間の足として活躍しています。
残念ながら、現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、夜行便(東京3路線と京都・大阪線)が全休している他、仙台線においても一部便が運休するなど、大変な状況に置かれていますが、そんな中、実は2020(令和2)年8月中旬に、一度も乗っていないかった「夕陽号」新宿線に乗車する機会があり、乗車してまいりました。
庄内地方と東京を結ぶ「夕陽号」は、運行開始から30年以上経過している老舗路線。
首都圏と庄内地方を結ぶ交通機関を語る上で、欠かすことの出来ない路線でもあります。
特に、JRの夜行寝台特急が廃止されて以降、東京と庄内地方を結ぶ唯一の夜行交通機関として数多くの利用者に親しまれていることは、以前このブログで使用開始した「夕陽号」東京駅・TDL線の乗車記でも書いた通りであります。
私自身、これまで「夕陽号」池袋・渋谷線と東京駅・TDL線には乗車したことがありますが、新宿線はこれまで未乗の状態でした。
今般、ようやく「夕陽号」新宿線に乗車ということで、以前から楽しみにしておりました。
いったいどんな路線なのか、改めてご紹介しましょう。
尚、「夕陽号」東京3線の概要については、「夕陽号」東京駅・TDL線の乗車記に記載しておりますので、併せてご覧いただけると幸いです。
元々は東京駅起終点の路線? 週末・繁忙期限定運行から毎日運行へ
札幌から函館バス「高速はこだて号」に乗車し、
津軽海峡フェリーで津軽海峡を渡り、
JR東日本「リゾートしらかみ」や高速バスなどを乗り継ぎ、
やって来たのは、JR酒田駅から徒歩5分弱の場所にある酒田庄交バスターミナル。
庄内交通の基幹バスターミナルのひとつであり、同社の高速バス「夕陽号」の起点地としても知られています。
ここで、今回乗車する「夕陽号」新宿線について簡単にご紹介しておきましょう。
元々この路線は、2009(平成21)年4月1日に「夕陽号」東京駅発着系統として運行を開始しました。
途中、上野駅や秋葉原駅にも停車する路線として利用が期待されましたが、諸事情により、翌年2010(平成22)年の12月1日から木曜・金曜・土曜・日曜及び繁忙期期間のみの運行に変更されます。
その後、2012(平成24)年7月13日に、東京側の起終点が東京駅から京王新宿高速バスターミナル(→バスタ新宿)に延伸。
併せて、下り便(鶴岡・酒田行き)に限ってですが、さかた海鮮市場前への乗り入れを開始します。
新宿への延伸がきっかけで次第に利用が増えたことから、2014(平成26)年4月1日より毎日運行に変更。
そして、2016(平成28)年4月4日のバスタ新宿乗り入れ開始を経て、現在至ります。
今では珍しい後部トイレ仕様の夜行高速車
21時30分過ぎになると、「夕陽号」に乗車する乗客が集まって来ます。
お盆の帰省シーズンですが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、「夕陽号」新宿線以外の夜行便(渋谷線、TDL線、京都・大阪線)は全休。
待合室も帰省シーズンならではの賑やかさはなく、どことなく寂しさすら感じます。
「夕陽号」新宿線の発車時刻は22時15分。
待合室付近でバスの到着を待ちます。
22時過ぎ、1台のバスがのりばに入線し、乗車改札となります。
今回乗車したバスはこちら。
庄内交通酒田営業所所属223号車(三菱エアロエース QTG-MS96VP)です。
「夕陽号」京都・大阪線(南海バス「サザンクロス」と共同運行)開設時に導入された車両ですが、同路線に別仕様の車両が導入されたことから、現在は主に新宿線及び池袋・渋谷線で活躍しています。
車内は、3列独立シート28人乗りの夜行高速仕様ですが、トイレと乗務員仮眠室が車内中央部ではなく車内最後部に設置されています。
このため、通常の中央トイレ・仮眠室仕様の車両と比較すると、シートピッチが若干狭くなっており、リクライニングの角度も若干浅めになっています。
しかし、コンセントや通路カーテン、Wi-fiなど、夜行バスに必要な装備はひと通り揃っており、道中快適に移動出来る車内にはなっている印象を受けました。
シートポケットのクリアファイルには、到着後の付帯サービスの案内も。
利用客にとって、この様な到着後のサービスはありがたいと感じます。
尚、今回乗車した便の新型コロナウイルス対策は、以下の様になっておりました。
【主な新型コロナ感染症対策】(乗車当時のものです)
・座席使用制限:なし
※窓側座席(A席・C席)を優先して販売。
※窓側座席のみ通路カーテン付き
・車内消毒液設置:あり
・運転席回りのビニール製カーテン設置:なし
※消灯時に前方遮蔽カーテンをセット。
・運行終了時の車内消毒:実施
・エアコンの外気導入:実施
⇒ 三菱ふそう観光バスの新型コロナウィルス新生活様式への対応
・乗務員交代時の車内換気:実施
・その他:
乗務員のマスク着用 など
途中休憩はなし 目覚めたら東京都内
22時15分 酒田庄交バスターミナル発車
バスは、定刻に酒田庄交バスターミナルを発車。
発車後、前方のモニターにて案内放送が流れますが、結構凝ったつくりになっていて、個人的には好印象でした。
やがて、バスはイオン酒田南店へ。
大型ショッピングストアに停車する夜行高速バスも今や珍しくはありませんが、パーク&ライド駐車場を完備していることから、夜遅い時間にも関わらず複数名乗車して来ます。
地方都市ならではといったところでしょうか。
23時15分 エスモールバスターミナル(鶴岡)発車
庄内町余目駅前にて停車後は、鶴岡市のエスモールバスターミナルへ。
庄内交通で一番の規模を誇るバスターミナルですが、やはりこちらからの乗車が一番多く、10名程の乗客が乗車します。(写真はイメージです。)
エスモールバスターミナルで乗車扱いを終えたバスは、最後の乗車地である庄内観光物産館へ。
庄交コーポレーションが運営する大規模物産館ですが、バス待合室やパーク&ライド駐車場を備えており、鶴岡市内のバス発着拠点のひとつとしても機能しています。
こちらからも数名乗車し、車内は20名以上の乗客で賑やかになって来ました。
庄内観光物産館発車後、乗務員から改めて案内があり、その後、前方のモニターにて再度案内放送が流れます。
車内設備案内終盤の一斉リクライニング放送も、庄内交通「夕陽号」夜行便の特長のひとつです。
案内放送が終わったところで、車内は消灯。
この路線は途中の開放休憩がないため、翌朝到着までお休みタイムとなります。
シートを倒して目を瞑ると、いつしか夢の中へ・・・。
翌朝、栃木市付近を走行中にいったん目を覚まし、再び就寝。
再度目を覚ますと、バスは東北自動車道の浦和料金所を通過するところでした。
首都高速道路からの東京都内です。
あっという間に東京に来た・・・という感覚です。
05時40分 起床・おしぼり配布
向島ランプを流出したところで、乗務員からの案内放送で起床。
その後、乗務員が殺菌済みの熱いおしぼりが入ったかごを持って車内を回ります。
現在は紙おしぼりに変更したり、おしぼりサービス自体を廃止する事業者も多い中、この様な古き良き時代のサービスを提供しているとは・・・一夜行バスの利用者として嬉しくなりますね。
バスは順調に東京都心に入り、05時54分に上野駅に到着。
数名の乗客が下車し、06時03分には秋葉原駅バスのりばに到着。
こちらでも数名が下車していきます。
06時18分 東京駅丸の内北口到着
東京駅の高速バスのりば(おりば)といえば、八重洲南口や日本橋口が有名ですが、この「夕陽号」新宿線は丸の内北口のオアゾ前に停車します。
リムジンバスとの共用のりばとなっていますので、リムジンバスのバス停を目印にすると分かりやすいかもしれません。
こちらでも数名が下車していきました。
東京駅丸の内北口で降車扱いを終えたバスは、国会議事堂や警視庁などを眺めながら、内堀通りから新宿通りへ。
四谷駅前を通過すると、終点のバスタ新宿はすぐそこです。
06時45分 バスタ新宿(終点)到着
新宿御苑トンネルをくぐったところで、最後の案内放送が流れます。
そして、06時45分、甲州街道からのスロープを登ったバスは、終点のバスタ新宿に到着。
すがすがしい気分でバスを降りた私は、乗車時に預けていた荷物を受け取り、次なる場所へと向かうのでありました。
「ひと眠りしたら目的地」が魅力の「夕陽号」庄内~東京3路線
というわけで、庄内交通「夕陽号」新宿線の乗車記をお届けしました。
今夏の利用状況が大苦戦している夜行バスが多い中、今回利用した「夕陽号」新宿線の20名以上という乗客数は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮すると、そこそこ健闘している方なのではと感じました。
やはり、「夕陽号」が庄内地区にとってなくてはならない首都圏直行便として機能している・・・ということなのでしょう。
そして、今回の乗車で一番感じたのは、(この路線を含め)
「ひと眠りしたら目的地」
これが「夕陽号」庄内~東京3路線の最大の魅力なのでは?ということです。
車内サービスもそれなりのレベルを維持していますし、起終点間フルで乗車しても9時間弱で目的地に到着出来、夜行バスの所要時間としてはちょうど良い設定になっています。
このご時世、途中の開放休憩が無いのがちょっと・・・という気がしないでもないですが、換気をしっかり実施している点や安眠を妨害しないという点で考えると、まあ開放休憩はなくてもいいかなぁ・・・という気もします。
心配していた感染症対策もしっかりと実施しており、利用した感じでは特段不安に感じることはありませんでした。
あとは、乗車前と乗車後の手洗い・消毒やマスク着用など、乗客側が感染症対策をしっかりと行うしかありません。
庄内交通にとってフラッグシップ的存在である夜行高速バス「夕陽号」東京3路線。
残念ながら、今回ご紹介した新宿線も、8月30日の運行を最後に再度運休となり、現在「夕陽号」夜行便は全休となっています。
新型コロナウイルス感染収束が見通せない中、この状況はしばらく続くでしょうが、まずは一刻も早い感染収束と「夕陽号」の早期の運行再開を切に願うばかりです。
いつになるか分かりませんが、機会がありましたら、また利用しようと思います。
【乗車データ】
- 乗車日:2020/08/15
- 乗車区間:
酒田庄交バスターミナル→バスタ新宿(新宿高速バスターミナル) - 運行会社:庄内交通
- 車両:三菱/エアロエース(QTG-MS96VP)
- 年式:2017年式
- 所属:酒田営業所
- 社番:223




