西鉄の夜行高速バス「ちくご号」(大阪~筑豊・久留米・大牟田線)【アーカイブ】

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久しぶりのアーカイブネタになります。

LCCや新幹線に押され気味の京阪神~福岡間夜行高速バス。
老舗の「ムーンライト号」(阪急観光バス・西日本鉄道)はもとより、「WILLER EXPESS」や「ロイヤルエクスプレス」など、高速ツアーバスから移行した高速乗合バスが、日夜同区間を行き来しています。(※写真はイメージです。)
阪急観光バス「ムーンライト号」

西日本鉄道「ムーンライト号」

今でこそ、各社路線が運行されるようになりましたが、今回ご紹介する路線は、今から約15年~20年以上前に運行していた路線であります。
時はバブル経済が終焉を迎える直前の1989年後半から1990年前半。
バス業界は「第1次夜行高速バスブーム」を迎えており、各地で夜行高速路線バスが相次いで開業します。
京阪神(特に大阪)から九州方面へ向かう高速バスも例外ではなく、現在運行されている京阪神~九州間を結ぶ老舗夜行高速バスの大半は、この時期に開業した路線であります。

その中から、今回はこちらの路線をご紹介します。
西日本鉄道「ちくご号」 4417
西日本鉄道が阪急バスと共同運行していた大阪梅田~筑豊・久留米・大牟田・荒尾線「ちくご号」です。
「大阪と筑豊・筑後地区を直行する路線って・・・今では考えられられない。」と仰る方もいるかとは思いますが、それでも当時はそれなりの利用者数があった路線でもありました。

夜行高速バス「ちくご号」とは?

夜行高速バス「ちくご号」は、1989年9月21日に阪急バスと西日本鉄道が共同で運行を開始しました。
当時は大阪~福岡線「ムーンライト号」が平日休日問わず混み合う程の全盛期を迎えており、「ムーンライト号」の久留米・大牟田地区からの予約申し込みが多かったことから、大阪梅田~久留米・大牟田・荒尾間を直行する形で新設されます。

運行開始から暫くは、大阪梅田~久留米・大牟田・荒尾間を直行する形での運行が続きますが、4年後の1993年8月に、「ムーンライト号」筑豊系統(大阪梅田~北九州・直方・飯塚・田川後藤寺線)が廃止されたに伴い、「ちくご号」が直方・飯塚経由に変更され、所要時間が11時間を超える長大路線に変貌を遂げます。

こちら↓は西鉄の「ちくご号」筑豊経由時代のパンフです。
バブル崩壊後の経費削減の影響を受けてか、簡素な造りになっています。
西日本鉄道「ちくご号」 パンフ_03

筑豊経由に変更された「ちくご号」ですが、この路線もバブル崩壊という波には逆らうことが出来ず、利用者は伸び悩み、更に人件費上昇などの影響を受け、次第に採算が悪化していきます。
運賃改訂を行うなどの改善策をとりますが、収支が改善されることは無く、1999年1月31日をもって「ちくご号」は廃止されました。

私自身、「ちくご号」には2度乗車したことがあります。
いずれも西鉄担当便で、乗車したのは2回ともこちら↓の車両でした。
西日本鉄道「ちくご号」 3176

西日本鉄道「ちくご号」 3176 リア
荒尾営業所所属の3176号車(三菱KC-MS822P 西工92MC SD-Ⅱ)で、杉本工業製スリーピングシートを搭載した3列独立シート28人乗りの夜行高速仕様車です。
1996年冬に「ちくご号」専用車としてデビュー後、路線廃止まで「ちくご号」専用車として活躍し、その後は九州島内昼行路線や「フェニックス号」夜行便などで活躍した車両でもあります。
見覚えがあるという方も多いのではないでしょうか。

最初に乗車したのは、1996年の年末。
写真の新型車両(当時)がデビューした直後でした。
大阪梅田(阪急三番街)発車時刻は21時40分。
新大阪・千里ニュータウン・宝塚インター・西宮名塩・西宮北インターで乗車扱いを行い、ほぼ満席になった「ちくご号」は、前方のカーテンを閉めて消灯となります。
西鉄独自の「プライベートカーテン」は装備こそされているものの、「ちくご号」をはじめとする荒尾発着の夜行路線では「プライベートカーテン」を使用しないとのことで、前方のカーテンを閉めるのみとなっているそうです。
因みに、荒尾を発着する夜行路線は、車両の所属こそ荒尾営業所となっていますが、実際の乗務は筑後営業所(当時)の現地出退勤扱いだとか。
ハンドルを握る乗務員も大変ですね。

西宮北インターを出発したバスは、中国自動車道~山陽自動車道~中国自動車道を九州へ向けてひた走ります。
翌朝4時40分頃、バスは関門橋手前の壇ノ浦パーキングエリアに到着。
ここで唯一の開放休憩が実施されます。
外は雪が舞うほどの寒さで、とても九州手前まで来ているとの実感が沸きません。
開放休憩の時間が終わり、乗客が全員揃ったところで、バスは壇ノ浦パーキングエリアを発車します。
関門橋を渡り、九州自動車道を八幡インターまで走行後、一般道に降り直方へと向かいます。
5時30分過ぎ、バスは定刻よりも30分程早く直方バスセンターに到着。
ここで数名が下車し、続く飯塚バスセンターでは5名程が下車していきました。
飯塚からは八木山バイパスを抜け、九州自動車道福岡インターへ。
福岡インターからは再び九州自動車道に入り、久留米インターまで走行します。
7時頃、バスは西鉄久留米バスセンターに到着。
ここでも数名が下車し、再び久留米インターへ戻り九州自動車道へ。
八女インターバス停は降車客がおらず通過し、南関インターを降りた「ちくご号」は、7時55分に大牟田駅前に到着します。
ここで私を含め3名を除く残りの乗客が下車し、次の大牟田営業所は降車客がおらずに通過していきます。
そして8時05分、定刻よりも40分早くバスは終点の西鉄荒尾営業所に到着しました。
朝の休憩時間が早過ぎるのにはちょっと困りましたが、それでも西鉄独自の「スリーピングシート」のお陰で道中快適に移動出来たことは、今でも記憶として残っています。

というわけで、西鉄の夜行高速バス「ちくご号」を簡単にご紹介しました。
関西方面への移動が大変な筑豊・筑後地区にきめ細かく停車することで、「ムーンライト号」ではカバーしきれない地区を上手くカバーしているという点で、当時「ちくご号」をそれなりに評価はしていただけに、路線廃止の知らせを聞いたときは少しショックを受けました。
週末にはそれなりの利用があったと記憶しているのですが、聞くところによると、閑散期と週末・繁忙期との差(季節波動の差)が激しかったようです。
やはり、安定した利用者数がいないことにはどうしようもないということなのでしょうね。
運行期間が約10年と決して長くはありませんでしたが、九州新幹線が無かった当時、「ちくご号」にお世話になった・・・という方も少なくないのではないでしょうか。
ともあれ、「第1次夜行高速バスブーム」にこの様なニッチ(?)な路線が運行されていたことを、記憶の片隅に残しておきたいと今回改めて思った次第です。


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