近鉄バス「国虎号」乗車記

夜行バス,高速バス乗車記




以前このブログでもご紹介した近鉄バスの夜行高速バス安芸特急線「国虎号」 今回はこの「国虎号」の乗車記をお届けします。

「国虎号」は、近鉄バスと高知県交通の子会社高知東部交通が共同運行する夜行高速バスで、2011年2月4日に運行を開始しました。
京阪神と高知県東部(安芸・奈半利地区)を結ぶ路線として開設されましたが、沿線人口が少ないこともあってか集客に苦労しているようで、一部からは「この路線、いつまで持つのだろうか・・・・・」といった声も。
そうであれば、現状を知るべく実際に乗ってみるしかないと思い、とある日に関西へ向かいました。

スーパーハイデッカーのセレガR-GDが運用

今回乗車したのは京都始発の便。
この日は近鉄バス担当の日でした。

関西空港からリムジンバスと地下鉄を乗り継いでやってきたのは、近鉄あべの橋駅。
近鉄百貨店前のバス乗り場から全国各地へ向けて夜行バスが出発していきます。
近鉄バス あべの橋駅 案内板

近鉄バス「フジヤマライナー」 8155 あべの橋駅にて

近鉄バス「サンライズ号」 7203 あべの橋駅にて

東北急行バス「フライングライナー」 ・833 あべの橋

やがてバス乗り場に「国虎号」が入線しますが、ここでサプライズ。
てっきり現行型の日野セレガHDが充てられると思っていたのですが、入線して来たのは京都営業所所属の予備車両である日野セレガR-GD(KL-RU1FSEA)でした。
近鉄バス「国虎号」 2302
 
近鉄バス「国虎号」 2302 リア
近鉄バスのセレガRはこれまでにも何度か実物は見たことがあるのですが、乗車となると実は一度も乗車したことが無く、今回が初めての乗車。
ある意味ラッキーな日になりました。

バスが乗り場に到着したところで早速改札始まります。
近鉄バス「国虎号」 2302 あべの橋駅改札中
とはいえ、ここから乗車したのは私1人。
改札を受けて車内にてしばし出発を待ちます。

で、肝心の車内ですが・・・車内はこの様になっております。
近鉄バス「国虎号」 2302 車内
 
近鉄バス「国虎号」 2302 シート
3列独立シート28人乗りの夜行高速仕様ですが、シートの構造が少し変わっていまして、背もたれの角度を手動で変えられる中折れシートを採用しています。
シートクッションも適度な硬さで(この辺は個人の好みで別れると思いますが・・・)、個人的には好きなシートタイプの一つですね。
ちなみにこのシートは、写真の近鉄バスの夜行高速用セレガ(後期型車両の一部)、セレガR-GDの他、東北急行バスの3列シート車、山交バス「アルカディア号」のいすゞガーラ、富士急湘南バス「金太郎号」の日産スペースウィングAに採用されていますね。

21時55分、定刻にバスは近鉄あべの橋駅を発車します。
ここまでの乗客は私を含めて2名(京都からの先客1名を含む)。
なんばOCATで2名、大阪駅前(東梅田)で1名を乗せた「国虎号」は、阪神高速を経由して神戸三ノ宮の三宮バスターミナルへ向かいます。
約1時間後、三宮バスターミナルに到着しますが、ここからの乗車は無く、結局この日の乗客は私を含めて5名で確定。
私にとっては久しぶりのガラ空き夜行バスとなりました。

途中休憩は2箇所 翌朝の夜須駅では洗顔タイムも

三宮を出発後、乗務員から簡単な挨拶・案内がマイクにて行われ、その後消灯前の休憩を挟み消灯となりますが、この便の乗務を担当していた近鉄バス乗務員の運転技量と接客案内がとにかく素晴しく、安全運転は勿論のこと、発進・停止のショックが殆ど無かったのには驚きました。
確か稲田営業所所属とマイクで挨拶していましたが、「私より若いのに凄いな・・・・」とただ感心するばかり。
その消灯前の休憩ですが、本来であれば第2神明の垂水パーキングエリアにて行われるところ、この日は駐車場が満車のため、明石海峡大橋を渡ったすぐの淡路パーキングエリアに変更。
到着時刻が遅くなるのが難点ですが、施設の充実度を考えると、むしろこちらの方がいいのでは?と思いましたね。
こちらでは約20分間停車。
近鉄バス「国虎号」 2302 淡路サービスエリアにて
トイレ、洗顔、買い物を済ませてバスに戻ります。

乗客全員が早めに戻ったということもあって、バスは出発時刻よりも5分程早めに出発。
5分後には完全消灯されました。
シートを倒して目を瞑ると、すぐさま夢の中へ。
翌朝の土佐山田到着まで目を覚ますことはありませんでした。

5時過ぎ、山田駅通到着と同時に前方のカーテンが開けられます。
その後、野市駅前、赤岡南町に停車しますが、降車客がいないため通過。
6時過ぎには夜須駅に到着。
ここで1人が下車し、同時に朝の開放休憩のために15分程停車します。
近鉄バス「国虎号」 2302 夜須駅にて
 
近鉄バス「国虎号」 2302 正面
 
近鉄バス「国虎号」 2302 側面方向幕
 
近鉄バス「国虎号」 2302 サイド
休憩停車が終わり、バスは再び出発します。
和食、安芸営業所(安芸球場前)は降車客がいないため通過し、次の安芸駅では2名が下車。
その後、安田役場通、田野役場通の各停留所を通過し、私と他1名の乗客は終点の奈半利駅まで乗車。
奈半利駅にはほぼ定刻の7時30分に到着しました。
近鉄バス「国虎号」 2302 奈半利駅到着

大幅なテコ入れが必要?

というわけで、初めての「国虎号」の乗車でしたが、ここからは少々厳しいことを。
はっきりいてこの路線、現状のままだと採算的に持たないのでは・・・・・と今回乗車してみて改めて思いましたね。
週末で乗客5名・・・・・わが地元北海道の札幌~知床線「イーグルライナー」並みの乗客の少なさです。
開設当初は、「よくもまあこんな路線に手を出してきたなぁ~」と思いましたが、現実はかなり厳しいという印象を受けました。
もっとも、沿線人口が少ないなど、「イーグルライナー」と路線環境が似ている部分もあったりしますが・・・・・。
いすぜにしろ、今後何らかの大幅なテコ入れが必要だと思います。
今以上の地上戦広報活動は勿論ですが、例えば「国虎号」と高知東部交通の路線バス乗り放題の企画きっぷやホテルパックなどの企画商品を販売するとか、路線自体についても室戸方面への延長を考えてもいいかもしれません。
あと、これはかなり難しいでしょうが、徳島バスと提携して「EDDY 大阪~甲浦・室戸」+高知東部交通「甲浦・室戸~奈半利・安芸線」+「国虎号」の周遊きっぷを企画・販売しても面白いかもしれませんね。
勿論、阪神タイガースの秋季キャンプを絡めた企画も忘れずに・・・・・といったところでしょうか。

沿線人口が少ない地域を結ぶ夜行路線バスの利用客を増やすには、地元の絶大な信頼を得るか、観光資源で売り込んでいくかのいずれかしか無いように思えます。

高知県東部地区は太平洋の景色が美しい場所。
のんびり観光するに適した場所といえるでしょう。
ただ、問題なのは交通の便が決して良くないということ。
そういった問題点を解決する交通機関として「国虎号」を・・・・・という流れを作って売り込み、利用してもらう方法を近鉄バス・高知東部交通は真剣に考えて欲しいです。
室戸・安芸方面への観光の足として大変便利な路線なのですから・・・・・。

【追記】
夜行高速バス「国虎号」は、2014年3月31日をもちまして運行終了となりました。
現在は、阪急バスととさでん交通が運行する高速バス「よさこい号」(大阪~高知線)の一部の便が安芸まで運行されております。


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