2021(令和3)年2月13日に発生したM7.3の福島県沖地震。
この地震の影響で、東北新幹線は2月23日までの10日間不通となりました。
代わりに活躍したのが、それまで新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から運休を続けていた高速バスです。
JRバス東北(本社:仙台市)や京王バス(本社:府中市)・宮城交通(本社:仙台市)など、首都圏と仙台を結んでいるバス事業者は、軒並み臨時便を設定。
(言葉は悪いですが)「新幹線難民」の方の貴重な移動手段として大活躍したことは、報道やSNSの書き込みなどでご存知の方も多いかと思います。
そして、仙台以北の岩手県、秋田県、青森県のバス事業者も、新型コロナの感染拡大の影響で休止していた路線を、期間限定という形で運行を再開。
路線によっては、続行便を設定するなどの対応を行いました。
今回ご紹介する弘南バス(本社:弘前市)も、のりばでの混雑を回避する目的から、現在唯一運行している格安夜行高速バス「パンダ号」に運行時間をずらした臨時便を設定。
不通の東北新幹線に代わる青森~東京間の移動手段として活躍しました。
実はこの度、東北新幹線の不通を受けて、急遽設定された弘南バス「パンダ号」(青森・弘前~上野)の3列シート臨時便に乗車する機会を得ました。
今回は、その時の様子をご紹介します。
時間帯をずらして臨時便を2往復設定
札幌から函館バス「高速はこだて号」で函館に到着した私は、津軽海峡フェリー「ブルールミナス」で青森へ移動。
青森駅前に到着したのは、夜の21時20分頃でした。
通常、弘南バス「パンダ号」(青森・弘前~上野)は、夜行便2往復体制で運行していますが、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、1往復に減便して運行しています(2021年2現在)。
この度の東北新幹線不通を受けて、同社は2月14日に急遽、臨時便の運行を決定します。
但し、現在運行している便に続行便をつける形での臨時便運行では、のりばでの混雑により「密」が懸念されることから、今回は、時間帯をずらす形で別便(後続便)を仕立てることにしたのです。
現在の「パンダ号」は、お客様同士の間隔確保の観点から、(暫定処置として)座席の予約状況に応じて「3列シートトイレ付き車両」「4列シートトイレなし車両(4列シート車の運行の場合は窓側座席のみ使用)」を使い分けています。
今回設定された臨時便は、「4列シートトイレなし車両」(窓側座席のみ使用)1往復と、「3列シートトイレ付き車両」1往復の計2往復。
現在運行している「パンダ号」の後続便という形で設定されました。
「津輕号」用のスーパーハイデッカーが登板
私が今回乗車したのは、青森駅前21時40分発の3列シートトイレ付き車両で運行される便。
こちらの車両が充てられました。
弘南バス青森営業所所属53002-6号車(日野セレガSHD 2RG-RU1ESDA)です。
新型コロナの影響で運休中(2021年2月現在)の「津輕号」(青森~新宿・東京)の専用車として活躍する、同社貸切カラーのスーパーハイデッカー車です。
トミーテック製「バスコレクション」第27弾のモデルにもなった車両と同型の車両ですので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
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こちらの写真は、「津輕号」運用時に撮影したもの。
臨時便とはいえ、以前から夜行便として乗車したかった車両でもありましたので、今回の乗車はある意味運が良かったのかもしれません。
昼行便としては一度乗車したことがあるんですけどね・・・。
気になる車内の様子は・・・
車内は、3列独立シート28人乗りの夜行高速仕様。
ゆったりとした幅広シートが並びます。
トイレは、車内中央部に設置。
窓側座席には、通路と座席を仕切るカーテンも装備しています。
回りを気にせずに休むことが出来ます。
(但し、今回の乗車では、休憩場所での人数確認の都合上、出来るだけ通路カーテンを使用しないようにとの案内がありました。)
シートは、名鉄バス「プレミアムワイド」とほぼ同型のシートを採用。
座面が通常タイプよりも広くなっています。
可動式枕も搭載しています。
足置き台(フットレスト)、レッグレストも完備。
足置き台(フットレスト)は、通常タイプよりも奥行(くり抜き)が若干深くなっています。
ひじ掛け下には、コンセントを完備。
携帯電話やスマートフォンの充電に便利です。
新型コロナ対策について
今回乗車した便の新型コロナウイルス対策は、以下の通りです。
【主な新型コロナ感染症対策】(乗車当時のものです。)
・座席使用制限:なし
※窓側座席に通路カーテン付き。
・車内消毒液設置:あり
・運転席回りのビニール製カーテン設置:なし
※運転席後方に簡易アクリルパーテーションと仕切りカーテンあり。
・運行終了時の車内消毒:実施
・エアコンの外気導入:実施
⇒ <動画追加>【お知らせ】バス事業者様へ 大型観光バス「日野セレガ」の室内空調について
・休憩時の車内換気:実施
・その他:
プラズマクラスターイオン発生装置を設置
乗務員のマスク着用 など
途中休憩は4回 飲食物の購入も休憩場所で
21時40分 青森駅前発車
21時40分、定刻に青森駅前を発車したバスは、国道7号を弘前バスターミナルへ。
高速道路を経由するかと思いきや、昼行便「スカイ号」と同じ経路を運行する様です。
22時40分~23時00分 弘前バスターミナルにて乗車改札・トイレ休憩
22時40分、弘前バスターミナルに到着。
定刻よりも早く到着したということもあり、乗車改札までの時間(22時50分)、トイレ休憩として車外へ出ても良いということになりました。
ちょうどトイレへ行きたかったということもあり、トイレを済ませて車体を撮影し、バス車内へ戻ります。
23時00分、予約済みの乗客が全員揃ったところで、バスは弘前バスターミナルを発車。
発車後、乗務員による案内の後、自動音声による案内が行われ、その後消灯となります。
この日の乗客は20人。
窓側座席が全て埋まり、尚且つ通路側座席も2席埋まるという着席状況でした。
このご時世、しかも急遽設定された臨時便で周知期間が短かったとはいえ、バスへの期待もそれなりにあることを実感した次第です。
23時18分、大鰐弘前インターを通過。
ここから先は、東北自動車道~首都高速道路を東京都心へ向けてひたすら南下します。
01時03分~01時15分 紫波サービスエリアにて開放休憩
弘前バスターミナルを発車して2時間が経過した夜中の01時00分過ぎ、バスは紫波サービスエリアに到着します。
こちらでは、12分間の開放休憩時間となりました。
紫波サービスエリアは、岩手県にある東北自動車道の中でも有数の大きさを誇るサービスエリア。
流石にこの時間ともなると、レストランや売店は営業を終了していますが、自販機は使えますので、飲みものの購入はこちらで済ますことも出来ます。
バスもしばしのひと休みです。
時間不明 国見サービスエリアにて開放休憩
紫波サービスエリアを発車して約2時間後、次の開放休憩場所である宮城県の国見サービスエリアに到着しますが・・・
実は、乗務員の案内放送で目を覚ますものの、眠気が凄かったのと若干寝ぼけていたということもあって、国見サービスエリアでの開放休憩時は外に出ずに車内で過ごしました。
ですので、到着時刻や発車時刻は、正直覚えていません(苦笑)。
06時15分~06時25分 佐野サービスエリアにて開放休憩
その後ひと眠りし、次に目を覚ましたのは、最後の開放休憩場所である栃木県の佐野サービスエリア到着時の乗務員による案内放送でした。
こちらでは、06時15分から10分間停車しました。
佐野サービスエリアも、東北自動車道有数の広さを誇るサービスエリア。
この時間にもなると、売店も既に営業しており、簡単な朝食や土産物を購入する乗客もちらほら見かけました。
バスも、ラストスパートに向けてひと休みです。
09時00分 上野駅前到着
佐野サービスエリア発車後、暫くは東北自動車道を順調に走行しますが、浦和料金所を過ぎて新井宿ランプ付近から、朝の渋滞に巻き込まれます。
加えて、渋滞区間で事故も発生していたことから、渋滞は首都高速道路扇大橋ランプを降りるまで続くことに。
扇大橋ランプを降り、荒川を渡ったのは、08時30分頃でした。
その後バスは、尾久橋通りなどを経由し東京都心へ。
左手に不忍池が見えると、上野到着はもうすぐです。
そして、定刻より遅れること1時間の09時00分、バスは終点の上野駅前東北急行バスのりばに到着しました。
乗客を降ろしたバスは、埼玉県内某所へ回送し、夜の運行に向けて休息をとります。
長時間の運行、お疲れ様でした。
滅多に経験出来ない夜行バスの臨時便運行
以上、弘南バス「パンダ号」3列シート臨時便乗車の模様をお届けしました。
青森~上野間約11時間のバス移動。
定刻より1時間遅れの到着でしたが、普段中々経験出来ない夜行バスの臨時便に乗車出来たという点で、収穫のあるバス移動でした。
特に今回、地震による東北新幹線不通という避けがたい最大の要因があったとはいえ、迅速に臨時便を運行出来たのは、報道などでも指摘されている通り、「3.11東日本大震災」時の経験が活きたという点と、新型コロナの影響で運休していたことにより車両・乗務員の手配が比較的スムーズに進んだ点が大きいのではと感じました。
一方で、今回の地震が仮に平時に発生した場合、果たして今回の様な臨時便運行がスムーズに出来たのか・・・もしかすると、今回の様な迅速な対応は難しかったかもしれません。
今回の事象をしっかりと検証するとともに、今後予想される大規模災害時の鉄道代行輸送のあり方を改めて整備していく必要があるのではと、今回の乗車を通じて感じた次第です。
ところで、弘南バスといえば、現在運行を休止している夜行高速バス「ノクターン号」(五所川原・弘前~品川・横浜)において、京浜急行バスの運行撤退と弘南バスによる単独運行化が先日発表されました。
これにより、同社が運行に絡んでいる青森・弘前~首都圏間の高速バスは、全ての路線が同社単独運行路線となります。
となると、コロナ禍明けの利用客数の状況次第では、路線の再編ということも当然考えられるわけで、穿った見方をすると、現在行われている「パンダ号」の3列シート車投入にしろ、今回ご紹介した3列シート車臨時便の設定にしろ、これらはコロナ禍明けの再編を睨んでの予行演習なのかなぁ・・・と私は思いました。
今後、同社の高速バス事業、とりわけ青森・弘前~首都圏間の高速バスがどう推移するかは分かりませんが、動向には引き続き注目していきたいと思います。
【乗車データ】
- 乗車日:2021/02/18
- 乗車区間:
青森駅前→上野駅前(東北急行バスのりば) - 運行会社:弘南バス
- 車両:日野/セレガSHD(2RG-RU1ESDA)
- 年式:2018年式
- 所属:青森営業所
- 社番:53002-6
【おまけ】動画にしてみました
宜しければご覧いただけると幸いです。






