WILLER EXPRESS関東「いわみエクスプレス」運行参入→一転運行休止へ・・・

夜行バス,高速バス アーカイブス

SNSなどの書き込みを見て、驚かれた方も多いのではないでしょうか。

まだ公式リリースは出されていませんが、WILLER EXPRESS関東(本社:東京都)が、現在中国JRバス(本社:広島市)が単独で運行している東京~津山・三次・浜田・益田間夜行高速バス「いわみエクスプレス」に、2015年9月11日から運行参入するという情報が入って来ました。(写真はイメージです。)
WILLER EXPRESS「いわみエクスプレス」

中国JRバス「出雲路号」 ・536

WILLER EXPRESSの予約サイトでは、既にその旨の記載がされておりまして、予約も可能になっています。
ウィラーエクスプレス「いわみエクスプレス」 下り 予約状況

ウィラーエクスプレス「いわみエクスプレス」 上り 予約状況

東京~浜田・益田・津和野間の夜行高速バスの歩み

そもそも、東京~浜田・益田・津和野間の夜行高速バスは、1996年4月に小田急バス(本社:調布市)が期間限定で運行開始したことから始まります。
当時は小田急バスが単独で運行し、浜田・益田・津和野側の予約・発券業務は石見交通(本社:益田市)が担当していましたが、同年7月19日からは石見交通も運行に参入、繁忙期を中心に運行を続けます。
しかしながら、両社による期間限定運行は一旦終了。
その後、2001年3月17日に石見交通、中国JRバス(本社:広島市)の2社により「いわみエクスプレス」として正式に運行を開始します。(写真はイメージです。)

石見交通「つわのエクスプレス」 ・148

「いわみエクスプレス」として運行を開始してからは、島根県内の停留所新設や新木場駅への乗り入れ、「ニューブリーズ号」経路変更に伴う三次駅への乗り入れ、経路変更などといった利用客獲得のための施策を行っていきます。
転機が訪れたのは、2015年1月31日に実施されたダイヤ改正と石見交通の運行撤退でした。
平均20人前後乗車していたこの路線からの運行撤退は、大都市と比較して賃金ベースが低い地方事業者でさえ、夜行高速路線を維持するのが難しくなっていることを象徴する出来事でした。
現在は、中国JRバスが単独で運行を続けていますが、某新聞のインタビューで「今後は自治体等の補助がない限り、路線を維持するのは難しくなるだろう」と答えており、採算面や乗務員数の確保といった点で課題が多い・・・というのが実状なのではないでしょうか。

WILLER EXPRESS関東の参入でどう変わるのか?

そこに来て今回のWILLER EXPRESS関東の運行参入となったわけですが、「いわみエクスプレス」については、既にWILLER TRAVEL(ウィラートラベル)で乗車券の取り扱いを行っている他、WILLER EXPRESSの長野・新潟方面夜行路線が、2015年7月より東京駅JR高速バスターミナルへ乗り入れることが決定しており、もしかすると今回のWILLERの「いわみエクスプレス」運行参入は、ここ最近つながりが深い中国JRバスとの関係を考えると、ありえない話ではないのかなぁという気がしています。
とはいえ、何故に運行距離が長い「いわみエクスプレス」に参入することを決めたのか・・・気になるところではありますね。

今回のWILLER EXPRESS関東の運行参入で、何よりも中国JRバスにとっては乗務員運用の負担が軽減されることがメリットになるでしょう。
同日に実施されるダイヤ改正で運行区間が東京~津山・三次・浜田・益田間に短縮されますし、何よりも毎日2名必要だった乗務員が1日おきに2名と半減される訳ですから、事業者にとってのメリットはそれなりのものがあるのではと思います。
一方で、WILLER EXPRESSにとっては、長距離運行路線の実績作りと販路拡大を狙っているのでは?と私は見ています。
石見銀山や、少し足を伸ばせば萩・津和野観光も出来ますので、将来的には、「いわみエクスプレス」と浜田・益田地区及び萩・津和野地区の観光を組み込んだパック商品の展開・・・といったことも考えているのかもしれません。
高速バスを基軸とした旅行商品の開発・販促はWILLERの得意分野でもありますし、どの様に「いわみエクスプレス」を育てていくのか・・・注目したいですね。

車両は、これまでと同様、3列独立シートトイレ付き車両が投入されることになっています。
現在WILLER EXPRESSには、ノーマル仕様の3列独立シートトイレ付き車両が在籍しておらず、車両をどの様に調達するのかが気になるところです。
新車を導入するのか、従来の車両(ニュープレミアム・ビジネスクラスなど)を改造して投入するのか、それとも何処からかの中古車両を投入するのか・・・うーん、気になりますね。

ともあれ、これまで考えられなかった組み合わせでの共同運行を開始することになった夜行高速バス「いわみエクスプレス」。
決して楽観視出来ない「いわみエクスプレス」の現状をどの様に変え、どの様に利用客を増やしていくのか・・・今後のWILLER EXPRESSと中国JRバスの手腕に注目したいと思います。

一転、「いわみエクスプレス」運行休止へ・・・

【追記】(2015年8月10日追記)
・・・と書いてきましたが、実は残念なお知らせが入ってきました。
2015年8月10日付の中国JRバス公式サイトをご覧いただいた方はご存知かと思いますが、なんと「いわみエクスプレス」が2015年9月10日をもって運行を休止することが発表されました。
中国JRバス公式サイトを見る限り、いずれは運行を再開したいという意図が見え隠れしていますが、2015年7月14日に東名阪自動車道で起きたWILLER EXPRESS関東の委託先事業者(ロウズ観光)の事故が、「いわみエクスプレス」の運行継続(WILLER EXPRESS関東の運行参入)に影響を与えたことは否定出来ません。
新聞報道を見る限りでは、同路線自体が赤字であるともいわれており、「今後路線を継続するには、沿線自治体の支援も必要」と中国JRバスの関係者も地元新聞のインタビューに答えています。
WILLER EXPRESSバス関東の参入が当面難しくなったこと、及び同路線の採算面及び今後の将来を考慮した結果、今回の運行休止という結論に至ったのではと考えます。
とはいえ、特に島根県西部(浜田・益田地区)や広島県三次地区にとって、「いわみエクスプレス」は首都圏へ直通する唯一の交通機関でもあります。
同路線の休止により、利便性が損われることになるのは確実であり、今後中国JRバスが今までのリピーターに対してどの様にフォローしていくのか、私としても注目したいですね。


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