中国JRバス「鹿児島ドリーム広島号」運行開始初便乗車記

夜行バス




毎年年末にもなりますと、各地で高速路線バスの新規開業やダイヤ改正が実施されます。
我々バスファンは、ネットなどの情報を駆使して開業情報を得ることが多いのですが、そんな中、今年の年末もまた一つ夜行高速バスが開設されました。
しかも、この路線は運行区間がマイナーで、更に『期間限定運行』(12/21~1/15の間運行)というちょっとハードルが高い路線なんです。
その路線とは・・・・・・
中国JRバスとJR九州バスが共同運行する広島~鹿児島間夜行高速バス「鹿児島ドリーム広島号」です。

何故、広島~鹿児島間に夜行高速バスが???
一説には、鹿児島出身の広島在住者がそれなりにいて、その方をターゲットにしているのでは?という噂も聞きましたが、その辺も含めて「果たしてこの路線、どうなのよ?」ということで、普段は中々乗車出来ない「開業初便」という記念すべき便に乗車してきました。

今回乗車したのは、広島発の開業初便。
中国JRバスが運行を担当します。
使用された車両はこちら↓。
中国JRバス「鹿児島ドリーム広島号」 641-4909
「呉ドリーム大阪号」などで活躍している、いすゞガーラⅡ(KL-LV774R2)です。
公式サイトや路線パンフレットで告知された通りの車両が充てられました。

車内はこの様になっておりまして、
中国JRバス「鹿児島ドリーム広島号」 641-4909 車内

中国JRバス「鹿児島ドリーム広島号」 641-4909 シート
3列独立シート29名定員の一般的な夜行高速仕様となっていますが、通路側の肘掛の構造が簡素的造りになっているのが、この車両の特徴でしょうか。
装備品も毛布のみで、通路カーテン・電源コンセントは勿論のこと、スリッパも装備されていません。
せめてスリッパ位は使い捨てタイプでも構わないので装備していただけるとありがたいのですが・・・・・。
あと、今後の定期化を睨んでいるのか、各座席にはアンケート用紙と筆記具が備えられていました。
思ったことを存分に書かせて頂きましたがww。

因みに共同運行のJR九州バスは、かつて「山陽道昼特急博多号」や「たいよう」「福岡山口ライナー」で活躍していた三菱エアロキング(2階建てバス)を投入しています。
運行期間が短いので難しいですが、興味がある方は両社の車両を乗り比べてみるのも良いかもしれませんね。

では、開業初便の模様をふり返ります。
始発地は、中国JRバス関連の夜行路線の始発地としても有名な、広島駅新幹線口です。
発車10分前には乗り場に横付けされ、改札が始まります。
中国JRバス「鹿児島ドリーム広島号」 641-4909 広島駅新幹線口改札中
運行開始初便といえば、「開業式」に「記念品プレゼント進呈」が恒例ですが、『期間限定運行』ということもあるのでしょうか、この路線に関してはその様なものは一切無く、今日まで運行されている路線であるかの如く、乗務員もてきぱきと改札業務をこなしていきます。
ここからの乗車は、私を含めて14名。
とかく開業初便となると、ヲタの乗客数が圧倒的に多くなりがちですが、この日はヲタの数は少なく、むしろ一般客の方が圧倒的に多い印象を受けました。
出発時間になったところで、中国JRバスの社員の方が車内に入り、「末永く運行を続けるために努力して参りますので、ご愛顧を宜しくお願い致します」との挨拶が。
乗客からの拍手が沸きあがったところで、バスは出発します。

次の広島バスセンターでは3名が乗車し、広島バスセンターを出発したところで、乗務員からの案内がマイクを通じて行われます。
この後バスは、広島インターから山陽道に入り、途中下松サービスエリアでの運転停車を挟んで防府東インターまで高速道路を走行。
と、ここで一つの疑問が。
公式サイトやパンフでは、下松サービスエリアと吉松パーキングエリアで開放休憩を行う旨の記載があったのですが、何故下松サービスエリアで開放休憩を行わなかったのか・・・・・・。
公式リリースが間違っているのか、それとも運行上の理由なのかは分かりませんが、公式サイトやパンフで謳っている以上、開放休憩を行うべきではないかと。
所要11時間以上の路線で休憩が1回のみというのも、乗客の立場からすると正直キツイです。
22時48分、防府東インターで一旦高速道路を降り、同インター近くの右田停留所にて乗車扱い停車を行います。
っと更にここでもう一つの疑問が。
「何故、右田なの???」
防府東インターから防府駅まではさほど距離が離れて無い筈です。
ここで乗車扱いを行うよりは、防府駅で乗車扱いを行った方が遥かに便利だと思うのですが・・・・・。
しかも、防府駅にはJRバスも乗り入れている筈。
「鹿児島ドリーム広島号」が乗り入れ出来ない何らかの理由があるのでしょうか???(詳しい方、教えて頂けると幸いです。)

その後バスは、国道262号線を走行し山口駅へ。
山口駅には23時22分に到着、1名が乗車します。
と同時に、広島支店の乗務員から山口支店の乗務員(2名)に運行が引き継がれます。
23時35分、バスは山口駅を出発。
その後、湯田温泉通りに停車するも乗車客は無く、23時46分にバスは同停留所を発車。
ここで、山口駅で交代した乗務員から挨拶と各種案内が行われ、深夜0時前に車内は消灯されます。
シートを倒して目を瞑ると、いつしか夢の中へと吸い込まれていきました。

翌朝目が覚めたのは朝の5時前。
バスは既に朝の休憩場所である九州自動車道吉松パーキングエリアに停車していました。
開放休憩が行われたのは1時間以上後の6時20分でしたので、この路線のダイヤ、かなり余裕を見ているようです。
中国JRバス「鹿児島ドリーム広島号」 641-4909 吉松PAにて

6時35分、乗客が全員揃ったところでバスは出発。
その20分後の6時55分にバスは最初の降車停留所である鹿児島空港南に到着します。
ここでは2名が下車。
近所のご自宅に帰られるのでしょうか・・・それとも飛行機に乗り換えるのでしょうか・・・。
7時06分には高速帖佐に停車するも、降車客はおらずすぐに発車。
鹿児島北インターで高速道路を降り、7時23分に下伊敷に到着。
しかしここも降車客がおらず通過します。
7時32分、鹿児島中央駅の南国交通バスターミナルに到着。
ここでは主要ターミナルということもあってか、大量の乗客が下車していきます。
何故「鹿児島ドリーム広島号」がこのターミナルに乗り入れることが出来たのかは分かりませんが、利用客にとっては下手な路上で乗降させられるよりも遥かに便利だと思います。
そして7時37分、ほぼ定刻にバスは天文間に到着。
中国JRバス「鹿児島ドリーム広島号」 641-4909 鹿児島天文館到着
約11時間のバス旅は、以外とあっけなく(?)幕を閉じたのでありました。

というわけで、中国JRバスの「鹿児島ドリーム広島号」開業初便の模様をお届けしました。
あくまで初便の客層でしか判断できなかったので何とも言えませんが、この路線、運行会社の今後の努力次第では固定客が付く可能性を秘めている路線なのかなぁ~と思いました。
ですが、通年運行という話になると、総流動量から考えても厳しいものがあるのかもしれません。
やはり季節運行(もしくは繁忙期のみの運行)というのが現実的ではないかと。
あと、先述の途中開放休憩の問題は早急に解決してもらいたいです。
公式リリースを修正するのか、リリース通りに途中休憩を実施するのか・・・・・
現状のままだと乗客側が混乱します。
実際に乗務員に苦情を言っていた乗客もいましたし・・・・・。
それと、停車停留所の見直しも必要になってくるかもしれませんね。
少なくても防府市内の乗降停留所は見直した方がベストでしょうし、鹿児島側の停留所にしても、現行の天文館を終点にするよりは、鹿児島側の車庫が近いJR鹿児島駅を終点にした方が、JRとの接続が図れるので良いのではないかと思います。

いずれにしろ、”広島と鹿児島を夜行バスで結ぶ”という両社のチャレンジ精神は評価したいです。
「末永く運行が続けられる」様に、運行会社の今後の努力に期待したいですね。

※現在は運行を休止しています。


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