西鉄高速バス「桜島号」夜行便 4012号車乗車記（2018年春乗車分）

2018年4月21日夜行バス,高速バス乗車記

今回取り上げるバスはこちら↓。（写真はイメージです。）

西鉄高速バスの福岡～鹿児島線「桜島号」夜行便で活躍していた4012号車（三菱KL-MS86MP　西工02MC SD-Ⅰ）です。
このブログでは何度も取り上げている路線及び車両であります。
このブログの読者の中には、「なぜに今更？」「また取り上げるの？」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
そう、実はとある理由があって、今回あえて取り上げることにしました。

1. 定期運用からの離脱・・・ひとつの時代の終焉
2. 東京・名古屋・大阪・九州島内へ・・・様々な方面で活躍　三重交通にもレンタル
3. 定期運用終了直前の西鉄高速バス4012号車に乗車してみる
4. 西工製夜行高速仕様車に乗れなくなるのも時間の問題

定期運用からの離脱・・・ひとつの時代の終焉

なぜに今回、またも西鉄高速バスの4012号車を取り上げるのか・・・
先程、「活躍していた」と書きましたが、実はこの車両、同社の「桜島号」夜行便専用車が4012号車から元「さぬきエクスプレス福岡号」専用車の4403号車（三菱エアロクイーン　BKG-MS96JP）へ交代するのに伴い、2018年4月16日発（4月17日鹿児島発）をもって定期運用から離脱したのです。
今後、専用車の定期点検や繁忙期時の続行便として4012号車が稼働することはあるようですが、稼働する頻度は激減します。
このことは、長らくの間西日本車体工業（以下：西工）製夜行高速仕様車の最大ユーザーであったにしてつグループから、西工製夜行高速車の活躍の場が殆どなくなることを意味し、同時にバス車両史においてもひとつの時代の終焉を意味します。
実際に私を含め、この春は西鉄高速バス4012号車の最後の姿を見届けようと、多くのバスファンがお別れ乗車をされたそうです。
そこで今回は、西鉄高速バス4012号車について改めてご紹介するとともに、2018年春（3月）に乗車した時の模様もご紹介します。

東京・名古屋・大阪・九州島内へ・・・様々な方面で活躍　三重交通にもレンタル

ここで、西鉄高速バス4012号車について、改めてご紹介しておきましょう。
西鉄高速バス4012号車は、番号違いの4011号車と同時に、2005年夏に西日本鉄道博多自動車営業所に配属され、主に本州方面夜行高速路線用車両として活躍しました。
西日本車体工業製のSD-Ⅰボディに三菱ふそうトラック・バス製のハイデッカー用シャーシ（形式はKL-MS86MP）を採用していますが、従来のスーパーハイデッカーボディ（SD-Ⅱ）にスーパーハイデッカー用シャーシの組み合わせとは異なり、SD-Ⅱより車高の低いSD-Ⅰとハイデッカーシャーシを採用することで、コストダウンを図っています。
同時に、西鉄夜行高速バスではお馴染みだった、最後部席のリクライニング角度を確保する目的で採用された後部の凹凸も、4011号車と4012号車では省略されています。
車内は、2003年に冬に導入された3801号車、3802号車と同仕様の3列独立シート28人乗りとなっており、シートは可動式枕を搭載した天龍工業製の夜行高速用シートを採用しています。

デビュー後は、主に福岡～東京線「はかた号」で活躍し、2006年～2007年式の新車導入後は、主に福岡～名古屋線「どんたく号」や福岡～大阪線「ムーンライト号」で活躍しました。

その後、2013年春には、当時西鉄高速バスと三重交通が運行していた夜行高速バス福岡～三重線「お伊勢さんエクスプレス福岡号」の三重交通単独運行化に伴い、4012号車は三重交通にレンタルされますが、2014年1月5日に福岡～三重線「お伊勢さんエクスプレス福岡号」の運行が終了した後は、西鉄に返却された上で西鉄高速バスへ移籍。
2014年2月から2018年4月17日までの間、「桜島号」夜行便の専用車として活躍していました。

因みに、2005年に導入された4011号車と4012号車は、にしてつグループが最後に導入した西工製夜行高速用車両でもありました。

定期運用終了直前の西鉄高速バス4012号車に乗車してみる

2018年春の夜、鹿児島発の「桜島号」夜行便に乗車するために向かったのは、鹿児島本港高速船ターミナル。
本来であれば、深夜でも待合施設が開いている鹿児島中央駅前南国交通バスターミナルでバスを待つのですが、今回は始発から乗車したいということで、鹿児島本港高速船ターミナルでバスを待つことにしました。

「桜島号」夜行便の鹿児島本港高速船ターミナル発車時刻は23時25分。
発車20分以上前に到着しましたが、4012号車は既にバスはのりばにて待機しておりました。

改札を受けて車内に入ります。
車内の様子はこちら↓。

3列独立シート28人の夜行高速仕様となっていますが、前回ご紹介した宮崎交通「福岡～延岡・宮崎夜行線」430号車と同様、プライベートカーテンは撤去されています。
シートは、天龍工業製の夜行高速用シートを採用。
ただ、足置き台が純正の跳ね上げ式ではなく、床置き式となっています。
このため、足元は広々としており、ゆったりと足を伸ばすことが出来ます。
また、各座席にはコンセントと非常押ボタンを増設。
特に座席コンセントは携帯電話やスマートホンの充電に便利なだけに、利用者にとってはありがたいですね。

23時25分、私を含めて2名の乗客を乗せた「桜島号」夜行便は、定刻に鹿児島本港高速船ターミナルを発車。
天文館で2名、鹿児島中央駅前南国交通バスターミナルで9名の乗客を乗せ、鹿児島インターから九州自動車道に入ります。
車内では自動放送案内の後に、乗務員による補足説明が行われますが、過不足ない丁寧な案内には、いつもながら感心するばかりです。
高速伊敷で1名、鹿児島空港南で1名の乗客を乗せたところで、前方のカーテンが閉められ、車内は消灯されます。
この先は福岡へ向けて九州自動車道をひた走りますが、途中何度か停車するものの、車両点検と乗務員の仮眠休憩のための停車のみで、乗客は目的地到着するまで下車することが出来ません。
暫くは起きていましたが、シートを倒して目を瞑ると、何時しか眠りに入っていました。
翌朝、目を覚ますと、バスは広川サービスエリアに停車中。
恐らくこちらで仮眠休憩をとっていたものと思われます。

4時53分、バスは広川サービスエリアを発車。
久留米インターは降車客がおらずに通過し、5時09分、車内灯が灯され起床となりました。
5時14分、高速基山に到着。
こちらでは1名が下車していきました。
その次の筑紫野（二日市温泉入口）は降車客がおらずに通過し、5時25分、太宰府インターを通過。
ここからは福岡都市高速道路を経由せずに、国道3号バイパス～空港通りを経由して博多駅へ方面へと向かいます。
5時48分、バスは博多バスターミナル2階降車場に到着。
こちらでは9名が下車していきました。
そして、まだ夜が完全に明けきらない6時00分、バスは終点の西鉄天神高速バスターミナルに到着。
前日に乗車した宮崎交通「福岡～延岡・宮崎夜行線」と同様に爆睡した私は、清々しさと寂しさの入り混じった複雑な気分で西鉄天神高速バスターミナルを後にしたのでありました。

西工製夜行高速仕様車に乗れなくなるのも時間の問題

というわけで、西鉄高速バス「桜島号」夜行便4012号車の乗車記をお届けしました。
私が初めてこの車両（4012号車）に乗車したのは、今から12年前の2006年に乗車した「はかた号」だったと記憶しています。
その後、「どんたく号」や「ムーンライト号」で数回乗車しましたが、一番多く乗車したのは、やはり「桜島号」夜行便です。
合計で10回近く乗車しており、個人的にもこの車両に対しては愛着がありました。
それだけに、今回の定期運用離脱の話を聞いた時は、ある程度覚悟していたとはいえ、ショックと寂しさが走馬灯のように襲ってきました。

西鉄高速バス4012号車の今後についてですが、専用車点検時の代走及び繁忙期時の続行便として運用することはあっても、見かける機会は激減すること間違いありません。
さらに、他社に目を転じると、にしてつグループ以外で西工製夜行高速仕様車に乗車出来るのは、阪急バスの大阪～高知線「よさこい号」1往復と、亀の井バスの京阪神～別府・大分線「SORIN号」、そして海部観光の大阪～徳島線の一部の便のみとなります。
これらの車両も引退間近であり、西工製夜行高速仕様車に乗れなくなるのも時間の問題であるといえましょう。

「乗るのであれば今のうち！」

現況はこの言葉に尽きるのではないでしょうか。
現在、西工製夜行高速仕様車に関する同人誌を製作しているところですが、時間の許す限り、「名車」と呼ばれるに相応しい西工製夜行高速仕様車の動向を、今後も追い続けていきたいと考えております。

最後に、西鉄高速バス4012号車へ。
今後、代車や続行便などでもう少しの間活躍することになるかと思いますが、是非とも廃車ギリギリまで我々バスファンを楽しませて欲しいと思います。
まずは約13年間、本当にお疲れ様でした。