名古屋鉄道・西日本鉄道「げんかい号」「玄海号」【アーカイブ】
というのも、実は昨年末の大掃除で過去に撮り貯めていた夜行高速バスのネガフィルムが大量に見つかりまして、それならば今後の資料として活用するためにも『ネガフィルムのデジタル化』を思いついたのです。
と同時に、過去に乗車した夜行高速バスの記録も見つかったことから、過去の乗車記録をブログにて紹介出来ればと考え、今年より順次【アーカイブ】という形で紹介しております。
現在、ネガフィルムの画像をデジタル化する作業を進めており、作業が完了した画像を随時ツイッターやフェイスブックでアップしておりますが、その中から乗車記メモが残っている路線をこのブログで随時ご紹介できればと考えていますので、どうかお楽しみに。
今回ご紹介する路線はこちら↓。
名古屋鉄道(名古屋市 以下:名鉄)と西日本鉄道(福岡市 以下:西鉄)が運行していた名古屋~北九州・久留米・大牟田・荒尾間夜行高速バス「げんかい号」「玄海号」です。
両社で路線表記が異なっており、名鉄は「げんかい号」、西鉄は「玄海号」と表記しておりました。
「どんたく号」の補完的役割が強かった「げんかい号」
夜行高速バス「げんかい号」「玄海号」(名古屋~北九州・久留米・大牟田・荒尾線)は、1990年4月20日に名鉄と西鉄の2社共同運行路線として開業しました。同じく名鉄と西鉄が共同運行している名古屋~福岡線「どんたく号」を補完する目的で開設され、名古屋~北九州間の移動客を主なターゲットとしていました。
運行開始当初は北九州市内をこまめに停車し、黒崎バスセンターを起終点としていましたが、思う様に利用者数が伸びなかったこともあり、1992年2月3日に北九州発着から久留米・大牟田・荒尾へ延伸された経緯があります。
この路線も以前ご紹介した福岡~天理・奈良線「やまと号」と同様、バブルが崩壊するまでは利用客も堅調に伸び、繁忙期には続行便が付くほどにまでの利用者数になりますが、残念ながらバブル崩壊という波には逆らうことが出来ず、利用者数は伸び悩みます。
更に繁忙期と閑散期との乗客数の差が著しかったことから、1997年6月7日をもって廃止されました。
北九州地区については、「どんたく号」を停車させることで対処しています。
車内は3列シートの夜行高速仕様車が充てられていましたが、両社で大きく仕様が異なっていました。
名鉄は、当時の名鉄高速路線用カラーに「げんかい」のロゴが入った専用車両(三菱エアロクイーンM P-MS729S)を投入していた他、路線ロゴ無しの同型車両も頻繁に投入されていました。 車内は3列シート26人乗りの夜行高速仕様となっており、通常の夜行バスよりもシートピッチを広く取っていたのが特徴でした。
一方の西鉄は、現行の白夜行カラーに「GENKAI」のロゴが入った西工製専用車両(三菱P-MS729S 西工58MC SD-Ⅱ)を投入。 車内は「どんたく号」専用車両と同様の3列独立スリーピングシート26人乗り夜行高速仕様となっていましたが、数年後にはモデルチェンジした西工ネオロイヤルSD-Ⅱ(三菱KC-MS822P 3列独立スリーピングシート28人乗り夜行高速仕様)が投入されています。
プライベートカーテンを装備するなど、快適性を重視した車内が特徴でしたが、どういう訳か「げんかい号」についてはプライベートカーテンを使用していなかった記憶があります。
廃止直前の「げんかい号」を追う
私自身、「げんかい号」「玄海号」には3度(名鉄便1回、西鉄2回)乗車しましたが、今回はその中から廃止直前に乗車した名鉄「げんかい号」の乗車記録を簡単にご紹介しましょう。やって来たのは熊本県荒尾市。
JR荒尾駅から徒歩数分のところに、「げんかい号」の起終点である西鉄荒尾営業所があります。
(かつては大牟田市内方面の路線バスや福岡空港行き高速バスが発着していましたが、残念ながら営業所ごと廃止されてしまい、現在は「荒尾」という停留所名に変更された上で路上にて乗降扱いを行っています。)
バス待合室には廃止のお知らせも掲示されていました。
西鉄荒尾営業所発車時刻は20時00分。
発車5分前にはバスが横付けされます。
乗車したバスはこちらの車両↓でした。
高速自動車営業所(現在は名鉄バス名古屋中央営業所)所属の3005号車(三菱エアロクイーンM P-MS729S)が充てられていました。
3列独立シート26人乗りの夜行高速仕様車で、主に夜行高速路線の予備車両として活躍していた車両です。
ナンバーからして「どんたく号」初代専用車と同時期に導入された車両と推測されます。
乗車扱いを済ませたバスは、定刻の20時00分に西鉄荒尾営業所を発車。
西鉄大牟田営業所、大牟田駅にて乗車扱いを行った後、南関インターまで一般道を走行し、南関インターからは九州自動車道を久留米、北九州へと向います。
八女インターにて乗車扱いを行い、久留米インターで高速道路を降りた後、バスは21時頃に西鉄久留米バスセンターに到着します。
ここでは時間調整を兼ねて10分間の停車。
併せて乗車扱いも行います。
21時10分、バスは西鉄久留米バスセンターを発車。
発車後、乗務員より自己紹介と運行経路、車内設備等の案内がマイクを通じて行われます。
過不足無い丁寧な案内が特徴といったところでしょうか。
再び久留米インターより九州自動車道を八幡インターまで走行し、八幡インターからは引野口まで北九州都市高速道路を走行。
黒崎インター引野口、黒崎バスセンター、砂津、小倉駅前と停車し、この日の乗客(15名前後)が揃ったところで再び乗務員より自己紹介と運行経路、車内設備等の案内がマイクを通じて行われます。
23時15分頃、高速門司港にて最後の乗車扱いを行い、関門橋を渡ったところで消灯となります。
この日は名神高速道路の集中工事期間と重なったこともあり、一部区間を迂回することに。
関門橋から中国自動車道~山陽自動車道~中国自動車道~阪神高速道路~西名阪自動車道~名阪国道~東名阪自動車道を経由して名古屋へとひた走ります。
暫くは起きていましたが、やがてシートを倒して目を瞑ると、いつしか夢の中へ。
気が付くと、バスは名阪国道から東名阪自動車道を走行しているところでした。
翌朝7時前、バスは御在所サービスエリアに到着。
ここで朝の開放休憩となりました。
殆どの乗客がバスを降り、トイレや洗顔、買い物などを済ませていきます。
15分間の開放休憩を終えたバスは、乗客が全員揃ったことを確認の上発車します。
1時間弱で東名阪自動車道~名古屋高速を走破し、ほぼ定刻の8時過ぎにバスは終点の名鉄バスセンター4階降車ホームに到着しました。 消灯前の開放休憩が無い分、多少長く感じた乗車ではありましたが、筑後地区から名古屋への移動には便利な路線であることをこの乗車で実感した次第です。
以上、名鉄・西鉄の夜行高速バス「げんかい号」「玄海号」名古屋~北九州・久留米・大牟田・荒尾線を簡単にご紹介しました。
西鉄などが運行していた「ちくご号」や「やまと号」「きょうと号」などと同様、「どんたく号」ではカバーしきれない地区を上手くカバーしているという点で評価はしていたのですが、先述の通り、この路線も閑散期と週末・繁忙期との差(季節波動の差)がネックでした。
更にこの路線については、「どんたく号」という代わりになる路線が存在していたことも痛手でした。
もっとも、乗客の多くが名古屋~北九州間の利用に終始していたことを考えると、廃止は致し方が無いのかもしれません。
今となっては設定自体が難しい路線ですが、バブル期ならではの夜行高速バスとして「げんかい号」「玄海号」は是非とも記憶に留めておきたい路線の一つです。
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