北海道バス「帯広特急ニュースター号」 乗車記

昼行高速バス

2019(令和元)年10月29日、北海道にとっては久しぶりの都市間バス新路線が運行を開始しました。
その路線とは・・・北海道バス(本社:札幌市)の札幌~帯広線「帯広特急ニュースター号」です。

北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997

北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・977

札幌~帯広間の都市間バスといえば、北海道中央バス(本社:小樽市)や十勝バス(本社:帯広市)など5社が共同運行する老舗路線「ポテトライナー」がありますが、同路線は週末や繁忙期に大変混みあう路線としても知られています。
十勝バス「ポテトライナー」 1901
十勝バスの帯広~札幌線「ポテトライナー」

そんな老舗路線が幅を利かせている札幌~帯広間の都市間路線に、かなりの準備期間をかけて参入した北海道バス「帯広特急ニュースター号」。
果たしてどんな路線なのか・・・ということで、先日乗車してまいりました。
その時の模様をご紹介します。

始発は帯広市南部の住宅地!?

やって来たのは、十勝バス「大通34丁目」バス停から徒歩5分程のところに位置する北海道バス帯広営業所。
新路線開設に合わせて、住宅や鉄工所などが並ぶ一角に新設されました。
「帯広特急ニュースター号」は、こちらが始発となります。

敷地内には、営業所社屋(プレハブ)と4台分駐車可能のバス駐車スペース、そして100台駐車可能のパーク&ライド駐車場が設けられています。
現在、営業所社屋は仮営業状態(プレハブ)ですが、仮社屋の隣では営業所の新築工事が急ピッチで行われていました。
年末か年明けには新社屋での営業が開始されるのではないでしょうか。
北海道バス「帯広特急ニュースター号」 帯広営業所_01

北海道バス「帯広特急ニュースター号」 帯広営業所_02

北海道バス「帯広特急ニュースター号」 帯広営業所_03

驚いたのは、運行開始から1か月程しか経過していないにもかかわらず、パーク&ライド駐車場がかなり埋まっていること。
ざっと見た感じ、6割~7割以上は埋まっていました。
こちらに車を置いて、「帯広特急ニュースター号」を利用して札幌へ行く方がそれなりにいるということなのでしょう。

現在はバス乗務員が駐車場所などの案内を行っていましたが、近々に現地採用の係員を配置するという話ですので、先述の新社屋完成と合わせて体制を整えていく様です。
尚、パーク&ライド駐車場の利用についてですが、駐車場の事前予約は不要で、札幌までのバスを往復利用される方限定となります。
また、駐車期間は最大7日以内となっていますので、ご利用の方はご注意下さい。

車内は夜行便対応の3列独立シート仕様

今回私が乗車したのは、帯広営業所15時05分発の108便。
こちらの車両に乗車しました。
北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997

北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 リア
8速AMT「SHIFT PILOT」を搭載する、2018年式の三菱エアロエース(2TG-MS06GP)です。
同じグループの大阪バスから来た車両で、大阪バス在籍時は東京~大阪間の夜行高速バス「東京特急ニュースター号」で活躍していました。
移籍に際して、外観のカラーリングを一部変更しています。

出入口付近には、東京バスグループのマスコット「バスゴリくん」のステッカーが貼られています。
北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 バスゴリくん

車内は、3列独立シート29人乗りの夜行高速仕様になっています。
夜行便が設定されている「函館特急ニュースター号」「釧路特急ニュースター号」にも運用出来る様、通路カーテンが装備されていますが、昼行便による運行ということもあってか、通路カーテンは荷物棚に上げられていました。
また、毛布は荷物棚に置かれています。
北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 車内

北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 シート

シートをフルリクライニングした状態です。
リクライニング角度は正直浅いですが、昼行便であれば問題のない範囲内だと思います。
北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 シート フルリク時

レッグレストとフットレスト(足置き台)も完備しています。
フットレストは、靴を脱いで使用します。
北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 レッグレスト・フットレスト(足置き台)

各座席には、コンセントを完備しています。
内壁下または肘掛下に設置されていますが、一部の座席では内壁下と肘掛下両方に設置されており、事実上デュアル電源状態になっていました。
北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 コンセント

車内では、Wi-fiのサービスも実施しています。
SSIDを設定するだけで使用可能という、至ってシンプルな方式です。
北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 Wi-fiリーフレット

トイレは、車内最後部に設置されています。
折戸構造にして扉の幅を広げることで、出入りがしやすくなっています。
北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 トイレ

以上、車内の様子を簡単に紹介しましたが、既存路線の車両と比較してもハイグレードな印象を受けました。
この車内設備であれば、札幌~帯広間のバス移動も快適に過ごせられるのではないでしょうか。

途中休憩は1ヶ所 あっという間の4時間弱のバスの旅

私を含めて6人の乗客を乗せたバスは、15時05分定刻に帯広営業所を発車します。
この後、イトーヨーカドー帯広店前、イオン帯広店前といった帯広市南部の住宅地エリアに停車し、帯広駅前(とかちプラザ)にて乗車扱いを行います。
北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 車内の様子_01

北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 帯広駅前バス停_01

北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 帯広駅前バス停_02

この時点で車内は20人の乗客で賑やかになります。
その後、右手に帯広競馬場を眺めながら白樺通りを西進し、ニトリ帯広店前にて乗車扱いのために停車。
さらに、白樺通りを西進したバスは、16時05分に最後の乗車停留所である芽室駅前に到着します。
ここで1名が乗車し、22名の乗客を乗せたバスは、芽室インターから道東自動車道へ。
ここから先は、道東自動車道~道央自動車道~札樽自動車道を札幌北インターまでひた走り、札幌市内へ直行します。
北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 車内の様子_02

途中の開放休憩は1ヶ所。
帯広~札幌間のほぼ中間に位置する占冠パーキングエリアにて15分間停車します。
多くの乗客がバスを降りてトイレや飲み物の購入などを済ませますが、外は季節外れの土砂降りの雨。
用事を済ませて早めにバスへ戻る乗客が多かった様に見受けられました。
北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 占冠PAにて_01

北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 占冠PAにて_02

開放休憩を終えたバスは、17時18分に占冠パーキングエリアを発車。
順調に走行し、18時15分には千歳恵庭JCT通過、18時29には札幌南インター料金所を通過、そして18時41分には札幌北インターを流出し、札幌新道から石狩街道(創成川通り)へと入ります。

そして、18時53分、定刻よりも若干遅れて、バスは札幌駅前降車専用バス停(ホクレン本所前)に到着。
私を含めて大半の乗客はこちらで下車しました。
北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 札幌駅前到着_01

北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 札幌駅前降車専用バス停

乗客を降ろしたバスは、大通市営バスセンター、市電すすきの前へ向けてラストスパート。
終点へ向けて走りゆくバスの後姿を見届けながら、私は自宅へ向けて移動を開始するのでありました。
北海道バス「帯広特急ニュースター号」 札幌駅前到着_02

既存路線を意識した差別化戦略の効果は?

以上、北海道バス「帯広特急ニュースター号」の乗車記をお届けしました。
本来であれば、運行開始直後に乗車したかったのですが、諸事情により初乗車が運行開始約1か月後になってしまいました。
ですが、少し落ち着いた頃合いの乗車で、逆に普段の週末の利用状況を見ることが出来たのかなぁ・・・という気もします。

さて、「帯広特急ニュースター号」に乗車してみての感想ですが、新聞報道などでも紹介されている通り、既存路線「ポテトライナー」との差別化をかなり意識しているのなぁという印象を受けました。
具体的には、帯広中心部や西帯広、音更エリアをメインターゲットにしている「ポテトライナー」に対し、帯広市南部や南十勝をメインターゲットにしてパーク&バスライドの利用を推進している点や、これまで札幌方面都市間バスの停車が無かった白樺通り沿いや芽室町中心部にも停留所を設置している点、更には本州レベルのハイグレード車両を投入している点など、これまで「ポテトライナー」がカバーしきれなかったエリア・サービスを上手くカバーしているのではと感じました。

その効果かどうかは分かりませんが、新聞報道によると、事業者側が想定していた当初見込みよりも滑り出しは好調とのことです。

北海道バス「帯広特急ニュースター号」106便 ・977 帯広駅前改札中
帯広駅前にて改札中の「帯広特急ニュースター号」札幌行き106便(2019年12月1日撮影)

北海道バスの帯広-札幌線 出足好調 運行1カ月 波及効果に期待も

帯広―札幌間を結ぶ北海道バス(札幌)の高速バス「帯広特急ニュースター号」の運行が始まって1カ月。同社によると、週末は満席の便が目立つなど、好調な滑り出しとなった。一方、同区間で競合する既存の高速バス「ポテトライナー」の利用も堅調で、新規参入がバス全体の需要拡大につながればとの期待の声も出ている。

ニュースター号は10月29日から毎日5往復を運行。平日の便は空きはあるが、週末は満席の便も出ており、北海道バスは「当初の見込みより、好調な滑り出し」と受け止める。年末年始予約は、すでに一部の便が満席の状況だ。

(北海道新聞 11月28日付 朝刊より引用)

ライバルの「ポテトライナー」運行会社やJR北海道は当面静観する様ですが、元々流動が多い区間とはいえ、移動の選択肢が増えたのは、利用者にとっては喜ばしいことなのではないでしょうか。
と同時に、都市間バス側にとっては需要喚起に繋がる可能性がある一方で、ライバルのJRは少なからずの影響を受けるのでは?とも思いました。
2011(平成23)年、道東自動車道の部分開通で札幌圏と十勝圏が高速道路で結ばれたことで、JR利用者の自家用車・都市間バスへの転移は本格的に始まるのですが、同年の「スーパーおおぞら14号」トンネル火災・脱線事故、そして2016年8月末の台風10号の影響による石勝線の長期間不通により、一気に都市間バスの利用者が増えました。
「所要時間が大して変わらないのに運賃が安くて快適で便利」「途中休憩があって気分転換が出来る」などが主な理由ですが、その傾向は現在も続いており、JRの利用者数が完全には戻っていないともいわれています。
JR側も「えきねっと」による事前購入割引の割引率拡大など、利用者数の回復に躍起になっていますが、現在も続く「ポテトライナー」の混雑ぶりに加えての今回の都市間バス新路線の運行開始は、JRにとって頭の痛い種がまた一つ増えた・・・ということになるのかもしれません。

一方で、「帯広特急ニュースター号」を利用してみて、気になる点もありました。
一番気になったのは、やはり冬期間の運行体制でしょうか。
運行経路の道東自動車道は、特に冬期間においては交通事故や悪天候などで通行止めになることが少なくありません。
このため、安全確保や迂回運行がスムーズに出来る様、既存路線の「ポテトライナー」では、冬期間(悪天候が予想される時)は2名乗務体制で運行するなど、ある程度の対策を講じていたかと記憶しています。
その辺、「帯広特急ニュースター号」ではどうなっているのか、気になるところではあります。

ともあれ、札幌~帯広間の新たな移動の選択肢として運行を開始し、好調な滑り出しの「帯広特急ニュースター号」。
ハード面・ソフト面双方の更なる充実を図り、利用者に親しまれる路線に育つことを切に望みたいです。
機会がありましたら、また是非利用したいと思います。

北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 帯広営業所にて_01

北海道バス「帯広特急ニュースター号」 ・997 帯広営業所にて_02


【乗車データ】 
  • 乗車日:2019/12/01
  • 乗車区間:
    北海道バス帯広営業所→札幌駅前(降車バス停、ホクレン本所前)
  • 運行会社:北海道バス
  • 車両:三菱/エアロエース(2TG-MS06GP)
  • 年式:2018年式
  • 所属:本社(札幌営業所)
  • 社番:03F92-105TC



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